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第25話 日に日に増す

若菜は、吾妻に、脇腹を支えてもらって、

ドキマギしている。






吾妻「 立てそう? 手を繋ぐ?」








若菜「 んにゃあ!!! いや、い、い、い、いやいやいやいやいや、そんな手と手が触れるなんて、いけません!!! まだ、今、まさに、まさに、今、交際が始まったわ、わ、わけ、わけ、わけですからぁ!! まず順序立てて、進まないとです!(汗) 」






若菜の話し方の勢いに少し驚き、吾妻の目が点になると、その後、目は微笑み口元が緩み笑顔になった。








若菜 (これは現実なのか、夢かもしれない。いや、これは、さっきからずっとやっていた妄想劇の31回目かもしれない。汗)



座り込んでいる若菜は、もう一度確かめるように上を見上げた。


優しい目をした彼が笑っている。
















彼がいる。

現実だ。



















若菜「 どぅふぇちゃあーーー〜ーー!!!!!! あ~~ーーーー~...........















ぁあ......

















ぁあ.......






















幸せ....... 」

















































嬉しいことは



突然



前触れもなくやって来たりする。


私は


胸のドキドキが止まらなかった。





神様、



もし 出来ましたら、何が起こるのか


前もって教えてもらえないでしょうか?



そしたら 心の準備ができるから..





















────────





─────










───











──

















それから、私たちは、毎日お互いの仕事が終わると、カフェで待ち合わせて、会うようになった。私は会えば会うほど、吾妻君の優しさを知った。

第一印象は、冷たい人だなと思ったが、

何回も会う度に、彼の何気ない優しさに触れた。

付き合えていると言う事が、まだ信じられなかった。

これは奇跡だと思う日々だった。









休日が珍しく合った二人は、景色が一望できる山の上のレストランへ行こうということになった。


初めてのちゃんとしたデートだ。




若菜は、デートの前日の夜、明日着ていく服を選んでいた。全く決まらない。









姿見に映る自分を見つめながら、若菜は、吾妻を思い出していた。








若菜 ( .......吾妻君は、優しいなぁ。












でも..














..........あの茶色い瞳。







やっぱりどこか...

あの瞳の奥はいつも冷めている気がする。








本当の気持ちを隠している気がする。








でも、もしなにか嘘をつかれていたとしても、

私のことが本当はそんなに好きじゃなかったとしても、

私は今、彼と付き合えているんだから。





この関係が壊れないようにして、

今が順調なのだから、

これからもっと仲良くなれば良いのだし、

必要以上に彼の気持ちを探ったり、

つきとめたりするのはやめよう。

それで、嫌われちゃったら嫌だし..。)














そう若菜は思った。









ベッドにはいくつもの洋服が広げられている。若菜はその中から、クリーム色のストライプ柄のブラウスに、紺色のフレアスカートを選んだ。いつも吾妻が落ち着いているから、明日は、吾妻くんに合わせて、自分もきちんとした印象の装いにしたかった。











若菜「これにしよっ」



















──────










───









──









─────────











───











──















若菜「吾妻君、、、また雨降らないといいね。せっかく、景色の良いレストランに行くからね。」






吾妻「そうだね。」








二人は、吾妻の運転で、山の上のレストランへ向かっていた。雨雲が厚く、今にも雨が降り出しそうな天気だった。

車内では、会話が続くか心配していた若菜だったが、その心配は杞憂に終わった。話題は絶えなかった。若菜が吾妻に誕生日や星座や血液型などを尋ねると、吾妻が優しく笑顔で答え、若菜が吾妻のことを一つ一つ知る度に、まるで子供が宝物をみつけたかのように、「ふぇえ~」とか「ふぁあああ」とか目を輝かせながら、反応していた。










吾妻「 若菜ちゃん。今日のファッションいつもと雰囲気違うね。 」






若菜「あっ、うん。汗 。 ちょっと大人っぽくしてみようと思って。落ち着きある女性を目指しています。」








若菜が右を向き、運転する吾妻に向かって答える。吾妻が笑ってる








若菜 ( ふぁぁああぁぁ..... 吾妻君の運転姿.. 貴重だわァ.. ァア.. かっこいい.. )








吾妻「 落ち着きある女性かぁ。...なれるといいね。俺は、いつもの若菜ちゃんのファッションも良いと思うけどね。」









若菜 ( 吾妻君は、今日に限って、上下フリースのリラックスな格好で来た。「吾妻君は今日はリラックスモードだね」と、私が言うと、「仕事中はワイシャツだから、休日はのんびりできる格好がしたいんだ」と吾妻君は言った。

私と吾妻くんが並んでいると、少しちぐはぐな雰囲気になってしまった。いつか、お揃いコーデとか、してみたい♡ ぐふっ。 )











若菜 ( そういえば、さっきから、私、普通に『吾妻君』って、呼んでるけど、



本屋の外からただ彼を覗いていた頃の私を思えば、私の口から吾妻君なんて、、、言葉が、、。自然と、出ていること自体、凄いことなのだ。





吾妻君。吾妻君。あずまっくーん。あずまっくすぅ~。 あずあずぅ~。あずまー。











何回でも呼びたい。







ニヤつく顔を隠して、涼しい顔して、



もっと呼びたい。んんぅん♡








ゆい君♡ 結翔ぉー♡



なんちゃって。

ぐふふふふ♡♡








えっ ちょっと待て.. 吾妻くん、いつもの私のファッションも良いと思うって聞こえた気がするぅ。 ぅぅ.. うれぴぃ。感涙)






若菜「 あ、あ、あ、ありがとう。 嬉しいよ」












助手席で、目をキョロキョロとさせて、嬉しそうに落ち着きなく体を左右に揺らす若菜が、運転する吾妻の視界にさっきからずっと入ってくる。













吾妻「おもしれーな。やっぱり」



















レストランの駐車場に着くと、二人は駐車場から店までの緩やかな上り坂を歩いた。

天気が良ければ、店までの道の脇に咲いている野花や新緑を見て楽しんだり、話しながらのんびりお散歩できたかもしれないが、二人は今にも降り出しそうな空のもと、少し早歩きで向かった。





若菜「ねぇ、吾妻君、もう少しかなぁ。ここ、犬のお散歩してる人も多いね。ほらほら、あそこ見て。コーギーいるよ。」


はしゃぐ若菜。




そこに、車がスピードを出して、飛ばしてきた。二人の歩く歩道のギリギリの際(きわ)を通り過ぎようとしている。


若菜は吾妻の前を歩いていた。若菜は車に気づいていない。吾妻君が若菜をサッと歩道の内側へ自分の方に引き寄せた。



若菜「ぅわぁっ。」




かなり早いスピードで車が二人の横を通り過ぎた。



若菜「あぁ.. びっくりした..」



吾妻「ひどいな、あの運転。 」



吾妻君と急接近してる事に気づきまたドギマギする若菜。



若菜「ぅう.....!」






吾妻の胸元の辺から、石鹸の香りに混ざった男の人の匂いがふわりとしてきた。




若菜 ( この匂いに惹かれちゃう。もっと吾妻君とくっついていたい!! 紫陽花にくっついてるナメクジみたいに。ナメクジクジ。)











吾妻「 大丈夫? 」









若菜「う、うん。ありがとう。」

















日に日に吾妻くんの優しさを感じていく。












若菜「あっ........」













ついに雨が降ってきた。

若菜は、腕に雨粒が落ちたのが分かった。












若菜「吾妻君、降ってきちゃったね。急ご。」









吾妻「だね。」












ここのところ雨の日が本当に多い。

雨粒の跡が、吾妻のフリースのアウターに、ぽつり、ぽつりと、増えていく。

二人は雨から逃れるために、頭を下げ、足早に店へ入っていった。








二人は窓側席に着くと、ウエイターがメニューとおしぼりとお水を持ってきた。やっと落ち着くことが出来た。もう食べたいメニューは決まっていたので、早々に注文した。二人は、眼下に広がる霧がかった街並みをぼんやり眺めながら、どちらからともなく話し始めた。













若菜「 晴れてたら、もっと、景色良かったのにねぇ。」





吾妻「これもまた、風情があるって思えば」







若菜「そうだね。(*´˘`*)







..........ねぇ、吾妻君。 そういえば、私が吾妻君に告白した時、、、、なんでタメ口だったの? 私、一応、あの時、お客さんだったし、」










吾妻「 だって、若菜ちゃん、俺と仲良くしたそうだったから。」








若菜は、吾妻の言葉に、笑い吹き出してしまった。






若菜「え? (笑)


吾妻君って凄い自信家だね。

うぬぼれ屋って人に言われても、否定できないわね。」










吾妻「 でも、、実際、、、、当たってたでしょ?」










若菜「まぁ、、、、まぁ、、、、、、ねぇ。。。(汗)





私、吾妻くんと仲良くしたそうに、


そんなふうに見えてたんだね、わたし。てへ。」













吾妻「うん、かなり。



若菜ちゃんは隠し事できなさそうな性格だからね。」









そう言うと、いつもクールな綺麗な顔立ちの吾妻が、若菜だけに、優しい笑顔を見せた。









この時々する笑顔がズルいのだ。






油断してると、心をギュッと掴まれる。


まぁ、掴まれて嬉しいのだが..















若菜は、また自分の鼓動の音が

早くなっていくのが分かった。

















───日に日に『好き』が

増していくのが分かった。
















続く





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