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第33話 ちんぱい

ママ「 いやねぇ....... 爆発犯、いったいだれなのかしらね....... 」




柳林「 いま、園内の監視カメラを確認中なんだ。」










柳林が、休息を取りにすなっくゆみへ来ていた。ママが最近どう?と柳林の近況を聞くと、柳林がまたぽつりぽつりと話し出していた。

もちろん、柳林は誰にでも事件の話をしているわけではない。捜査上知り得た情報には守秘義務があり、捜査の秘密や個人情報などを外部に漏らしてはいけない。

ママもここで話していることは口外禁止、他言無用なことは重々承知していた。ママはちゃらちゃら軽そうに見えて実は口の硬い女。


一般人でありながら、時に秘密捜査員として事件の裏側へ。時に柳林の相談役として、その推理を支える。ゆみママは、誰にも知られていない柳林の“影の相棒”であった。












ママ「 みつかるといいわね、犯人..。」








柳林「 あの観覧車は、もう老朽化で、今年の12月で、運転終了の予定だったんだ。45年間も、遊園地のシンボルとして動いていた。」






ママ「 とーーーなのぉーー......」




柳林「うん。故障という見方もあったが、 しかし、かなり衝撃の大きい爆破だったから、やはり事故は考えにくい。そして、厄介なことに、爆破装置の残骸が、かなり粉々に、木っ端微塵になったようで、まだ見つかっていないんだ。」






ママ「とぉーー.....




早く解決することを願ってるわ。」







柳林「ありがとう」








ママ「 それにしても、大胡田たまも、とんだことになったわね.....




わたすぃ..... 信じてるわ。大胡田たまは悪いことなんてしてないって。」








柳林が頷く。






熊さんが大きな背中をぬくぬくさせながら、仲間に入れてよと言った感じで、柳林とママの間にやってきた。






熊さん「うん。俺もだよ。ママ」


















カランコロン









皆が、店の出入口の方を見た。














無精髭を生やした、少し痩せこけた頬の大胡田が店へ入ってきた。










ママ「んあっ あっ 大胡田たま!! んあっ、あっ、、、、ねぇ、大丈ぶぅ、、、、?」









大胡田が密売麻薬の疑いで、取調べを連日受けていた。二週間の留置所生活を終え、大胡田は、やっと娑婆《シャバ》の空気を吸えていた。。





ママの顔を見ると、今まで我慢していた想いが溢れてきて、大胡田は男泣きしそうな表情になった。








大胡田「んん、、、、、












ンン、、、、、、、














ゆ、ゆ、ゆみ、、さん、、。







やっと、












やっと、












ここに、、、、来れました、、、、










嬉しいっす、、、、ンゴっ」







熊さんが席を立ち、手をこまねいて、大胡田をカウンター席の方へ呼んだ。




熊さん「大胡田さーん、こっちこっち~。まぁまぁ、こっちに座んなよぉ」






大胡田が席に着くと、ママがすぐにおすぃぼりを提供した。





「..........大胡田たま、大変でしたわねぇ、、今回は。ちんぱいちてたのよ。」




( 注: ちんぱい... 決してちんちんとおっパイの略ではない。『心配』のママ語だ)」




ママ自身は、至って真剣なのだが、神妙な表情が似合わなかった。





カウンター席に座っている柳林が、お疲れさんでしたと労いの表情をしながら大胡田に会釈した。大胡田も柳林に会釈した。







ママ「............大胡田たま。またハワイ研究所に戻るってわたすぃ聞いていたから、「大胡田たま、がんばれぇ♡♡」って、応援してたのよ。そしたら、こんな事になっちゃうなんて、、思いもしなかったわよぉ....... 」






大胡田「はい。俺、本当に驚いて、、、自分の意見とは関係なく、警察はどんどんと処理が進んでいき、俺、、どうなっちゃうんだろうって、、、、不安した。」










柳林「取り調べ、お疲れ様でした。疲れてしまったでしょ。.........申し訳ないです。」






大胡田「柳林さんが一声かけて下さったおかげで、留置時間が短くなりまして、ありがとうございました。疑いが一旦晴れまして、安堵してるところです。」






何も知らない熊さんが、力になりたい気持ちもあり、質問した。



熊さん「 大胡田さん、なんで、疑われちゃったの? 何かしたのかい? 」





大胡田「お、俺は、、、、」





ママ「あい♡ 大胡田たま。コーラよ♡」


大胡田の前に、キンキンに冷えたシュワシュワコーラが置かれた。





大胡田「あ、ありがとうございます!!」





大胡田はコーラを飲むのを我慢して、話を続けた。












大胡田「 お、俺は、、 あの日、、





羽田空港からハワイのホノルル国際空港へのフライトチケットを手に搭乗手続きをしていたんです。 今回は、夏の冷感おパンティの促進販売も日本で出来たし、また秋冬に向けての商品開発をHawaiiに帰ったら、頑張ろうと思っていたんです。そしたら、、」








大胡田が、色々な大変なことを思い出したようで、表情が暗めになり、一点を見つめ出した。精神的なダメージはまだ全快していないようだ。










熊さん「 おぅ。そしたら?」




大胡田「 はっ!

んっはい! 、、、。はい、、

そしたら、、、、手荷物検査の時に、俺のこのアタッシュケースがx線に通されて検査された時です。そして、ランプが点灯し、ブザー音が聞こえて、、」










大胡田がまた、遠い目をする。















柳林「そんな検査に引っかかるような物なんて持ってなかったから、反応してしまうなんて思いもよらなかったわけですよね。」






大胡田「 えぇ。まったく。だから何が起きたか初めは分からなくて、、俺、、。

そのうちに、「あちらの部屋へお願いします」と言われて、、 警備員が5人くらい目の前に現れて、、、。」











ママ「....本当に、大変だったわね。」





大胡田「はい。。。」







ママ「大胡田たま、ほらほら、コーラ。コーラ飲んでね♡」







大胡田は目頭が少し熱くなった。コーラを、ストローも使わずに、一気に、グラス半分まで飲み干した。

大胡田は、 留置所で経験した苦くしょっぱい味や、目頭の火照りが、スーッとママの入れてくれたコーラで、洗い流されていく、そんな感覚になった。















プハァーー。













熊さん「そぃで、結局なにが検査にひっかかったの?」





熊さんが、積極的に大胡田に質問していた。

大胡田の心情を少しでも理解し、分かり合いたいようだった。









少し安堵の表情もでてきた大胡田は、いつもの低めのカッコつけボイスも取り戻してきたようだった。







皆が、大胡田の発言に真剣に耳を傾けていた。










少しの沈黙の後、大胡田はこう言った。




























大胡田「 おパンティです。」
































その言葉を聞くと、真剣に聞いていたママの表情がフニャンと緩んだ。













ママ「 やだぁ~、、、、ん。♡ 」














柳林「 先日、大胡田さんの働いているランジェリードリームの製品から、覚せい剤が見つかったんだ。実は、、俺と本間も、その下着を知っていて、同じ時期に、あの音瀬愛美香のバックから、その同じ下着が見つかってたんだ。製造元を調べたら、ランジェリードリームだった。」









ママ「はぁ~ぁぁ.... 音瀬...愛美香.....」







ママが、音瀬愛美香の事件も絡んでいるの?と、驚き、ルービックキューブを目の前に出されて、やってごらんなさいと言われいるような気分になった。










熊さん「 はれぇ、、、、。」





熊さんは、そんな予想もしない事が本当に起きたりするんだと驚いていた。











大胡田「 でも、俺は、本当に本当に、何も知らないです。」






ママ「 信じてるわ。」












そして、四人が誰も何も喋らなくなり、店内はしばらく静寂が流れた。

雨で濡れている道路に、走る車のタイヤの音だけが、店の外から聞こえていた。






















柳林が口を開いた。






柳林「 そして、ランジェリードリームの本社の中村さんという方に事情を話して、そのパンツを製造しているハワイ工場に社内調査へ先日、警察が入ったんだけど、何も見つからなかったんだ。」




大胡田「はい。『帰国したら、重大な調査があるから、大胡田も一緒にやってほしい』と、確か、あの日は、シズオGAROの撮影の日だったな、、本社の康仁さんから俺のとこに、電話があったんですが、、、。この事だったみたいで。」







柳林「先日、別の事件のご遺体の所有していたバックから、同じようなパンツが見つかり、薬物反応があったたため、製造元のランジェリードリームの本社に、工場製造調査をさせてもらいたいと連絡したので、それで、中村さんは大胡田さんにハワイ工場に調査をしに警察が来るから、対応を頼むということだったんだと思います。」








ママ「 しかし、工場には、麻薬もなーーんにも見つからなかったんでしょ。あん♡ よかった。これで大胡田たまの疑いは晴れたのね♡」








柳林「 いやまだだ、ママ。ランジェリードリームハワイ工場では、覚醒剤入りのおパンティは、見つからなかった、作っていないことは証明された。しかし大胡田さんが所有していたことには間違いないから。大胡田さんがどこから、そのパンツを入手して、アタッシュケースに入れたのかを警察はその時点ではまだ大胡田さんを疑っていた。」







ママ「、、あん、、、、」



熊さん「、、あん、、、、」






大胡田「俺は、その今回、日本でセールスしようと思っていた新作のスミレ色のおパンティを、実は、ハワイから持ってきた訳じゃなくて、、」





ママ「うんうん。」



熊さん「うんうん。」




ちょっとさっきから、真剣に聞いてるママの真似を、熊さんがしているような気がして、ママが熊さんの方をギュッと睨んだ。







大胡田「ハワイ工場から輸入された納品先のララボート内のランジェリー店『CUTIE CANDY Girl』から、一つだけサンプルとして、頂いたものだったんです。」











熊さん「きゅーてー きゃんでー がーる.... 」











ママ「ということは、、、、」






柳林「そう、すみれ色のパンツは、確かにランジェリードリームのハワイ工場で作られている。しかし、覚せい剤入りのすみれのパンツは、日本のショッピングモール内の下着店で見つかったわけだ。そして、音瀬愛美香のバックから見つかったパンツも、もちろんのこと日本国内で見つかっている。音瀬は、日本国内で購入していて、このすみれ色パンツは日本国内でしか販売されていない。という訳だ。」









熊さん「なんだか、、、ややこしいね。俺、ちょっと、難しくなってきちゃったよ 汗」








ママ「あい♡ 熊さん、お煎茶よ。頭を休憩させて。」









熊さん「ありがとう、ママ、」








続く




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