村落消失事件
◆村落消失事件
デデンさんに案内されて魔道具屋に来ている。
アマネさんから案内されたのとは別のお店で、むしろ魔道部品店という感じだ。
完成品も置いてあるし、キットも販売している。
マニアックなお店だな。
例の回転石もこのお店で見つけたとのことだ。
もっと具体的に言えば、こういうおもしろい魔石が入荷したが、どうか? と紹介されたということだ。
今日、こうしてデデンさんと一緒に来ているのはトウガラシ号の窓の上げ下げについて相談に来たからである。
結論としては、単一の回転石では実現できないことがわかった。そのため小型の回転石をふたつ使用し回転方向を逆とすることで、スイッチの上下で別の回転石を動かす。これで目的が果たせることになる。
回転石の加工はデデンさんへ任せることになるので、その発注はお任せすることにした。スイッチまではデデンさんに依頼。組み込みはオレがやる。
「回転石の利用方法を思い付いたなら、こっちのもなんか利用方法がないもんかね」
見せられたのが「振動石」だ。こちらは魔石で稼働可能で、魔力の大きさで一定数振動する。
最初に思い付くのが「時計」だ。一定の振動が得られるなら、それを動力としてギアを駆動できる。
この世界の時間感覚はわりとルーズで、神殿が鳴らしてる鐘で判断している。
朝1の鐘が6時。朝2の鐘が9時。昼1の鐘が12時。昼2の鐘が15時。夕1の鐘が18時。夕2の鐘が21時となる。酒場はそれ以降も営業していることが多いが雰囲気深夜0時まで。娼館は24時間営業みたい。
神殿の鐘もひとが鳴らしているので正確ではない。
そのため、時計を導入してメリットがあるか、というとどうなんだろうか、と思うのだ。
あとは携帯のバイブレーターだが、こちらはそもそも通知機能の方が大変だろう。ギルドカードと連携できるなら、メッセージの着信を見逃すことはないかも知れないが、そもそもギルドカードへのメッセージ着信は謎機能によって頭に直接通知が来る。
あとは、そうだなあ。「マッサージ機」だよな。
ちらりとエミリアとラージャを見る。
「まあ試してみますよ」
さまざまな大きさの振動石を購入。あとは魔力を伝導する細い線、魔力線を数m。魔石から魔力を取り出す魔石ボックスをいくつか。魔力線と魔石、魔石ボックスの接続は錬金術で可能。魔力操作でもできるし、接続用の工具もあるらしい。オレは錬金術師だしな。
魔石ボックスは筒状のものと箱状のものがあり、これもさまざな大きさがある。
抽出する魔力でサイズが決まるそうだ。
クズ魔石でも魔石ボックスいっぱいに入れておけば必要魔力が得られるとのこと。
上質な魔石だと長持ちする。
小物用の魔石ボックスで魔力を調整できるものがあるか聞いてみた。
もちろんあるとの回答だったので、そちらを購入。
早速試作。普通の「小型マッサージ機」と「卵型のアレ」。
ウチの奴隷たちは、肉体が優れているうえ、身体の動かし方、筋肉のムダがないため、肩こりなんてなかった。主目的の方も、いまひとつな感じだった。
「イソ様の方がいいのです」
「イソ君に直接の方がいいね」
とのことだ。
試作品をいくつか作ってロリソンのところに持ち込む。こういう試験には向いてるおっさんだよな。最初「小型マッサージ機」を自分の肩に当てて「なかなかよい感じですな」などとのたまっていたが、使い方を耳打ちし、卵型も置いて行った。
翌日には追加注文が来たので、パテントを取って、製造の委託・販売をデデンさんに持って行く。仕組みは簡単だけど、スライム樹脂加工があるから錬金術がないと難しいんだよね。
後日、娼館のオプションに「マッサージ機使用」がついたとか。
◇◇◇
納品された「窓用昇降装置」をトウガラシ号に取り付ける。作成済みの強化ガラスを組付け、スライム樹脂で窓枠にパッキンを入れる。
元々のフォルムを壊さずに3列目のシートも組み込めた。多少窮屈になるのは仕方ないな。
今日はティリッジという村へ行くことにする。遺跡があり、回転石とか振動石が発掘される場所なんだそうだ。
魔道具屋には加工前の原石の状態で納品されるそうだけど、色が特殊だから掘り出されるとわかるそうな。
その後、近くのギルドまで持ち込んで買取してもらうのだとか。
残念ながら世界地図には載ってないので、途中ロージアンの冒険者ギルドで地図を見せてもらおう。そっちの方が近いんだって。
「イソさん!」
ロージアンの冒険者ギルドに入るなり、ソーニャさんが駆け寄ってきた。
何事かと視線を向ける冒険者たち。
「もしかして、私に、会いに来てくれたんですか!」
冒険者たちの「俺たちのアイドルに手を出すなら殺す」という視線。
モテるな、やはり。
「そうだといいんだけど、そうじゃなくて。地図を見せて欲しいんですよ。ティリッジへ行きたくて、ですね」
「ティリッジ、ですか? 遺跡調査…の依頼がありましたね。そういえば。放置してましたが。私の担当なのですよ。一緒に行きましょうか?」
仕事しろよ。調査依頼? まあ受けてもいい。こっちは見学だからな。
「では、ギルドカードをお願いします。依頼受注処理をして地図を持って来ますね」
テキパキとした処理はさすがと思わせる。黒髪黒目の美女か。あの日、道を間違えていることに気が付かなければ、いまのアマネさんのポジションにソーニャさんがいたのかも知れないな。アマネさん、落ち着きが少しな。年齢から考えれば十分ともいえるけど、恋愛を楽しむならアマネさんはいい選択だと思うけど、嫁としてはどうなんだろうな。
などと他所事を考えていると、着替えて地図を持ったソーニャさんが来ていた。
「地図で見るとけっこう遠いですよね。馬車でも10日掛かります。街道から逸れてからが結構距離があるんですよ」
まあトウガラシ号があるから問題はない。それでも余裕を見るなら、街道を逸れたら1泊か。
「準備はあります。ひとりくらい増えても大丈夫ですよ」
ちゃんと客間も作ったからな。
「ではお言葉に甘えますね」
淑やかな笑顔。これで冒険者を骨抜きにしてるんだな。まあわかる。
そのまま門を抜けて、街道の脇に行く。トウガラシ号を停めてあるのだ。
「えっと、これは…」
「トウガラシ号です。後ろに乗ってください。シートベルトの締め方はラージャに教わってくださいね」
地図は見た。遺跡で検索すれば、いくつか表示されるが、示された地図と一致するのは一箇所だ。世界地図にルートが出る。脳内カーナビだな。
シートベルトを確認。周囲を確認。
出発だ!
「速い! 速いっ! なんですかこれっ!? 馬車じゃないですよね!?」
「トウガラシ号です」
まだ大した速度ではない。それでも普通の馬車よりは圧倒的に速い。
脳内カーナビによるショートカットがあったため、1日まで掛からなかったな。
ただ村に到着したときには、陽は沈みかけていた。
「誰もいないようですね」
「本当ですね」
農村の夜が早いといっても、全部の家から灯りが消えるには早い時間だ。
鑑定結果では人間はいない。
「調査依頼というのは…」
「近頃、ティリッジからひとが来ないので調べて欲しいというもので」
やっぱりな~。
「村人全員グール化してるみたいですね」
「そんな!」
昼間は陽の光を避けていたのか、建物からグールが出てくる。村落の規模だから100匹前後か。村の奥にあるのが遺跡だろうが。なんかいるな。天辺に。
「新たな餌が現れたか! おお、この村の者とは違う、栄養の行き届いた香りがするぞ。久しぶりのご馳走を味わえそうだ!」
天然グールだと吸血鬼産なのね。天然ではないか。眷属にするかグールにするか、だっけか。
「しかもそちらの黒髪の娘は生娘ではないか。重畳、重畳。そなたは眷属にして、長く愛でてやろう」
「好きで処女じゃないです!」
そうか。まあ、それはどうでもいい。
グールは魔物認定だろう。吸血鬼はどうなんだ?
「ソーニャさん、吸血鬼って魔物認定なんですか?」
「え? …急に難しい質問ですね。実は吸血鬼は亜人認定で敵対しない限り魔物ではありません。ただし、あの吸血鬼はこちらに殺意を以て接しているので魔物認定です」
「わかりました」
まずは群がって来るグールの処理が先だろう。成仏してください。
「浄化!」
村全域を覆う浄化一撃でグールを昇天。
「む、上位の神官か! しかし吾輩はその程度では浄化できぬ!」
そうですか。念のため浄化。「効かぬわあ!」とか叫びが聞こえる。浄化はダメージを与えない。効くか効かないか、だ。
吸血鬼は魔法耐性も高いはず。火炎流。青白い炎の一撃が吸血鬼を見舞うが「ぎゃああ!」という叫びの割にはダメージが通った感じはない。
連射してみるか。「ぎぎぎぎぎぎ…!」壊れた音声再生装置のように叫びの先頭だけが繰り返している。あ、ダメージは通ってるな。単発だと効いてるように見えなかっただけか。
さて、村人を虐殺した罪を魂に刻み込んで燃え尽きてもらおうか。
体力は0になったが、吸血鬼だからな。復活もあり得る。
「完全浄化」
灰も残さず消え去った。最初からこれでもよかったけどな。悪いことをしたら罰は与えないとダメだろ?
あ、火魔法Lv4を覚えた。火炎流900発かかったのか。頑丈だわ、吸血鬼。
『見事じゃ』
頭の中に声が響いた。
『我が眷属の不始末、改めて詫びよう。封印が弱まっておる。魔力を分けてくれぬか?』
封印? 魔力を分ける? 吸血鬼を封印する何かがあって、それが弱まっているということか。
あんなのが大量に現れたら大変だよな。OK。魔力を分けるぜ!
『では案内する』
頭の中に地図が表示される。遺跡へ入れということのようだな。
「なんか遺跡に入って吸血鬼を封印するそうです。ソーニャさんは待ってます?」
「行きますよっ! こんなところにひとりで置いて行かれたら困りますっ!」
行く方が危険かもしれないじゃん?
とはいえ一緒に来るというのだから連れて行こう。
遺跡の内部は朽ちていたが、一箇所扉が開いていて、そこだけが真新しかった。
あの吸血鬼はここから出てきたのだろう。
そこに入ると、まんまエレベーターだった。
『最下層まで来て欲しい』
一番下っぽいボタンを押す。
足元に魔法陣が広がって転移した。なるほど設置型魔法陣で転移先を変えてるのね。
魔法って魔法陣でも発動するのな。はじめて見たわ。
最下層といわれたフロアへ入ると、そこには中央にひときわ立派な棺。周囲を囲むように100を超える棺が並んでおり、そのうち、端の方のひとつが開いていた。あの吸血鬼のものなのだろう。
『中央の宝玉に魔力を注いで欲しい』
言われた通りに魔力を注ぐ。つか、ほとんど全部持って行かれた。
『素晴らしい。妾は神祖。妾たちを受け入れる準備ができたなら封印を解きに来るがよい。そなたの魔力のおかげで、まだ数千年は封印が維持されよう。せめてもの礼として、研究所の成果を持ち帰るとよい。何かを得られるだろう』
エレベーターに戻ると研究所とやらのフロアに飛ばされた。
入口でタッチパネル的な何かに触ると天井が明るくなる。
これ、この世界だとオーバーテクノロジーだな。
アレですか? 吸血鬼は先史文明の生物で、超文明を持っていたとかですか?
とはいえ、くれるというものはもらっておく主義だ。
資料は読めないが、図は読める。
サンプルというか完成品も転がっている。
魔術回路? なるほど、魔力の通り道を設定することで、魔力を期待する動きに変換するのね。この辺が回転石。これが振動石か。回路図とサンプルを貰っていこう。
これがあれば冷蔵庫も作れるけど…。ま、誰かと相談しよう。
吸血鬼の文明がそういうのを持っていたなら、どこかで技術が失われたわけで。
オーバーテクノロジーじゃなくてロストテクノロジーなのかな。
めぼしいサンプルはすべて収納した。吸血鬼さん、ありがとう。
再びエレベーターに乗ると、今度こそ入口に飛ばされた。エレベーターから降りると、静かにドアは閉まり、周囲の朽ちた壁と同じになる。
『これを授ける。この宝玉の持ち主以外に、この扉が開くことはないだろう』
オレの手のひらに小さな宝玉が現れた。
鍵ってことね。なんか大変なものを託されたな。
周囲はすっかり闇に呑まれている。
残るならここで夜明かしだが、原因調査は終わったも同然だ。
転移すれば十分ギルドの営業時間だろう。ソーニャさんは残業だが。
「泊まります? 帰ります?」
ソーニャさんは空間魔法のことを知っている。話せないだけだ。
「え、選んでいいんですか?」
「元々調査依頼ですしね」
吸血鬼からは魔石は取れなかった。そういうものなのか、ひと扱いなのか。
敵対しないなら亜人だもんな。
「か、帰りたい、です。恐いです」
エミリアのマネか? 似合わないぞ?
「じゃあ帰りましょうか。その前にトウガラシ号をしまいますね」
奴隷ふたりを両腕に、ソーニャさんは前からしがみついて。
お、意外にボリュームある感じ。制服だとほっそりに見えるのにね。
着やせする? 脱いだらすごいんです? まあ関係ないけどな。
ソーニャさんがガタガタ震えているので、一気に転移。
ロージアンの灯りを見て、一気に緊張が抜けたらしくソーニャさんはへたり込んでしまった。背負って行ってもいいが、ギルドでの視線が恐い。
待ちましょう。
「ソーニャさんって受付業務じゃないんですね」
「ええ、事務仕事か現場が多いですね。
私、こう見えてレベル高い方でして。現場仕事が入るとそちらに回るので、受付は難しいんですよ」
「美人なのにもったいないですねー」
「こう見えてLv40超で…えっ!」
「美人なのにもったいないですねーって。朝も睨まれましたよ、冒険者のみなさんに」
「そんな、私なんて…年齢も行ってますし…」
「いくつなんです?」
「…22歳です…」
「見えませんねぇ」
黒髪黒目で和風顔立ちのせいだろうな。日本人は若く見えるってアレだ。
「えっと…ありがとう…」
「あ、もう立てそうです?」
「あ、はい。ありがとうございます」
少し話題を逸らしてやれば、こういうのはすぐに回復する。
ソーニャさんを無事にギルドに送り届け、依頼達成の処理をして、アルスターへ帰るのだった。
◇◇◇
魔術回路か。その発想はなかった。改めて回転石を読み解く。
魔術回路の発想を知った今、どうして回転石が回転するかを知ることができるし、錬金術で魔術回路を変更することもできる。
結果として。
後退するための回転の向きの切り替えをインホイールモーターへ組み込むことに成功。前輪の魔術回路も組み換え、結果、四輪駆動へすることに成功。
前後進の切り替えは以前にも使っていたスイッチを利用する。
最初切り替え配線を忘れて後退時に前後のホイールが逆に回転して超進地旋回したのは秘密だ。
それにしても、この資料を見る限りでは、回転石が知力に依存するのは、単純に試作品だからっぽいな。完成品の回路の場合、魔力量だけでトルクと回転数が決まるっぽい。燃費が知力依存なのは変わらないけど、これは魔力1を放出している時間をどれだけ保持できるか、という話なので、ここは属人になるところだな。魔法には現れない点だから見逃されるよね。
とはいえ、魔石を燃料にするなら、燃費は一定にできるな。
デデンさんに相談する価値のある話になったぜ。
とか思ってたらラージャが呼びに来た。
領主から呼び出しの馬車が来ているらしい。
なんで? と思ったけど、ティリッジのことだろうね。
「ティリッジでの調査、ご苦労だったね。本当は見物に行っただけだそうだけど、そういう意味では災難だったのかな?」
やっぱりティリッジのことでした。
「ソーニャの報告では君の大活躍のおかげで、今後しばらくあの近辺は安全らしいね。本当にご苦労様。
追加でメッセージが届いていてね? 君がどれだけカッコよく吸血鬼を倒したのかとか、自分を大事にロージアンまで送り届けてくれたこととか、なんかちょっと口説いてたっぽいこととか詳細に書かれていてね?」
なにやってんだ、あのひと。
「君にはご褒美をあげないとならないと思っていたんだよ。いろいろ活躍しているからね!」
手を引いて連れてこられたのは寝室だった。
…ベッドでけぇ。
「実は先週から発情期にはいってしまっていてだね、そこへソーニャの報告だよ。もうガマンの限界なんだよ」
いいながら一枚一枚脱いでいくリルル。煽情的ではあるのだが。
見えてくる裸体が12歳児のそれでは、どうしろと? と思うわけだ。
年上なのはわかってる。わかってるけどさ。
「ふむ? 反応がないようだね?
大丈夫、そんなこともあるさ。私にはいつものことだからね」
リルルは、ベッド脇のテーブルから錠剤をひとつ取り出し、自分の口に含む。
そのままキスをしてきて、舌を絡めて錠剤を流し込んでくる。
キスが続いていたので、飲み込むしかなかった。
「一体、何を…」
ドクンと脈打つのがわかった。滾る。滾ってしまう。
「そういう薬なのさ。さあ! はじめようか!」
自分も服用済みなのか、そもそも発情期というのはそういうものなのか。
リルルは準備済みだったようで、そのままオレを押し倒し跨ってくる。
「よい。実によいよ、久しぶりの感覚だ!」
リルルにいいように犯されるオレ。
OK、そっちがそのつもりなら、こちらも覚悟を決めようか。
「エミリア」
「はいです」
阿吽の呼吸である。エミリアはさっさと服を脱ぎだした。
遮音結界を展開。大騒ぎになるからな。
「あ、ちょっと攻めるのは私の方で…」
「いやいや、準備はきちんとしましょう」
「ちょっと待って、いま敏感になってるからぁ!」
「この辺が弱点なのです」
びくんびくんと痙攣するリルル。
おっと気絶しようったってそうはいかないぜ?
「えっ!? ちょっと、まだ続くの!? 待って、待って!」
「待たないのです」
リルルが失神した。
リルルが回復するまではエミリアと。ついにはラージャも混ざってきた。
ベッドが大きいので問題ない。
そうしているとリルルが復活するので、エミリアと一緒に攻める。気絶する。
最終的にリルルが何回失神したのか10回から先は数えていない。
夜が明けるころ、リルルが最後に失神して、オレも滾りが治まった。なんてものを飲ませやがる。
朝食の席で。客がいるということで急遽豪華になったらしい。
「き、君たちは私を殺す気かね…?」
そもそも薬を使ったのが悪い。
「こんなにお腹いっぱいにするとか。避妊してなかったら確実に孕んでいたよ」
「発情期ってのは、そういうものなのでは?」
「今回はお試しのつもりだったからねぇ。いつもなら、孕むか満足するか、で数日は続くものなのが。もう治まったよ。感謝すればいいのか、責めればいいのか。悩むところだね」
「そこは感謝してくださいよ」
「まあ、この件は、他の女性たち、とくにウリーリャには黙っていてあげるよ。彼女もそろそろだからねぇ」
そう言ってリルルは屈託のない笑みを浮かべるのだった。




