表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミック③巻発売中!【最強は田舎農家のおっさんでした】配信文化の根付いた世界で田舎農家のおっさんが伝説の竜を駆除した結果、実力が世界にバレました。  作者: 天池のぞむ
第6章 新たな始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/104

第88話 幻獣グリフォン戦


「な、何だ――!?」


 響き渡るグリフォンの咆哮。


 それは耳にした者をすくませる音の塊であり、ゴーシュたちは音の発生源である山の方へと意識を向けた。


「今のは……魔物の咆哮でしょうか?」


 異変に気づいたミズリーが身を低くして呟く。


「でも、明らかに普通の魔物が放つ咆哮じゃなかったわよ。幻影なんかじゃないわ、絶対に」

「俺もそう思う。きっと野生の、本物の魔物だ」

「悲鳴みたいなのも聞こえた。たぶん、誰か襲われてる」


 そこまで推測し、ゴーシュたちが次に起こす行動は決まっていた。


 咆哮が聞こえてきた山の方へと駆け出す一行。


 その様子は配信画面にも映されており、リスナーたちも異変を察知することになった。


【何事!? とんでもない雄叫びが聞こえてきたぞ!】

【鼓膜ないなった……】

【魔物の咆哮でござろうか。しかし、あんなのは聞いたことがないでござる】

【ゴーシュさんたち山の方に向かってる?】


【なんかトラブルか?】

【ロコちゃんが悲鳴聞こえたって言ってたな】

【ヤバい感じじゃねこれ。絶対変な魔物が出たやつだって】

【会場もざわついてる。メイシャ嬢も指示出してるな】

【この不穏な感じ、ニーズヘッグが出た時を思い出すな……】


 只事ではない雰囲気を感じ取りつつ、リスナーたちの間にも不安が広がっていく。


 一方で咆哮の発生源へと急ぐゴーシュたち。


 ほどなくして、ゴーシュたちは脅威と相対することになった。


「これって……」


 目にしたのは、文字通り幻として語られる魔物。


 獅子の胴体と鳥の翼を併せ持ち、伝承の中で語られる「幻獣」の姿だった。


【なんだコイツ!?】

【でっか】

【魔物には違いないが……。明らかに普通じゃねえ!】

【獣と鳥が合体してる?】


【こいつ、もしかしてグリフォンか?】

【↑グリフォン?】

【↑本の中で見たことある。ここ50年の間で発見されてないから絶滅したって思われてたらしいが……】

【なんでそんなヤツがいきなり現れたんだ!?】

【ヤバいぞこれ。ここって王都からも近いんだろ?】


【というか倒れてるのは《黒曜の翼》の連中か?】

【あそこマウント取りの配信が多くて萎えた】

【私もあんまり好きじゃないー】

【昔は過激な配信でも数字出せてたんだろうけど今はそういうのキツいわな】


【なんでこんな所にいるんだ? 昨日いつの間にか予選落ちしてたよな?】

【違法配信でもしようとしてたんじゃね?】

【どっちにせよ、このデカブツをなんとかしないとな】

【ゴーシュさんたちならやってくれるさ!】


「おいおい、グリフォンとはオレ様でさえびっくりだぜ。おとぎ話の中にしか出てこねえと思ってたが。パルクゥ、お前の10倍くらいデカいぞ」

「呑気なこと言ってる場合じゃないでしょ! こんなにおっきな魔物が暴れまわったらこの辺り一帯壊滅しちゃうわよ!」

「よく見たら、倒れているのは《黒曜の翼》の人たちですね。幸い気絶しているだけのようですが、このままじゃ危険です」


 なぜ《黒曜の翼》の連中がこの場所にいるのかは謎だったが、今気にするのはそこではない。


 確実に言えるのは、眼の前にした魔物を放置することはできないとうこと。

 つまり、グリフォンを倒す必要があるということだった。


「どうしてこんな魔物がいるのか……も考えるのは後だな。ここは会場からも近い。パルクゥが言うように、こんな魔物が暴れたらタダじゃすまないぞ」


 グリフォンを見据えつつ、ゴーシュは大剣を構える。

 対するグリフォンもゴーシュを敵と定め、低い唸り声と共に鋭い眼光を向けてきた。


「まずは怪我人を離れた場所へ。その間、アイツは俺が相手する」

「分かりました。ゴーシュさん、お気をつけて」


 ミズリーたちに指示を出し、ゴーシュはグリフォンの足元へと向かっていく。


「ハァッ!」


 初撃は地面に接している前足を狙った斬撃。


 ゴーシュの放ったそれは牽制の意味合いがありつつも、威力十分な一撃に見えた。


 しかし、グリフォンは狙われた前足を引き抜き、そのままゴーシュ目掛けて振り下ろしてくる。


「ぐっ――!」


 尋常ならざる速度で行われた反撃だったが、そこはゴーシュも数多くの修羅場を経験してきた猛者である。

 グリフォンの反撃に対して即座に反応し、ゴーシュはグリフォンの黒い鈎爪(かぎつめ)を大剣で受け止める。


 グリフォンの爪はかなりの硬度で、ゴーシュの大剣の方が鈍く(きし)んでいた。


(重い――。これはまともに食らったら厳しいな)


 大剣と鈎爪による拮抗となるが、ゴーシュは《浮体》を応用した動きで上手く体を回転させ、距離を取った位置に着地する。


 そのまま大剣を後ろに引き、ゴーシュは攻勢に打って出ることを選んだ。


「四神圓源流――《紫電一閃》」


 空気を斬り裂きながらグリフォンの胴体に向かう剣撃。


 しかし、それがグリフォンに命中することはなかった


 グリフォンは大きな翼を広げたかと思うと、空高く舞い上がったのだ。


「と、飛んだ!?」


 グリフォンの飛翔を目の当たりにして、一同は空を見上げる。


 地上とグリフォンの間には相当な距離ができており、ゴーシュは攻撃の手段を奪われることになった。


【惜しい! もう少しで当たってたのに!】

【飛ぶなんてヒキョーだぞ!】

【って言っても相手は鳥だしな。いや、鳥とはちょっと違うかもしれんが】

【あんだけ高く陣取られるとキツいか】


【あんな巨体なのに素早いとは。やはり普通の魔物じゃないでござるな】

【俺なら最初の一撃であの世いってる】

【でも時間稼ぐことには成功したぞ。怪我人の避難もどうにかなった】

【遠距離攻撃がほしいところだけどあんだけ高いと当たるか?】


「ゴーシュさん!」

「避難終わったわよ! 倒れてた連中は岩陰に隠してきたわ!」


 怪我人の避難を終わらせたパルクゥたちが息を切らしながら戻ってくる。

 とりあえず戦闘中に巻き込む心配は無くなったことで、ゴーシュは一つ安堵した。


「空を飛ぶ魔物も何度か戦ったことはありますが、あれはちょっと距離が離れすぎてますね」

「ああ。あれだけ高い位置だと俺の攻撃は届かない。パルクゥ、魔法ならいけるか?」

「ちょっと遠いわね……。でも、やってやるわ!」


 ゴーシュの問いに返事して、パルクゥは上空にいるグリフォンへと杖を向ける。


 そして短く息を吐き出し、鋭い目つきで目標を捉えた。


「いくわよ――。《プロミネンス》!」


 パルクゥが唱えると、杖の先端から上空に向けて業火が放たれる。


 それは広範囲に及ぶもので、勢いよくグリフォンに向かっていった。


【炎の魔法か!】

【なんちゅー火力!】

【真剣モードのパルクゥきたー!】

【いっけぇえええ!】

【これは避けられねえぞ!】


 パルクゥが放った業火はグリフォンの至近距離まで迫る。


 そのまま直撃するかに思えたが、そうはならなかった。


 ――グギャァアアア!


 グリフォンが勢いよく羽ばたいたかと思うと、竜巻のような風が発生し業火と激しく衝突する。


 結果、パルクゥが放った業火は相殺され、グリフォンにダメージを負わせることはできなかった。


「えぇ!? 風で消されちゃいましたよ!?」

「くっ……。威力が落ちてる。やっぱり距離が遠すぎたんだわ」

「おのれバサバサやろう。もう少しで焼き鳥だったのに」


 また膠着状態か、それとも今の竜巻で反撃を仕掛けてくるか。


 ゴーシュたちは備えに入るが、グリフォンの取った行動は予想外のものだった。


「あっ!」

「マズいわよ! アイツ、会場の方に向かう気だわ!」


 グリフォンはゴーシュたちの方ではなく、大勢の人間が集まる会場の方へと飛んでいく。


 その勢いは凄まじく、このままでは会場に集まった人間たちが襲われるであろうことは容易に想像がついた。


「ワリィな。それはさせねえぜ」


 ――ッ!?


 瞬間、雷のような閃光が走り、グリフォンの巨体が空中で大きくぐらつく。


 その攻撃はグリフォンの翼を(かす)めた程度だったが、予期せぬ攻撃はそこでは終わらなかった。


 体勢を崩したグリフォンに向けて、投擲(とうてき)された斧が回転しながら襲いかかっていたのだ。


 ――ガァッ!


 グリフォンは身をよじって第二撃を躱し、何とか事なきを得る。


「あら、残念ね」


 致命傷となるダメージは無かったが、それでも十分だった。


 グリフォンの進攻は阻止され、ゴーシュたちはその攻撃の発生地点に目を向ける。


「今のは……」

「よぅゴーシュさん。加勢するぜ」


 そこにいたのは、ゴーシュたちがこの大会で競ってきた銃使いの青年と斧使いの少女だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

本作のコミック第①巻が発売です!
ありがたいことにSNSでバズりました(^^)
漫画版ならではのオリジナルエピソードなども満載ですので、ぜひお楽しみください!
※画像を押すと販売ページに移動します。無料試し読みも可能です!

最強は田舎農家のおっさんでした

▼▼▼こちらの作品もオススメです!▼▼▼

元社畜の転生おっさん、異世界でラスボスを撃破したので念願の異世界観光へ出かけます ~自由気ままなスローライフのはずが、世界を救ってくれた勇者だと正体バレして英雄扱いされてる模様~





↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押していただけると作者への応援になります!

執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ