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紡ぎの剣 〜見えない糸を断つ者〜  作者: つるぎまる
最終章

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第百十六話「孤立」

大きな戦いのあとに残るものは、静けさだけではありません。

失われた故郷。

残された命。

そして、生きるために歩き続ける覚悟。

今回は、豪山と子どもたちの旅の始まりです。


 豪山ごうざんは子ども達を連れ、 歩き続けていた。


 生きている者がいるはずだ。


 何度も辺りを見回す。


「誰かいないか!!」


 返事はない。


 風だけが吹き抜ける

 豪山ごうざんは歩く

 崩れた家々

 消えた道

 静まり返った大地


 歩いても

 歩いても

 誰にも会わない。


 ……


 一番小さな子の足が止まった。


 『もう歩けない』


 そう言いたげに、 豪山ごうざんを見上げている。


 豪山ごうざんはしゃがみ込んだ。


「乗れ。」


 小さな子を抱き上げる


 もう一人を背へ回した


 そして一番年上の子を見る。


「お前」


「……はい」


「二人の手、離すな」


 少年は小さく頷いた。


 右手で八歳ほどの子の手を握る

 左手で七歳ほどの子の手を握る


「行こう」


 三人は再び歩き始めた。


 豪山ごうざんも前を向く

 どれほど歩いただろう

 ようやく一軒の建物が見えた。


 半ば崩れながらも、 辛うじて形を残している。


「はいれないの?」


 小さな声が背後から聞こえた。


 豪山ごうざんは答えず、 静かに建物を一周する。


 屋根を見る

 壁を叩く

 崩れないか確かめる。


 ……


 誰もいない

 雨風はしのげそうだ。


「今日はここだ」


「少し休め、無理はするな。」


 子ども達は小さく頷き、 力なく腰を下ろした。


 豪山ごうざんは周囲を見渡す。


 水

 薪

 食べられる物

 探さなければならない。


 その時

 豪山ごうざんはふと空を見上げる。


 ……


 黒羽からすは飛んでいない。

 風だけが、

 静かに空を渡っていく。


 豪山ごうざんは何も言わなかった。


 第百十六話 終

豪山は戦うことよりも、守ることを選びました。

残された子どもたちを連れ、歩き続けるその姿は、岩代家が受け継いできた強さそのものだったのかもしれません。

そして、空を見上げても飛んでいない黒羽からす

その静かな空は、守り人たちの繋がりさえ断たれ始めていることを物語っています。

次回もお付き合いいただけたら嬉しいです。

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