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閑話雄大98~その頃の妹 妹、お小遣いを稼ぐために行動する~

 皆様、こんにちは。

 レイラ・エレクトロンです。


 最近私は金欠なのです。


「あ、あそこの屋台のクレープ、美味しそう。でも、お小遣いがな」


 と、外出した時におやつを買うお金に困るくらいにはお金が無いのです。


 え?この前ドラゴンを売却した時にお小遣いをもらっていなかったかって?

 そんなものとっくに使ったに決まったじゃないですか。

 欲しかった服やアクセサリーを買ったらもう財布の中は空っぽですよ。

 いくら財布を下にして振っても銅貨一枚出てきませんよ。


 本当どうしてこうなってしまったのでしょうか。

 それは多分厳しい兄嫁にお小遣いの金額を決められているからでしょう。

 そうに違いありません。……と、私は思うのです。


 しかし、それをフレデリカに相談してみると。


「レイラが無駄遣いし過ぎるからだよ」


 と、たしなめられてしまいました。


 自分ではそんなことはないとは思っているのですが、確かに仲間たちは節約して暮らしています。

 私のように欲しいものがあったりしても飛びついたりはしません。

 マーガレットやベラは節約しては故郷の孤児院に仕送りしたり、弟妹達にお小遣いを送ってやったりしています。

 フレデリカも頑張って将来のために貯金しています。


 というか、マーガレットとベラはともかくフレデリカは何でこんなに真面目になったのでしょうか。

 昔共に修道院にいた頃は、「将来お金を稼いで贅沢したいね」とともに話し合ったり、修道院を一緒に脱走したりしていたのに。

 そう思い、聞いてみた所。


「もう二度と吸血鬼にされたりして怖い目に遭うのはご免だから、真面目に生きることにした」


 とのことでした。


 まあ、確かに修道院を脱走した後私たち二人は吸血鬼にされて兄貴に助けられたことがありました。

 あの時は私も怖い思いをしたのでフレデリカの気持ちはよく分かります。


 とはいえ、私はお小遣いが欲しいのです。

 お小遣いで食べ歩きがしたいのです。

 ということで、お金を稼ぐことにしました。


★★★


 さて、お小遣いを稼ぐことにした私は闘技場へとやってきました。


 闘技場で何をするつもりなのかって?

 まさかまたここで行われる競馬にでも賭けるつもりなのかって?

 そんな訳がないじゃないですか。

 前に競馬に失敗して痛い目に遭ったのを私はちゃんと覚えていますからね。

 だからもうギャンブルはこりごりです。


 それに、もしギャンブルなんかしたのが兄嫁にバレたら大変です。

 あの兄嫁のことです。次にギャンブルに手を出したら、絶対に許してくれません。

 万が一手を出してしまって、それがバレたら、今度こそ始末されてしまいそうです。

 ということで、ここには別の用事があって来たのです。


 しばらく闘技場の周囲をうろうろしていると、闘技場の入口で、長い机にパイプ椅子で座っている闘技場の職員らしき人を見つけました。

 私はその人物に声を掛けました。


「すいません。今日行われる『火魔法競技大会』に参加したいのですが」

「それでは、こちらの申込書に記入してください」


 私は職員さんに言われるがままに申込書に記入しました。


★★★


 そんな訳で、闘技場で行われる『火魔法競技大会』に参加しました。


 これは闘技場の試合の合間に余興として行われる、優勝すると銀貨五枚という賞金をもらえる競技です。

 魔法使いなら参加費無料で誰でもお手軽に参加できます。

 お手軽に参加できるのでライバルも多く優勝は割と難しいみたいです。


 とはいえ、私も兄嫁に鍛えられて魔法の腕も上がっているはずです。

 なので、頑張って優勝しようと思います。


★★★


 さて、そうこうしているうちに火魔法競技大会が始まりました。


 今回の競技は火魔法速射大会です。

 用意された十個の的をどれだけ速く破壊するかを競う競技です。

 ルールは簡単で、最初に十個の的を破壊した人の勝利です。


 参加者全員が一斉に魔法を使って競うので、とても見ごたえがあり、闘技場の余興として人気の競技なのです。


「的の用意ができました。参加者の皆様は所定の位置についてください」


 おっと、どうやら競技開始のようです。

 それでは簡単な説明も終わったことですし、競技に参加してきますね。


★★★


 参加者全員が所定の位置につきました。

 今回の参加者は全部で五人。

 みんな冒険者で全員どこかで見たことがある顔ばかりでした。


 それはともかく。


「それでは……始め!」


 いよいよ競技が始まりました。


「『火矢』」

「『火矢』」


 参加者たちが一斉に魔法を放ち始めました。

 もちろん私も負けじと魔法を使います。


「『火矢』。『火矢』。『火矢』」


 といった感じで連続で『火矢』の魔法を放って行きます。

 その速度は他の人たちよりも大分速く。


「やった!このままだと優勝できそう」


 そう私が優勝を確信できるくらいには速かったのです。

 まあ、日々兄嫁から薫陶を受けてきたのでこのくらいは当然と言えば当然なのですけどね。


「さて、残り一枚!」


 そして、とうとう残り一枚で終了という所まで来ました。


 これで優勝ね。


 私が内心そう思った時、ここで私の悪いクセが発動してしまいました。


★★★


 私の悪いクセ。それはすぐに調子に乗ることです。

 他の子たちよりも大分速く残り一枚というゴール一歩手前まで辿り着いた私はついこう考えてしまったのです。


 よし!最後だからここは派手に魔法を使って優勝を決めてやろう。


 そう考えた私は魔力を溜め。


「『火球』」


 最後に一発特大の『火球』の魔法を放ってしまったのです。


★★★


 ここで話は少しそれますが、私には魔法の練習をする時にいつも兄嫁に言われていることがあります。


「レイラさん。いつまでたっても魔力のコントロールが悪いですね。もっとしっかり練習しないと、魔力を込めた魔法を放った時に魔法が暴走する可能性がありますよ。だからもっと魔力のコントロールを意識して練習しなさい」


 そして、今回兄嫁のその危惧が的中したのでした。


★★★


 私の放った『火球』の魔法はまっすぐ的に向かって飛んで行く……かと思いきや。


「あれ?魔法がうまくコントロールできない」


 調子に乗って魔法に魔力を込め過ぎたせいでコントロールがきかず、『火球』の魔法は的とは正反対の方向へと飛んで行ったのでした。


 そして、そのあげく、ドッカーンと大きな音を立て闘技場の設備を一つ破壊してしまったのでした。

 それを見た私は蒼ざめました。


「げっ。あれって確か闘技場に音声を響かせるための音響装置。確か『拡声』の魔法が込められていて相当高かったはず」


 なんと私の魔法は『拡声』の魔法が込められた音響装置を壊してしまったのでした。


 この装置、普段は結界で守られている観客席内の実況者席で使う物なのですが、現在火魔法競技の実況をするため実況者席が武舞台に設置されていたため、そちらに持ってきていたみたいです。

 もちろん、そこには結界は張られていませんでした。

 主催者側も的と正反対にある実況者席に向けて魔法をを打ってくるポンコツ魔法使いがいるとは思っていなかったんだと思います。


 ということで、私の魔法は見事に高価な魔道具を破壊してしまったわけです。

 その結果。


「おい、あのポンコツ魔法使い、音響装置を壊しちまったぞ!」

「この後の試合とかどうするんだ?」

「予備の装置を早く出してこい」


 といった感じで、主催者たちは大騒ぎしていたのでした。

 それを見た私は、この後私どうなっちゃうの、と物凄く悲惨な運命が待っている予感しかしないのでした。

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