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各駅停車新三田行き

各駅停車新三田行き

武田尾の廃線後を歩きにいこう。と決めたのはいつもの電車の中。伊丹駅から各駅停車に乗ると手を振って居場所をおしえてくれた。「瞳ちゃんおはよう!」この頃になると瞳ちゃんと呼ぶのに全く抵抗はなくなっていた。いつものように隣にちょこんと座り楽しそうに今朝のお弁当作りのことを話してくれた。そう今日の昼ご飯は彼女の手作りお弁当なのだ。今日はスケッチブックと水彩色鉛筆と水彩クレヨンをもってきた。宝塚「ここには昔遊園地と動物園があって子供の頃よく来たものだよ。最後世界は1つに乗るのが定番だった。」「世界は一つってジェットコースターですか?おじさまときたかったな。」「いやいやジェットコースターじゃないよ格好よくいえばイベントクルーズかな」宝塚を過ぎる頃気になって二人分のヘッドライト電池あるか調べた。「そんなの何に使うんですか」「途中真っ暗なトンネルがあるから」「真っ暗ななかおじさまと2人きりなんですか?今からドキドキしちゃいます。」僕もきっと心臓が止まりそうにドキドキするんだろうな。生瀬駅駅で下車すると涼しい。「なんかとってもいい天気で爽やかでハイキング日和だね。」「日頃の心がけがいいからですよ。私とおじさまの」廃線後まで15分瞳ちゃんは腕を組むことはないが手をつないでくる。きがつくと廃線跡についていた。立派な鉄橋を通り少し進むと最初のトンネルが見えてきた。「瞳ちゃんのお待ちかねにつきましたよ。」「そうだ絵を描こう」二人分のスケッチブックと水彩色鉛筆と水彩クレヨンを取り出し水と筆も用意する。黙々と絵をかくことに没頭する。最後に筆で水を塗るとできあがり。「素敵!さっきの鉄橋も描けばよかったね」「鉄橋もっと立派なのがこの先に有るから安心して」そして遂にトンネル突入。ヘッドライトのスイッチをいれると真っ暗な世界。「私達、探検隊ですね。隊長任務の指示をくださいね」「ラジャー」「迷子にならないように手をしっかりつないでいきますね」手のぬくもりと汗が白魚のような指を伝ってくる。闇は非日常の二人だけの世界、彼女は急に無口になり息づかいのみが聞こえる。永遠に続けばいいのに。しかしそんな思いとは裏腹に出口の光が見えてきた。

お目当ての大鉄橋はすぐだった。迫力ある。ただスケッチは構図が結構難しい。四苦八苦しながら二人とも絵を仕上げた。その後トンネルをいくつか通ると広場についた。瞳ちゃんは「お昼ご飯ですよ」お弁当を二人分広げた。その時であった。「水筒1本しかもってこなかった」「いいよいいよ僕はなしで」「ダメ!水分補給はしっかりしないと」「一緒に飲みましょう」一緒に食べたお弁当おいしかった。「おじさま水筒一緒に飲んだでしょう。私のファーストキッスだったんですよ。でも大好きなおじさまなので許す」間接キッスでもファーストキスになるんだ。ところで大好きの好きはlikeなの?それともloveなの?さすがに言葉に出すことはできない。この日は快活に装っていたが悶々とした想いを心に秘めていた。


挿絵(By みてみん)

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