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異世界転生で理想の生活を  作者: かおりん@
3章

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ならず者

 ◆ならず者


「じゃあ、また遊びに来るといいよ。領内の困りごとの相談でもいいからね」


 にこやかにリルルが見送ってくれた。


 また飯を食わせてくれるなら来るのもやぶさかでない。変な余興を強制されないなら。しかし余興に金貨1枚。領民の血税をなんだと思っているのか。


 領主の給料だとしても税金であることに違いはあるまいに。


「今回の報酬は私の個人資産、冒険者時代に稼いだお金から支払われるから気にしなくていいよ。

 貴族には貴族でギルドのようなものがあってね。領地の口座と私個人の口座があるんだ。税収などは領地の口座に入金され、そこから一定額が私個人の口座に入金される。領主報酬の割合は任意だけど、税収の全額とかにすると、横領とみなされて関係各位に通知が飛ぶ。

 ギリギリを見極めるのが貴族の嗜みとされているけど、私はそんなことをしてないから安心していいよ。

 そちらのお金は領民からの税金だけど、さすがにこのお金を完全に遊びのために使ったらマズいじゃないか」


 一応領主として押さえるべき筋は押さえているということか。


「それでは、度々ご飯をたかりに来るとしましょう。さすが領主様の食事には感動しましたので」


「毎日あんなご馳走食べてないからね?」


「税金ですしね」


 円満に領主の城を後にした。


 普通にギルドまで馬車で送ってくれた。


「あら、おかえりなさい。もう帰らないかと思ってましたよ」


 アマネさんだ。


「ああ、領主様にオレが殺されれば、遺産がまるまる残りますからね」


 殺されそうになったのは事実だ。


「そんなこと考えてません! 気難しい方と聞いていましたから」


 リルルが気難しい? 陽の一面しか見ていないってことか? 陰の一面があると?


 そちらとはお付き合いしたくないね。


「明るい方でしたよ。食事も美味しかったですし。今後会うこともないと思いますけどね」


「わからんぞ。あれでリルルはしつこい。君が気に入られたなら、これからもたびたび呼び出しを受けるだろう。領民の意見を聞きたいとか言ってな」


 ギルドマスターが現れた。


「アレの先祖が豪傑だったらしくてな。スミストルのダンジョンを制したのが先祖だそうだ。その功績で男爵に取り立てられ、この辺境をどんどん開拓し、辺境伯となったとのことだな。実力で辺境伯まで上り詰めた本物だ。

 遺言は引き継いでるはずだから、スミストルの利益はリルルのものになっているはずだな。相当な金持ちだぞ、あいつは。

 20年くらいは同じパーティーであちこち行ったが、あいつの資金力に助けられたことも多い。仲良くしておいて損はないだろう。領主だしな」


「領主様は何歳なんですか?」


「さて? 正確なところはわからんな。ホビットも長命種だからな。60になったか。80になったか。私とパーティーを組んでいた頃は小娘だったが」


「誰が小娘だねっ!」


 領主が現れた。


「イソ君にお土産を忘れていてね。これをあげるよ」


 ペンダントを渡された。


【幸運のお守り】

ランク:F

追加効果:幸運+20%


 けっこう良い品なのではないだろうか。


「市場に出れば金貨10枚は下らない品さ。とあるダンジョンからのドロップ品だ。私はいくつか持っているから、君にあげよう」


 エミリア用にも欲しいな。


「どこのダンジョンか聞いても?」


「自分で探すといいよ。冒険者の楽しみでしょ」


 それもそうか。


「ありがたくいただいておきます」


「イソ君、気をつけたまえ。こうやって恩を売って、今後の君とのコネをつないでおく腹黒手法だ」


「誰が腹黒なのかね!?」


「おまえは昔から…」


「そういう君だって…」


 年寄り~ズの口論の形をした昔語りが始まった。


 はぁ。付き合うしかないんだろうな。


 ◇◇◇


「部屋を借りるんですか?」


「宿暮らしも楽でいいんですが、奴隷も増えましたし、月に銀貨25枚はコスト的にどうなんだろうと思いまして」


「冒険者はひとつの街に長居しませんからね。宿は必要コストと割り切る方が普通ですが。」


「アマネさんは?」


「私はギルドの宿舎です。職員は無料なんですよ。ギルド職員だと酒場の食事も無料ですし、制服も支給ですから、意外に出費がありません」


 ほう。ギルド職員というのは高待遇だな。給料が年金貨4枚というが、実質的には6枚分くらいになるのではないだろうか。


「買うんじゃなくて、借りるんですよね」


 買うとか言ったら絶対アマネさんが黙ってない。


「2LDKくらいの安い部屋とかないですか? 銀貨2枚とかで」


「その間取りで銀貨2枚は難しいと思いますが…冒険者への住居の斡旋もギルドの仕事なんですよね。探してみます」


 冒険者ギルドは冒険者の生活全般のサポートをします。ご苦労さまです。


 建物は多少傷んでいてもいい。魔力操作で修理するから。トレント材も余ってるしな。それに本(・)当(・)に(・)住(・)む(・)わけではない。


 テントの中に接続してしまうつもりだ。謎ドアを建物の中に設置して、あの空間に接続する。基本そちらで生活して、借りた部屋は偽装だ。


 馬車も欲しいような気もするが…。馬の管理ができない。ダメだな。


 物件探しはアマネさんにへお願いすることにして、暇つぶしにロリソンのところへ行く。姿見の調達もあるから、ちょうどいい。ロリソンに手配をお願いしよう。


 幸いロリソンは商会にいた。


 姿見をふたつと風呂場に設置する大きな鏡の調達を依頼する。


 ロリソンも便利使いされるのは気分が悪いだろう。オレの手伝いをすることによって得られる特別な報酬が必要だよな。ギブ&テイクというやつだ。


 ロリソンお気に入りの従業員を呼んでもらう。業務が停止するが、大きな損失にはならないだろ。


 作業中にギルドからメッセージが入るが、いま集中してるところなので。


「おお! おおおっ!」


 ロリソンの感動が止まらない。


 1/4ロリソンの従業員メイド服バージョン。あざといポーズ。


 なおポーズはロリソン指定で、ご本人にポージングしてもらった。


 おい、台座からはずしてスカートの中を覗き込むな。


「下着は本物と違いますな」


「見てないからな」


 可愛らしい下着を着けたが、違ったか。


「ふむ。次からは細部もご覧いただいてからにしましょう。有意義な取引でした」


 え、まだ金払ってないけど。


「鏡代など、この人形1体に比べれば些細なもの。私ならこの人形に金貨1枚出しても惜しくはない」


 そこまでか。高くて銀貨5枚くらいだと思っていたが。


「この人形の良さを理解できないものには、その程度の価値しかないかも知れません。しかし、彼女は35歳。十分にお金を稼いだので、奴隷から解放され独立するのです。

 つまり、この姿を留めておけるのは残り僅かなのですよ。それがこうして永遠に私の手に残る。この感動は理解していただけますかな?」


 ああ、そういうこと? お気に入りというわりには、と思ったけど。人形作成のことは伝えていたので、ロリソンはその意味を考えて彼女をチョイスしたのね。OK。ナイスなチョイスだ。


 ギルドのメッセージを確認した。


『来客あり。至急ギルドまで戻られたし』


 また領主でも来たのかね。


 至急ということなので、急ぎギルドに戻る。


 アマネさんが手招きしている。


「どういう話なんですか?」


「マーヴァイル子爵の嫡男ジョン様がお越しです。

 先日から、ギルドへ指名依頼としてイソさんへの面会があったのですが、指名依頼の理由が不明でしたので、依頼を受理されなかったのです。報酬も秘密の面談のわりに銀貨1枚と安価でしたし。

 ソーニッジ関係の採取依頼とかなら理解できるし、受理もできたのですけど。

 何度も断っていたら、ご本人が現れて、面会させろとギルドの個室に居座っています。

 イソさんは冒険者なので断ることもできますが、相手はアルスターに居を構えている子爵様なので、会うだけ会ってみてもいいかと思います。

 ギルドの個室なら、ギルド職員も面会に立ち会えますから」


 そういうことなら会ってもいいか。

「立ち会いはカンダさんでお願いできますか? そして面会前にエミリアとラージャの状態を鑑定しておくようにお願いします。最悪損害賠償請求を使います」


 有り得る話だとアマネさんも納得したようだ。


 個室に入ると。


「子爵嫡男である僕を待たせるとはどういうことなんだ!」


 怒声が飛んできた。


 ジョンとやらはまだ若い感じだ。20前後? 嫡男ということは、次期当主候補であって、まだ当主ではないな。


「失礼しました。ギルドに常駐しているわけではなく冒険者ですので、ギルドへ訪ねて来られても即応できかねました」


 ゆっくりと頭を下げて、対面のソファに座る。もちろんエミリアとラージャも座る。


「おい、誰が座っていいといった」


 反射的にラージャが立ち上がるが、そのまま座らせる。立っているのは立ち会いのカンダさんだけだ。ああ、ジョンの護衛っぽいふたりの騎士っぽいのも立ってるな。


「立ったまま、見下されて話をするのがお好きでしたら立ち上がりますが」


「…座ったままでいい」


 単にイニシアチブを取れなかったのが気に入らないんだろうな。


 相手が切り出してくるのを待つか。


 しばし時間が流れる。


「…礼はないのか?」


「は?」


「こうして僕が訪問してやってのだ! そのことについて礼はないのかと言っている!」


 そういうものなのか?


「この度は、お忙しいなか、わざわざご訪問いただきありがとうございます。

 では、早速ご用件をお伺いしても? オレも暇ではないので」


 急かされて気分を悪くしているのが手にとるようだ。こんな短気では交渉に向かないだろうな。


「用件はひとつ、いやふたつだ。

 ひとつめはソーニッジの利権を僕に寄越せ。

 あと、その銀髪の奴隷もだ」


「お断りします」


 即答だ。


「よし、ギルド職員のおまえ、手続きを…

 断るだとっ!?」


 ジョンは驚いたような、呆れたような顔をしたあと、怒りに染まった。


「貴族の僕が平民のおまえに命じているのだ。断るなどありえない!」


 そいうものなのだろうか? カンダさんをチラ見する。首を横に振っていた。


「ジョン・マーヴァイル様。一度お戻りになってギルドのことをお父上に確認することを提案します。

 奴隷はともかくダンジョンの権利は変えることができません。ダンジョンの権利が欲しければ、ご自身のパーティーでリーダーとなり、未踏破のダンジョンを制覇しダンジョンマスターを倒す必要があります。

 金銭などで売買できる権利ではないのです」


 カンダさんの説明にますます顔を赤くするジョン。


「なら奴隷だっ! この奴隷をもらっていくぞ!」


 ジョンは立ち上がって乱暴にエミリアの髪を掴む。


「損害賠償請求を行います。現時点ではエミリアはオレの奴隷です。

 カンダさん、いまのジョン・マーヴァイル様の行動でエミリアの髪にどのくらいダメージが出ましたか?」


「ざっと220本ほどだな」


 カンダさんが鑑定した。


「では髪の毛1本に付き金貨50枚。合計金貨11000枚の損害賠償請求をジョン・マーヴァイル様に対して行います」


「そんなデタラメが通るはずあるかっ!」


「通るのです。だからお父上にギルドのルールを確認することを提案しました。

 商人ギルドによるルール、奴隷への意図的な加害防止・損害賠償請求により奴隷の持ち主イソからの損害賠償請求が確定します。金額は金貨11000枚。1か月以内に支払われない場合、ジョン・マーヴァイル様に致死ダメージが加わります。以後1週間延びるごとに致死ダメージの範囲は1親等づつ追加され、支払いが完了するまで継続します」


 はじめて詳細知ったけど、えげつねぇな、ギルドルール。最悪死まであり得るルールだけど、こっちは一撃死じゃないけど、払わないと継続で致死ダメージがあり、範囲が係累に及ぶ。一族郎党で金集めて払えってことだよな、これ。


 損害賠償請求、本当に金額言い値なのな。査定は難しいだろうけどさ。


「そんなはずは…」


「お父上にご確認ください」


 ギルド職員は、ギルドルールでウソを付かない。さすがにそれはジョンもわかっていたのだろう。後の騎士ともども青い顔をして帰って行った。


 こうして貴族という名のならず者は撃退されたわけだ。


 後日、俺の口座には金貨11000枚が振り込まれ、ジョンは廃嫡になったらしい。マーヴァイル家はあちこちに借金を作り、そもそも存続が危ぶまれているとか。領地なしの子爵だからな。溜め込んでても金貨1000枚だろ?


 わははは。金持ちになったぞ。


 エミリアとラージャに金貨100枚づつ分けておこう。ふたりともいままでお小遣いを渡してなかったからな。


 好きなものを買いたまえ!


 ◇◇◇


「イソさん、物件ありました。2LDKで銀貨2枚です。立地は悪いですけど」


 立地が悪い?


 アマネさんが地図を出した。


 娼婦通りの近くだな。もしかして。


「ええ、スラム街の近くなんです。住む人がいないので、だいぶ荒れているそうで。風向きによってはスラムの匂いが漂ってくることもあるようで、苦情を言って出ていくひとが多いみたいです。

 持ち主はなんなら金貨2枚で売るとも言ってましたけど…」


 出ていくことになっても転売は難しい、と。


 まずは一見しようじゃないですか。


 アマネさんの案内で物件を見に行く。


 ギルド受付はいいのかな、と思ってると「忙しい朝と夕方以外は、こういう仕事も大丈夫」ということだった。


 家に到着。かなり広い土地にぽつんと家が建っている。


 銀貨2枚の家賃だからさぞかしあばら家なのだろうと思っていたがそんなこともない。普通に住めそうだ。


「住めない家を貸しに出しませんよ」


 アマネさんが苦笑していた。そうだよね。


 鍵も預かっているようで、内覧する。


 外見の通り広くはない。


 LDKで12畳くらいか。キッチンには古びた魔石キッチンと作り付けの食器棚。風呂なし。洗面所はあるけど、魔道具なし。トイレは魔石水洗。下水処理はしてあるということだ。8畳と6畳の部屋。


 ホコリは多いけど、下水処理されてるなら物件としては問題ないだろう。


 なにより土地が広い。気に入った。いろいろ置けそう。


 ん? 風向きが変わったな。確かに少し臭うか?


 ラージャに耳打ちする。


 アマネさんがいるからな。大っぴらにはできない。精霊魔法で屋敷の周囲の空気を入れ替えてもらったのだ。ん? 風の精霊を召喚しておけば土地の空気を清浄化して置いてくれる? 便利だな、精霊。


 残るデメリットは「治安が悪(・)そ(・)う(・)」だけか。


 これはイメージだけだろ。確かにスラム街は近いが隣接してるわけじゃない。


「買います」


「え?」


「この物件でいいです。金貨2枚なら払えますから、買います。購入してしまえば、建物の方はどうにでもなりますから。大家と揉めるくらいなら買いますよ」


「わ、わかりました」


 アマネさんの目が「私はここに住むのはゴメンですからね」と言っている。


「結婚したら新居は考えますよ」


 フォローは入れておこう。偽装の家だし、魔法でやってみたいこともある。


「では、そのように手続きをします。明日には名義を変更できるはずです」


 そういって住所のメモを渡してくれた。


 偽装とは言え、家具がないのはマズいだろ。水回りの魔道具もないしな。


 今回は普通に配送してもらおう。


 商店街をブラブラと家具やカーペットなどを見て回る。実際には使わない予定なので、ベッドもスライムベッドじゃなくていい。普通の安いので。キッチン用の魔道具、洗面所用の魔道具などなど。持てるものは持って家に戻る。


 購入すると言ったので、鍵はアマネさんから預かっているのだ。


「お掃除するです!」


「ボク、掃除得意だよ!」


 女性にとって家は城らしいからな。奴隷ふたりが張り切っている。


 任せてしまおう。


 オレは外側かな。「屋根用コーティング剤」というのを購入していた。ペンキだな。耐候コーティング剤らしく、とあるスライムがドロップするらしい。


 この世界、スライムにかなり依存してないか?


 魔力操作の水魔法でコーティング剤の缶から屋根に薄くコーティングしていく。色は焦げ茶色。1回だと余ったので2度塗りしておいた。ちゃんと塗る前に屋根の汚れは落としているよ?


 外壁も汚れを落としてみると、少々傷みがある。こちらも全体的に高級粘土を上塗りして硬化しておこう。研磨までは必要あるまい。


 ドアや窓枠の材木のところは土魔法で表面を研磨。余ったコーティング剤を塗り込んでおく。あとは…敷地を区切っておくか。敷地を歩きながら土魔法で塀を作る。覗かれない程度の高さでいいだろ。一応、鉄骨入れておくか。鉄のインゴットを錬金術で加工。


 形を変えるくらいならなんてことないのね。鉄のインゴットひとつから30本ほどの鉄骨が取れるので、等間隔に塀の中に入れていく。あ、錬金術のレベルが上がった。「複製」? まさにいま欲しかったんですけど。もう終わったわ。


 せっかくだから門扉も作るか。あ、片方だけ作って「複製」すればいいのね。なるほど便利。正確に同じものができるから左右対称で裏表関係ないならいいかもね。


 裏門も要るか。こっちはシンプルでいいだろ。


 あとはー…。


「イソ様、すごいです。家が新築みたいになってるです」


「いつの間にか塀ができてる…」


 中の様子をチラ見すると、中も相当なものだ。古さは隠せないが「古いだけ」で、むしろ味わいがある。汚れはキチンと落とされているようだ。


「がんばったな」


「がんばったです」


「掃除は得意なんだよ」


 誇らしげなふたり。


「あとは庭の雑草だな」


 こういう広い庭の手入れは、実はギルドに依頼を出すとランクG冒険者が受けてくれることがある。アルスターの冒険者ギルドには毎日新人が登録するので、ランクG冒険者なら溢れているが、街の雑用は当然人気がない。


「わたしが刈るですか?」


 エミリアが視界から消えた。次瞬間、数m前にエミリアの姿があり、その間にある雑草が数cmを残して狩られている。なんじゃそら。


 あ、エミリアいつの間にか歩法閃いてる! ラージャの見て閃いたのか。真似してるうちにLv3まで行ったんだな。で、いまのが「地摺り」か。地面を這うような低さで駆け抜ける。敵の足首を狙うような動きなんだな。えげつねぇ。


「それならボクもできるね」


 ふたりがキャッキャいいながら雑草を狩っていく。まあいいかぁー…。


 オレは刈られた雑草の葉っぱと残った部分を魔力操作・火魔法で焼きながらふたりの姿を眺めている。


 遠くからなら、動きがわかるけど、なんだアレ。倒れるように地面へ水平になったと思ったら、つま先だけのちからで前に進んでるぞ。正確には飛び出してる。そのまま剣を地面と並行に振って草を刈ってる。つま先だけで走るのってどうなの? ひとの技でできるものなの?


 つくづく天啓(スキル)ってのは人外の技だよな。


 最後の宿泊、宿の飯。


「たまにはご飯、食べにおいでよ」


 おかみさんに見送られて宿を引き払った。


 家で待っていると、注文した家具が続々と届けられる。すべて家の中に運んでもらって、配置は自分たちで行う。アイテムボックスがあるから簡単だ。


 リビングに絨毯。ソファとテーブル。ダイニングにダイニングテーブルと椅子。


 あとはそれぞれの部屋にベッド。


 キッチンには適当に買ってきた食器やポットなど。最後にメインの寝室にドアを取り付けた。空間魔法で作った部屋に通じるドアだ。空間魔法でドアを接続すると、テントの入口の横につながった。


 よし、これで拠点の完成だ!


「ねぇ、イソ君。ランプ買ってないよね? 夜は灯りどうするの?」


「そんなの 灯り(ライト)でー…」


 で、オレは閃いた。最短時間 灯り(ライト)を消えるようにして無詠唱で 灯り(ライト)を連発すれば、聖魔法はLv2に上がる!


 その日のうちにエミリアとラージャの聖魔法はLv2に上がったのだった。


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