第36話 CASCADE (2)
沙織「え? そうなの? ママ」
沙織が両手に開いた手帳を持ったまま、顔を上げ、依子の方を見つめていた。
依子「そうなのよ。善さんから、連絡あってね、今回の事件、手伝って欲しいって 」
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沙織「それでね、その電話口の男が、
『総務省の者です、あなたの携帯電話が不正に使われています。2日以内に使用停止になります。継続するためには、
こちらの口座へお振込を...」って言ってきて、だから、私が『あなた、詐欺師ね。私は静岡県警の者です。この電話番号、、非通知にしてますけど、わかりますからね、これから逆探知して、あなたの基本情報を突き止め、逮捕します』って、言ったのよ、わたし。(笑) 本当は、かかってきたこの電話番号だけでは、詐欺師を突き止めることはできないんだけど、私、詐欺師を脅かしてやろうと思って。でも実際、この手の案件は、今、沢山被害者が出てるから、本当に警察がいくつかの詐欺グループを突き止めるのも事実なんだけどね。だから、この人も時間の問題だわと思ったわ。
依子「さお……またそんな危ないこと言って。。恨まれたら危険よ。」
沙織「ママ、でも、本当に、捕まえられますからね、あなたを、警察は。と伝えたかったのよ、私。
そしたらね、
『おまえもういいわ。おまえめんどくせぇ。』って言うから、
『めんどくさくて結構!私はめんどくさい女なのよ!結構毛だらけ猫灰だらけよ!』
そう私が言ったら、 電話が切れたの。
まったく、、、
怖くて手の震えが止まらない被害者だっているのよ、本当に。怒り心頭よ!」
依子と沙織が、カスケードで、過ごしてから一時間半くらいが経っていた。沙織は、日々起こる事件の話や、プライベートで一緒に買い物したり映画に行ったりする本間と言う優しくてマッチョなパパの部下の話もした。
依子もアメリカでの事件の話を沙織に聞かせた。
依子「.......それで、さっきの話の続き、今回は、下着、どうやら下着の糸の中に、覚せい剤が練り込まれてるみたい。その下着の製造元が、確か、、ランジェリードリームっていう会社のハワイ工場で作られたものらしいの。」
沙織「 そうね、どうやらそうみたいね。私もパパからおおまかにだけど、聞いたわ。ランジェリードリームって、大胡田さんが勤めてるのよね。」
依子「大胡田さん。ランジェリードリームの。確か、善さんが電話で言ってた名前の人だわ。 その人、、ハワイ支社の人よね? その人から社内の内部情報を聞いて、調べて欲しいって。詳しい話は、帰国してから話すって言われてるんだけど、善さん、忙しそうなのよ。 失踪事件と爆破事件があったとかなんとか..言っていたわ。」
沙織「うん。今、確かに、事件が重なっているのよ。パパ、部署をまたいで、あっちこっち飛び回ってるわ。警察業も人手不足で、困った世の中よ。
その人、パパが時々行く....喫茶店の常連さんなのよ。私もたまーに、見かけるんだけど、今まで、下着販売セールスマンだったんだけど、少し前に、辞令がでて、確か....ハワイ研究所へ異動したとかなんとかって言ってた気がするわ。」
依子「そぉ。 ......ハワイ工場になにか、まだ見つかっていない秘密が隠されているのかしらね.....」
沙織「うん。真相はまだ闇の中だね。」
依子と沙織が目を合わせて、頷いた。
依子の携帯の待受画面は、三人が写っている。真ん中に沙織、沙織の左側に依子、そして、右側に仏様みたいな、穏やかな笑顔をしてる中年男性が写っていた。その《《仏様》》に向かって、依子が指を指した。
依子「さお、今夜、善さん、家に帰ってる?」
笑顔の沙織
沙織「うん。そのはずよ。ママ、一緒に帰ろう。」
依子「 うん、帰ろう。マスター、お会計お願い。」
マスター「 ありがとうございました。」
CASCADEを出ると、二人はタクシーに乗り込み、柳林のいる自宅へと向かった。
続く




