第4.5話 報告
凌平と別れて家に帰った俺は家族で夕食を済ませたあと部屋でタブレットで動画サイトを開いて去年のウィンターカップ県予選の女子決勝、青稜と桜峰の試合を見ている。
青稜のスタメンは今日、本当にさっき俺もゲームしていたメンバーだ。
「やっぱりうまいなこの人…」
思わず声に出してしまってた。
そう、部活中に俺の友達とマッチアップして圧倒していた一つ上の先輩、鬼頭静香のプレーにだ。
間違いなくポイントガードだけで比較したら県どころか全国優勝が当たり前の桜峰の人…たしかこの人は3年でウィンターカップ本大会でベスト5に選ばれてる人だったよな。タブレットを持つのと反対の手でスマホを操作して桜峰のポイントガードについて検索する。俺の記憶は間違ってなかった…しかも今年の9月からアメリカの大学とか…そんな人を当然のように一つ一つで上回ってる。
「さすがに男女の違いはあっても凌平じゃ敵わないわな。」
また声が出ちゃったよ。
スリーポイントの時のシュートタッチがすごくいい。でもやっぱりコートビジョンと体の使い方がずば抜けてるんだよな。
そして留学生…たしかセネガルから来てるクロエ・ディオップさんだっけか、青稜のセットオフェンスは基本的に鬼頭先輩のディフェンスへクロエさんがスクリーンを掛けに来ることでスタートする。
基本はそのままピック&ロールでクロエさんがゴールに向かってカットして入るならそのままパス。そのパスがはいらないとクロエさんが左右のコーナに流れてそこにいる人らにまたスクリーンをかけてって流れ。でも流石は桜峰だけあってそのオフェンスに対してうまく対応してきてる。だから結果として鬼頭先輩の1on1頼みのオフェンスが増える。
結果この試合は66対62で青稜は負ける…てか正直桜峰と同じ県じゃなけりゃ普通に全国でも上位狙えるレベルだろうなうちの女バス。
そんなことを考えてたら部屋の外から
「恒哉、もうお風呂入ってもらえる?」
と母さんに声をかけられた。
「うん。すぐ入る。」
と返事をしてタブレットをベッドに置いて立ち上がる。
その時スマホがメッセージの着信音を鳴らした。凌平からだ。
【ヤバい!俺もうパンクしそう】
とだけ書かれている。俺は手早く
【すまん。今から風呂だからどうしたのかだけ送ってくれ】
と送信してスマホを置いて風呂に向かった。
30分後
部屋に戻ってスマホを見て俺は笑いを堪えるのに必死だった…凌平、いくらなんでも怒涛すぎだろ。
流石に情報量が多すぎてすぐには処理できない。
【すまん。今すぐに対処はできん。明日学校で話そうぜ。おやすみ】
それだけ凌平に送信した俺はスマホの電源を切って早めに寝ることにした。




