第705話~ドワーフの国の巨大地下墳墓 地下一階 その1 え?魔法で地図が作れない?それならば……~
ドワーフ王国の『大王の台地』にある巨大地下墳墓へ突入した。
目印である岩の近くの地面を掘り、そこで見つけた入り口から侵入する。
「うわー、これは思っていたよりも広いね」
地下墳墓に侵入して中の様子を見たリネットがそう一言感想を漏らす。
中はそのくらい広かった。
それも当然と言えば当然だった。
この地下墳墓は四角錐の底面が上、頂点が下といういわゆる逆ピラミッド構造に造られており、その底面部分も一辺二キロの正方形という巨大な構造物なのだ。
だから広いのは当然だった。
さて、この広いダンジョンをどのように攻略していくべきか。
俺は色々と考えるのだった。
★★★
色々と考えた俺がまず試したのは地図を作ることだった。
俺の魔法『世界の知識』ならこの地下墳墓の正確な地図を作ることができる!
そう考え魔法を使用したものの。
「『世界の知識』。……あれ、頭の中に地図が浮かんでこないぞ」
俺の頭の中には地図が浮かんでこなかった。
その状況を見たネズ吉がこう語りかけてきた。
「ホルスト様。この地下墳墓には誰かの力が干渉しているようです」
「というと?」
「ホルスト様の『世界の知識』は神気を使ってこの世界の記憶を引き出す魔法。ですから、誰かが神気を使って干渉して、ここの地図情報も記憶を世界から引き出せないようにしているみたいです。相手も『世界の知識』の魔法で地図作成ができることくらいは想定しているでしょうから妨害して来ているのだと思います。ホルスト様が海底の遺跡で『神属性魔法』を使ったのをプラトゥーンは見たわけですし」
「へえ。そんなことができるのか?一体誰がそんなことができるんだ?」
「プラトゥーンのクローンやこの前ホルスト様が戦ったガルーダのような強力な神獣ならできると思います」
「そうなんだ。ということは『世界の知識』の魔法がここでは全然役に立たないのか?」
「それは無理でしょう。力の弱まっているプラトゥーンのクローンや神獣には一か所の遺跡で、しかも地図作成阻害に絞らないとできないでしょう。ですから、今のところはここの遺跡の地図作成に限定した嫌がらせだと思います。それだけでもホルスト様を十分妨害できるわけですし」
「そうか。ならここでも地図作成以外なら普通に使えるわけだ。試してみるか。……『世界の知識』」
そう言うと、俺はマジックバックから鋼の剣を一本取り出して試してみる。すると。
『鋼の剣』
鋼で作られた両刃の片手剣。
この手の剣としては威力は普通だが、刃紋が美しく芸術性の高い剣。
と、普通に検索できたのだった。
どうやらネズ吉の言うように地図作成だけを妨害しているようだった。
となると、普通にダンジョンを探索して行くしか方法はないか。
そう考えた俺は早速前に進むことにするのだった。
★★★
ということで、地道にマッピングをしながら俺たちは地下墳墓の地下一階に挑むことになった。
「俺とリネットが先行する。ヴィクトリアは精霊を出して周囲を警戒しろ。エリカとネイアはマッピング作業を頼むぞ」
「了解です!」
嫁たちにそうやって指示を出して前に進みだす。
ここの地下墳墓は同じような通路がずっと続いている構造だ。
だからこのようにしっかりとマッピングして行かなければ道に迷う可能性が高いのだ。
よって慎重に事を進めて行こうと思う。
★★★
そうやって真面目にマッピング作業を行いながら進んでいると、ヴィクトリアから報告が上がって来た。
「ホルストさん!土の精霊から報告です!その先の通路の横壁、なんか変です!気をつけてください!」
「本当か!リネット!」
「おう!」
ヴィクトリアの言葉を受けて俺とリネットが警戒モードに入る。
二人そろって、忍び足を使ってゆっくりと静かに壁に近づいてくる。
すると。
「旦那様!壁が!」
後ろで状況を窺っていたエリカがそう叫ぶと同時に壁が崩れ、中から何かが飛び出してきた。
★★★
通路を進んでいると、突然壁が崩れて中から何かが飛び出してきた。
何が飛び出してきたのかというと。
「ホルスト君。ミイラ男と犬のゾンビが出て来たよ」
リネットがそう言うように大量のミイラ男と犬のゾンビが飛び出してきたのだった。
それを見た俺はすぐに仲間に指示を出す。
「リネットは一旦後ろに下がって、エリカに武器に聖属性を付与してもらえ。ネイアも同様だ。その間、こいつらは俺が防ぎきる。ヴィクトリアは俺の後ろに隠れながら『聖光』の魔法で攻撃しろ!」
「了解!」
そして、俺が指示を出すと同時に全員が動き出した。
★★★
「『神強化 聖属性付与』」
俺は自分の剣と盾に聖属性を付与してミイラ男と犬のゾンビの群れの前に立ち塞がる。
「キシャー」
「ワオーン」
ミイラ男と犬のゾンビが群れを成して俺に襲い掛かって来るが、俺をそれをものともせず。
「うりゃりゃああ」
と、次々に斬り捨てて行く。
そうやって俺が敵の侵攻を阻んでいるうちに準備ができたヴィクトリアが駈けつけてきた。
ヴィクトリアは俺の後ろに隠れながら。
「『極大化 聖光』」
と、魔法で敵の数を減らしにかかる。
「ギャアアア」
俺の攻撃とヴィクトリアの魔法で次々と敵が蒸発して行くが、敵が減る気配が全くなかった。
穴から出てくる敵の数がそれだけ多かったのだ。
「待たせたね」
「お待たせしました」
そこに武器に『聖属性付与』の魔法を付与してもらったリネットとネイアが合流する。
「はあああ」
「うりゃああ」
二人の加入で敵の撃滅速度がさらに上がるが、それでもまだ数は減らない。
これは何か別の手を考える必要があるな。
そう判断した俺はヴィクトリアに指示を出す。
「ヴィクトリア。一旦後ろに下がれ!そして、エリカと一緒に合体魔法でミイラ男どもを一網打尽にしろ!」




