002
そもそも、どうしてこんなことになっているかと言えば、十分ほど前に遡る。
俺が人を探しながら路地裏を歩いていたとき、背後から二つの足音が聞こえてきた。お話が出来る人が出来たことに喜びつつ、俺は路地の角を曲がり、来る人物を待ち伏せる。
やがて、曲がり角まで来た二人の前に出た。
「うわっ!」
そこにいたのは二人組の女の子であった。片方は金髪に水色の目をした女の子で、もう片方は茶髪に黒目の女の子である。
驚いた金髪の女の子はその場で尻餅を付く。もう片方の女の子は驚いた様子だが、どこか落ち着いているように見える。
「俺のことをつけ回していたようだが、何か用か?」
「お、お前! 気が付いてたのか!」
「足音鳴らしながら後をつけておいてなに言ってんだ。で、用件は?」
金髪の女の子はぐぬぬと唸り、落ち着いている方の女の子は頭をフル回転させているのか、一言も話さない。
やがて、茶髪の女の子は金髪の方に耳打ちする。
「え、何だって? ……ハハッ! なぁんだ。お前、オレよりも弱いのか」
「はぁ?」
俺が、コイツより弱い? マジで言ってんの?
「何を根拠に……」
「へへん。こっちには鑑定の魔眼持ちがいるんだぞ! そんなこと簡単に分からぁ!」
「なに?」
鑑定の魔眼、だと?
俺と同じ魂技持ちか。だったら、警戒しないとな。
神様に聞いたことだが、魂技というのは確率が低いだけで先天的に所持していることがある。かなり確率が低いみたいだが、王族やらの高貴な血が流れている連中には多いらしい。
俺は目の前の二人組にそれぞれ鑑定を掛ける。
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本名:エレン
年齢:6歳
Lv.20
〔能力値〕
魔力 714/714
攻撃 224
魔攻 71
防御 251
魔防 164
速度 197
《技能》
〔武〕
【短剣術Lv.2】
〔技〕
【作法Lv.1】【悪食Lv.1】
【壁走りLv.1】
 ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄
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本名カナリア
年齢:6歳
Lv.7
〔能力値〕
魔力 756/756
攻撃 112
魔攻 165
防御 132
魔防 112
速度 107
《魂技》
【鑑定の魔眼Lv.1】
《技能》
〔魔〕
【魔力操作Lv.2】【生活魔法Lv.2】
〔技〕
【作法Lv.1】【悪食Lv.1】
 ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄
あー……全然だったな。鑑定の魔眼つっても、能力値含め俺のとは雲泥の差があるっぽいな。まあ、六歳でレベル20ってのは凄いと思うが……。
「へ! 覚悟しろよ赤目野郎! お前なんか、オレに掛かればよゆーだぜ!」
金髪の女の子--エレンは尻餅をついた状態から立ち上がり、腰に携えた短剣を持ち俺へと突進してくる。
俺はそれを難なく避け、唱える。
「『来い。魔王剣』」
唱え終わると、俺の手には魔王剣が握られていた。
「は、はぁ!? なんだよそれ!」
「お前には関係ない。それより、覚悟しろよ。お前は、俺に刃を向けたんだ。今さらごめんなさいはなしだぞ」
魔王剣の切っ先をエレンに向ける。
……なんか、何でだ? 薄々気が付いていたが、発言やら思考がおかしな方に向いている気がするんだが……。今だってそうだ。普通、俺に刃を向けたんだとか普通言わんやろ。中二病かよ。
……こんな剣を振り回して、今さらだったわ。
「だ、誰が降参するか! 行くぞおらぁ!」
エレンは短剣を振り回す。俺はそれを見切り、一つ一つ堅実にはたき落としていく。
エレンが短剣を振り回してから数分。俺は平気だが、エレンは段々と息が上がってきていた。
「いい加減、諦めたらどうだ?」
「はぁ、、、はぁ、、まだ、、まだ……!」
「まったく。強情な奴だな」
さて、どうしたものか。このまま続けても俺はいいんだが、続けたらコイツが潰れてしまうかもしれん。
エレンが振り回す短剣をいなしながら考える。質問をする前に潰れてしまえば余計な待ち時間が出来てしまう。腹も空いてきたし、日が沈むと面倒だ。早いところ金が欲しい。
……いや、コイツが潰れてももう片方に聞けばいいやん。そうじゃん、俺ってば天才。
そうと決まれば話しは早いな。
俺は短剣の間合いを見切り、エレンの腹に蹴りを入れた。すると、エレンは体内の空気を吐き出しながらぶっ飛んで行った。
「おー。よく飛んだな」
辺りには瓦礫が飛び散り、エレンはピクリとも動かない。見た感じ流血はしていな……あ、流れてきた。
まあでも、今はコイツの生死なんてのは関係ない。それより、今はカナリアに質問を……。
「エレン!」
なんて考えていると、俺の横をカナリアが通り抜けた。エレンの元まで駆け寄ると、カナリアはエレンを揺さぶり始めた。
……にしても、マジで精神的なものというか、道徳的なものがお釈迦になってる気がするんだが。精神的に年下の女の子が死にかけているのにまったく動じていない自分が怖い。
なんてことを考えていると、カナリアはエレンに何かの液体を垂らし掛けた。
すると、液体を垂らした場所が淡く光り、エレンにあった身体の傷が段々と治っていく。
「ほぉ……。ポーションってやつか」
これも神様情報だが、この世界にはRPGモノで定番のポーションがあるらしい。種類は多岐にわたり、身体の傷を治すものから病気に効くものまで色々とあるらしい。物によっては高値だが、目の前の孤児が持つように、物によっては安価で手に入る。
「ぅ、うう……」
「エレンッ! 良かった……!」
どうやらエレンの安否が確認されたようでカナリアは安堵の声を上げた。
「安心するのは、早いんじゃないか?」
「ッ!」
カナリアはエレンを庇うように俺の前に立つ。
「……なんかさ、俺が悪いみたいになってるけど、先に襲ったのはお前らだからな?」
「関係ないです。ここじゃ、負けた方が悪いですから」
「ほぉ? 分かってるじゃないか」
カナリアはエレンの持っていた短剣を構える。
不味いぞ。コイツと戦うことになれば本格的に質問する奴がいなくなる。それは避けたい。
カナリアの手元を見てみると、短剣がカタカタと震えてしまっている。
「……はぁ。戦う気が失せる。おい、お前」
「ッ! は、はい」
「手、震えてるぞ。交換条件だ。俺の出す質問に答えれば、そこで伸びてる奴とお前を見逃してやろう」
「……信じろと?」
「嫌ならいいぞ。お前をボコボコにした後、そこに伸びてる奴を痛め付けながらお前に質問をしてやる」
「し、信じる! 信じるから!」
カナリアは短剣を捨て手を上げた。
よぉし。取り敢えずどうにかなった。後は質問をして、金を稼ぐだけだな。
だがその前に、と俺は前置き、魔王剣を消してから、魂技【黒魔法Lv.1】の黒縄を生成する。
「おい。コイツでそいつを縛れ」
「え? ど、どうして?」
「話してる最中に襲い掛かられたら堪ったもんじゃない。一応行っておくが、緩く縛るなよ。質問に答えれば見逃すとは言ったが、俺に襲い掛かってきたら別だからな」
「は、はい!」
カナリアはいそいそとエレンを縛り始めた。
俺はエレンが縛られていくのを尻目に、俺の言葉を振り返る。我ながら、不良を越したド悪党みたいなことを言ったものだ。しかも、それに対して脅しではなく本気でやろうとしていたことに驚きを隠せない。
俺はそんなことを考えながら、グルグルと縛られていくエレンを見る。……うん。縛り過ぎでは? いや、ある程度長い縄を渡したのは俺だけども。
「あの、もう一本、いえ、二本ほど縄を下さりませんか?」
「おかわりすんのかよ。ほら」
「ありがとうございます」
縄を渡すと今度はエレンの足を縛り始めた。その様相はもはや簀巻きである。
「お前……縛り過ぎだろ」
「こうでもしないとほどいてしまいますから。それで、質問というのは?」
「まあ、色々とあるんだが……第一は、どうやったら金を稼ぐことが出来るか、だな」
「お、お金、ですか?」
カナリアははとが豆鉄砲を食らったような顔をする。そんなに以外だったか?
「そんなに意外か?」
「いえ、そういう訳では……えっと、お金ですね。あれほどの実力があるなら普通に冒険者ギルドに登録するとこをおすすめしますけど……」
ばつが悪いのか、カナリアは目を泳がせ俺の問いに答えた。
冒険者ギルドか。一応、神様から概要は聞いている。異世界モノで多いあの冒険者ギルドと大差のない、仕事の斡旋所である。
一応、そこに入るという考えはあった。だが、どうも一傘下に入ることが気にくわないと思ってしまう自分がいる。まあ、これは感情論であるからして最終手段には考えている程度で、正直この方法は取りたくない。
「却下。他にはないか?」
「他ですか……あとは、お店の手伝いとか、露天を開くとか……ああ。カニバ・ラット巡りも候補に入りますかね」
「……最後の詳しく」
「え? あ、はい」
意外なところで意外な名前を聞いたものだ。
カナリアはカニバ・ラット巡りという、生きるか死ぬかの金稼ぎの方法を話し出した。
カニバ・ラットという生き物は主として人の死体を食べる。ならば、その時に身に付けていた服や武器、鎧はどうなのかといえば、それは食べられずに残る訳だ。そこで、下水道にあるカニバ・ラットの巣に襲撃を掛け、そのアイテムを盗み出し、売っぱらうという商法がカニバ・ラット巡りと呼ばれているらしい。
だが、カニバ・ラットはいざというときの生命力は半端じゃない。巣の襲撃となれば命を賭けて、それも、何十体、下手をすれば何百体という集団で襲い掛かってくる。さらに厄介なことに、一度でも噛まれれば体内に菌が入り発熱で寝込んでしまうという。それの特効薬は教会が独占しており、とても孤児には出せない金額だという。
「だから、正直この方法はおすすめ出来ません。万が一にも噛まれたら……」
「ふむ……」
俺は考えるふりをしながらラット将軍に念話を送る。
『ラット将軍。聞こえるか?』
『! アルジ』
念話を飛ばすと、即座にラット将軍から念話が返ってきた。
『お前たちの住みかに、人から奪った武器類はあるか? 出来れば、持ってきて欲しいんだが……』
『モウシ訳アリマセン。ジツハ……』
なんでも、俺が使役したカニバ・ラットたちはとある集団の一部で、現在仲間割れで二つの集団に別れているらしい。で、人から剥ぎ取った武器等はそのもう一つの集団の方にあるという。
『まさかそれ、俺がお前たちを使役したから……?』
『アルジガ気ニスルコトデハアリマセン。ソレヨリ、ドウナサイマスカ? 必要ナラ、我々が奪ッテキマスガ』
どうしようか。今すぐ簡単に稼げるとなると、カニバ・ラット巡りぐらいなものなのだが……。
「なあ、あとどれくらいで日が沈む?」
「えっと、一時間くらい前に昼の鐘が鳴ったので、あと5時間くらい先でしょうか?」
あと5時間、か。
『ラット将軍。俺がそこまで行くのにどれくらい掛かる?』
『十分モシマセン』
『よし、道案内を頼む』
『ハッ!』
そこで一旦、念話を切った。
俺は改めてカナリアを見る。すると、眠っていたエレンが唸り声と共に起き上がった。どうやら、ようやく目が覚めたようだ。
「う、うぅ……。って、なんだこれ!?」
エレンは起きるなり、縛られている縄を見て驚愕の声を上げた。まあ、そりゃそうだよな。
「お、おい、お前! これはお前の仕業だな!」
「まあ、縛れって指示を出したのは俺だが、そこまで縛れとは言ってねぇ」
「なに訳のわからないことを言ってやがる! この縄をほどきやがれ!」
「ああ。いいぞ」
俺はパチッと指を鳴らすと、エレンに巻き付いていた黒縄が光の粒子となって消えた。
元々、この黒縄は俺の魔力が元に作られた縄。やろうと思えば遠距離から縄を消すことは容易い。
「あ、うぇ? いいのか?」
「ああ。聞きたいことは聞いた。もう行っていいぞ」
「そ、そうかよ。なら行こうぜ、カナリア。こんな奴と一緒にいると……」
「カニバ・ラット巡りでお金儲けをしようとしているのですか?」
「あ?」
「えっ、ちょ、カナリア?」
踵を返そうとしたいるエレンとは裏腹に、カナリアは俺との会話を続けたいようだ。
「まあ、そうだ。ちょっとした伝があって」
「カニバ・ラットに伝……ですか?」
「なあカナリア。さっさと逃げようぜ。カニバ・ラットに伝とかいう馬鹿の言葉に耳を貸すことは……」
「アルジ。来マシタ」
「か、カニバ・ラット!? ホントに来た……」
「早かったな。案内しろ」
「ハッ。こちらです」
ラット将軍は路地裏をぐんぐんと進んでいく。俺がそれに付いていくと、背後から俺に付いてくる影が。
「……なぜ付いてくる」
「カニバ・ラット巡りで、一つ言いそびれまして」
「あ? なんだ」
「カニバ・ラットが溜め込んでいる衣類や武器、防具は菌が付いており、売買するときに足元を見られてしまうんです」
「なに?」
だとしたら面倒だぞ。満足に金を得られないし、下手をすれば武器を全部持っていかれる可能性もある。
「ですが、そこで私たちです」
「……続けてくれ」
「ありがとうございます。私の持つ【生活魔法Lv.1】に、クリーンというものがあります。これは、衣類についた汚れを落とす魔法なのですが、これは武器についた汚れも同様です」
「ふむ……だが、菌のついた武器を鍛冶屋に渡してバレるものなのか?」
「はい。鍛冶専用の【鍛冶魔法Lv.1】に、スキャンという魔法があります。これは武器の状態を確認するためのものですが、菌類が付着しているかも同時に確認することが出来るんです」
「……」
まあ、コイツらが付いてくるのには特に不都合なことはない。強いていてば魂技がバレることだが、これは俺が気を付ければいい。
だが、同行させるだけなら兎も角、保護対象が出来るのは不味い。俺の役に立とうという人を危険な目に会わせるのは魔王精神に反する。俺は義理は通す主義なのだ。
「……わかった。それなら、お願いしよう」
「はい。つきましては、売り上げの一部を私たちにも分けていただきたく……」
「それが狙いか…」
ちゃっかりしているものだ。まあ、そうでもなきゃ、こんな世界は生きていけないのかもな。
「まあ、当然っちゃ、当然だな。だが、生活魔法を使うお前は兎も角、そっちのはどうするんだ?」
「え、オレ?」
さっきから蚊帳の外でボーッとしていたエレンは、急に話を振られて言葉に詰まる。
「戦闘は俺がするし、生活魔法はコイツが使う。お前は一体、何が出来るんだ?」
「え、えっと。オレは……」
エレンは色々と考えるが、どれだけ考えても自身がどう役に立てるかのビジョンがまったく見えなかった。
「あ、えっと……ええっと……!」
「何もないのか? 無いのなら……」
「す、捨てないでくれぇ! オレが悪かったから! 雑用でもなんでもするからぁ!」
分け前はなしと言おうとしたら、何故か泣き付かれてしまった。どうしたんだ? コイツ。
「この子は昔、両親に捨てられたそうです。その時のトラウマで……」
「ふーん。まあ、付いてくるだけなら好きにしろ。ただし、分け前はないし、お前のことを守ったりはしないぞ。分け前が欲しかったら働くんだな」
「つ、付いていっていいのか?」
「ああ。ただし、邪魔はするなよ」
「う、うん!」
エレンは嬉しそうに頷いた。
なんか、小動物みたいな奴だな。コイツ。耳と尻尾があればブンブンと振っているいるだろう。
数分ほど歩き、互いの自己紹介や、二人と雑談を交わして分かったことだが、多分、カナリアはそれなりの生まれだ。まあ、技能のなかに作法なんてのがあったから不思議には思っていたが、歩きや言葉遣いがそこらの孤児には出せないようなものだ。まあ、それは俺の常識が間違えてる可能性もあるし、この世界の孤児はそれくらいが普通なのかもしれないため、あくまでも予想である。そうなれば、おそらくエレンはカナリアの護衛なのだろう。
「主。ココデス」
「ああ。それじゃ、お前らはここで待っていてくれ。ちゃちゃっと片付けてすぐ戻ってくる」
「はい。お待ちしております」
「さっさと戻ってこいよ」
俺は二人と一旦の別れを告げ、ラット将軍と共に、下水道へと降りていくのであった。
* * *
ケルニスが下水道へと降りていった後の路地裏にて。先までケルニスと共に行動を共にしていた二人は、今後について話し合っていた。
「なぁ……アイツが居ないから、今のうちに聞きたいんだけどよ。なんでアイツと行動することを決めたんだ? 別に今のままでも……」
「取り潰しになったとはいえ、元々私たちは貴族です。今さら貴族の矜持と言っても遅いですが、中には私たちの顔を覚えている人もいるでしょう。それに、今のやり方ではいずれ限界が来ます。いずれはどうにかする積もりでした」
今の二人の食い扶持を繋ぐ方法。それは、ここらにいる孤児の拠点に襲撃を掛け、そこの金品を奪うというもの。二人の容姿や、そこらのチンピラより強いエレンが居てこそ成り立つ儲け方であったが、最近は収穫が少なくなっているのだ。
「今回のは渡りに船ってか?」
「そういうことです。それに、あの方の加護下に入れば、何かと便利なこともあるでしょう。貴女も、あの方と話して、話せば分かると分かったでしょう?」
「それは、まあ……」
話した感じ、ケルニスは敵には容赦はないが、身内にはとことん優しいタイプだと考える。話した感じ、相手のことを考えながら話していたし、冗談も軽く受け取ってくれる話しやすい感じだった。
「……そういや、気になったんだがよ」
「はい? どうかしました?」
「アイツ……あの剣を出すとき『来い。魔〝王〟剣』って唱えたんだよ」
「……王、ですか」
王。それは、この世界では【クラウン】と呼ばれる、世界でも屈指の実力者の総称。これは本人が名乗るものではなく、周囲の人間が勝手に呼ぶものである。例えば、【獣王】、【魔法王】、【錬金王】などがある。
「自発的に名乗ってるんですか……」
「まあ、そこらのチンピラが名乗るなら鼻で嗤うだけなんだが、アイツが名乗るんなら話が変わるんだよなぁ」
「そういえば、私にも気になることがありましたね。あの方のレベルと強さの差が激しすぎます」
カナリアの使う【鑑定の魔眼】によるケルニスのレベルは16。対して、あの蹴りの強さや剣の腕はあまりにもレベル16だとは思えない。
「アイツと切りあった感じ、剣の腕があるって感じじゃなかったな。単に、オレの剣を見切って、それに合わせて剣を弾いてるって感じだったぜ。その証拠に、アイツからの剣の攻撃はなかったし」
「疑問が疑問を呼びますね……」
「ただ、アイツの過去を掘ろうにも、オレたちも過去を隠してるし……」
「そこなんですよね……」
二人は唸りながら暫く話し合う。
その物陰に、一匹のネズミがいることに気が付かずに。
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