第711話~ドワーフの国の巨大地下墳墓 地下三階 その1 地下三階の水路エリアにて嫁たちとの距離が近くなる~
「うわー、地下墳墓に地下水路ですか。これは移動がしにくそうですね」
目の前に広がる地下水路を見て、ヴィクトリアがため息をつく。
そうヴィクトリアが言うようにここの地下三階は地下水路になっていた。
一応壁伝いに歩道はあるのだがそんなに広くはなく、万が一水路に落ちたり魔物に奇襲攻撃を受けたりと考えると、危ない構造になっていると言える。
とはいえ、どんな場所だろうと先へ進むしかない。
「まあ、とりあえず先へ進むか」
「はい」
俺は皆にそう促すと、その狭い歩道を進み始めるのだった。
★★★
歩道を少し進むと魔物が出た。
「レイスにゾンビ。フライフィッシュにビッグアリゲーター。どれも大したことのない相手だが、珍しい組み合わせだな」
出てきた魔物はどれも大した相手ではなかったが、アンデッドに水生の魔物という珍しい組み合わせであった。
まあ、巨大地下墳墓の中の水路エリアならではの組み合わせだと思う。
とはいえ、こんな連中に時間をかけてはいられないのでサクッと片付けてしまうことにする。
「エリカ、ヴィクトリア。やれ!」
「「はい」」
俺の指示でエリカとヴィクトリアが動き出す。
「『聖光』」
ヴィクトリアが『聖光』の魔法でアンデッド共を消滅させ。
「『電撃』」
エリカが『電撃』の魔法で水生の魔物たちを始末する。
それで、倒した魔物のうち。
「ヴィクトリア。ビッグアリゲーターだけは回収しておけよ。後で売ったら金になるからな」
「ラジャーです」
と、金になりそうな魔物だけはきっちりと回収しておいた。
今倒した魔物くらいでは大した金額にはならないが、『塵も積もれば山となる』という言葉もあるからな。
倒した以上は回収して俺たちの糧になってもらうことにする。
と、こんな感じで魔物をサクッと片付けながら俺たちは歩道を進んで行くのだった。
★★★
そんな感じで歩道を進む俺達だったが、この歩道には一つ利点があった。
それは俺と嫁たちとの距離がとても近くなることだ。
先程も述べた通りこの歩道は狭い。
三人も並んで歩けばいっぱいいっぱいという感じだ。
ということで、嫁たちがここぞとばかりに俺にくっつこうと画策してくる。
「旦那様、この道はとても狭いですね。なので、通りやすくするために距離を縮めさせてもらいますね」
「ホルストさん。狭くて歩きにくいので、くっつかせてもらいます」
エリカとヴィクトリアはそう言いながら、俺を挟むように両側から俺にくっついてきた。
二人の体の柔らかい部分が俺に触れ、二人のかぐわしい匂いが俺の鼻孔をくすぐり大変に気持ち良かった。
そうやってしばらく並んで歩いた後、メンバーが変わった。
次に来たのはもちろんリネットとネイアだった。
「ホルストさん。水路に落ちたら危ないので、万が一に備えてホルストさんの手をギュッと握っていても良いですか」
ネイアはそう言うと、俺の返事を待たず、水路側に立つと俺の手をギュッと握って来た。
手を握られてちょっと恥ずかしかったが、ネイアが水路に落ちないようにするためだ。
仕方がない。
「万が一ネイアちゃんが水路に落ちそうになった時、ホルスト君が助けようとして一緒に落ちたら危ないからね。アタシが反対側の手を握って二人が水路に落ちることが無いようにするよ」
一方のリネットはというと、そう言いながら俺の壁側に立つと、俺の壁側の手を握って来たのだった。
俺の両手を通じて二人の体温が伝ってきて、歩いていてとても気持ち良かった。
……と、こう言うと何か俺が嫁たちとイチャイチャしながら歩いているように思えるかもしれないが仕事はきちんとしていたぞ。
「ヴィクトリア。周囲に異変はないか?」
「はい。精霊から異常の報告は入っていません」
「そうか。エリカの方はどうだ?」
「はい。私の魔法にも何も引っかかっていないです」
と、ヴィクトリアやエリカに限界な警戒態勢を敷かせていたし。
「『生命力感知』。『魔力感知』。……よし!特に反応はないな」
俺も『生命力感知』や『魔力感知』でバッチリ警戒を怠らなかった。
先程の階層ではこれの通じない宝石の悪魔何て悪魔もいて、この対策だけでは十分では無い気もするが、これについても十分に対策している。
「ホルスト様。魔法や感知能力を使う時に神気を織り交ぜますと、探知精度が上がります。この方法なら先程のような宝石の悪魔でも探知できると思います」
「ネズ吉。それは本当か?」
「間違いないです」
というネズ吉のアドバイスに従い、早速試してみたところ。
「確かに普段より探知精度が上がっている気がする!」
いつもより俺の『生命力感知』や魔力感知』の精度が上がっていて、小さな変化にも敏感になったし。
「エリカやヴィクトリアはどうだ?」
「「こちらも調子がいいです」」
と、普段よりも順調に探索できているようだった。
これはネズ吉にいいことを教えてもらったな。後でネズ吉にはおいしいチーズでも差し入れておこう。
俺は内心ネズ吉にそう感謝しつつ、順調に探索するのだった。
★★★
そんな感じで地下三階を探索すること半日。
「ホルスト君。これでもう歩ける歩道は全部歩き尽くしちゃったよ」
「そうか。まだ地下へ降りる階段は発見できていないのにな」
ひたすら歩道を歩き続けた俺たちは歩いて行ける場所はすべて探索しつくした。
しかし、今だに地下へと降りる階段は発見できていなかった。
こうなると俺たちに残された探索手段は一つだけだった。
「仕方がない。水路を船で進むしかないか」
それは水路を船で進むことだった。
そうと決まったことで俺はヴィクトリアに指示を出す。
「ヴィクトリア。船を出せ」
「ラジャーです」
こうして、俺たちは歩くのを止め、船で水路を探索することにしたのだった。




