第2話 初対決
あたしとマリ、クロちゃんとスポドリ飲みつつ喋ってると男バス呼びに言ってた美和先輩が帰ってきた。
「おーい!今日は活きのいい若いのが2人入ってるぞー!」
美和先輩…魚屋さんみたい。
美和先輩に連れられて体育館に入ってきた男バスのメンツの中にさっき会った1年生の子二人がいた。
「マリ、あの子達もう練習参加してるみたいだね。」
「ホントだ。美和先輩の言うとおり活きがいいんじゃないの」
「オー、1年生ってのはコーハイってやつですね」
私たちの視線が男バスの1年2人に集中していた。
「ねぇねぇ、せっかくだからピチピチの若人二人を早速出してよ!」
美和先輩かよく通る声で工藤先輩に話しかけてる。
相変わらず男子に対して圧強いなぁ…工藤先輩、困ってるよ。
話をつけてきたらしい美和先輩が意気揚々にこちらに戻ってくる。
「男子はいつものAチームにあの1年二人を入れてくるんだってよ。ちっこくて生意気そうな子にはシズ、背の高いクール系にはマリがついて歓迎してやんな!」
美和先輩はたまにこういう荒くれ者みたいなこと言い出すんだよなぁ。
あたしたち、女バスのAチームはいつもどおりスタメンで固める。1番はあたし、2番にキャプテンの美和先輩、3番に幼馴染のマリ、4番は留学生のクロちゃん、5番に3年のウメ先輩の去年のウィンターカップ予選からのメンバーだ。
男子のAチームは…1年の子たちは1番と3番みたいだね。2番にはいつもの木村くんに4番5番もいつもどおり村田先輩と工藤先輩ね。
それぞれがコートに出るまずは男バスAチームのオフェンスからだ。
1年の子がトップでボールを受けてドリブルを始める。
「ねぇ、今日は見学だけだと思ってたけどもう練習参加したんだね。やる気満々じゃん」
あたしがその子をディフェンスしながら声をかける。
「えっ!?…ええ、できるだけ早くバスケしたかったんで…」
おっ!モチベーション高くていいじゃん。
でもこの子、球離れが良くないな…自分でガンガン攻めたいタイプかな?それにしては…なんて考えてたら一気に加速してあたしの左を抜こうとしてきた。でも…
審判をしてくれてる男バスの小柳くんの笛がなった。
「オフェンスチャージングな」
そう。抜こうとした彼の前にあたしのほうが速く入りコースを塞ぎ結果今あたしはコートに倒れ込んでいる。
「あの…すんません。大丈夫ですか?」
突っ込んできた1年生が手を差し伸べてくれた。
「ありがとう」
「いえ、自分が倒しちゃったんで…」
「ううん。あんな読みやすいドライブしてくれてありがとう。おかげでマイボールだよ。」
そう言いながらあたしは差し出してくれた手につかまり立ち上がった。
「なっ!?」
なんか驚いてるみたい。
あたしは気にせずにマリのスローインをもらいボールをフロントコートに運ぶ。今度はあたしがトップの位置でドリブルをつく。さてとちょっとおねえさんが高校バスケの洗礼ってのをいっちょ…あたしはハイポストで面を張ってたクロちゃんに目で合図する。さすがクロちゃん!すぐに察してくれて彼の左側にスクリーンを掛けに来てくれる。それを確認したあたしはボールを左手から右手にフロントチェンジ。左脚をクロス気味に右斜め前に大きく踏み込む。マークについてた彼はクロちゃんのスクリーンを強引にファイトオーバーして追ってきた。反応が速いし結構無理矢理にクロちゃんの前に左脚をねじ込んできてる。すごいな…でも!
あたしはあたしは即座にドライブをやめてストップ。ワンドリブルつきながらステップバックしてそのままスリーポイントを打った。当然決める。
「Yes!」
そう言いながらあたしは彼の前でガッツポーズを決めてやる。
あらあら、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔って今のこの子みたいなこと言うのかな。
「おい、加藤!切り替えろ。あとお前もっとパス回せ!」
さすがは木村くん。
的確な指示出しだ。そしてこの子は加藤くんね。
木村くんに言われたからか加藤くん、今度は早々にその木村くんにボールを渡す。
そこから木村くんが美和先輩との1on1から得意のストップジャンパーを決める。
「木村、今日もいいフォームじゃん」
「あざっす!」
美和先輩…相変わらずの木村くんガチ恋勢だよ。普段はストイックなのにこの時間だけは推し活タイムなんだよなぁ…でも今のは木村くんの個人技、想定内だ。あたしはボールをフロントコートまで運んでマッチアップしてる加藤くんに話しかける。
「ねえ、君はあんまり1番のポジション得意じゃないでしょ?」
「はっ?なんすか急に…」
いちいち反応が面白い。
あたしはまたクロちゃんをスクリーンに呼ぶ。
今度は加藤くんはスクリーンに引っかかった。
すかさずクロちゃんについてた村田先輩がスイッチしてあたしにつく。あたしはボールを両手で持って止まる。すでにクロちゃんがロールしてゴールに向かってダイブしている。このピック&ロールがあたしらの得意のパターンだ…ってもう一人の1年の長身クールくんがカバーに来てるじゃん。あの子はなかなか…でもね。
あたしは一旦真ん中からゴールに向かうクロちゃんへのパスフェイクを入れたあと、左コーナーでフリーになってるマリにパスを出す。
あたしとマリはミニバス始めた頃からのチームメイトだ。阿吽の呼吸ってのができるんだな。
パスを受けたフリーのマリがコーナースリーを決めてくれた。ちなみに男バスとのこのゲーム形式は8点先取の勝ち残り方式だ。というわけであと一本決めればあたしたちの勝ち。
ベースラインからのスローインを受けて加藤くんがドリブルを始める。
あたしは美和先輩に合図を送る。美和先輩、そのやれやれって顔やめてくださいね。
あたしは加藤くんと少し距離を開けて彼を左サイドに誘導するように軽くプレッシャーをかける。加藤くんはまんまとセンターラインを超えるあたりで左のサイドライン際までよってくれた。そのタイミングで美和先輩がダブルチームに来る。そしてあたしと二人で一気にタイトにディフェンスを仕掛ける。
「ちょっ!?」
何もできない加藤くんから美和先輩がボールをもぎ取る。
「シズ!」
その瞬間にはリングに向かって走ってたあたしに美和先輩がパスをくれる。
そのままどフリーなあたしは悠々とレイアップにいく。
「こなくそー!」
あたしの横にいつの間に加藤くんがいた。さらに彼は跳び上がりリングに入りそうなボールに触れたように見えた。
あたしのレイアップが外れる。
「しゃー!間に合った!ギリギリ」
加藤くんが叫ぶ。
当然のように笛がなる。
「ゴールテンディングな。女子Aの勝ち。」
小柳くんが淡々とした声で告げる。
「はっ?なんで?」
「いや、今お前、自分で間に合ったとか言っちゃってたじゃん」
「あっ!」
すごい!加藤くんか…面白い子が入ってきたね。




