シャイバスのダンジョン
◆シャイバスのダンジョン
転生と職業チートは黙っておくことにする。
「英雄? エミリアは英雄なのか?」
呆れるウリーリャ。やはり珍しい職業のようだ。
「限界突破? なんだそれは? 職業レベルが10まで上がる!?」
限界突破もレア天啓だからな。英雄にはデフォルトで付いてくるみたいだけど。オレの英雄も限界突破から生えてきたんだろうなあ。
「そもそも英雄には職業レベルに限界がないと聞いたことはある。
ただ長く生きてきたが英雄を見たのは2度目だな」
英雄はヒューマンにしか現れないとか。長命種の英雄とか、恐すぎる。
「鑑定Lv10!? なんだそれは!
通常鑑定はLv2までだ。それも限界突破の影響なのか?
う~む。なんともこれは…」
ウリーリャが考え込んでしまった。
「つまり、おまえとエミリアには成長限界がないと? いやレベルは生きていれば上げられるが、普通は職業レベルが最大になったところで、それ以上の成長は見込めないのだ。
職業倍率が低い場合は、転職で再挑戦はあるのだが。
それでもヒューマンの場合は寿命がな。何度もやり直せるものではないから、それほど強くはならんのだよ」
その通りだろうなぁ。
「それに予想していたが、やはり空間魔法持ちか。
知っているかね? 空間魔法は、過去ひとりだけ使えるものがいた。
そのひとりだけのオリジナル魔法と言われているのだ。
それなのに、なぜ空間魔法が有名なのか?
空間魔法の使い手が『魔王』だったからなのだよ」
はい「魔王」出てきました。魔王大戦の魔王ですかね。
「しかし転移か。どうりで竜の息を食らってないわけだ。それはあれか? ラグなしで実行できるのか?」
「ラグはありませんね。意識しただけでいけます。身体が触れていれば仲間も一緒に」
「なるほど。勇者が手こずるわけだ。攻撃をしかけると転移で逃げるのだろう? 魔王は魔術師だったらしいからな。無敵だっただろうよ」
過去の話は知らないです。チートで取っただけなので。
「はあ、それで魔術師のおまえと相性がいいのか。無詠唱も持っているのだろう?」
「ええ」
「なおさら強いわけだな」
それよりも空間干渉がチート過ぎると思います。過去の魔王が使えたとするなら、絶対防御でもないと勝てません。
「まあ、これ以上はおいおい教えてもらおう。
こちらから依頼をするときに便利そうな能力があれば頼るかもしれん。
それよりもダンジョンだな」
今回の暴走の原因はダンジョンだろうということになっている。
以前、ラージャの村ソーニッジでも同様の現象だったからだ。
あの辺りはシャイバスの森と名付けられていたようで、仮にシャイバスのダンジョンと呼ばれることになった。
一応、1階層は軽く見てきて、トロール、サイクロプス、ハーピーがいることを確認している。
広さはざっと鑑定したが、かなりの広さになりそうだ。
「ダンジョンを討伐するかどうかも決めねばならん。調査はおまえたちへ依頼することになるだろう。
そうだな。装備は急ぎ手配する。
こちらでランクA冒険者を入口に立たせるから、しばらく氾濫はあるまい。
装備ができ次第、潜ってもらおうか」
簡単に言うが、まあオレたちの仕事なんだろうな。
◇◇◇
それから10日間ほど、屋敷から一歩も出ない生活をしていた。
生活物資、食料なんかは戦乙女が買ってきてたし、オレは食っちゃ寝生活をしてたわけだ。
エミリアは片時もオレの傍を離れなかったし、ラージャもときどきラージャの家に行く以外ではずっと傍にいた。
どうやらオレの様子がおかしかったらしい。
ある程度の自覚はあった。
恐かったのだ。
単純に。
これまで天啓チートと職業チートで魔物に対しては圧倒的なステータスで挑んできた。十分な余力があると思っていた。
それでも力押しできない相手がいることを知った。
色竜が特別だったことはわかってる。
でもいるかも知れないだろう? 他にも。
それに、当たり所が良かったから片腕で済んだけど、下手すれば死んでた一撃。
その痛み。思い出してもぞっとする。
そらオーガに喰われたらショック死するわ。
オレ自身も死ぬのは恐いけどさー。
オレが死ぬような戦場はエミリアもラージャも死ぬ可能性があるわけじゃん。
エミリアが色竜に向かったときは止める間もなかったし、オレも腰抜かしてて動けなかったんだけど、普通なら止めるでしょ。
結果として天啓閃いて片腕斬り落してダメージ与えたけど、時間が経てば生えてきたよね、アレ。
そういう本物の怪物を相手にするのが恐くなってたわけだよ。
間違いなくシャイバスのダンジョンマスターは色竜だろうしね。
まあ、アレには勝てるか。初見じゃないなら対策できるからな。
次があるなら安全に勝てる。
それはともかく、その時は恐くてどうにかなりそうだったってことだ。
戦乙女もエイミーちゃん以外はお見舞いに来たしな。
エイミーちゃんは。
「イソのこと? 心配するだけムダじゃない? 確かに今はひどい顔してるみたいだけど。勝手に立ち直るんじゃないかな?
それにいまのイソにエロいこともお願いできないから、あたしはいいや」
とムダに信頼されていたようだし。
そんなことないよ、エイミーちゃん! オレは弱くて卑怯なチート野郎だよ。このとき迫ればエロいことし放題だったよ!
エミリアたちとも四六時中してたしな。
なんというか追い詰められていて、それの最中じゃないと生きている実感が持てないというか。
ただエイミーちゃんの期待するエロいこととは違ってたかもしれない。
オレから積極的に求めるわけではなくエミリアとラージャにずっとご奉仕してもらってた感じ。エイミーちゃんはあれで攻められる方が好きだからな。
そんな感じだったのだ。
そこへウリーリャが訪ねてきた。
「なんだひどい顔をしておるな。
ああ、いまさら色竜の恐ろしさが理解できたのか。
わかる、わかるぞ。
そうなった冒険者は多いからのう」
うんうんと頷くウリーリャ。
「時間をかければ、己の強さもまた自覚するものなのだが。
ダンジョンの調査もある。このままではいささかマズいのう。
よし、エミリアだけ付いて来い」
エロ部屋に連れ込まれた。どうしてひとんちの間取り知ってんの? …アマネさんに聞いたのか。
ベッドの上でオレの服を脱がせながら自分も一枚一枚脱いで行く。
エルフの裸身というのは、いささかボリュームに欠ける、そう思っていたが。
「なに、大きければよいというものでもない。
美しいだろう? 私の身体は。
触ってみるとよい。柔らかさでも滑らかさでもエミリアには負けんぞ?」
勝ち誇るような言葉は慈母の微笑みとともに。
導かれた手は形のよいおっぱいの上、雪のような白い肌の上、桜色のその先を摘まめば、甘い吐息。
全身を撫で回せば、吐息も大きく激しくなる。
艶やかな表情は大人のそれ。いつもの子供のような悪戯めいた笑みはない。
確かに滑らかで柔らかい。薄い裸身のどこにこれだけの柔らかさを纏うのか。
「子供ではない証よなあ。みなエルフを見た目で誤解しておる。
みな知らぬのだよ、開けば甘い果実のようだとな」
十分にその意味を理解した。
味わいながら、手慣れた手順で探っていく。
「…初手は譲ってやろうかの」
甘い吐息と喘ぎの中で艶然とウリーリャはそう告げた。
1回戦はこちらのペースでやらせてくれたらしい。
同時に果てた。
「エミリアも来るといい」
2回目はエミリアも混ぜるらしい。気絶するようなこともなく余裕のウリーリャ。
エミリアと一緒に責め立てたが、ウリーリャは戸惑うこともなく、普通に果てた。
「エミリアの相手もしてやらねばな?」
次はエミリアをウリーリャと一緒に攻める。
エミリアがオレより先に果てた。普段より大きな絶頂は、そのままエミリアをダウンさせてしまった。
「そのままでは苦しかろう?」
ウリーリャはオレへ馬乗りになってー…。
オレは何度も果てそうになったが。
「私がまだだ。少しガマンせよ」
握るように締め付ける。達したくても達せない。
完全にウリーリャの支配下にあった。
「…ああ、いいぞ。さあ、一緒に果てようぞ」
そうしてウリーリャの胎にぶちまける。
なんで、中が、違う生き物みたいにー…。
似たようなことはエミリアもやる。
しかし、ここまで自由自在ではなかったはずだ。
オレが力尽きて倒れていると。
「のう、イソよ。
何人女を抱いた? 5人か? 10人か?
冒険者として生き残っていれば、もっとたくさんの女を抱ける。
なに、エミリアも悪くない。ラージャもいる。
それで満足するのもいいと私は思うがの。
ただ、いまのおまえでは私は手に入らん。
エルフの女はどうだった?
長命なだけにな、エルフを含め長命種はいろいろな技術に長ける。
いまやってみせた房中術もそのひとつでな。
ララティ程度の年では身に付かん。
冒険者として名を成せば、身を寄せる女も多かろう。
その中には格別美味な女もいるだろうのう。
なんなら私がおまえの女になってもよい。いまはまだダメだがな。
欲に走れ、イソよ。
まだおまえは若い。
それなのに色竜を仕留めた。
まだ上に昇る可能性は十分にある。
なに私もその辺は協力しよう。
幸い、英雄が仲間なのだ。この先は安泰ともいえる。
欲をかけ、イソ。
もっと欲しがるがいい。もっと、もっとだ」
煽り文句だったのだろう。
「わかりました」
復活したオレはもう一度ウリーリャに挑んだ。
◇◇◇
10R以降は数えていない。エミリアも途中復帰し、なんどもウリーリャに下され、互いに貪りあった果てである。
ツヤツヤスッキリした顔でウリーリャは階下のリビングにいた。
オレも心なしかスッキリしていた。
ウリーリャに言われたのは「欲張れ」と「逃げていい」のふたつ。
命懸けの仕事なのだ。ダメなら逃げていい。逃げるのが正しい選択だ。
むしろ逃げ道を用意しないのは馬鹿者だと繰り返し言われた。
オレは追い詰められていたから「逃げる」ことを考えずにいた。
そう「逃げていい」ことは重要なことだ。
誰だって失敗はしたくない。
しかし命より大事なものはない。
名誉は失っても生きていれば挽回できる。
汚名は被っても生きていれば返上できる。
何事も生きていればこそなのだ。
痛みから逃げるのも当然。
安全マージンを取るのも当然。
ウリーリャは改めて当然のことをオレに告げたわけだ。
なにもかも吐き出して真っ白になっているところに、改めて刷り込んだわけだな。
これは効いた。
現実逃避していたオレに現実をしっかりと見せつつ、その現実から逃げていいと教えることで、オレは自分を取り戻した。
どうせ元々チート野郎なのだ。
卑怯でも、なんでも構わない。
オレはオレの思う通り、欲望のままに生きる。
何をしろと言われてるわけでもないしな。
「順序が逆になってしまったが、おまえたちの装備品が用意できた。
今回はギルドに納品された品から加工している。
加工費までギルド負担とすると、えこひいきが過ぎるので、加工費は私が私費から出している。
それをカサに発情期の相手をさせるつもりだったが、先に解消してしまった。
…まあ、なかなかよかったとだけ言っておこう。
これほど胎に溜め込むのも久しぶりだ。ひとりでこれほどとはな。
避妊してなかったらマズかったかも知れん。
発情してなくとも、あれくらいはできるので、したければ声をかけるといい」
確かにテクニックはエミリアを超える。ただこちらが遊ばれてる感はハンパない。
そういうプレイの気分の時はお願いしてもいいかもしれないが。
「ああ、付け加えると私は発情期をある程度はコントロールできる。ギリギリまで伸ばして十数年というところだ。短くする分には毎日でも大丈夫だ。
私との間に子供が欲しいというなら、あるいは私がおまえとの間に子供が欲しくなったら自由ということだな」
このひともある意味エルフとしては規格外なのではないだろうか。
「とはいえ、エルフは子供ができにくい。欲しいとなれば毎日の必要があるだろうな。 ただまあ…まだおまえの子供は欲しくない。
私に欲しいと思わせるくらいの男になることだ」
にやりと笑うのは肉食獣の笑みである。なんなの恐い。
「装備は希望の通りに両手剣・片手剣・双剣・盾ふたつ・鎧が3つだな。
鎧は色竜の皮を基本として鱗で補強してある。
軽量で強靭。なかなか手に入る鎧ではないぞ。
弓の方は間に合わなかった。素材が素材なのでな。
武器と鎧に関してはデデンが扱えたからよかったが。
弓は素材を王都に送っている。仕上がりは待て」
というわけで青竜シリーズが揃った。
剣は青銀に輝く美しい刃で骨を削って染料で染め上げた鞘が付く。鞘には美しい紋様が刻み込まれていた。なんでも強度を上げる紋様だとか。魔術回路の一種かね。
鎧もデザインは以前と変わらない。素材が変わっただけだ。ミスリル合金の代わりに青竜の鱗が使われているわけだな。
持った感じは以前の鎧よりも軽量だ。
これも色竜の皮を使った恩恵なのだろう。
納品されたのは以下。
【青竜の双剣】
ランク:S
追加効果:氷属性追加(右)
雷属性追加(左)
敏捷+30%
器用+30%
【青竜の剣】
ランク:S
追加効果:雷属性追加
敏捷+30%
筋力+30%
【青竜の両手剣】
ランク:S
追加効果:雷属性追加
敏捷+10%
筋力+50%
【青竜の杖】
ランク:S
追加効果:氷属性追加
敏捷+10%
知力+50%
【青竜の盾】
ランク:S
追加効果:冷耐性+50%
敏捷+30%
器用+30%
【青竜の鱗鎧】
ランク:S
追加効果:風耐性+50%
敏捷+30%
筋力+30%
ん? 杖があるな。
「イソは魔術師なのだから杖もあった方がよかろう。
ギルドで渡される、ただの木の杖はランクGだ。増幅効果が一切ない。
その杖は青竜の骨から削りだされたものでな。ランクSになる。
破壊力は桁違いだぞ」
そういやオレ、いままで杖持って魔法使ってなかったわ。
剣にダメージ増幅効果があるなら、杖にあっても不思議はないよな。
場面に応じて使い分けることにしよう。
「あら、新しい装備品なのね。持ってみてもいい?」
ヴァネッサさんが興味を惹かれたらしい。
しかし持ち上げることすらできなかった。
「ランクB以上の装備になると持ち主を選ぶ。討伐した本人は当然として、相応しいレベル帯にならないと持ち運ぶことすらできない。
私がわざわざ使い走りをした理由でもある。
ああ、生産職の場合には素材を扱えないということはない。
こちらは生産職の技能次第だな。
アルスターには腕のいい職人がいてよかったよ」
ウリーリャが笑った。絶対屋敷まで来た理由は発情期のはずだ。
「さて、それではダンジョンの調査に行くわけですが」
オレはウリーリャに視線を送る。
「なんだ?」
「個人的に報酬をお願いしたいんですがね?」
「…言ってみよ」
「先ほどの房中術とやら、エミリアに教えていただくわけには行きませんかね?」
ウリーリャは肉食獣の笑みだ。
「構わぬよ。エミリアもすでに初歩は学んでいるようだしのう。
ただし、その先は口伝とはいかないからの。
実地で教える必要がある。
そうなると相手はおまえになるがよいのか?」
エミリアの相手ならばオレが妥当だろう。
頷く。
「ほう。手本を見せる必要があるのを納得したということだな。
…楽しみにしておれ」
そうか。実地ということならそうなるのか。
ウリーリャの慰み者か…。いやエミリアの技術向上のため仕方ないのことだ。
諦めよう。
「がんばるです」
エミリアに気合も入ったようだ。
「ボ、ボクも覚えた方がいい?」
ラージャが顔を赤くして。こちらはある程度、内容を知ってるようだ。
案外ダークエルフにもそういう習慣があるのかもしれない。
長命種であるのは違いないしな。
「よいよい。一緒に教えてやろう。…イソの身体がもてばよいな…」
若干心配そうな顔をするウリーリャ。
「亀エキスがあるから平気なのです」
エミリアの言葉にウリーリャはにんまりと笑った。
◇◇◇
「新しい装備だ。慣らしながら行こう」
「はいです」
「わかった」
シャイバスのダンジョン1階層目。
通常、ダンジョンの調査はギルド職員で鑑定持ちが同行する。
出現する魔物やドロップ品をその場で鑑定し、調査するためだ。
詳細鑑定ができれば、魔物のレベルもわかるので危険度を判断できる。
もちろん危険なダンジョンであれば、同行するギルド職員のレベルも高い必要がある。
アルスターではカンダさんがLv55で高レベルだが、色竜がダンジョンマスターと思われるダンジョンに同行させるわけにはいかないそうだ。
冒険者ギルドにはギルド職員の安全に責任がある。
冒険者の安全は自己責任だ。
そのため、このような高ランクが想定されるダンジョンの調査は依頼として出されるわけだが。
装備もできたので。
「ちょっとおまえ行ってこい」
という軽いノリで送り出された。
以前のソーニッジでも明らかな通り、ダンジョンは資源である。
ただし、ダンジョンは適切に冒険者によって狩りを行わないと成長する。
単純に階層が広くなったり、増えたりするだけならなら、まだ資源として活用できるので、ある程度ダンジョンが成長するまで手出し禁止とする場合もあると聞いた。
ただ、成長の結果、溢れた魔物がダンジョンの外に出ると暴走に繋がる可能性がある。冒険者が適切に狩れないレベルほどレベルが高く、街の近くの場合にはダンジョンを殺すことも視野に入れなければならないそうだ。
アルスターは大きな街というか領主の街なので、それなりに高ランク冒険者が在籍するため、資源として有効なら残す線で考えたいのがリルルの意向らしい。
リルルにとってはソーニッジの悪夢再びなのだが、アルスターから近く、道の整備も大したことがないため、手配はかなり楽になるらしい。
上の意向がどうあれ、こちらとしてはやることをやるだけだ。
ひととおり魔物の強さを詳細鑑定して、瞬間記憶で鑑定結果を保存すればいいだろう。
弓が間に合わなかったのは残念なところではあるが、以前のランクCの弓なら残っている。遠距離はオレの魔法で誤魔化すしかないだろう。
実は。
オレの火魔法のレベルが上がって。
火魔法Lv6秘伝級というのを覚えた。
蛇火炎強嵐
蛇火炎砲
蛇火炎杭
なんでか蛇と名前が付いている。これらも試していきたいところだ。
さて、それではシャイバスのダンジョン調査、行ってみますかね。




