第3話 L’eau enveloppée d’un ruban (2)
カフェの店員「いらっしゃいませ」
蕾「二名です」
カフェの店員「どうぞぉ」
休日の昼過ぎということで、カフェには多くの客が集まり、店内の空気は、アイスクリームのホッピングシャワーみたいに、会話が膨れ弾け、穏やかな喧騒に包まれていた。
店の屋外にはテラス席も用意されている。
二人は店内の席に案内され、
腰を下ろした。
蕾「私、、柚子スカッシュください」
若菜「私はキャラメルフレーバーの紅茶」
店の店員「かしこまりました」
やっと席に座れて、にんまりとリラックスした表情をする若菜。
若菜「 嬉しいねぇ~。 落ち着くねぇ~ 。このフカフカソファ、好きなんだよなぁ。」
周囲には他のお客もいるから、迷惑にならないよう気遣って、蕾は穏やかな表情を保ちつつも、口元をきゅっと結び、姿勢を少し正して座っていた。しかし、若菜の嬉しそうな表情を見ていたら、蕾にも伝染して、笑顔が緩んだ。
蕾「 うん。」
斜め向かいのテーブル席に、蕾達と同じ世代のカップルが座っている
若菜「いいなぁ~.... 羨ましいなぁ.....」
向こうの席でイチャイチャしていて二人の世界に入り込んでいるカップルを見て若菜が言う。
蕾「 そぉ?私は、もう少し公共の場では、節度を持って、過ごしてるカップルの方が好きだなぁ」
蕾が、ふいっと首を逸らし反対側を向くと、一人の女が、角のテーブル席に座っているのが目に入った。頬ずえをつき、なにやら、本を読みながら、コーヒーを飲んでいる。美人だ。歳の頃は50代くらい。見た目は、生活感が全くなく、サテンの黒地の服に、派手な蛍光色のピンクやオレンジや黄色の大きな花柄の入ったワンピースをきている。髪は金髪で、爪には真っ赤なマニキュアを塗っている。口紅は、明るめの濃いローズ系の色で、まるでアメリカの昔の時代の映画に出てくるヒロインのような格好だった。
人生相談、よく当たる占い師がいる、その占い師はめっぽうセクシーだと言う噂だ。若菜も、チラッと隅のテーブル席に目をやった。よく見るとテーブル席には、タロットカードみたいなものも置いてある。
若菜「蕾、あの角の席にいる女の人、あの人、占い師っぽくない?」
コソコソと小さな声で話す
蕾と若菜が、同じ方向を見ている。
蕾「あ~.. ぽいよねぇ~.. 私も思ってた..」
若菜「どおしよう汗 私、緊張してきちゃったよォ」
若菜がまたそわそわし出す。
蕾「私が聞いてくるよ」
蕾は普段大人しめな性格なのだが、こういう時になると、さっぱりと案外行動できる。
蕾はその女の人の近くまで行くと声をかけた。
蕾「あのぉ.... 二時に待ち合わせの、前田ですが、あのぉ.. 占い師の人ですか?」
占い師は、読んでいた本に栞を挟むと本を閉じ、金縁のメガネを外すと蕾の方を見た。
占い師「 はい。そうよ。こんにちは。今日のお客さんは、二人の可愛らしいお客さんみたいね。あっちに座ってるお友達も呼んできて。どうぞ、こっちに座ってね。」
続く




