第2話 L’eau enveloppée d’un ruban
ロー・アンヴロペ・ダン・リュバン( L’eau enveloppée d’un ruban ) は、店名がべらぼうに長いカフェで、常連客でさえ、覚えることが出来ず、「ほら、あのフランス語のながーい名前のお店に行こう」と言って、行く約束をする、そんな具合だ。最近、20代の女子に、密かに人気が出てきていて、今日は豊島 蕾 と前田 若菜もその店が前から気になっていて、今日は、2人で行こう!ということなり、約束をして、会うことになった。蕾は若菜より先に早く着いたので、その駐車場で若菜を待っていた。
蕾は、若菜と高校時代、同じクラスで、仲良しだった。卒業してからは、お互いがそれぞれ違う会社へ就職し、忙しい日々を送るようになっていたのだが、それでも、時々、二人の休日が合えば、会って、お互いに気になるカフェへ行ったり、季節が変われば一緒に新しい洋服を買いに出かけたりしていた。
そして、会えば、会社の悩みや恋愛の話を言い合ったりして、励ましあったり、慰めあったり、ブーブー愚痴を言ったりして、お互いストレスを吹き飛ばしていた。
早口でペラペラペラペラとゼンマイ仕掛けの人形みたいに、ネジが止まるまで、夜遅くまで、話し続ける。餅つき手と搗き手のように、一人が話し、一人が合いの手を入れる調子で、おしゃべりの、真っ白い「友情」という名のふっくらお餅がこねられて出来上がっていくみたいだ。反比例して、ケーキセットのケーキと飲み物の量は、二人のお腹に入り、減っていく。そして二人とも帰る頃には、すっかり心晴れやかになって、帰るのであった。
店内は、白色を基調とした店構えで、フィカス・ウンベラータやペペロミアなどの観葉植物が飾られていて、女子の好きそうな雰囲気満載。メニューは、に生クリームをクルクルっと高く積んであるキャラメルパンケーキが、注目の一押しスイーツ。
このカフェは前々から人気があるのだが、最近、更に人気が出てきている。何故かと言うと、よく当たると評判の占い師がいて、店の一角を借りて、占いや人生相談をしている。その占い師に、我もわれもと見てもらいたくて、ここのところ、若い女性を中心に、お客が断たないのである。
蕾が、携帯の画面を見つめている。画面に映し出されているのは、1週間前に郡山碧《こおりやま あお》から届いたLINEの文だ。
蕾 ( 郡山、何してるかな? LINEしてからもう一週間が経つんだなぁ....。早いような遅いような。。一週間も経ったら、もう私の事なんて、普通に生活してる中で、思い出したりしないんだろうな....。)
返信が来ない理由を、考えないようにしている自分がいた。
若菜「蕾、ごめん、待った?」
若菜の声が聞こえて、蕾が携帯の画面から目を離し、顔を上げる。二ヶ月ぶりに会う若菜は、大きな変化はなく、相変わらずかわいいと、蕾は思った。若菜は、昔から服装やメイクなどに興味があり、人一倍気を使っている。そんな若菜のそばにいて、自分も女子力を高めでありたいと蕾も思いながら過ごしている。
蕾「うん。待ってないよ。私も今来たところだよ。」
若菜「よかったぁ。道が混んでて汗」
蕾「大丈夫だよ。」
若菜「なんか今回は間あいちゃったね.. 蕾も私も忙しくて、なかなか会う日が合わなかったね(汗) 蕾ぃ、会えて嬉しいよ!」
蕾「うんうん! ほんとに会えなかったよねぇ。でもずっとLINEしてたから、久しぶりな感じはないな。」
若菜「うん、そうだね。今日は.... 私は.....占い師さんと会うから、少し緊張してるよ。何か嫌なこと言われたらショックだもん、、」
始まった。若菜は昔からそうだ。好奇心は旺盛なのだが、その割には、いざ行動する時になると、石橋を叩いて叩いて、叩き割って渡れなくなっちゃうんじゃないかってこっちが呆れるくらいまで叩いて、確認して、渡るタイプだ。
蕾は、(いつもの若菜だ)と、心の中で一人で笑うと
蕾「でも、見てもらいたいんしょ?」
蕾が若菜の心の中を突っつくように、笑顔で若菜に聞く
若菜「うん。」
続く




