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異世界転生で理想の生活を  作者: かおりん@
1章

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職業:英雄

 ◆職業:英雄


 奴隷商の商館の前でロリソンと待っていると、ロリソンの配下がエミリアを連れてきた。まだ昼前だったし寝てたかも、と思ったけど早い方がいいだろ、と思って急がせてもらった。


 エミリアが来るまで、ロリソンと雑談をしていたが、ロリソンの女性の趣味に理解を示してくれるものは皆無のようで。オレが自分の趣味ではないが、そういう趣味があることは否定しない姿勢を見せると、ロリソンの態度が豹変した。


「わかってくださいますか。少女のあの儚い美しさを引き伸ばせるこの天啓(スキル)は私には掛け替えのない天啓(スキル)なのです。

 性奴隷として購入していますが、彼女たちには十分な生活を保証していますし、身体に無理をさせるような要求はしていません」


 その顔付きは真剣だった。紳士なロリコンなんだな。この世界では合法なら文句はない。


 エミリアが走ってやってきた。


「イソ様!」


 そのエミリアを見てロリソンの顔色が悪くなる。なんか吐きそうだ。


「し、失礼。どうにも私、エミリアのような女性を見ると生理的な嫌悪感が先立ちまして」


 わー本物のロリコンだー。


「とはいえ、隷属の首輪が必要なのも間違いない話なのです。急いで譲渡の手続きをしましょう」


 エミリアには詳しい話を聞かせる間もなく商館の中に入っていくロリソン。


 手続きは簡単だった。


 ロリソンの持つ所有者カードにオレの血を1滴。その後、奴隷商の天啓(スキル)で奴隷譲渡を行い、エミリアはオレの奴隷となった。


 ステータスに「奴隷」の項目が増え、エミリアの名前が表示される。


 エミリアの名前を注視すると「使役項目」が見える。事細かに設定できるけど。


 いまのところは、主人に対し「殺害禁止」「攻撃禁止」「秘密厳守」くらいでいいか。「命令に絶対服従」とかあるけど、ここは「命令の強制」くらいでいいだろ。ロリソンはその趣味のために「過度の栄養摂取禁止」とかスタイルを維持する項目までチェックを付けていたようだけど。


 …いや、これはチェックを付けておこう。合わせて「適切な栄養の摂取」も項目に入れておく。エミリアがふくよかになるのも、おっぱいが小さくなるのも認められない。スタイル維持は強制させてもらおう。


「あの、イソ様?」


 あ、説明忘れてた。すでにロリソンは立ち去っている。商売の相手が妙齢の女性だった場合にどうするんだろうね?


 とりあえずエミリアに説明しなくてはなるまい。


「エミリア。早い話が、オレはエミリアをロリソンから買った。

 今日からエミリアはオレの奴隷だ」


 エミリアはもちろん驚いた顔をしている。


「イソ様、そんなにお金持ちだったですか?」


「いや、正直貧乏だ。暮らしは楽じゃないと思う。ロリソンの屋敷での暮らしより間違いなく落ちるし、もしかしたら娼婦通りのテント生活の方が快適かも知れない。

 でもエミリアがオレと一緒に冒険者をやりたいって言ったから、ちょっと無理して買った」


 エミリアがぎゅっと抱きついてくる。


「嬉しい、です」


 ちょっと目が赤いのは泣きそうだからか。


「そういうわけで、今日は忙しい。エミリアの冒険者生活スタートの準備をしないとならない。まずはテントを撤去しようか」


 ◇◇◇


 テントの撤去はすぐに済んだ。アイテムボックスをもうひとつ作ってエミリアに渡し、私物はすべてそれに入れてもらう。アイテムボックスを使うところは他人に見られたらダメと言いつけることを忘れない。テントの中なら使い放題だ。


 テントはバラしてオレの収納に。ハッスルしても大丈夫なテントだから、野営にも使えるだろう。今後、野営が必要な依頼を受けないとも限らないし。


 日用雑貨はエミリアには自前のものがあるので不要だけど、せっかくなので服は買おう。防具屋に行って女性向け冒険者の服を選ぶ。


 エミリアはスタイルがいいから、何着ても似合うね!


 上着はオレのとそんなに変わらないヤツで、厚手のシャツに革のベスト。短めのスカートに防御効果のあるタイツ。膝上までの革のブーツ。上着とスカートは色違いでふたつ買った。着替えは必要だろ?


 あとオレの趣味でホットパンツだな。ハンナさんみたいなの。これも似合う。へそ出しは、今後レベルが上がったら考えよう。


 着替えたら冒険者ギルドへ。


「あら、今日は遅い時間ですね。そちらは?」


「訳ありで奴隷を買いました。冒険者登録をお願いします」


 この世界、奴隷は珍しくない。そのため、自分の護衛として奴隷を買って、冒険者ギルドに登録し、戦闘奴隷として一緒に依頼をこなすのも珍しい話ではないし、実際奴隷商ではそういう奴隷も扱っている。奴隷商館の陳列ケースでポージングしていたガチムチの男たちだな。


「では、こちらの書類に記入をお願いします。それとカードに血を1滴お願いします」


 怪訝そうな目でオレを見ているアマネさん。エミリアは言われた通り書類に記入。血を垂らしてアマネさんから治療(キュア)をかけてもらっていた。


 ロリソンのところでは基本的な教育は行われていたようだな。お嬢様育ち的な常識はずれのところはあるが、読み書きは問題ないようで。


「ついでにギルドバンクの口座開設もお願いします。エミリア、お小遣いから銀貨を1枚出して」


 実はエミリアの所持金はそれなりにある。金貨ほどではないが、銀貨を数十枚持っているのだ。全額預けてしまってもいいと思ったがエミリアが不安になるとマズいのでまずは銀貨1枚。ギルドバンクの説明もおいおいして行けばいいだろう。


「エミリアさん、18歳ですね。では、こちら剣士の宝玉に手を乗せてください」


 お決まりの手続きだ。


 エミリアは期待通り剣士よりの才能があるらしい。魔術師の鑑定もしているよ?


「職業は剣士でいいですか?」


 エミリアが振り返るので、オレはうなずいた。


「イソさんが決めるんですか…。まあいいです。奴隷ですしね。知ってました? 男性が自分で買った性奴隷と性行為をする分には浮気や不倫にならないそうです。嫌がる女性もいますけどね。私は器が大きいので、そんなことは気にしないですよ!」


 いや、絶対気にするだろ、あんた。良好な関係も長くないかもな。


 ちなみに口座開設の遺言は、エミリアが死んだら全額オレのものになった。エミリアが死ぬときはオレも死んでると思うけどな。


「それよりパーティー申請を教えて欲しいんですけど」


「そうですか。ひとまず奴隷とパーティー組むんですね。悪くないと思います。パーティー内での統制が取れてないと壊滅することがありますから。

 では、イソさんのギルドカードもお願いします。パーティー登録をしてきます」


 アマネさんはオレのギルドカードを受け取ると、今作成中であろうエミリアのギルドカードの在り処に向かった。


 でき上がったギルドカードと一緒にサービス装備を持ってきてくれたが、オレのときと違ってブーツはなかった。エミリアのロングブーツを見て不要と判断したんだろう。


 女性向けの軽鎧に片手剣。


「盾ってサービス対象にありますか?」


「ありますよ。バックラーでいいですか?」


 実物を見せてもらった。鉄の丸い盾で大きくはない。表面がゆるく湾曲しているので、受け流すための盾なんだろう。


「女性だとアレもいいかな?」


 また奥に戻って今度は頭用のアクセサリーを取ってきた。


「サークレットね。兜にはかなわないけど、一応魔法効果があるので、頭全体に有効な防具なの。視界を損なわれるのを嫌う弓術士とか、見た目を気にする女性とか、そもそも兜を装備するだけの体力がない盗賊とかの愛用品」


 相変わらずサービス過剰なことで。


 ひと目がないので、片手剣以外の装備品をオレの収納へ。


 準備ができたらしいので、剣術指南を受けるため、エミリアと修練場に。


 で、オレはエミリアのステータスを確認していた。


 同一パーティーになると本人の許可があればステータスを見ることができるとのこと。エミリアはオレの奴隷なので、そもそも拒否できない。


 そんで、エミリアのステータス。


名前:エミリア(奴隷)

年齢:18

Lv:1

基本     職業補正

体力:13(13)91(91)

魔力:11(11)77(77)

筋力:11(11)77(77)

知恵:12(12)84(84)

敏捷:13(13)91(91)

器用:12(12)72(72)

幸運:12(12)72(72)


職業:剣士 魔術師 英雄

・英雄Lv1

体力:4

魔力:4

筋力:4

知恵:4

敏捷:4

器用:4

幸運:4

・剣士Lv1

体力:2

魔力:1

筋力:2

知恵:1

敏捷:2

器用:1

幸運:1

・魔術師Lv1

体力:1

魔力:2

筋力:1

知恵:2

敏捷:1

器用:2

幸運:1


 思った通り、職業が剣士、魔術師、英雄の3つ付いてる。


 そうかぁ。職業チート、パーティーメンバーにも有効かぁ。


 いろいろとバレると面倒なので、ステータス拡張で見えてはいけない部分をステータス(裏)に移動する。


 ふと思いついて、オレの職業をステータス(未使用)に移動してみた。


 すると職業に関連する天啓(スキル)も未使用に移動する。


 臨時にパーティー組む場合は、事前にギルドカードを確認して、他の職業を未使用に移動しておけば職業チートはバレないで済むな。


 しかし。


 天職・英雄は天啓(スキル)もすごいわ。


スキル:

 攻性スキル無効

 英雄覇気Lv1

 カリスマLv1

  魅了

 限界突破

 身体強化Lv1

 剣術

 槍術

 盾術

 弓術

 聖魔法

 火魔法

 水魔法

 風魔法

 土魔法


 具体的な技も魔法も取得してないから、まだ技術の伴わない天啓(スキル)だけど、鍛えて行けば、まさに英雄だわな。


 とか見ている間に剣術Lv1を取得したようだ。盾の使い方は別のひとが教えてくれるとのこと。


 盾の技は盾撃、シールドバッシュだな。あとは盾で攻撃を受け止める受け止め。攻撃を受け流す受け流し。文字通りの技だな。


 しかしまあ。天職・英雄がすごいのか、エミリアの素質なのか。


 ほとんど見ただけで技を習得するよ。


 じゃあ、次の段階に進むとしようか。


 パワーレベリングだ!


 ◇◇◇


「しがみついているだけでいいです?」


「その代わり、絶対オレの身体を離さないように」


 森の前に来ている。まだ安全な場所だ。


 パワーレベリングのやり方は、隠密(ハイディング)と転移(短)で魔物に接近し、魔法で撃破。魔石を回収し、次の魔物へ、を繰り返す。


 エミリアは英雄による職業補正がすごいから、Lv8を目標にする。これからでも十分なはずだ。それからは草原に移って、隠密(ハイディング)なしで連携の練習をする。


 その前にエミリアがひとりでゴブリンと戦えるか確認も必要だな。


「始めよう」


 やりすぎました。


 男の見栄って恐いね。女の子についついいいとこ見せようとしちゃうのね。


 ゴブリン上位種120匹。魔石も120個。普通のゴブリン200以上。魔石も200以上。


 巻き込まれたツノウサギが30数匹。


 順番に属性魔法を使って倒していたので、魔術Lvも上がり。


 エミリアのレベルは目標を超えLv9。オレまでLv12になりました。


 結果オーライではあるものの、ひっついてるエミリアの感触で辛抱たまらんになって張り切りすぎたのは認める。正直事故があってもおかしくなかったテンションだった。


 反省している。


「イソ様、すごいです。あっという間に違う場所になって、魔物がバンバン弾けてたです。これ、冒険者みんなできるです? わたしにもできるです?」


 エミリアも常識はずれの光景に興奮している。転移(短)がないから、完全に同じことはできないと思うけど。…身体強化って天啓(スキル)で、そのうちできるようになるかもしれない。転移とは違うものなんだろうけど。


 よし、ひとしきり反省はした。


 次はエミリアの戦闘訓練だ!


 …なんて気張っていた時期がオレにもありました。


 なんで? この世界の女の子って魔物が恐くないの?


 口頭で戦い方をレクチャー。実際に、はぐれゴブリンに対して実践してみせて。


 いざ本番。


 剣術・斬撃で一撃の元に倒されるゴブリン。エミリアの突撃や踏込に一切の躊躇いも怯えもなかった。


 数回繰り返してみても同じ。


 もう聞いてみるしかない。


「あのさ、エミリア。魔物恐くないの?」


「恐いです。

 でも冒険者のお仕事、戦うことってイソ様言ったです。

 それに危なくなったらイソ様が助けてくれるとも言ったです。

 イソ様、約束破ったことないです。

 わたし、待ってたときいつも来てくれたです。

 だから、魔物は恐いけど、戦うのは恐くないです」


 信頼が重い。


「でも、オレだって助けられないこともあるかも知れないし。少しは慎重になった方が」


「イソ様、ウソつかないです。

 ここの魔物、さっきの魔物より弱いのはわかるです。

 だから思い切り戦っても大丈夫です。

 イソ様、守ってくれるです」


 パーティーを組むっていうのはこういうことなのかもなぁ。


 信頼は重いが、期待されるなら応えるのが男だろう。つか、オレもエミリアを失うのはカンベン願いたい。


「そうかぁ。じゃあ次は最初に盾で攻撃を捌いてから---」


 訓練は続く。


 エミリアには属性魔法も見せていたら、なんだか覚えた。どっちがすごいんだろうな。英雄とエミリア。


 そのため、個人の戦闘訓練中に英雄レベル、剣士レベル、魔術師レベルが上がった。


 魔術師レベルが上がったときに英雄レベルも上がったから、案外英雄は上がりにくいのかも知れない。


 で、初日なんで、もちろんエミリアの立ち回りはうまくない。


 そのため、何度か失敗してゴブリンの攻撃を食らうこともあったのだが。


「痛っ!」


 と痛覚はあるようだけど、ダメージは0だった。いや目に見えてダメージがないだけで、積み重ねればダメージ1とかにはなるのかも知れないけど、自然回復で回復してしまうレベルのダメージしか負わない。


 ステータス差ってすげぇ。オレがいままでビビりすぎだったのか?


 いや、油断すれば死ぬんだ。剣術とかでクリティカルもらえば、一撃死の可能性だってある。ステータスにあぐらをかかずにキチンと体捌きと訓練は行おう。


 とはいえ、基本前衛のエミリアには盾役をやってもらう予定だ。盾技も覚えてるし、天啓(スキル)の英雄覇気に威圧というのがあって、これが敵の注目を集める効果がある。連携訓練のときは、これを積極的に使ってもらう予定だ。


 結界を張って休憩を取る。サンドイッチの残りと果実水。収納から出したから傷んだりはしてないけど、果実水は冷えてもいない。


 属性魔法で果実水を攻撃すると、冷えるどころじゃないだろうし、どうにかならないもんかなぁと思っていると果実水のコップの周囲に水滴が付いた。果実水が冷えていた。


『天啓(スキル):魔力操作を閃きました』


 ほう。魔力を使っていろいろできるようになった、と。


 ふむ。


 休憩していたところの土を少し掘り出す。


 いままで使ってなかったけど、これくらいはできるだろう、ってことで錬金術を使って土を粘土に変えた。錬金術でいうところの「分離」だな。錬金術は素材から「精製」「分離」「結合」「錬成」を使って最終目的を作る。と鑑定したら書いてあった。


 その中の分離によって掘り出した土の粘土成分を取り出した。


 魔力操作で土属性の魔力により、粘土を形成する。目の前のエミリアをモデルに12歳くらいのイメージで。服はロリソンとこの制服っぽいメイド服がいいかな。


 髪、頭、胴体、腕、足、スカートなど部品単位で生成。目の前にモデルがいるので、イメージは付きやすいけど、きっちり集中しないと、すぐに不格好になる。


 ようやく満足できる形になったので、表面を硬化させて部品を結合。


「エミリアの子供の頃ってこんな感じ?」


 完成品をエミリアに見せてみる。


「えっ!? すごいです。こんな感じというか、このままです。ロリソン様に買われて2年目のわたしです!」


 おーやっぱりか。魔力操作の訓練にはいいかもしれないな、人形作成。着色が課題だが。細工師に話を持って行ってみるか? 後日だな。


 そもそも魔法もイメージが重要だし。


 なお作成した人形はロリソンのところに持って行ったら泣くほど喜ばれた。この頃のエミリアの美しさ、天啓(スキル)が効かなかったことへの悔しさなど1時間ほど話に付合わされた。12歳のエミリア、天使か妖精かって感じだもんな。


 休憩だったようなそうじゃなかったような休憩を終えて連携訓練に入る。元々エミリアのための休憩だったから、オレはいいんだよ。


「連携の訓練を始めよう。最初は3匹くらいから始める。エミリアは天啓(スキル)の英雄覇気・威圧で魔物の注意を集めてくれ。


 その隙にオレが魔法なり剣術なりで仕留める。いけるか?」


「大丈夫なのです」


 転移(短)から魔物発見の流れでテリトリーに入る。魔物がアクティブ(攻性)になる。ここまではいままでと同じ流れ。


「威圧!」


 叫ばなくてもいいんだろうけど、叫んだ方が雰囲気あるよな。


 威圧されたゴブリンは硬直して動けない。オレは片っ端から刺突で仕留めて行った。


 5匹くらいの群れまで試して、ゴブリン程度ではエミリアの威圧が強すぎて、硬直が解けない。威圧が有効なのはわかった。しかし、これでは連携訓練にならない。


 場所を森の奥に移す。上位種相手なら、そんなことはないだろう。


 上位種でもダメでした。さすがに英雄の天啓(スキル)でした。


 と思っていたら。


『天職:英雄を獲得しました』

『天啓(スキル):英雄覇気Lv1を閃きました』

『天啓(スキル):カリスマLv1を閃きました』

『天啓(スキル):槍術を閃きました』

『天啓(スキル):盾術を閃きました』

『天啓(スキル):弓術を閃きました』


 エミリアの英雄覇気を見続けていたからか、英雄を得てしまいました。


 今日はもう街に帰ろう。


 ギルド受付にて。


 エミリアには酒場の方で待ってもらっている。エミリアひとりで大丈夫かな、とも思ったけど、隷属の首輪があるので、誰も声をかけないみたいだ。意味ないからな。


「今日はずいぶん稼いだんですね」


「パワーレベリングと戦闘訓練してました」


「ああ、奴隷の。いまLvいくつになったんですか?」


「Lv9まで上がりました」


「Lv9! 一日でですか!」


 アマネさんは小声で叫ぶという器用なことをする。受付嬢ともなると、このくらいのことは平気でやれないとダメなんだろう。


「それであの魔石の数ですか。カンダさんがうなりながら鑑定してますけど」


「時間がかかるようなら、精算は後日でもいいですけど」


 オレがそういうと、アマネさんは助かったという顔で頭を下げた。


「そうしてもらえると助かります。さすがにあの量は」


「そういえば、オークってどの辺が生息地ですか?」


「いつもの森のさらに奥の方、ですね。森の先はちょっとした山になってるんですが、その裾野辺りにいると思います。

 オーク狙いに切り替えるんですか?」


 ちょっとワクワクしているアマネさん。


「ちょっと事情もありまして。そういや今回の納品でエミリアのランク上げられないですかね?」


「パーティー実績としてなら大丈夫だと思いますよ。ランクFまで上げておきますね」


 アマネさんに挨拶して、混み始めたギルドを後にする。


 宿ではダブルの部屋なら同じ値段でいいという話になった。


 なんでも夫婦とか恋人用にダブルの部屋は用意しているけど、冒険者向けの宿では長期利用者は少ないようで、いつも空いてて少し困っていたということだ。そのため、あまり広くはないがベッドはダブルサイズの部屋は安いとのこと。


 ただ朝食分があるので、値引きなし。


 追加料金を払って引っ越し。といっても、部屋に荷物は残してないから、鍵を交換するだけ。


「このベッド使っていいです?」


「一緒に寝るけどね」


「柔らかいベッドでイソ様と一緒に寝られるの幸せです!」


 鎧を脱いでいたら後から抱きしめられた。エミリアはさっさと脱いでいたらしい。


 そのままベッドに押し倒された。柔らかいベッドといっても安宿のベッドだ。それほどいいわけではない。でもテントの敷物よりは断然いいか。


 結界を張る。


「全部脱ぐです?」


 一日の疲れも吹っ飛んだ気がした。


 さぁて、晩飯の前に自分へご褒美だっ!!



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