表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紡ぎの剣 〜見えない糸を断つ者〜  作者: つるぎまる
第二章 交わるもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/25

第一二話 「触れぬ理」

第12話は戦闘回です。


ただし、これまでの感覚では通用しない戦いになります。


“違和感”が、はっきりと牙を剥きます。


 空は、まだ重い。


 昨日とは、違う。


 張りつくような気配が、

 少しだけ薄れている。



「……減ってるな」


 嵐が呟く。


「完全ではないがな」


 蒼真は周囲を見る。


 糸。


 まだある。


 だが——


 確かに、密度が違う。


「昨日のあいつか」


 その言葉に、


 風が、わずかに揺れる。


「そうだな」


 声。


 背後。


 振り向くより早く、

 そこに“いた”。


 白装束の男。


 白玖はく


「……いつからいやがった」

 嵐が舌打ちする。


「最初からだ」

 感情のない声。


「気配消すのうまいとかそういうレベルじゃねぇぞそれ……」


 白玖は答えない。


 ただ——


 蒼真を見る。


「……断ったか」


 短い言葉。


 蒼真の目が、わずかに揺れる。


「……何をだ」


 白玖は、ほんの一瞬だけ考える。


「まだ、そこまで至っていないか」


 それ以上は言わない。


「なんなんだよお前は」

 嵐が苛立つ。


 白玖はくは、視線を外す。


白玖はくだ」

 それだけ。


「……は?」


「名だ」


 それ以上の説明はない。



 沈黙。


「……はく、ねぇ」

 嵐が小さく呟く。


「で、その白玖さんは」

「何してんだこんなとこで」


 白玖は、少しだけ空を見る。


「整えている」


「は?」


「流れが乱れている」


「だから——」


 言葉を切る。


「戻しているだけだ」


 蒼真の視線が、鋭くなる。


「……あれを、戻すと言うのか」


「断つよりはな」


 白玖の目が、細くなる。


「失われるものが少ない」


 沈黙。


 嵐が、舌打ちする。

「じゃあ最初からそうしろよ」


「出来るならな」

 即答だった。


「全てには届かない」


「だから、お前たちがいる」


 その言葉。

 蒼真が、わずかに反応する。


「……利用する気か」


「違う」

 白玖は、首をわずかに振る。

「役割だ」


 静かな声。


「お前は断つ」

 蒼真を見る。


「こいつは壊す」

 嵐を見る。


「私は、整える」


 風が、吹く。


 その三つが、


 一瞬だけ、重なる。


「……気に食わねぇ言い方だな」

 嵐が吐き捨てる。


「だが、間違ってはいない」

 蒼真が、小さく言う。


 白玖はくは、それを否定しない。


「この先に行くのだろう」


「……ああ」


「なら」

 一歩、前に出る。


「覚悟しておけ」


 その声は、

 少しだけ低かった。


「“中心”は」


 わずかに、


 間。


「お前たちの理解の外にある」


 沈黙。

 空気が、重くなる。


 嵐が、顔をしかめる。

「……はっきり言えよ」


 白玖はくは、答えない。


 ただ、

 わずかに笑った。


 それが、

 初めて見せた表情だった。


「まだ早い」


 その一言だけ残し、

 歩き出す。


 止める間もなく、

 気配は消える。


 沈黙。


「……なんなんだあいつ」

 嵐が呟く。


 蒼真は、答えない。



 静かに、

 刀に触れる。


 昨日よりも強く、


 “ざらつき”が残っていた。

 それは、

 消える気配がなかった。


 むしろ、

 深くなっているようだった。


第十二話 終

通じているはずなのに、噛み合わない。


そのズレが、決定的な差になります。


次話——その正体が、現れます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ