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AIに意識を移植されたのでちょっと異世界行ってきます  作者: 鉛風船
二章 世の中思い通りに行く方がおかしいのです
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脳内作戦会議

 こうして、キキョウを奪取することを決めたわけだが、肝心のその中身が伴わない。何か案があるか?


『はい、マスター。一つ質問をいいでしょうか?』


 何だね。


『奪取する際に許容できる彼我の損害は?』


 本心ならば無傷で奪取したいところだが、腕がもげるまでなら許容しよう。それ以上は無理だ。


『では、現在把握している情報を元にルートを練ります。少々お待ちください。…………。…………。…………! ルート構築が完成しました』


 どうなった?


『まずは、更なる情報の収集から始めましょう。敵の住む屋敷の構造、屋敷の立地、従者の数、洗いざらい調べましょう』


 つまり、まだ無傷で奪取出来る程の情報が集まっていないのか。ならば、怪我を考慮した際に奪取出来る最速のルートは?


『…………。…………。…………! そうなりますと少々手荒になりますが、深夜人間が寝静まった時間を狙って忍び込む、という手法があります。まず、マスターがナノマシンたちを屋敷に潜入させ、屋敷の構造、衛兵の居場所その他諸々を把握し、野外で大きな物音を立てて注意を逸らします。後はその隙を突いてキキョウ様を奪取します』


 どうして怪我をする?


『キキョウ様が抵抗なさった場合です』


 成る程。それは俺一人で完遂可能か?


『勿論です』


 では、エリシャが駄々を()ねてついてきた場合は?


『…………。…………。…………! そうなりますと大幅に変更しなければなりません。エリシャ様の性格を鑑みるに、彼女は正面玄関から入ろうとするでしょう。それも、にやにやしながらです』


 にやにやしているのか?


『それは間違いありません。エリシャ様は聡明な方ですので、正面から行く際には必ず相手の弱味を握っているでしょう。だからにやにやしているのです』


 性格悪いな。


『マスターに似てきたのではないでしょうか? マスターも本日エリシャ様をからかって遊んでいました』


 あれはだな……まあ、それは置いておこう。ルートを練るぞ。


『握っている弱味は、従者に対する悪辣な虐待です』


 そんなもの貴族ならば揉み消せると思うが? それに、キキョウは黒の一族だ。あまり効果を見込めるとも思えない。その辺りはどうなる?


『それは私の方でも折り込み済です。エリシャ様は、キキョウ様の主人は拷問道具で従者を虐めている、と町の住民に触れ込むのです』


 キキョウの部分は適当な従者にでもすればいい、ということか。


『左様に御座います。そうすれば民衆の貴族に対する心象は悪化します。そうならないために、貴族はキキョウを手放さざるを得ないでしょう』


 だが、どうせそのやり方で行くと、衛兵に囲まれて先に殺されるのがおちだ。結局は乱戦になる。


『そうなります。ですのでエリシャ様を連れていくのは得策ではないかと私めは愚考します』


 丸め込める自信はあるのか? 俺にはないぞ。


『……。……。』


 まあ、そうなる。――諦めるんだ。所詮、最善手などは幻想の類いだ。将棋でも囲碁でもチェスでも、打てたならその試合は勝てる試合だからな。


『ですので、エリシャ様を組み込んだルートを構築するとなると……どうしても現状の情報では怪我を避けられません。前もって衛兵を無力化しているなら話は別ですが』


 俺たちならばそれくらい余裕だろう? 何故組み込まなかった?


『増援の危険があります。もし、衛兵に身の危険があると自動的に救援を呼ぶ魔術を行使されている場合、結局はその増援の対処に追われることになります』


 加えて、キキョウに捺されてあるという焼き印の解除方法もわからないままだ。屋敷を一定の距離離れると、束縛の魔術が発現してしまう可能性もある。そちらのことも含めて現状は情報収集が必須ということだな?


『そうなります』


 よし、今の時刻は何時だ?


『只今の時刻は正午を二時間程過ぎ、十五分と二十二秒経った時刻になります』


 もっと分かりやすく言えないのか?


『午後二時十五分になります』


 それでいい。では、情報収集を始めよう。俺たちの専売特許だ。海の底の砂の粒まで数え上げるぞ。


『この世界の海の広さを把握していない以上、相当な年月を要しますが宜しいでしょうか?』


 ……今のは比喩だ。数えなくてよろしい。


『畏まりました。それでは、何時もの如く鼠たちに任せましょう』


 いや、今回は縦横高さ一センチ四方に収まる蜘蛛にしよう。それらを千匹造ってくれ。


『それが良さそうですね。潮風に乗って遠くにも行けますし、この地域は、暑さで建築物を地下に延ばす習性がありますので、出口が一階にしかないためですね?』


 流石だな。俺の考えていることをすぐに汲み取ってくれる。


『では、蜘蛛を千匹を使い情報収集をしましょう。魔法の使用はどうしますか?』


 極力避けてくれ。だが、万が一のときは許可する。


『畏まりました』


 情報が入り次第俺に報告してくれ。

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