海鮮丼
◆海鮮丼
先の賞金首狩りで隠密の問題が明らかになったので、その対策のためスミストルのダンジョンに来ていた。
せっかくなのでドロップ狙いのボス周回だ。
エンペラー・トードで高級美容ローション狙い。
エミリアとラージャの致命傷で体力を削り、オレの短剣術でとどめを刺す。元々エンペラー・トードは体力も多く、物理耐性が強いので、実はなかなかの難敵なのだが、致命傷は強力だ。現在の体力の1/2のダメージを与える。結果残1/4。ランクDのそこそこの短剣だが、致命撃と合わせた短剣術で確実に削れる。
連携としてはいい連携だろう。
朝から晩まで潜っていたら、ついやり過ぎた。ラージャの注意を聞いておけばよかった。
俺は盗賊カンスト。盗賊Lv10なので並みの盗賊にオレの隠密は見破れなくなった。
その結果、「暗殺者」「忍」が生えてきた。暗殺者は盗賊の上位互換だな。
忍は。
【忍】
間諜。情報収集に特化した職業。
傍聴:僅かな物音に聞き耳を立てる。
気配遮断:自分の存在を他者から完全に遮断する。
瞬間記憶:見たものを記憶する。
これらの天啓を自動で取得する。
ということだ。
気配遮断は隠密の上位互換だな。気配遮断から致命撃のコンボって効くのか? 後日試したらアリでした。アダマンゴーレムがピクリとも反応することなく致命撃で倒せました。
上位職ってえげつねぇのが多いな。こんなのがゴロゴロいたら犯罪やり放題だわ。
エミリアとラージャも無事に暗黒騎士をカンスト。結果としてふたりの隠密もほぼ完全。
暗黒騎士がカンストしたため、黒騎士が生えてきた。この先があるのか、最上位職なのか。こちらは単純に暗黒騎士の上位互換。職業倍率がすごいだけ。
だけってことはないけど。
通常、上位職を得ても転職するかどうかは悩みどころとのこと。
それというのも職業倍率がリセットされてしまうためだ。
もちろん初期ボーナスはあるし、職業レベルが上がったときの倍率も上位職の方が大きいが、倍率は運であり、剣士でうまいこと職業倍率が6倍とかになってるひとは上位職への転職は考えるらしい。上位職の騎士で運が良ければ最大11倍まで行くが、平均になると剣士と同じ。成長が悪ければ剣士より弱くなる。
通常職での成長がいまひとつだったひとは上位職への転職は迷わないそうだが、通常職で引きがいいと迷うということだな。
天啓を伸ばすなら上位職必須。
レベルも上がって揃ってLv58。上には上があるんだが。ウリーリャはLv300超だそうな。長命種って強いよな。ヒューマンの限界が通常Lv70ほど。職業倍率無視でランクA相当。これに職業倍率が付くからランクSもあり得る。
オレたちは年齢からすれば異常なレベルだけど、慢心はよくない。
オレは知らないけど絶対防御なんて天啓があるかもしれない。致命撃なんて天啓があるんだ。その逆相当の天啓があっても不思議はない。知らないものは対策できない。だから慢心したらダメだ。
…鑑定最強なんじゃね?
いや使い方だ。鑑定で得られる情報を瞬時に応用できるわけでもない。
慎重に慎重を重ねて行こう。死んだら死ぬんだからな。
神官カンストすると蘇生魔法を覚えるらしいが…ワイト周回するか? 今日は帰るけど。ラージャが泣きそうになってるからな。
それというのも、エンペラー・トードの出現位置によって、こっちが、不意打ちされる場合がある。その時に狙われるのは一番弱いラージャになる。
ファーストアタックは決まっていて、舌を伸ばして絡めてからの丸呑み。
その場合、エミリアが致命傷を2発撃ってからオレの致命撃になるのだが、ラージャが粘液まみれになる。身体浄化で綺麗になるが、丸呑みにされたときの、母の胎内に戻ったかのような安らかな感じが逆に気持ち悪いそうだ。
10回に1回くらい呑まれる。1000周くらいしたからラージャは100回くらい呑まれた。
涙目にもなるか。
「イソ君も一度呑まれてみればいいよ!」
とはラージャの叫び。ラージャくらいの筋力があれば抜け出せそうなものだが、そもそも呑まれると、抜け出そうという気持ちにならないそうだ。精神攻撃があるんだろうな。天啓だろう。だとすればオレとエミリアには無効だ。
高級美容ローションも200回くらいドロップしたので、在庫も十分だろう。一生分あるんじゃないのか? ときどき売りに出せばいいか。
◇◇◇
翌日の昼時。ギルドの酒場にて。
たまにはギルド飯もいいだろうと昼時、ギルドに来た。
家を買ってからはエミリアとラージャによる昼飯が当たり前になっていて、なんの不満もないのだが、たまには家事から解放する日があってもいいかと思い付いた。
奴隷のふたり曰く「交代でやっているので不満はないし、むしろ退屈だ」ということだが、奴隷なので主人に本音を言えないかもしれない。エミリアは特別に愛が重いしね。
それでギルド飯を食いに来た。
ギルドランチというのがあり、ボリューム満点でうまいのだ。
もちろん質的にエミリア&ラージャ飯を上回るということはないが、長年ギルド飯を切り盛りしてきたおばちゃんたちの意地がある。不味いものは絶対出さないし、働き盛りの冒険者の胃袋をがっちり掴む魅力もある。主に価格とボリュームだな。
実のところ、オレはあまりギルドランチにはお世話になったことはない。たいてい露店のサンドイッチか宿の弁当だったからだ。家を買ってからはエミリア&ラージャ弁当である。たまにサンドイッチ。あそこのサンドイッチ美味いんだもの。
余談だが、露店のサンドイッチのおじさんは細工師としての腕前もかなりのもので、一度高級粘土で作ったエミリア人形の着色をお願いしたことがある。
磨き仕上げの後だと塗料が乗りにくいそうで、研磨前の状態がよいとのことで、その状態で渡した。1/6エミリア軽鎧バージョンだが、本人がそこにいるかのようだった。遠近感を間違えてしまった感じ。髪の毛や肌の質感もすごくて、鎧の金属の質感、冒険者の服の布の質感まで完璧である。
下半身を仕上げているとき、奥さんが汚いものを見る目で見ていたと悲しそうな顔をしていたのが印象的だった。実際、下半身を見てみるとパンツのしわまできっちり仕上げてある。影塗りだな。質感の再現の仕方で染料を使ってコーティング剤で艶消しにするとか、鎧の場合は顔料を使って表面を艶やかにした上でコーティング剤仕上げをするとか、匠の技である。金貨を出そうとしたら、あり得ないと言われて銀貨5枚となった。半日仕事で銀貨5枚なら十分すぎると言われてしまったのだ。半日であの仕上がり。細工師パネェ。
ロリソンに紹介したら、メイド人形の注文が増えた。
話をギルド飯に戻そう。
オークカツが食いたいと以前ぼやいていたが、普通にギルド飯のメニューに存在した。カツレツのような上品なものではなく冒険者向けの分厚いカツだ。専用ソースを掛けていただく。
「海鮮丼が食いたくなるな」
「ルーシティに行けばいいじゃないですか」
窓口業務が昼休みでオレたちと一緒のテーブルで昼食中のアマネさんである。
アマネさんはギルドランチの日替わりレディースセット。サラダが増量で、肉を減らしてる感じ。エミリアもそれ。ラージャは普通にギルドランチ。
「アマネさん、海鮮丼知ってるんですか?」
「ルーシティの名物料理ですよね? たしか、コメ? という穀物の上に、生の魚を切ったものを載せて、変わった調味料と変わったソースを掛けて食べるとか。
私は食べたことありませんし、魚を生とか考えられないですけど」
OK。文化の違いだ。責めはしない。というかコメと刺身があるんだな。ワサビと醤油もあるのか。酢もありそうだな。
もしかして、寿司が食える?
行くしかないな。
世界地図を眺めていると、ララティが以前、立ち寄ってるようだ。ありがとう、ララティ。今頃どうしているのか知らないが。
「呼ばれた気がしました」
ララティが現れた。レディースセットのトレイを持っているから、これからギルドランチなのだろう。
「久しぶり。ひとり?」
「最近はずっとソロですよ。なんなんですかね。パーティーに入ると身体を求められることが多いんですが、エルフの貞操ってそんなに安く見えるんですかね」
ギルドマスターのせいじゃないかな。
「そんな簡単に許すはずもないのですが、そういうパーティーとは上手く行かずに、あちこち流れてる感じです。『鉄壁』のアマネさんならわかるんじゃないでしょうか」
「あ、あははは…」
アマネさんはちからなく笑った。
「ご飯を食べるように、気軽に身体を求められても困ります」
「というのはララティが特殊なのだ」
今度はギルドマスターがランチのトレイを持って現れた。
「元々エルフは長命種ということもあり、子供もできにくい。ヒューマンのように年中発情しているということもなく、たまに発情期が訪れる。
そういう場合、手近な相手にお願いして発散するのだが、女性の場合、上手く行けばその時に妊娠する。男性の場合は知らんが。
そういう生態なので、貞操観念が薄い。エルフ同士で夫婦も作らないし、婚姻という観念のない里が多いのだ。家族という感覚も薄いし、家族というなら、里の者が家族となる。子供も乳離れしたあとは、里のみんなで面倒を見る。同時期に育てられた子供が兄弟姉妹感覚になるな。
それで、男女共、お願いされたら行為に及ぶのだから、貞操観念が発達しようがない。
エルフ同士なら、それで問題なかったのだが、多種族と共存するようになると、問題も起きる。そのため、比較的若い世代には貞操観念教育が施されるようになった。
とはいえ、エルフの純血を残すためにはエルフ同士は受け入れる必要がある。
里に残るものには、そういう教育はあまり強く施さない。
里を出るものには、簡単に応じないよう教育を施す。
ただ過去のエルフは、そういう習慣上、求めらえてイヤじゃなければ応じていた事実があり、『エルフの女は誰にでもやらせてくれる淫売』という風評が立った。
事実は違うのだが、その風評を信じて声を掛けてくるものが多いというわけだ」
エルフにしてみれば、年中発情してるヒューマンが異常ということだろう。
「迷惑な話です」
「こういう結果を見ると、教育が正しかったのかどうか、疑問にも思うがね」
「どうしてです?」
「余計なちょっかいを掛けてくる男も悪いが、貞操観念に縛られてパーティーに入れないララティも困りものじゃないか」
ああ、そういう。
「気に入った男ならいいんでしょう?」
「そうだな」
「気に入った男が現れるまで、仕方ないのではありませんか?」
なんかうちの奴隷を含め全員から「おまえがそれをいうのか」という顔で見られた。
「ララティのパーティー参入を断ったと聞いているが」
とはギルドマスター。え? あれってそういう?
「お金に狂った目をしていましたよ?」
「冒険者は男に甲斐性を求めるからな。私の旦那も、全員かなりの財産を残してくれた。それでもおまえほどではないが」
金貨1万枚か。個人資産としては十分だよな。
「なお、ギルドカードの遺言には複数人、割合を決めて指定することができる。アマネに1/2、ララティに1/4、私に1/4のように」
「「どうしてギルドマスターが加わってるですか!」」
アマネさんとララティが同時にツッコんだ。
「金貨2500枚ともなるとなぁ。言ってみたくもなる」
「あの時は、そんな金もありませんでしたからねぇ」
ランクアップ試験直後の話だ。まだ翌日の暮らしすら定まらなかった…は言い過ぎかもしれないが、稼ぐ必要のある時期だった。
「遺言ってなに?」
詳しく知らないラージャが話に加わって来る。アマネさんが詳しく説明した。
「イソ君が死んだら、か。エミリアはどうするの?」
「死ぬです」
即答である。
聞かなかったことにしたらしい。
「僕の方が寿命は長いから少しは遺産を残してくれると嬉しいかな」
「あなたなんかに渡すお金はないわっ!」
アマネさんが突然キレた。本音かもなぁ。
「アマネさんが決めることじゃありません。遺言書き換えますよ?」
「はっ!? 金額を聞いたらおかしくなっていたわ。ごめんなさい。私が悪かったわね」
「ラージャが遺産を欲しいなら、ドロップ品をやるよ」
「ああ、それでもいいね」
納得するラージャ。疑わしい目で見るアマネさん。
「どのくらい溜め込んでいるの?」
「知ってるでしょう? 市場経済を破壊するくらいですよ」
頼まれて小出しにしてるのだ。昨日ドロップした高級美容ローションだけでも金貨で1600枚になるだろう。他にもいろいろあるからな。食うくらいはできるだろうよ。
海鮮丼から話が大きく逸れてしまったな。
「ララティ、ルーシティって知ってるだろ。海鮮丼食いに行かないか? ソロならパーティーの都合とか聞かなくていいだろうし」
「旅行のお誘いかしら? でもルーシティって、けっこう遠いわよ。街道があちこち街を経由するから、馬車でも10日は見ないと」
街道を通るとそうなのか。世界地図でルートを確認すると、トウガラシ号なら1日で行けそう。
「旅費なら気にするな。案内が欲しかったんだよ」
「ふむ、旅行か。いいな。しかし今はギルド業務が忙しい時期だしな」
「羨ましい…。私も休みは取れないのよね…」
トウガラシ号にはそんなに乗れねぇよ。
◇◇◇
翌日、ララティとは南門で待ち合わせだ。
街道を少し外れたところでトウガラシ号を出す。
「これが噂の」
「噂になってるんだ」
「馬が引かない馬車なんて、噂にならないはずがないでしょ」
世界初だろうしな。
「トウガラシ号だ。ララティは後ろに乗ってくれ。シートベルトの締め方はラージャに教わってな」
ララティは黙って後部座席に座った。
最初はゆっくりとスタート。ララティが慣れるまでな。
「意外に乗り心地いいのね。高級馬車よりいいんじゃない…って街道から逸れてるけど!」
「こっちが近道なんだよ」
「道なんてないじゃないの!」
ご指摘の通りでございます。
「速い! 速いよっ! なにこれ!? …草原を走ってるのに魔物に遭遇しない?」
実際には遭遇している。近頃商人の護衛として大評判の「エミリア無双」である。「護衛ならイソのパーティーに頼め」とまで言われているほどだ。
弱い魔物なら馬車を止めずに済むので、距離が稼げる。時間が命の商人には大変ありがたい。
事実、トウガラシ号は、消し炭になった魔物を踏んでいる。優秀なサスペンションがそれに気が付かせないだけだ。実際には衝撃はあるが、普通の馬車に乗り慣れているララティには衝撃だと思えないのだ。
当然オレは踏んでるのがわかる。
どこまで行けるか調子に乗って飛ばした。平原は120km/h。山岳地帯は少しペースを落として60km/h。平原でさんざん練習したからな。山岳地帯でドリフトもお任せだ。
途中、大小の川があったが、即興で橋を作って渡る。これはソーニッジの道路整備の経験が役に立ったな。
街道以外に道がないわけじゃない。地元住民が利用する道もあるし、立派な作りでなくても橋がある場合も多い。そういう道を利用するが、街道と違ってひとが多いわけではないし、多少曲がっている程度なら、トウガラシ号は道を無視して直進できる。
平均で馬車の10倍以上の速度でオレたちは駆け抜けた。
駆け抜ける風になった。オープン仕様にしなくてよかった。オープンの場合は空力考えないと風がね。ちなみに現在は普通のガラスの嵌め殺しなので、窓は開きません。
デデンさんに仕掛けを考えてもらってます。
フロントのウィンドシールドも強化ガラスが必要なんだよな。こっちも形状サンプル渡してガガン&デデン兄弟にお任せだ。いまは自分で、錬金術で作ったスペアを何枚も持っている。この速度で石なんか当たったら砕け散るからな。
あ、ボディの形に物理結界張ればいいのか。
運用してみないとわからないことは多いねぇ。
ボディも載せ替えか、リアのラゲッジスペースを3列目のシートにできるように考えた方がいいかもな。昨日の話の流れだと、ギルドの仕事が落ち着いたら旅行に行こうと言い出すのは間違いない。
「おー着いたな。騒ぎにならないよう、街の外でトウガラシ号は仕舞おうか」
途中、ララティが静かだと思っていたが、ラージャによると山岳部で失神していたらしい。
「死ぬかと思った…」
まだララティはぐったりしている。
オレは門番の紹介で美味い海鮮丼の店で海鮮丼を食えたので満足だ。
エミリアは店主に簡単な手ほどきを受けている。ご家庭でもできる海鮮丼だな。
本格的なのは食いに来いってところだろう。
ラージャはお代わりどころか3杯食った。
「ダークエルフは燃費がね。見えないだろうけど、筋肉付いてるから消費が多いんだ」
ちなみにララティは体調もあり小盛りだった。
夜は寿司も出すということなので、席を予約しておいた。
店主にオススメ宿を紹介してもらう。
「あんたら風呂に入る習慣のある出身かい? それなら『銀の潮騒亭』かねぇ。あそこの露天風呂はいいよ。いま時期、観光の季節でもないから客は少ないだろうし、風呂も貸切にできるんじゃないかな」
露天風呂! 温泉だろうか。温泉とのことだった。
早速教わった宿で部屋を取る。
「ララティは別の部屋の方がいいよな?」
「なんで? もったいないじゃない」
ララティがいいならオレはかまわないが。後悔することになっても知らんぞ。
4人部屋で銀貨4枚。風呂の貸切で銅貨50枚とのことだ。露天風呂は、それほど大きくないので、貸切もよくあるとのこと。大浴場の方はさすがに貸切は団体以外だとやってないそうだ。当然か。
貸切なので早速温泉に行く。普通にララティも付いて来た。
「なんで全裸なのっ!?」
「貸切だし」
当然のように全裸で温泉を楽しんでいるオレたちに対してララティ。ララティは湯着着用だ。エイミーちゃんも最初そうだったな。
ララティは湯着を脱ぎ捨てて湯船に入った。身体浄化済みらしい。
身体つきは…まあ、なんだ。エミリアと比べるのがダメなんだよな。ララティはエルフだし。よく男に誘われるっていうから、身体つきももっとこう…。
「いま、何を考えていたのか言ってみなさいよっ!」
「いや大丈夫。薄いとか思ってないから」
「こ、こんなおっぱいがあるからっ! もげろ、もげればいいのよっ!」
「い、痛いのです!」
「うわぁーん!」
エミリアのおっぱいをちからいっぱい揉みしだいたあと、ララティが露天風呂から去ってしまったので、オレたちはゆっくりと露天風呂を楽しむ。貸切なので、他のことも楽しむ。スライムマットは持ち出さなかった。長くなるからな。
部屋に戻るとララティが意気消沈していた。
取り乱したことを悪いと思っているのだろう。エミリアはララティを笑って許したし、ララティも反省しているようなので、俺からは何も言わなかった。
その後、予約した晩飯の寿司を食って、久しぶりの魚介類に満足して、お土産用に酒まで買って宿に戻る。
オレたちはもう一度温泉に入るというと「何度も入るものなの?」とララティは疑問顔だったので、そうだと答えたのだが、ララティは一度で十分とのことで、オレたちだけで再び露天風呂を満喫した。ついでにエミリアとラージャも満喫した。
部屋に戻ると、退屈だったのか、土産用のお酒を自分で開けてしまったララティが泥酔して寝てしまっていた。
きちんとベッドに寝かせて、灯りを暗くする。
「全部脱ぐです?」
いつもの儀式。どこにいても変わらない。ラージャは気分の乗ったときだけ混ざって来る。今日は乗っている日らしい。酒も入ってるしな。
ラージャがダウン。体力が違う。さてエミリアとハッスル! と思ったら、まだ顔の赤いララティが「私も混ぜなさいよー」と微妙に呂律の怪しい発音でベッドに来る。
酔ってるなーと思ったのだが、するすると服を脱いでしまった。
薄いは薄いのだが、こうした暗がりで見ると、どこか妖精めいた儚さがある。これはこれで、と思うのは男の業か。
エミリアがそっとララティの下半身に手を伸ばした。
「たぶんハジメテなのです。準備をしっかりするのです」
エミリアとふたり掛かりで準備を始めると、小さく身体を痙攣させるのが何度か続き、最後に身体を大きくのけぞらせて硬直。失神した。
「…これでは仕方ないのです」
ララティをベッドに戻して、オレはエミリアと続きをするのだった。
翌日。朝食を宿で、昼食をもう一度海鮮丼にすることを決めて、市場などで食材を見て回る。味噌、醤油などの調味料も見繕って購入しておく。
朝から赤い顔をしていたララティが遂に口を開いた。
「あのね、私、起きたら下着を付けてなかったの。何か知ってる?」
エミリアと顔を見合わせる。
「エミリアとしてたら、自分から混ざりたいって服を脱いだんだよ」
「脱いだのです」
「そ、それで? 私、よく覚えてないんだけど…なんかすごく気持ちよかったような…」
「いや、エミリアがハジメテだろうってことだったから、入念に準備をしたんだよ」
「したです」
「そ、そうなの。それで?」
「そしたら失神したから服を着せてベッドに戻したんだよな。下着を付け忘れたのは悪かったよ」
「戻したのです」
「さ、最後までは…」
「してないよ。失神してたし。酔ってる相手にどうかとも思ったし」
「してないのです」
ララティは赤い顔で難しい顔をしていたが、やがて吹っ切れたのか、多少元気よくお土産を見て回るのだった。




