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挿話5:魔王様側近コンセル・リカートと魔王様とシホちゃん

「……魔王様、朝早くに申し訳ありません」


 まだ日が入りかける途中の薄暗い早朝、仕事前に日課のトレーニングをしようと着替えていると、不意に鏡が視界に入る。

 異物感を感じた俺は恐る恐る鏡を覗くと、昔のように髪が、四方へ重力を無視して跳ね上がっているのを目の当たりにし愕然として膝をつく。


 人によっては寝癖ともいうこの自己主張の激しい髪は、水で濡らそうが、油を付けようが、生活魔術を掛けようが、直らない。

 直せるのは唯一、魔王様の固定魔術だけだった。


 天高く舞い上がろうとする頭頂の一房を撫でながら、慌てつつも音を立てないようにコッソリと魔王様の寝室を訪ね、小さなノックをして囁く。

 流石に起こしてまでお願いするのは気が引け、真横にいないと気付かれないような音になる。が、魔王様は笑っているのか若干、声色を乱してその音に返答した。


「その音量では、起きていても気付かんかもしれんぞ。遠慮せず入れ」

「……すみません。私事でしたので……失礼します」


 ……そういえば魔王様は耳も良かったのだった。


 自責の念に駆られつつ、そっと扉を開けて頭を下げる。

 魔王様はベッドの中で、持ち込んだ資料に目を通していた視線を俺に向け、起き上がる。

 当然まだ寝衣姿のままであり、ポールハンガーに掛けてあったガウンを羽織り、俺をナイトテーブル側にある椅子へと促した。


「……また髪が跳ね上がったか。此方へ座れ」


 本来ならまだ寝ていたかったであろう時間に起こしてしまい申し訳なく思っていたが、当の魔王様は仕事の溜まり具合を危惧してか、休むべき場所でまで仕事を熟していたのだ。


「それは……お願いします。ですが、寝室にまで仕事を持ち込まないでくださいと、あれほどいったのに……」

「……すまない。遅延している書類に目を通さねばと思ってしまってな……ああ、直ったぞ」


 早朝に起こそうとした俺がいえた義理ではないが、先日、疲れで髪が白くなってしまった魔王様の体調を気遣い、苦言を呈しながら椅子に座る。

 魔王様は苦笑しながら俺の髪に固定魔術を掛け、いつもの髪型に戻してくれた。


「有難うございます! では、此方の資料は執務室へ戻しておきますので、自分が起こしに来るまで、また、お休みください」

「丁度起きようと思っていたのだ。続きは執務室にて行う故、書類は私が持っていく。コンセルは気兼ねせずにトレーニングへ行け」


 いえ自分が、いや私が、と二人で重要書類の引っ張り合いが勃発する。だが書類から、破れるような危険な音が僅かに聞こえ、思わず手を離してしまう。

 勝ったとばかりに書類を抱えて微笑む魔王様に憤りを感じた俺は、自分の健康状態を第一に考えるよう、説教をし始めた。


「そんなことだから薬の依存症になるんですよ! もっと自身への配慮に思考力を使ってください!」

「私に中毒性は然程見られず、体も健康そのものだと侍医にいわれたぞ」

「あの専属医は魔王様に甘いようですね。もう少し厳しく弁の立つ者に代えましょうか?」


 俺は己の不甲斐なさに憤慨し、それを魔王様に当たるように怒鳴り付け、寝室を後にした。



 己に苛立ちながらトレーニングを熟していく。

 魔王様直属の側近であり全軍統括指揮官でもある俺は、いつでも戦える体にしておかなければならない。トレーニングを一度でも休めば体が上手く動かなくなる危険性もある。俺にはいつでも万全な状態でいる義務があるのだ。

 特に今は、色々と不穏な状態が続いており、隠密調査も欠かせない。

 時々水晶球で魔王様を観察する。

 給仕係が魔王様にチョクラドリンクを持ってきたようだ。そのチョクラドリンクへ更にシガルを加えて飲み干した魔王様は、更に追加を要求していた。その消費スピードは何時もよりやや速い。

 薬も過ぎれば毒となる。給仕係もそれを知っており、戸惑いながらチョクラを運んでいる。

 俺は水晶球から魔王様へ苦言を呈し、トレーニングを熟すと、素早く身形を整えて執務室へと急いだ。


「あまり給仕係を苛めないでください。魔王様に意見出来る立場ではないことはご存じですよね」

「……う、うむ……。併しコンセル、トレーニング時まで水晶球で見張らずとも……」

「そうせざるを得ない状態にしているのは、魔王様自身ですが」


 魔王様はぐうの音も出せず、俺に向けていた顔を机上の資料に移す。


「……第六大陸の未成年保護施設が少々人手不足のようだ。何処からか手配出来るか?」


 話を逸らされ、少々腹立たしく思わなくもないが、仕事を中断してまで説教をしては、意味がない。

 俺は、未成年でもある程度の知識や能力のある者を雇用する案を提示し、その資料を魔王様に渡した。


 他の種族にもやや見受けられるが、特に魔族は母性や父性などよりも戦闘本能が勝ち、子供を捨てる親が少なくない。

 元々は俺もその一人で、物心ついた時には既に両親がおらず、同じく親のいない、もしくは親から逃げてきた様々な年代の未成年達に囲まれて育った。

 そういうグループでは、年上が年下の面倒を見、食べ物を得るために大人から金目の物や食料を奪い、その日を何とか凌いで暮らしていた。


 そんなある日、俺は犯行に失敗して殺され掛けているところを、通り掛かった魔王様に助けられる。

 事情を知った魔王様は環境改善に素早く着手し、未成年保護施設を幾つも設立し、親のいない未成年の生活や学習の場を提供してくれた。


 俺はというと、何故かその手腕を前側近に見初められ、それ以来、魔王様の元で魔王様の側近後継者として前側近からスパルタ気味な英才教育的なものを受け、今に至るというわけだ。仲間のうち数人も、軍の方で魔王様の恩に応えるべく、己を研鑽している。


「……この件は、魔王様に感謝してもしきれません」

「……コンセル……」


 まだ幼い仲間達は、誰かの助けがなければ生きていけない。

 彼等がその場しのぎで生き存えさせたとしても、学のない子供は働ける場が限られ、足下を見られて安く雇用される。そして、生活が儘ならなくなってしまう。負のスパイラルだ。

 それを魔王様は、生活や学習の面倒を見てくれる施設を作ってくれ、そこから脱却出来るようにしてくれたのだ。


「……いや、着手が遅くなり、すまなく思っている」

「本来であれば、その大陸にいる各王の仕事ですからね。王達が真面に働いてくれれば魔王様の負担も減るのですが……」


 身分ある者は、往々にして平民を数字で見る傾向がある。

 現状をその目で見ようとせず、机上の書類のみの平均値という、曖昧なもので分かった気になっているのだ。

 その数字が少数の上位によって平均が上昇し、下位のものの生活が如何に困窮しているかも知らずに。いや、知っていて尚、己の懐を満たそうとしているだけか。

 その点、魔王様は数字から不信を抱くと必ず己の目で現地を視察し、人々の生活状態を確認する。


 ……本当は、精霊王補佐官がそこまでやる必要はないんだけどな……

 ……根本解決のためには、文句ばかりを主張し、私腹を肥やす王達を教育し直すことなんじゃないか?


 魔王様の仕事量の多さは、各国で解決すべき点や精霊王がすべき案件も多い。

 それぞれが真面目に仕事を熟してくれれば、魔王様がチョクラドリンクを呷るように飲むこともなくなるかもしれない。


 俺は魔王様の負担を減らすべく、奮闘することを心に誓った。



* * *



「愛とは偉大ですね」

「……どういう意味だ?」


 魔王様のチョクラとシガルの摂取量は、シホちゃんのお陰で大分減っているようだ。

 シホちゃんの菓子の効果に侍医も感嘆し、城の者達も喜びで溢れているそうだ。

 菓子にすることか、シホちゃんの菓子だからか、シガルとチョクラの効果が増加し、摂取量が減少したことで魔王様の体を蝕もうとするシガルとチョクラの中毒性や副作用も、安全圏内で安定している。

 徒それをいいことに、仕事量を更に増やしている兆候が見られ、折角の菓子効果が台無しになりそうだ。


 ……矢張り、根本解決に乗り出さなくては、か?


 併し下手を打てば魔王様の仕事を増やすだけだ。だが、各大陸の王達の無能さも目に余る。

 取り敢えずは、今回の懸案が解決してからにするか。


「……コンセル。……今朝の報告は?」


 気配から思考が漏れてしまったのだろうか。

 魔王様は俺の顔を一瞥し、書類に視線を戻す。その、一瞬見せた目には、俺へ非難するかのような雰囲気が込められていたように感じる。

 俺は気持ちを切り替え、部下から受け取った資料を開いた。


「やはり第七大陸魔王がいうように、どうやら魔王全員に魔法アイテムを渡し、召喚師に恨みを持つ者がオフゲイルを処分するよう仕向けた節があります。第七大陸魔王も、マリンジ様から受け取ったアイテムで更なる上の地位である第八大陸魔王の座を求めた、という発言の裏がとれました」

「……確かに、あれほど強い異世界人を召喚する召喚師に恨みを持つ魔王は多そうだが……随分率直な戦法だな。……シェーヴも、こんな地位が欲しければくれてやるものを……」

「第七大陸魔王に務まるほど簡単な仕事ではありませんからね。マリンジ様の目論見は、勿論『あわよくば』な水準ですが。地人族を戦争で全大陸から圧迫し、召喚師を元の大陸で元の地位に戻し、その立場上で責を負わせ、隔離状態にするよう働き掛けている、とのことです」

「……そういえば奴は、第四大陸の王宮特別魔術師だったな」


 魔王様の呟きに、俺は頷きながら手元の書類を開く。

 元々第四大陸地人族王は、よくいえば平和を愛し、穏やかな毎日を送ることを信条とした、事なかれ主義者だ。

 当然、その精神はお抱えの魔術師にも適応させていた。

 野心家であるオフゲイルが、その環境に嫌気を感じて野望を満たすための条件を持ち得た地人族王へと身を寄せることは、時間の問題だった。

 第四大陸在住中、戯れに行った召喚魔術で『他人の魔力を奪い特定の魔法にして他人に付与する力』を持つ者を召喚し、オフゲイルの野心に火が付いてしまったようだ。

 オフゲイルは召喚されし者を連れ、金目の物に対して特に欲の深い、第七大陸地人族王へと身を寄せる。


 恐らく「精霊王を手中に収めれば、魔術のレンタル代が己のものに」などと唆し、召喚されし者の力を見せつけることで信憑性の高さを示し、信じ込ませたのだろう。

 結果、王自身はオフゲイルに人目を憚るよう命じているとはいえ、オフゲイルは好き放題召喚が行える場所を提供され、召喚されし者共や地人族王の配下を使って精霊界を模索しているらしい。


「……第八大陸すら発見出来ない者が、精霊界など見つけられる訳があるまい」

「精霊界は次元が違いますので。同じ次元にある、この大陸の方が発見される可能性は高いですね」


 俺が魔王様の言葉を肯定すると、魔王様は何やら考え込むように顎に手を当て、書類を注視する。

 召喚されし者共は現在、確認されているだけで十を超える。

 全てが召喚されし者の能力『他人の魔力を奪い特定の魔法にして他人に付与する力』に近い絶大な力を持っていたとすれば、シホちゃんのようにこの大陸へ侵入出来る者が現れてもおかしくないだろう。

 魔王様は眉間に皺を集め、こちらに視線を移動させた。


「……返り討ちにする準備は出来ているだろうな」

「海岸沿いに見張り塔を増設し、各所から有能な兵士を集めております」

「……奴等の魔法は調べがついたか?」

「……いえ『召喚されし者』のみで『召喚されし者共』の能力は、未だ調査中です」


 魔王様は書類を眺めながら俺の言葉に頷き、真剣な眼差しをこちらに向ける。


「……マリンジの件だが……パスコードを話した理由はシェーヴのいう通りか?」

「……その件に関しましては、目下調査中です」

「……そうか」


 魔王様は頬杖を突き、顔を背けながら溜息を吐く。

 マリンジ様は魔王様が魔王の座に就いた時からの古い友人だ。

 恐らく親友といっても過言ではないだろう。が、魔王様自身もおいそれと教えない転移のパスコードを他人にバラされてしまったのだ。その苦悶は計り知れない。

 しかしそんなマリンジ様が、魔王様の御心を理解していないとは思えない。

 その真意を測るべく、魔王様もマリンジ様の情報を集めるが、魔族を煽り、地人族を追い詰める行動が波紋を呼び、他の情報が形を潜めてしまっている。


 ……それが目的だとすると……いや、しかし……


 マリンジ様の行動に妙な胸騒ぎを感じ、俺は悪寒に身を震わせるが、直ぐに考えを改めて魔王様に向き直す。


 ……念の為、プレジア様に情報収集を頼んでおくか。


 プレジア様は冒険好きで、精霊界でも人間界でも、身分関係なく交友関係が広い。

 そうすることで懸念が除去されるであろう情報を期待し、魔王様に提案してみる。


「……いや、それを理由にまたシホを連れ出されても、な……」

「……確かに」


 いわれてみれば確かに、冒険好きでシホちゃんを気に入っているプレジア様のことだ。それを理由にシホちゃんを連れ出す機会を増やすのは火を見るより明らかだ。

 プレジア様に甘いシホちゃんがその要求を断るとは考えにくい。

 シホちゃんの実力なら何処に行っても大丈夫だとは思うが、やはり目の届かない所で危険な目に遭うと考えると、あまり歓迎出来ない事態であるのは魔王様も俺も同じ気持ちだろう。

 魔王様の憂いを察し、俺も眉を顰めて同意を示す。

 俺はこの事態に考え倦ね、気分を一掃させるために話題を転換させた。


「ところで、シホちゃんの好みのタイプってどんな人ですかね? 自分と魔王様だと、どちらが好みでしょうか?」

「な?! い、いきなり何を?!」


 俺の質問に、魔王様は顔を真っ赤に染め、愕然とした表情でこちらを見入る。

 魔王様をダシにして申し訳ないが、実際は俺が気になっているところだ。

 俺とは気の合う友達で、魔王様は命の恩人で上司、という扱いのようだが、シホちゃんの感情的にはどうなんだろうか。

 俺は魔王様を見返し、真顔で尋ねてみる。


「それも少し探ってみますか?」

「ばっっ!! 妙な真似をするな! シホが誰を好きになろうとシホの自由だ。私には関係ない……!!」


 魔王様はこちらから視線を外し、窓へと視線を移動させ、己に言い聞かせるように言葉を吐き出す。

 関係ないというのは、自分の時間が止まっていることを気にしての発言だろう。

 例え両思いになれても、シホちゃんは常に時間が進み、必ず寿命が来、先立ってしまう。

 それに加え、魔王様の種族である北の種族は同族婚が規則であり、そのお陰で異常なほどの魔力と筋力の高さを誇っている。

 だがその分、体力に難があり、一定の体力を下回ると髪の色素が抜け落ち、個体に応じた不具合が生じるそうだ。

 そんな種族に生まれ育ち、異種族に関心を持つことを良しとしなかった環境では、例え時間が止まっていなくても、恐らく魔王様は似たような態度を取るのだろう。


 ……もう、種族に縛られる必要はないと思うんだけどな。

 まあ、寿命の件は……どうしようもないんだろうな……けど、開き直ってアピールされまくっても困るな。


 俺は複雑な感情を抱きながら先日の出来事を思い出し、思わず言葉を紡ぐ。


「……そういえば魔王様、随分シホちゃんとの試合が楽しかったようですが、シホちゃん相手なら体力は大丈夫そうですか?」


 どうやらその言葉は、魔王様に追い打ちを掛けてしまったらしい。

 悲痛な面持ちだった魔王様は片手で目元を掩ったかと思うと、デスクに伏せて腕の中に顔を埋めている。


「……いや、躍起になりシホに悪いことを……面白い技を使うもので、つい……」

「ああ、確かに面白い技で攻めますよね。俺ももう一回、戦いたかったです」


 ……もう少し話題を選ぶべきだったな。


 好きなコに喧嘩を売ってしまう負けず嫌いなさがに、魔王様は自己嫌悪で悶絶している。

 俺は魔王様に脳内で謝罪をしながら額の汗を拭い、魔王様が気に留める問題ではないと強調するように、態と軽妙な口振りで返答する。

 シホちゃんの菓子のお陰で、限界を超えて体力を消耗する機会が減り、俺も油断していた。

 シホちゃんが来る前の魔王様は仕事のし過ぎで白髪になる機会が多々あった。

 それがまさか、模擬戦で起こってしまうとは盲点だった。


 ……まあ、俺も魔王様に勝てるなら、気合いを入れすぎて体調不良になってもいい、と思うだろうしな。


 特に、今回の報酬が先に分かっていたら、恐らく俺はどんな手段を用いても勝ちにいっただろう。

 シホちゃんと試合がしたいという気持ちも強かったが、抱きつかれて頬にキスとか、正直、羨ましすぎる報酬だ。

 相手が魔王様でなければ、即座に割り込み、行動を阻止していたかもしれない。

 好きなコが目の前で別の男の頬にキスしているという姿を見させられたのだ、不満の少しもいいたいが……


 俺は、鼻根に指を当て、眉間の皺を深く刻み瞑目する魔王様の様子を眺め、言葉を飲み込んだ。


「シホちゃんの動きは獣人族の上級戦士を彷彿とさせますよね。シホちゃんは地人族かと思ったんですが、もしかしたら異世界の地人族と獣人族の混血かもしれないですね」

「……確かに、獣人族の動きに近いな、あれは。……なるほど、異世界の獣人族との混血というのなら、あの身体能力も分からんでもないな」


 俺が提供する話題に魔王様は関心を示し、顔を上げて相槌を打つ。


 ……自己嫌悪状態の魔王様とシホちゃんを会わせて、また気まずくなったら困るしな。


 試合の時も、少々気まずい雰囲気になった所で、白髪になってしまうハプニングが続いた。

 魔王様の白髪が直るまでシホちゃんと会わないでいると、魔王様はますますシホちゃんと会うのを躊躇いそうだ。

 そう判断して、無理矢理シホちゃんを魔王様の所へ行かせたのだが、どうやら正解だったようだ。


 すっかり元通りの関係に戻り、今もシホちゃんの身体能力に対する謎の解答候補が増え、魔王様は嬉しそうにシホちゃんの動きと獣人族の動きを比較検討し始める。


「あ、そろそろ菓子の時間ですよ。食堂に移動しましょう」

「そうだな、今日の菓子は何だろうな」


 すっかり機嫌の直った魔王様は、俺の言葉に壁の時計へ目を向ける。


 ……シホちゃんのことになると態度がまるで違うのに、何で自覚しないかね。いや、分かっていて諦めているとか?

 ……あまり悠然と構えてると、本気で奪いますよ?


 俺は魔王様に苦笑し、共に食堂へ向かった。

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