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異世界転生で理想の生活を  作者: かおりん@
3章

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領主様

 ◆領主様


 ラージャのランクアップ試験の結果を確認したあと、アマネさんに呼ばれた。


「え~指名依頼が入っています。個人的には受けない方がいいと思いますが、おそらく強制です。また本依頼でギルドマスターに呼ばれています」


 アマネさんは苦笑しながらそう言った。


「はぁ。またずいぶん大物が出てきましたね」


「ちなみに指名依頼は『領主様と昼食会』です」


 領主とギルドマスター。どちらが大物なのか。


 雰囲気、ギルドは領地をまたいで機能している。領主はなんて名前か知らんが、この国の貴族だろう。


「あ、アマネさん、オレ重要なことに気が付きました」


「なんです?」


「オレ、この国の名前知りません」


「…この国はヴァイザーといいます。王政ですけど王国は名乗っていません。小さな島国で、隣接する国はありませんが、隣国としてリードルフ共和国があります。リードルフは、中央に大きな島国があり、その周辺を島国が取り囲む形で島ごとに王様がいて、中央のリードルフにて議会を設置しており共和制としています。

 リードルフには行かないなら気にしなくてもいいと思いますが、ヴァイザーの名前くらいは覚えておいてもいいと思います。

 ちなみに領主様はヴァイザーの辺境伯です。位置付けとしては公爵の下ですね」


 少し呆れたような顔をしていたが、農民が自国の名前を知らなくても不思議はない。たぶんエイミーちゃんも知らない。


 せいぜい自分の村の名前と取引がある他の村。あとは大きな街くらい知ってれば生きていける。実際ラージャは知らないようだった。エミリアは知ってたっぽい。ロリソンの教育の賜物だろうな。


「とにかく、この依頼でギルドマスターが面談を要求していますので、こちらへどうぞ」


 アマネさんに案内されて奥の豪華な扉まで到着。ノック、返事。扉を開ける。


「ララティ?」


「違う。私の名前はウリーリャ。

 ララティは係累だが、歳もかなり離れている。

 そこに掛けて待っておれ」


 羽ペンでソファを指す。


 言われた通りにして、少し待つとアマネさんがお茶とお茶菓子を持ってきた。


 それを見届けるとウリーリャが執務席から立ち上がってオレの前に座る。


「ララティの…妹?」


「違うわ! どこを見て判断した! ああ? どこを見て判断した!」


「胸とか、腰とか」


「正直なやつめ。判断はともかく、そこは好感が持てるのう」


「もしかして。ロリババア?」


「誰がババアか! 400歳のピッチピチだ!」


「ええ~…」


「ヒューマンの基準で測るな。ララティはエルフにしては豊満な方だ」


 ララティでそうか。エイミーちゃん、エルフならよかったね。


 ウリーリャ、ギルドマスターは銀髪に翠眼で確かにエルフの特徴を備えている。耳も長い。


「ちなみに薬屋のババアは2千歳から先は数えてないそうだ。先の魔王大戦から生きていると本人言ってるが。エルフの基準なら私はまだ若い方なのだ」


 なるほど。


「そうそう。先日はララティが世話になったそうだな。私からも礼を言っておく。

 係累とさきほど言ったが、直系ではなく同じ里の者というだけだ。

 顔は言われるほど似てないのだが、ヒューマンからは似て見えるらしいな」


 並べて見れば全然違うんだと思うが、髪の毛、瞳、耳と特徴が揃っていて、目付き顔付きが似てるとなれば、ぱっと見の区別は付けにくい。ララティとも長く過ごしたわけじゃないからな。


「え~と、それでギルドマスター? オレに何か用ですか?」


「ウリーリャでよい。いやな、他ならぬ領主から指名依頼が入ったと聞いたのでな。

 ひとつ人品を見てやろうと思ったのだが。

 なるほど『奴隷を見れば主がわかる』か。確かめるまでもなさそうだな。

 それでは私の4番目の夫にならないか?」


 エルフというのはすぐに求婚する種族なのか?


「ララティから里は一夫多妻と聞きましたが、逆もアリなんですかね?」


「前の3人は死別してるよ。みんな老衰だ。大往生というやつだな。ヒューマンというのは短命でいかん。子も為したが…係累もどこまで散ったやら。

 どうだ? 一晩だけでも。経産婦の良さを教えてやろう」


「子供に欲情する性癖はないので」


「誰が子供か!」


 ババア扱いでも、子供扱いでもダメなのか。面倒な。


「いまのところエミリアで間に合っていますし、違うのが食いたくなったら娼館に行きます。それで、なんの試験なんですか、これは?」


「勘の良いやつだ。領主が悪戯好きでな。この程度の誘いを軽く躱せないようでは、あの依頼は危険過ぎるのだよ」


「あの誘いに乗る方がどうかしてると思うんですが」


「妖艶なエルフの誘いをなんだと思っているのだ。天啓(スキル)まで使ったのに」


 ああ、「攻性スキル無効」か。一度無効にしてみる。


「ウリーリャさん、大変申し訳ありませんが、もう一度誘惑してみてもらえませんか?」


「何をいまさら…『どうだ? 一晩だけでも。経産婦の良さを教えてやろう』」


 むっ! 来た来たぁ! 目の前のウリーリャさんがものすごく魅力的に見える。やっべぇ、これは落ちる。ウリーリャさんから目を離して、じっとエミリアを見つめる。エミリアも何かを感じ取ったのか、ニコニコ顔から一転して真剣な瞳でオレを見つめる。


 乗り切った…。「攻性スキル無効」を元に戻した。


「前言を撤回します。妖艶なエルフの誘い、ヤバ過ぎです」


「うん? わかればいい。ああ、さては天啓(スキル)があるのか。なるほどな、なるほど。

 このように領主も天啓(スキル)まで使って悪戯してくるのだ。

 機転でも、精神力でも、天啓(スキル)でもいいから、領主の悪戯を乗り切れるものでないと、最悪不敬罪で斬首される。

 相手が領主なのでな。なかなか諌めることもできん。

 冒険者側の自衛として、私が事前に試験しているのだよ。

 おまえは大丈夫だろう。人品、天啓(スキル)共に問題ないだろう。

 受けていいぞ。金貨1枚の高額報酬だしな」


 ご苦労と言ってギルドマスターは執務席に戻った。オレはそのまま執務室をあとにする。受付のアマネさんのところへ戻った。


「ギルドマスターの試験をクリアしましたので、依頼を受けます」


「わかりました。領主様に依頼受注の連絡を入れておきます。

 え~と、明日の昼食になりますね、この依頼だと。迎えの馬車が来るそうですが、どこで待ちます?」


 明日なら、鎧ができてるな。鎧を受け取ってからギルドで待つか。


「では、ギルドで待ちます」


「承りました」


 依頼受領手続きを完了してギルドを出る。


 いきなり暇になった。


 ん~全員神官レベルが低いな。


 よし、スミストルで撲殺祭と行こうか!


 ◇◇◇


 スミストルでは、ダンジョンの入口でエイミーちゃんに会った。


「あれ? 久しぶり。今日はこっちなの?」


 嬉しそうに駆け寄ってくるエイミーちゃん。


「そっちこそ、いまごろダンジョン入り?」


「レベル上げの周回中。ついさっき2階層のボス倒して来たところ」


 ほうほう。意外に強いパーティに参加したのだね。


「以前にエイミーがお世話になったそうで」


 そう挨拶してくれたのは、おっとりした感じの赤髪を長く伸ばした女性。ヴァネッサさんというらしい。このひとが「男なんて信用ならない」が口癖のひとか。


 パーティ名は「戦乙女」だそうな。バツイチなんだから乙女ではないのでは? と思ったが、そこはツッコんだらダメなところだろう。


 エイミーちゃんもそうだしな。


「イソはどこ行くの?」


「6階層に挑戦の予定だ」


「ギルドで情報買った?」


「いや今日だけのつもりだったから、アマネさんから情報だけ聞いてきた」


 魔物がリザードマンと上位種。


 ポイゾン・スライム。


 ジャイアント・トード。


 ポイゾン・スライムは噛まれる? と毒ダメージ。


 ジャイアント・トードはカエルなので物理耐性がある。


 ボスがエンペラー・トード。Cランク。舌による攻撃と毒液の噴射がキツいとのこと。


 ドロップはリザードマン系がトカゲ肉か武器。


 ジャイアント・トードがカエル肉。


 意外なことにポイゾン・スライムが美容ローションをドロップ。


 エンペラー・トードが高級美容ローション。ちょっと楽しみだな。主にエミリア向けに。


「周回するの?」


「一度はボスを倒すけど。高級美容ローションを落とすらしいから、周回するかも」


「「え、なにそれ欲しい!」」


 エイミーちゃんとヴァネッサさんが食い付いてきた。


「さきにウチの奴隷たちに上げるのでダメです」


「ひと瓶だけいいじゃない」


「ドロップ量による」


 亀エキスとか10本単位のドロップだったからな。


 小瓶に分けてやるくらいならいいか。


「じゃあ、ドロップしたらササラさんに預けていくから」


「やっぱりイソは優しいよね!」


 そう手を振ってエイミーちゃんはダンジョンへ向かう。


「よし、オレたちも行こう」


 半日で50周。まあ、いいとこだろう。


 結果的に全員の神官がカンストし、拳闘士と闇神官が生えてきた。闇神官ってのは。


『天啓(スキル):闇魔法Lv1を閃きました。

致傷(ペイン)を覚えました。

暗闇(シャドウ)を覚えました。

毒(ポイズン)を覚えました』


 ということのようだ。聖属性と反対側の闇属性魔法の使い手だな。


 上級職だけあって、ちょっとおもしろい魔法を使える。


【致傷(ペイン)】

 割合ダメージ。現在の体力の1/4をダメージとして与える。


 体力の最大の1/4ではなく、現在の1/4。つまり、この魔法だけでは倒せない。


 毒(ポイズン)とのコンボならアリ。


 拳闘士は、神官が体術を極めると目覚める職業なんだろう。


 なにげに格闘もレベルアップしている。


 格闘Lv2>2段突き 巴投げ 出足払い

 格闘Lv3>3連突き 一本背負い 体落とし

 

 どこかで見たことがあるような名前の技がある。柔道かよ。


 まあ、格闘か。


 意外というか、当然というか、ラージャが体術を使いこなすのがうまい。


 閃くとすぐ試す。オレもラージャがやってるのを真似して覚えた。


 組技なんて、どうやってスライムに掛けんの? と思ったけど、天啓(スキル)実行時はどこを掴むかもわかる。それまではひたすらリザードマン相手に練習した。


 リザードマンは鎧を着ているから、まだ掴みやすいのだよ。


 美容ローションと高級美容ローションも意外に大量だった。


 高級美容ローションは1回4Lが10本落ちる。100本ほどになったので、まるまる1瓶づつ、エイミーちゃん、ヴァネッサさん、ササラさんに進呈。


 魔石の鑑定では睨まれたが、高級美容ローションは喜ばれた。


 トカゲ肉とカエル肉は合計で300個ほど。こちらも桁が悪いということで買取拒否された。小分けにして卸してくれだとさ。


 高級美容ローションを試すため、アルスターに戻って家族風呂(大)を借りる。


 さあて、ラージャに「泡の国ごっこ」を覚えてもらおうか!


 ◇◇◇


 エミリアとラージャが眩しい。光り輝いている。


 高級美容ローションのおかげだろう。かくいうオレも光り輝いている。オレはどうでもいいんだが。「泡の国ごっこ」で高級美容ローションを使ったからだな。


 もったいないから、「泡の国ごっこ」では普通の美容ローションを使おう。


 アマネさんにもお裾分けをする。ハンナさんも欲しがったので進呈。


「高級美容ローションじゃないですか。どうしたんですか、これ。500mlでも買うと金貨1枚しますよ。4Lボトルって…」


「スミストルのダンジョンで入手しました」


「あ~っ! 昨日行ったんですか。レアドロップじゃないですか。ホントにもらっていいんですか?」


 大量にあるとはいえない。


「婚約者には綺麗でいて欲しいじゃないですか?」


「もうっ! イソさんったら…」


 いやんいやんと身体をくねらせるアマネさん。


 今度エミリアにお風呂でやってもらおう。


 慣性の法則というのがあってだね。


 そうやってアマネさんと遊んでいると、やがて領主の使いが現れた。


 立派な馬車に揺られて領主の屋敷に。


 つか、城だよな、これ。


 アルスターの中心部に建つお城。そこに連れて行かれたわけだ。


 毎日目に入ってはいたけど、ここへ来ることがあるとは思わなかったよ。


「お城なのです」


「お城だね」


 豪華なアーチの城門をくぐり、なぜか甲冑に身を包んだド迫力の一団が待ち受ける中庭に連れて来られた。


「いざ聞け! 我が名はアルネー・ラブツェル! 白銀騎士団がひとり! 勇を以って名を為したラブツェルの騎士なり! いざ尋常に勝負!」


 シャランと片手剣を抜き放つ。


 片手剣にカイトシールド。全身金属鎧。まあ典型的な騎士装備か。オレの知ってるやつではな。


 子供がひとり混じってる。これが領主様か。


「勝負とか言ってますが、殺してよろしいので?」


 騎士の剣先がピクリと動いた。


「やれるものなら…」


 アルネーとやらの声を遮った子供。


「ダメだよ、アルネー。本当に死ぬよ。

 イソ君だったね。

 殺しちゃダメ。でも手を抜いてもダメ。

 どうする?」


 やるしかないんだろう。これが領主の悪戯か。たちの悪い。こういう子供にはお尻ペンペンが必要じゃないのか?


 両手剣を構える。


「冒険者風情がっ!」


 襲いかかるアルネー。


 殺したらダメ。手を抜いてもダメ。


 ならこれしかないだろ。


 剣術・斬撃。


 ただし狙いはアルネーの剣。


 武器にも急所ってあるんだな。確かに剣の脇を強く叩かれれば折れるか。


 キィンと澄んだ音がして、アルネーの片手剣が折れた。


「ば、バカな。確かに愛用の剣ではないが、これも正式装備、簡単に折れるはずは…」


「折れたんじゃなくて折りましたからね」


 呆然としているアルネーの首に剣を当てる。


「殺さずに本気を出しましたが、いかがでしょうか?」


「機転が利くねぇ。頭のいい子はキライじゃないよ」


「ご満足いただけたならなによりでございます、領主様」


 おどけた挨拶に領主はにんまりと笑った。


「ウリーリャの言ってたとおりじゃないか。ふてぶてしさも一流だねぇ。気に入ったよ!

 私はこの辺境アルスターを収める辺境伯リルル・ジン・アルスター。ホビットだがね。君の数倍は生きているはずさ。

 見た目で侮らないで欲しいものだね」


 身長140cm足らず。ヒューマンでいうならまだ12歳程度の子供だ。それも女の子。少し癖のある金髪を短く揃えて、愛くるしい栗色の瞳でこちらを見ている。


 そんな子供が男物の貴族服をきちっと着こなしているのは、なかなか笑えるが、笑うと後が恐い。


 これがホビットの種族特性なら誰かに聞かないと年齢はわからんな。ロリソンと仲が良さそうだ。


「まず言っておくけど、ロリソンとはそれほど仲は良くないよ。普通だね。他の商会と大差ない程度の付き合いしかないよ」


 読まれた?


「君の交際関係は調べさせてもらった。あまり広くはないようでなにより。君が何者なのか、興味が尽きないよ!


 今日はシェフに頑張ってもらった。さあ、楽しい昼餐といこうか!」


 こういうノリはキライじゃないよ。


 ◇◇◇


 美味い昼飯のあと。


 エミリアとラージャはシェフのところに行った。オレが美味い美味いを連呼してたから、ぜひ調理法を覚えたいと言ったのがエミリア。ラージャはボケっとしてたところをエミリアに連れて行かれた。先輩としての指導なのだろう。


 警備のためだろう、騎士がひとり付いて行った。どっちに転んでも無意味だけどな。


 エミリアが勝手に暴れることはないし、暴れたらここの騎士では止められない。


 同じことは領主の傍らの騎士アルネーにも言えるが。


「殺していいと言ったら殺したでしょ」


「そちらの騎士には殺していいと言ってましたよね?」


「よくわかったね」


「殺意が本物でしたからね。殺しに来ているなら殺しますよ」


「恐いねぇ」


 リルルは朗らかに笑う。


「何が…」


 いい掛けてリルルが遮った。


「君は私を楽しませる義務があるんだよ、イソ君。君が新たに発見したソーニッジのダンジョンのお陰で、私がどれだけ忙しいかわかるかい?

 普段から、それなりに決裁の書類などに追われているのに、ここへ来て倍増だ。

 実務はギルドに丸投げしてるがね、最終的には私の決裁印の必要な書類が多いのさ。

 ほら、少しは私に申し訳ないと思うだろう?

 楽しませて上げないとならないと思うだろう?」


 こういう形で天啓(スキル)を使うんだろうな。ウリーリャが使ったのと同じ手か。


「思いませんね。領主様ともあろう方が、一介の冒険者に縋らないでください」


「あれ?」


 リルルは首を傾げた。


「申し訳ないと思わない?」


「思いませんね」


「だって君のせいなんだよ?」


「ダンジョンが発見され、新しい村ができる。これまでなかったドロップ品が新たな産業として開発され、領地の経済も回り、税収が増える。結果として領民の生活が豊かになる。よいことではありませんか?」


「え、うん。そうだね」


 子供かよ。


「そうじゃなくてね? 私が忙しくなって、遊べなくなったらダメじゃないかって話をしているんだよ?」


「領主様には領主様の責任があります。領民のために身を粉にして働くのは領主様の務めであり誇りのはずです。

 我々領民は、その姿に感動し、憧れ、感謝して税を納めるのです。

 遊び歩き、ろくに働きもしない領主様のために税を納める領民がいるでしょうか?」


 いやいない(反語)。オレの言葉にアルネーが何度もうなずいている。


「うん、そうだね、そうだよね。私が率先して働くから、領民のみんなはキチンと税を納めてくれるんだね」


 ちょろい。


「…イソ君、君、意地悪っていわれてない?」


「ギルドマスターからは正直者と言われましたけど」


「君が言ってるのは正論だけどさぁ…」


「リルル様。イソ殿の言う通りです。このところソーニッジ関連で忙しく、余興として冒険者を呼ぶと言っておりましたが、なかなかどうして大した見識を持つ者。

 この者の言う通り、リルル様はもう一度貴族としての務めを考え直し、粛々とお仕事を果たすべきとわたくしも思います」


 アルネーからフォローが入った。いいぞ、もっと言え。つか余興ってなんだ。オレで遊ぶ気だったのか?


「余興とは?」


「イソ殿。リルル様は先ほどもご自分で仰った通りソーニッジ関連の仕事でとても忙しくしておいでだったのだ。

 どうしてもその原因となった冒険者に会いたいと言ってだな、今回の昼食会となったのだよ。

 その際、新たなダンジョンを発見するほどの者の実力を見てみたいと仰ってな。

 先の中庭での決闘になったのだ。

 もちろん、わたくしも手抜きは禁じられていたし、殺せるなら殺せとも命じられていた。死ねばそれまで。ソーニッジの利権も独り占めできると仰ってだな。

 それは、やりすぎではないかと進言したのだが、こうまで忙しくさせたのだから、これも余興だと強行したのだよ」


「ほう?」


 余興で領民を殺そうとした、と。


「3年。税収の1割」


 先に手を打ってきたな。


「10年。5割」


「高いし長いよ! 5年3割!」


 そんなところだろう。ソーニッジの税収の3割を5年横流しだ。悪くない。


 このことは後日、ダンジョン発見者の権利として正式に書面で締結された。領主からの褒賞だな。名目としは悪くないだろう。


 リルルとガッシリと握手したところにエミリアとラージャが山程の調味料と材料をシェフからもらって戻って来たのだった。


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