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SPLASH!  作者: まるたん・しもんず


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7/14

第6話 1on1

昨日に引き続き朝から波乱続きだったが、授業は滞りなく終わった。


ホームルームも終わると恒哉が俺の席にやってくる。


「今日は数少ない体育館での練習だな。」


「えっ!そうなの?」


「お前さぁ…グループチャットに連絡来てただろ…」


恒哉に呆れられていると…ちーも俺の席にやってくる。


「2人とも一緒に部室棟行こうよ。クラスでもう部活出てんの私らだけだしさ。」


笑顔でそう言ってくる。


「あのさ、山内さん…朝はなんか高圧的に出てごめんな。」


恒哉が朝の一件でちーに凄んでしまったことを謝罪した。


それを受けてちーは慌てたように手を振りながら


「全然!あたしこそ谷口くんに言われてりょーへに後先考えずあんなことしちゃったの反省できたからさ…」


「…りょーへ?」


恒哉がジト目で俺の顔を覗き込んできてるよ…


「いや…朝、誤解が解けて和解した時にちーがそう呼ぶからって…」


「…ちー?」


恒哉、顔近いって!


「はあ、仲良くなったならいいか…」


そんなわけで俺たちは3人で部室棟へ向かうことにした。


「2人って栗山中?」


「そうだけど…なんでわかったの?」


「だってりょーへの家があのヨガ教室の近くって聞いたからならあの辺は学区的にそうかなって。」


なるほどね。

ちーは名探偵のようだ。


「ってことは谷口くんは栗山でキャプテンやってた谷口くんでいいんだよね?」


「…まあね。」


なんだ?恒哉ってそんな知られてたのか?

ちなみに俺たちの代の栗山中男子バスケ部は地区大会二回戦負けのチームだ。


「ちー、恒哉ってそんな知られてるの?」


「なんで友達のあんたが知らないのよ?中3の時には市の選抜に選ばれてたぐらいだよ!たしか三浦第一からも声がかかってたって聞いたけど…」


三浦第一…その名前は俺でも知ってる。

父さんの母校でインターハイでも優勝したことがあるって…そんなところからスカウトされてたって!?


「そうだったのか?」


「まあ、中学にそういう連絡は来てたみたいだけどな。」


「なんで断っちゃったの?」


「俺ってバスケエンジョイ派だから。」


恒哉は俺とちーの質問責めに淡々と答えてくれた。


「てか俺なんかより山内さんの方がすごいでしょ。市どころか県選抜に選ばれてたじゃん。」


「まぁねぇ〜。」


すげえドヤ顔だ。


それにしても…


「市選抜に県選抜って…ひょっとして俺って場違い?」


不安になって聞いてしまった。


「うーーーん…」


2人して唸り始めちゃった…


「俺は…何度も言ってるけど凌平はすごいと思ってるよ。」


「うん。あたしは昨日少し見ただけだけど、ド下手くそだけどりょーへはすごいと思った。」


下手なのにすごい?…どういうこと?

俺が不思議そうな顔してるとちーは続けて説明してくれた。


「だってその身長でゴールテンディングって、少なくともリングに手が届くってことじゃん。それに多分だけど5対5でのマッチアップでならなんとかできるかもだけど…1対1であたしりょーへのスピードにのったドライブ止めれる自信ないもん。」


県選抜に選ばれてるちーに認められてるのか俺。


「そっかぁ。俺はすごいのかぁ」


「あんまり調子には乗るなよ。」


恒哉に釘を刺されてしまった…そんなやりとりをしてるとグランドの傍にある部室等に到着する。


「じゃあ、また体育館でね。」


そう言ってちーは女子の部室が並ぶ2階へ向かうため階段を上がっていった。


「俺たちも行くか。」


そう言って男子バスケ部の部室へ入るとすでに2年の先輩たちが4人ぐらい着替えを始めていた。


各々声をかけてくれる先輩たちに挨拶して部室に入り着替え始めると木村先輩が改めて声をかけてくれる。


「恒哉も凌平ももう本格的に入部する感じ?」


もう下の名前で呼んでくれてる!


「はい。当然ですよ!」


「俺もそのつもりです。」


2人とももう決めている。


「そっかそっか。」


そう言って木村先輩はなぜか俺に肩を組んできた。


「じゃあさ、凌平…体育館行ったら練習前に俺と1on1しようぜ。いいよな?」


なんかすげープレッシャーを感じる。

でも木村先輩と1on1か…やってみたい!


「お願いします!」


俺は即答した。


体育館で今日俺たち男バスが使えるのは半面だけみたいだ。


そんなコートに今俺と木村先輩の2人だけだ。

他の先輩や恒哉はサイドラインの外で

隣のコート一面使ってる女バスの何人かも見てくれてるみたいだ。

ちーと鬼頭先輩、木村先輩の彼女の東内先輩、あとは木村先輩のガチ恋勢らしいキャプテンの三浦先輩もかな。


「3本先取で決めたらそのままオフェンス続行。それでいいよな?」


「はい!」


「お前のオフェンスからでいいよ。」


木村先輩が俺にボールを手渡してくる。

恒哉やちーが俺はすごいって言ってくれたしきっと通用するはずだ。


木村先輩がちょうど腕を伸ばせば届くぐらいの距離をとって腰を落とした。


俺はドリブルを開始する。

3回ほどフロントチェンジを繰り返したあと左手のボールを軽く右斜前方に強くついて右手に収まったタイミングでドライブを仕掛ける。


…しかし木村先輩に読まれててコースに入られてしまった。

それでも俺は強引に右から抜こうとするがむしろ逆に木村先輩とのコンタクトでプレッシャーをかけられてゴールに近づけない。

埒があかないので俺はその場、ほぼベースラインと並行の3ポイントラインとローポストの中間ぐらいからジャンプシュートを狙う!


…だがボールはリングより遠くに飛んでいってしまった…


「次は俺のオフェンスな…」


外れたボールを拾ってきた木村先輩がそういってトップの位置でドリブルを始めた。


そして俺がしたのと同じように俺の左手側に強引にドライブを仕掛けてきた。

反応できた俺はコースに入る。

木村先輩はそれでもドライブを続けて結局さっき俺が打ったのとほぼ同じ場所からジャンプシュートを放った。俺と違ったのは外れたとはいえリングに当たっていた。


次の俺のオフェンスもまた同じ結果となる。


そして木村先輩がボールを持つと一言だけ呟いた。


「じゃあ、本気でいくか…」


木村先輩は俺との距離が開いているところを狙ってそのまま3ポイントシュートを放つ。

それが綺麗に決まった。


「別にスリー2本で終了とかないから安心しろ。てかもう打つ気ねーし。」


そういうと木村先輩はさっきまでのように俺の左側を抜こうとドライブを始める。


結果、先ほどの時と同じ形になる。

木村先輩は止まると同時にステップバックする俺は離されまいと距離を詰めた。


次の瞬間、木村先輩はダン!とワンドリブルついて俺の脇を抜いてレイアップを決めていた。


「えっ!?ダブドリじゃ…」


俺がそう言いかけるとコートサイドにいた小柳先輩が落ち着いた声で一言放った。


「いや、木村はボール持ってなかったからダブドリじゃない。」


木村先輩も俺の横を通りながら


「そういうこと。」


と言いながらトップの位置に戻る。


俺が一度渡されたボールを木村先輩に返すと…


「それじゃあラストな。」


ジャブステップを何回か入れたあと今度は俺の右から抜きにかかる。なんとか食らいつこうとするがそんな俺に軽く体を当てながらそこを軸にして上手くロールして俺の左側を抜いてそのままゴール下へ。

両足で止まると一度ポンプフェイク。


まんまとひっかかって跳んでしまった俺が着地すると同時に軽くバンクショットで決められてしまった。


…完敗だ。


「はっはっは!エースな俺すごいだろ?」


肩を組んで笑顔でそう言ってくる木村先輩。


「はい。すげーっす!」


「……そんなすげー俺の彼女の胸ガン見してんじゃねーぞ!」


へ?

なんか急に声のトーンが変わったんですけど?


「今回はこれで勘弁してやるけど…次また凝視してるの見つけたらバスケ辞めたくなるくらいまで詰めるからな!」


つまり今の1on1は昨日、不覚にも東内先輩のたわわな胸を見つめてしまった俺への報復ってこと?


…高校バスケって怖えよ。
























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