第692話~ドワーフ国王との謁見 菌書庫の書物の閲覧許可をもらう~
キュウケツカマキリを倒した翌日。
「とうとう連続殺人犯が討ち取られたらしいぜ」
「犯人は凶悪な魔物だったらしいぞ」
「この事件を起こした魔物を倒したのはガイウス殿下らしいぞ」
「ガイウス殿下が?それはすごいな」
「やったあ。これで安心して過ごせる!」
ネオ・アンダー不ラウンドの町は、ガイウス殿下が連続殺人事件を解決したという噂でもちきりだった。
事件解決の翌日にこうも広く噂話が広がるのは不思議な話ではあるが、これはリネットのおじいさんが手を回したのであった。
昨晩のうちにキュウケツカマキリが倒されたと報告を受けたおじいさんは、家来や役人たち、さらには御用商人たちを使って噂を広めたのだった。
この辺の手際の良さ、さすがは何十年も一国の宰相をやっているだけのことはあるのだった。
こうした噂のおかげでおじいさんの計画通りガイウス殿下の名声は高まったのだが、午後になってからこの名声がさらに上がるような出来事があった。
「おい、これが連続殺人事件を起こした魔物だって!」
「まあ、こいつが。すごくおぞましいわ」
「こんなのを退治するなんてガイウス殿下、すげえな」
と、いった感じでキュウケツカマキリの残骸が町の広場でさらし者にされ、それを見た人々が噂を広めることでさらにガイウス殿下の名声が高まったのだった。
これを考えたのもリネットのおじいさんだ。
昨晩、退治されたキュウケツカマキリは、色々調査された。
その鎌は被害者の傷口と照合され、こいつが犯人で間違いないことが確認された。
さらにはネズ吉の協力の下ネズ吉の眷属が町の下水道でこいつの巣を発見し、そこに残っていた組織片を調べたところこの町にいるキュウケツカマキリはこいつ一体だけであったことも確認した。
こうした調査後、キュウケツカマキリの残骸は用済みとなったわけだが、その有効利用をおじいさんが考えたという訳なのだ。
これでガイウス殿下の評価は爆上がりだった。
おかげでガイウス殿下を婿にするおじいさんも大変満足だったし、ガイウス殿下とスーザンに跡継ぎの男の子ができ、俺とリネットの間に女の子ができたら二人を結婚させるという約束をしている俺達にも大きな利益をもたらしてくれるはずなので、俺たちも大満足なのだった。
こうした機転を利かせられるリネットのおじいさん。本当最高だと思う。
★★★
そうやってガイウス殿下の噂話が広まるようになってから三日ほど経過したした日の夜。
「ホルスト君。ちょっといいかね」
リネットのおじさんがそうやって声を掛けてきた。
「何でしょうか。おじいさん」
「実は昼間国王陛下からご下問があってね。明日にでも例の件についてホルスト君と話したいそうなのだが、どうだね?」
おじいさんの言う例の件.もちろん禁書庫の書物の件である。
それを聞いた俺は内心ほくそ笑みつつも、静かに返事をした。
「是非お願いします」
「そうか。わかった。すぐに国王陛下と謁見できるように手配しよう」
ということで、明日俺たちは王宮で国王陛下と謁見することになったのだった。
★★★
その翌日。俺と嫁たちは王宮の控室にいた。
もちろん、国王陛下との謁見の時間まで待機しておくためである。
ここへ案内されると同時に係の人がお茶とお菓子でもてなしてくれたので、それを飲みながらのんびりしている。
「今日のおやつのクッキーは、チョコチップ入りですか。これはおいしそうですね」
「こら、ヴィクトリアさん。ここは王宮ですよ。あまりはしゃいじゃダメですよ」
「そうでしたね。すみません」
「本当。ヴィクトリアちゃんは仕方がないね」
「本当ですね」
と、いった感じで楽しそうに話していた。
そんな楽しそうな嫁たちを見ていると俺まで楽しくなってきて、とても嬉しい気分になりながら待機時間を過ごすことができたのだった。
★★★
そうこうしているうち謁見の時間が来たので、俺たちは侍従に案内されて謁見の間に向かった。
謁見の間に入ると国王陛下の前に跪き、待機する。
すると、国王陛下が声を掛けてきた。
「ホルストよ。久しぶりであるな」
「はい、お久しぶりでございます」
「うむ。それで、ホルスト。その方らのこの度の働き見事であった。おかげで我が子ガイウスも手柄を立てることができた。これで婿入り前にガイウスに箔をつけることができた。そなたらの働きに感謝するぞ」
「ありがとうございます」
「うむ。ではそなたらに褒美としてこれをやろう。財務官」
「はっ」
国王陛下に命じられた財務官が錦の袋を持って俺の方に近づいてくる。
そして、俺の前に立つと、その袋を俺に渡してきた。
渡された袋は結構重いものだった。
手の感触からするに中身は金貨だと思われる。
つまり国王陛下はご褒美に金貨をくれたという訳だ。
俺はお礼を言った。
「これは大層なものをいただきありがとうございます」
「なに。私たちはお前たちの働きに応じたものを与えだけにすぎんよ。それと、そなたらは禁書庫の書物を閲覧して冒険の役に立てたいそうだな?」
「はい。その通りでございます」
「わかった。禁書庫への入室を認め、書物の閲覧を許可するので、自由に調べて冒険に役立てるがよい」
「ありがとうございます」
こうして俺たちは無事に禁書庫の書物の閲覧許可をもらえたのだった。
その後はしばらく国王陛下と雑談をした後、謁見の間を退出しておじいさんの屋敷へと帰ったのだった。
さて、これでようやく禁書庫に入れるようになった。
ということで、これから書物を調査して地下墳墓の場所を探って行こうと思う。




