ラージャの故郷
◆ラージャの故郷
ラージャの故郷へ行く前に、ラージャには体力自動回復を最大まで上げる必要があったし、義務はないが暴走も調べようと思ったので、野営の可能性がある。
そのためラージャ用の生活用品が追加で必要だ。具体的はラージャ用のベッドとクロゼットくらいはあった方がいいだろう。
ということでスライムベッドを注文し、ロリソンの倉庫に届けてもらう。
「こんなところでテントを組み立ててどうするの?」
「入ればわかる」
納品されたスライムベッドを収納し、テントに入った。テントだから這うように入らないとならないのが難点だよな。
「ふわぁあ!」
入ったとたん、ラージャが変な声を出した。
「なんで!? テントの中がなんでこんな立派な部屋になってるの!?」
驚くよな。オレもはじめて案内されたら驚くに違いない。
「オレの天啓でな」
そう言っておけばラージャも他人に話すことはできない。
寝室への廊下を延長して、ラージャの部屋を作る。12畳くらいあればいいだろう。
ベッドを置く。ラージャもアイテムボックスを持っているので、その後の配置は任せていいだろ。クロゼットも出しておく。洗面道具などの小物は洗面台に出しておいた。
「イソ君、なんでここに住まないの? 宿より快適そうなんだけど」
いい指摘だ。
「テントに住んでいたら変だからだ」
「え? でも…」
「確かに冒険者の中には稼ぎが悪いから、路上生活者としてテント暮らしをするひともいるけど、オレ程度の稼ぎがあると、テント暮らしはおかしい。
そうなったら、あのテントに何かあるんじゃね? って疑われるし、引いてはオレに疑いの目を向けられるかも知れない。面倒は避けたいんだよ」
「な、なるほど?」
「それにイソ様はわたしとラージャの主人でもあるのです。奴隷をふたりも連れているのにテントはおかしいのです」
「そっか。そうだね」
納得いただけたようだ。
しかし、野営なら話は別だ。テントに籠もっていてもおかしくないし、今回のような単独野営の場合はなおさらだ。テントを組み立てる偽装すら不要だ。
そのため、そのまま収納に入れる。
これで準備は整った。
成長補正カンスト、限界突破なしだからか、ラージャの体力自動回復もLv5になってるな。
出発しても大丈夫かな。
「じゃあ、ラージャの故郷に向かうぞ~」
「「おー!」」
意外にノリのいいふたりである。
南門を抜け、城壁を回り込み、ひと目がないことを確認。
鑑定がカンストしていて、世界地図という天啓を手に入れた。
これはオレ自身、行ったことがなくても、パーティに知っているひとがいれば、その場所が示される。そして、そこに転移可能なのである。それなりに知らん場所があるな。あ、この前のパワーレベリングでエイミーちゃんとララティをメンバーにしたから、彼女たちが知ってる場所も対象になったのか。こうして見るとララティが意外にあちこち渡り歩いてるみたいだな。さすがは長命種。
ま、それはいいや。いまはラージャの村だな。ソーニッジって名前なのね。
さっそく転移!
目の前には魔物の大群!
オーガの群れだわ。上位種込みで3桁後半。
さてどうする考えろ。
「エミリア! 全方位に威圧!
ラージャは威圧で怯んだヤツを斬り倒せ!」
「威圧!」
「わかったよ!」
エミリアは返事を惜しんで威圧。ラージャは新調した片手剣でスパスパとオーガを斬り裂いていく。ランクDの片手剣だ。切れ味も素晴らしいものだろう。たぶん。
当面の危機はこれで回避かな?
オレはー…魔法のレベルを上げたいな。火魔法以外でローテーションだな。
魔力を調整、10倍でいい感じに広範囲を殲滅できる。
さて虐殺の時間だ。
◇◇◇
「村が穴だらけに…」
魔法戦闘の結果だ。
オレとエミリアはせっせと魔石を拾っている。
理由はわからないが、オーガはここに拠点を作ろうとしていたようだ。
最初の3桁以外にも戦闘中にどんどん集まって来たのだ。
エミリアは威圧を繰り返し、余裕ができたら魔法のローテーション。
無事に属性魔法をLv3まで上げることができた。
ラージャを剣士に偏らせ過ぎたせいで剣士がカンストしてしまったな。
ん? ラージャに新しい職業が生えてる。剣士カンストしたから剣士から派生したのか。正統派の騎士と暗黒騎士? あ、スキルも生えてる。隠密、影移動、致命撃。暗黒ってそういう…。むしろ忍者、なんだろうな。
上級職ってやつか。
引き続きラージャには剣をメインで戦ってもらおうか。
ぶつぶついいながらもラージャは散発的に現れるオーガを瞬殺している。
その疾さはまさに魔王の猟犬。厨二的に「黒い疾風」。ダークエルフだからな。
あれ? いつの間にか歩法もマスターしてるし、使いこなしてる。歩き慣れた山だからなのかね。踏み込まない歩法でいきなり最大速度に達するのな。あれだ、昔マンガで読んだぞ。進行方向に転ぶってやつだ。移動にはその方が速いんだな。
あらかた魔石を回収する。魔法で倒したオーガは魔石を残して焼失したけど、剣で倒したのは死体から魔石を回収。一箇所にまとめて魔法で焼き尽くしておく。
放置してもどうにかなると思うけど、ここへは墓を作りに来たんだ。
オーガの死体が魔物を呼び込みでもしたら堪らん。
それと穴だらけも望ましくないか。一応整地しておこう。
「ラージャ! 村の方はオレが整地しておくから周囲の見回りを頼む!」
「了解!」
魔王の猟犬はすごい速度で村を中心として螺旋状に走っていく。
その間にオレは整地だな。魔力操作で土属性を駆使して、盛り上がった土を凹んだところに持って行く。
エミリアも魔力操作は使えるので手分けして進めて行った。
『ぎゃーっ! 出たーっ! 土竜! 土竜!!』
ラージャからギルドカードで通信が届いた。
「倒していいぞー」
『無理っ! 無理っ!!』
「イソ様が大丈夫と言っているのです。倒せるのです」
エミリアも無慈悲だな。
「自覚ないかも知れないけど、おまえは村を出たときから比べて200倍以上強いからなー。それでもダメなら助けを呼べよー」
後でギルドで聞いたところ、竜、ドラゴンというのは属性竜と色竜の2種が存在し、属性竜でランクA、色竜はランクSとなるらしい。さらに100年以上生きた竜は種類関係なくランクSだそうで、ランクSの魔物というのは人類が手を出してはいけないレベルの魔物だそうだ。土竜は属性竜だからセーフ。
おそらくだけど、ランクSにもさらに上があって、SG~SSとかあるんじゃないの? と思った。単に強すぎて強さが測れないからまとめてランクSなんだよね、と。
後日譚だけどね。
『勝ったーっ!』
勝ちやがった。さすが魔王の猟犬。戦闘種族は伊達じゃねぇな。
エミリアと共にラージャのところに転移する。天啓・探知の効果だ。対象を探して、その場所に転移する。いまはラージャを探した。ちなみに知らないものは探せない。この天啓を閃いたとき、金脈! とか探知してみたら普通に見つかったけど、誰の得にもならないので秘密にしてある。
「でっかいです」
「ジャイアント・トータスのドラゴン版みたいなんだな。頭がカメじゃない」
「お手柄だよねっ!」
いわゆるジャイアント・キリング後なのでラージャのテンションが高い。
「仇討ちはできたか?」
「ん? ああ、そういうことだったんだね」
土竜は村の仇だ。オレが出て行って倒してもよかったが、ラージャ自身が倒すことで、気持ちのケジメをつける。再出発のための儀式として必要だと思った。
それだけだな。自己満足自己満足。
「他に魔物は見なかったか?」
「戦いの跡は見つけたけど。オーガが群れで退治したんじゃないかな。上位種のいる群れの強さは洒落にならないからね、オーガは」
オーガは単体でランクD。群れでランクCと言われているが、統率されればBに近いランクCなのではないかと思っている。
上位種がいるとゴブリンですら侮れないのだ。オーガがここに拠点を置こうとして、周囲の魔物を殲滅していたとしても不思議はない。
それと気になるものを見つけたが、あとでいいだろう。
「じゃあご両親のお墓を作ろう。資材は持ってきた。残念ながら中に入れるものは残ってないだろうが、こういうのは気持ちだからな」
「ありがとう、イソ君」
ラージャがしおらしい。
「イソ様は優しいのです」
エミリアが誇らしげに胸を張る。鎧を着ていなければ、さぞや見ごたえがあっただろう。
さすがに村人全員分の墓というわけにはいかないから、慰霊碑の形にした。ここに村があり、土龍によって滅ぼされた。土龍を倒したのはラージャである。
そういう内容を石碑に彫り込む。正面には村の名前。
その下に住んでいたひとの名前を魔力操作により彫り込んでいく。
伊達に金貨1枚した石碑ではない。それなりの大きさだ。
周囲をきちんと整備しておけば、後日入植者があった場合でもぞんざいに扱われることはないだろう。
「あとからひとが来るです?」
「かなり辺鄙な場所だよ? 街道からも遠いし、隠れ里に近い場所なんだよ?」
「この場所が利用されるかどうかはわからないが…
近くにダンジョンがある」
オレの言葉にラージャは目を見開いた。
◇◇◇
「ダンジョンは管理されていると聞いている。ラージャたちの村が管理してなかったのだとすれば、未管理のダンジョン、新規に発生したダンジョンの可能性が高い。
結果、暴走したんじゃないかな」
ラージャの村は運が悪かった。それは口にしないが。
「ギルドへ報告するにしても、安全は確保した方がいいかもね。本当にすぐ近くだ。少し遊んでいこう」
「遊んでって」
あまりに気楽なオレにラージャは少し呆れ気味だ。
「ドラゴンスレイヤーが仲間にいるんだ。それほど恐れることもないだろ」
「…そういうことにしておくよ」
さて、ダンジョンが溢れているのだから、ある程度、数を狩らないとならないだろう。
フォーメーションは魔法砲台でいいか。殲滅ならこれが楽だろ。
ダンジョンの入口は、村の近くの洞窟だ。
「ここ、子供の頃に探検したところだよ…」
それでも15年は前の話だろう。あまり深くない洞窟だが、利用価値もないので、放置されていたそうだ。実際、入るときに入口付近の草の蔦が引き千切られた跡を見つけた。長い間、誰も中に入らず、蔦で入口が塞がれていたと思われる。魔物が出たときに塞いでいた蔦を引き千切ったと見るべきだろう。
洞窟の壁が削られているのは土竜が出たためか。サイズ的にギリギリだろうな。
「順番にボス討伐しますかね」
1層目に転送。ざっくり魔物は4桁。どのくらいの数が残っていると暴走するのかわからない。半分ほど狩ることにしよう。
目につくのはオーガ、双頭犬、トレント。ん? トレント? 平原なのに?
林がまるっとトレントだったりする。見晴らしのいい草原で、休憩を取ろうとすると、そこがトレントでした、という罠か? まあいいや。まとめて焼き払う。
トレントのドロップがトレント材という材木。杖とかの素材だったな、たしか。
予定の雑魚刈りをして、ボス部屋へ。
今後どういう周回をするのかわからないので、ダンジョンの入口はもちろんボス部屋前にマークも忘れない。
ボスはオーガ・リーダーと取り巻きオーガ。火炎嵐10倍で終了。オーバーキルだったかもしれん。急いでるからいいか。
ちなみに火魔法Lv3の火炎嵐は火球の威力4倍。魔力は3消費。威力は武器ランク相当の倍数で、魔力はレベル数の消費なのね。
Lv3だとわずかにLv1に魔力4より効率がいい。超級のLv4まで行くと威力8倍で消費4。効率がハンパねぇ。
2層目。薄暗い墓地っぽい感じ。これはスミストルのゾンビ階層に似てるな。
グール、巨大ムカデ、アシッド・スライムか。
これも焼却処分だな。
アシッド・スライムが洗剤をドロップする。酸性洗剤なんだろうなぁ。
この階層も半分ほどを焼き払い、魔石とドロップを回収してボス部屋へ。
ヒュージ・トレントと取り巻きがボスだった。
でかい。10mはあるトレントが枝を薙ぎ払いで攻撃してくる。
まあ、移動速度はないも同然なので、遠距離から魔法で攻撃すれば脅威ではないだろう。火炎嵐10倍なら1撃だ。
高級トレント材とやらをドロップした。高ランクの杖用の素材かなぁ。弓もイケる? 防具屋に持ち込んでみるか。
3階層。石組みの迷路のはずだけど、迷路になってない感じ。成長中のダンジョンだからか? 罠検知には罠はない。
建造中の雰囲気がひしひしと伝わってくる階層だ。
スパルトイ、ブラッド・スパイダー、アシッド・ワーム。
迷路じゃないので索敵は簡単だ。
もう固まって攻略する意味すらなくなっているので、3人でバラバラにモンスターを狩る。一定数狩ったらギルドカードで呼びかけて、ボス部屋に集合。
気配察知でオレの居場所はわかるだろう。
スパルトイはたまに剣をドロップする。ランクEなので、それなりによいものではないだろうか。ブラッド・スパイダーは高級スパイダー・シルク、アシッド・ワームは高級洗剤。
ドロップ狙いならわりと美味しいフロアかもな。
ボス部屋に集合する。エミリアがニコニコしてる。ちょっと狩りすぎてるかもね。
まあ、調査が入るまで何日かかるかわからんので、構わないでしょ。
ボスがエルダー・レイス。物理無効だっけか。
魔法なので関係ない。レイスは指輪をドロップしたけど…あ、ドロップした。
【祝福の翠玉の指輪】
ランク:F
追加効果:物理抵抗+15%
ほうほう。物理向上ですか。ウチだとラージャ向けってことだな。前衛だからな。
いま、魔法で戦ってるけど。
あ、ラージャの魔術師がカンストしてる。新しく賢者と死霊術師が派生した。
天啓も死霊操作が生えてきてるな。アンデッド特化か。
あ、オレとエミリアも魔術師カンストしてるじゃん。派生職も同じか。エミリア、英勇が天職だから、闇系職業の死霊術師は来ないかと思ったんだけど、ダーク・ヒーローなんてのもいるからな。関係ないのか。
こうなるとオレとエミリアも剣士カンストしたいな。
次のフロアから剣で行くか。時間かかるけどな。魔物次第か。
4階層。岩山? つか荒野に岩石だな。
えーと。ロックゴーレム、アイアンゴーレム、ミスリルゴーレム。
ゴーレムステージか。
エミリアには剣主体に切り替える指示。ラージャは好きにやらせて、オレも剣主体。
では散開。
『かたいのです~』
『魔法効かないっ!』
なんか通信飛んできた。
「がんばれ~」
応援しておく。
おそらくランクCくらいだろ、ここのゴーレム。
「ラージャは致命撃使うとはかどるかもよ」
クリティカルヒットなら数度の攻撃で倒せるはずだ。
エミリアはなんかセンスでどうにかしそう。
そう思ってたら、やっぱりどうにかしたらしい。進撃速度が上がった。たぶん剣術の合わせ方を掴んだとかだろうな。
最近では剣術Lv3が必要な相手は珍しい。ここで鍛えておきますか。
ロックゴーレムのドロップは高級粘土。アイアンゴーレムは鉄のインゴット。ミスリルゴーレムはミスリルのインゴット。
高級粘土は人形作成に使おう。ミスリルが取れるなら、このダンジョンも人気になるかもね。
ボス部屋に集合。ボスはアダマンゴーレム。魔法無効。物理耐性特大。
ラージャが大活躍。致命撃って防御力無視ダメージなのな。さらにレベル上がると防御天啓も無視するのな…。暗黒騎士恐えーな。
ドロップはアダマンタイトのインゴット。
2階層から、必ずボスドロップがあるけど、もしかしたら初回特典?
ありそう。
5階層目。神殿っぽい? なんかこの階層だけ雰囲気違うな。
奥に祭壇みたいのが見える。あれは宝玉かな。あー。ダンジョンコアってやつか。
その前にいるのがダンジョンマスターなんだろうな。土竜か。
ラージャが倒したのとはサイズが違うな。ラージャが倒したのはSサイズだったのか。
目の前のはLLってとこだな。
どうする? まだ土竜はアクティブになってない。こっちを見てるけど、見逃す気はありそうだ。
よし、やめた!
ダンジョンマスター倒して、ダンジョンが死んだら大騒ぎだ。ギルドの判断に任せよう。
そそくさと転移魔法陣へ。
戦わないなら見逃してやる、土竜はそう言ってるかのようにオレたちを見送った。
な~んて見逃すと思った?
悪いけど、狩ります。ここまで来てダンジョンマスターを逃すわけないじゃん?
火炎嵐1000倍、食らってくださいっ!
◇◇◇
「討伐してよかったです?」
「オレもダンジョンのことは詳しくないからさ。ダンジョンマスターっぽい土竜を倒すとどうなるのかわからなかったんだよ。
でも何も起きてないし、よかったんじゃないのかな」
「ボクが倒した土竜はダンジョンと関係なかったのかな」
「その辺も謎だよな。詳しい調査は冒険者ギルドに任せてしまおう。最寄りはロージアンになるのかな」
「だと思うけど…」
調査隊がどのような規模で派遣されるのかはわからない。
ダンジョンの外に出たら、外は真っ暗だったので、灯りで周囲を照らしながら整地した村の跡に移動。テントを取り出す。
転移で帰ってもよかったけど、せっかく準備したんだから泊まって行こう。
エミリアの手料理と在庫のパン、露店の品々。それなりに豪勢な夕食。今度、酒も在庫して置こうかな。
立派な風呂も魔道具のおかげで快適だ。1日の疲れも溶け出すぜ~。
エミリアはラージャに美容ローションの使い方を教えていた。
1回でツヤツヤになるからな。
「泡の国するです?」
「今日はいいだろ。ラージャもかなり働いた」
「わかりましたです」
エミリアとしてはラージャにも教えておいた方がいいのでは? という提案だったようだ。それはそうだが、今日じゃなくてもいいだろう。
かなり働いたからな。
え~総討伐数が5000超えてるな。これアマネさんに怒られるやつだ。
ドロップはたくさん。土竜素材もGETしたからな。大漁、大漁。レベルは揃って50まで上がったぞ。
ランクCまで上がるんじゃないかな、これ。採取ないからダメか? アマネさんに聞いてみよう。ラージャのランクアップ試験もお願いするか。
いろいろ考えながら風呂を出る。
エミリアもラージャも髪を乾かすのが大変そうだ。
つか魔法でできるんじゃね?
魔力操作でラージャの髪の余計な水分を飛ばす。
ラージャが驚いた顔をしている。
「魔力操作でね。練習すればラージャもすぐにできると思うよ」
「やってみるです」
エミリアは早速実行。思った通りにできたようだ。
水分飛ばしすぎても髪によくないだろうしな。
「次からはボクも練習する!」
時短は大事か。魔道具にドライヤーないな、と思ってたけど魔力操作で代用できるからなのかな? これもアマネさんに聞いてみようか。
リビングでお茶を飲みながらくつろぐ。けっこう遅い時間なんだけどさ。
高級粘土を取り出して魔力操作。
一度やったからか、今度は手際よく作れる。モデルが目の前にいるしな。
表面を硬化して磨き上げるとツルツルピカピカになった。トレント材を切断。風の魔法で削り加工。土魔法で研磨して表面を整えて台座にする。
1/6エミリア&ラージャ。冒険者の服バージョン。
「えっ! すごっ!! なんでこれ! エミリアそっくり!!」
「ラージャもそっくりなのです」
そういやこの部屋、鏡がないな。宿でも見ない。公衆浴場にはあった。
高級品ではないが、使う習慣がないのか? 化粧には必要だろうに。
お貴族さまのものなのかな。いや宿のおかみさんも女給さんも化粧はしてたからな。
買い忘れということだ。今度姿見を買っておこう。
ラージャは自分の寝室に。オレとエミリアも寝室に。
エミリアは背後からオレに抱きついてベッドに押し倒して。
「全部脱ぐです?」
いつものキーワード。
しばらくすると、そっとドアを開けてラージャも入ってきた。
「ボ、ボクも混ぜて欲しいな」
「一緒にご奉仕するのです」
こうしてエミリアの技はラージャに伝承されて行くのだった。




