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異世界転生で理想の生活を  作者: かおりん@
2章

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20/56

閑話.がんばれ! エイミーちゃん

◆がんばれ! エイミーちゃん


 あたし、エイミー。14歳の美少女よ。


 …ごめん。ウソついた。美(・)少女じゃなかったわ。普通の少女。


 アルスター領内だけど、少し離れた村からレックスとミナの3人でアルスターまでやってきたの。街道からちょっと外れたところにある村だけど、馬車で10日ってところかしらね。来るときは知り合いの行商人のおじさんにこっそり乗せてもらったのよ。


 アルスターに来たのは冒険者になるため。


 あたしは農家の三女で、ミナが次女。レックスはきこりの次男で誰も家を継げなかったの。もちろん村の誰かのお嫁さんって話はあったし、村なら、あたしも美少女だったし。


 でもねぇ。アルスターのギルドの受付嬢は全員美人だし、スミストルの受付嬢も美少女じゃない? 極め付きはイソの奴隷エミリアよね。美女? 美少女? あんなのと比べたら自分が美少女だと思ってたのが恥ずかしくなるわ。


 あんな美女が朝からイソの◯◯◯◯(ピー)を◯◯(ピー)んのよ? 奴隷がすごいのか、エミリアがすごいのか。あたしはエミリアがすごいんだと思ってるけど。朝からはないわ。え? あたしも釣られてやったけど。やったけど!


 話が逸れたわね。悪いクセなの。


 それでね、レックスが村にいるより、アルスターで冒険者になる方が稼げるっていったのよ。村では稼ぎ頭のレックスのお父さんでも年に金貨2枚くらいなの。うちのお父さんなんて、金貨1枚くらいよ。レックスのところみたいに、ひとり金貨1枚じゃなくって一家でね。ミナのところも同じ。


 でもね、冒険者は年に金貨20枚とか稼ぐらしいじゃない。3人なら金貨60枚よ。


 なんで3人かって? レックスが一緒に稼ごうっていったから、かな。


 だから稼ぎはほとんどレックスがひとりで持っていたし、必要なものはレックスが買ってくれたから、財布は同じだと思ってたの。


 アルスターでは、同じように別の村からやって来たティノって男の子と知り合いになって、仲間になったわ。レックスが、もうひとり剣士はいた方がいいって言ったのね。


 確かに、当時のあたしは魔術師で、魔法は呪文が必要だったし。呪文を唱え終わるまで、魔物を押さえてくれる剣士は必要だと思ったけど。


 でもさあ、人数が増えるってことは食い扶持が増えるってことで、それだけ稼ぎが必要ってレックスは理解してたのかなぁ。


 神殿に寄付された財布は返って来たけど、残高なんて銀貨10枚もなかったのよ?


 3人部屋だとギリギリ銅貨50枚で泊めてくれてた宿でも、4人なら銀貨1枚の部屋にしてもらわないと困るって言ってたし、夕食だって銅貨5枚。ゴブリンの魔石ひとつ分なのよね。だからティノを加えたら、毎日ゴブリン11匹を追加で狩らないとダメってわかってたのかなぁ。


 ティノが加わる前までは、3人でゴブリン13匹。ひとり4匹ちょっと討伐すればよかったんだけど、ティノが仲間になってから24匹、ひとり6匹討伐する必要が出てきたのね。


 あたしたちも最初から宿に泊まってたわけじゃないし、ゴブリンが討伐できるようになるまで、ギルドの馬小屋とかで寝てたし、最悪そういう暮らしに戻ればいっかってあたしは思ってたんだけど。


 ミナが嫌がってね。一度宿のキレイな寝床に慣れたら、馬小屋なんて戻れないって。


 村にいた頃は寝藁と大差ない寝床で寝てたのにね。


 レックスもミナに同調したわけ。


 レックスのやつ、あたしのハジメテ奪った裏でミナともヤッてたのね。知らなかった。


 ミナが馬小屋でなんかでできないって言うから、レックスも宿に泊まりたかった感じ?


 最初は馬小屋でもエロいことしてたんだけど、苦情が来てたらしいわ。公共の場所でそういうのは遠慮して欲しいって。言われてみればそうよね。村ではそういうのはオープンで見て見ぬ振りをするのが礼儀だったから。都会は違うって思ったわね。


 宿ではしてなかったかって? してたわよ、エロいこと。ミナは寝た振りしてるの気が付いてたけど、村での流儀だと当たり前だし、レックスがミナとしてるときは、あたしも寝た振りしてたし。


 あたしはエロいこと好きじゃなかったのよ? レックスが求めてくるから、求められる感じが好きでしてただけ。ミナは違ったのかもね。いっつも大きな声出してて。あたしも声出せば違うのかなってミナのマネしたこともあるけど、あんまり変わらなかった。


 イソとするまでは。


 そりゃあ、あたしだって年頃だしさ、レックス以外ならどうなんだろうってティノと試したこともあるよ。


 でもレックスと同じだったし。ああ、あたしがティノと、レックスがミナと、同じ部屋でしたときは少し興奮したかな。少し、ね。


 でもイソは違ったよね。


 最初はあたしから声かけたの。ほら、お世話なったお礼っていうか。何も出せるものがないし、気持ちだけって思って。そういう感じに言ったら絶対乗って来ないと思ったから、こっちがして欲しいんだって風にね。


 そしたらさぁ、レックスとは全然違うわけ。


 まず準備に時間かけるでしょ。


 ゆっくりたっぷりねちっこく。


 指とか舌とか。もう準備できてるのに、まだ足りないって感じでさあ。


 その間に何度も軽くイクの。正直イソとするまでイクって感じを知らなかったわ。


 ミナは感じてたのかも。だから声が出てたのかも。


 だってイソとすると、あたしも大きな声が出ちゃうもの。


 最後に頭が真っ白になって目の前がチカチカして。


 お腹に熱いのを感じておっきなのが来て…気絶するのよね。


 それもどうかと思うんだけど。


 また逸れたわね。


 なんの話だったかというと、4人で宿暮らしするなら、ゴブリン討伐を増やす必要があったってこと。


 実はLv5くらいになって、レックスがひとりで1匹倒せるようになってから、あたしは少しお荷物扱いになってた。


 ミナは神官だけど、格闘が使えたから、Lv5くらいでひとりで1匹倒せるようになった。ティノだってレックスと同じ。


 あたしは魔法が唱えられれば、ひとりで3匹くらいはまとめて倒せるけど。それをするには、まとまってるところを狙わないとならなくて、そういうチャンスもなかなかなくて、あたしだけ狩れないなんて日もあった。


 いまならわかる。レックスの指示が悪かったって。


 あたしたちはパーティーだったけど、パーティーとして機能してなかった。


 4人が集まってバラバラに戦ってただけだった。


 レックスが、剣士ふたりがいいって言ったのは、周りのパーティーを見てのことで、自分で考えたことじゃなかったんだ。


 魔術師がいるパーティーでの戦い方は、剣士たち前衛がとにかく魔物を追い込んで一箇所にまとめる。魔術師が呪文を唱え終わったら、でっかいのをまとめた魔物に打ち込む。残りを前衛が狩る。


 こうしないと数を稼げないし、魔術師の意味がない。


 連携が取れていれば、1日に5匹の群れを5回なんて簡単なことだったのに。


 あたしの使ってた火球(ファイアボール)は範囲魔法なの。密接してればゴブリンなら3匹は余裕だし、直撃しなくてもダメージは出る。だから、前衛がダメージを受けたゴブリンを倒すのは簡単なはずだったのよ。


 こういう戦い方って、頼むとギルドで教えてくれるんだよね。ギルドだって、冒険者が稼いでくれないと立ち行かないから、指導して稼ぎがよくなるようなことは教えてくれるんだよ。あたしたちっていうかレックスは、パーティーでの戦い方をギルドから教わるべきだった。


 後から知ったんだけどさ、あたしたち「シューティングスター」は危なっかしいパーティーって言われてたみたい。パーティーでの戦い方も知らずに森の奥に突っ込んで行くバカ扱い。


 先輩冒険者が何度もレックスに丁寧に指導してるのは見てたわ。


 あたしもレックスに「教わった通りやってみない?」って促しもしたしね。だって、魔術師としては、その方が稼げるんだもの。


 そのたび「あいつらには俺の真の実力がわかってないんだ」って。


 真の実力(笑)


 いまだから笑えるけど、当時のあたしはレックスがいうならそうなんだって思ってた。元々レックスから誘われて冒険者になったし、職業決めたのもレックスだし、パーティーもギリギリ回ってるから大丈夫って思考停止してたんだね。


 ゴブリン集落の近くで、ゴブリンに囲まれたとき、死にものぐるいで戦ったのは見てた。すごかったよね。剣術を連発してさ。


 でも1匹斬ったときには後と左右に別のゴブリンがいて殴られるの。次のゴブリンを斬れば、もう3発。当時Lv10だからゴブリンの攻撃なんて、1回1回は大したことないよ。


 だけど積み重なれば話は別よね。回復役のミナとも分断されてるし。斬ったのも20匹なら、殴られたのは60回。ゴブリンの群れの中で倒れたら、殴られるままになるよね、そりゃ。


 あたしは早々に諦めたから軽症。ゴブリンって女は殺さないのを知ってたから。


 ミナは倒れるまで抵抗したからボロボロ。


 ゴブリンの巣に連れ込まれてさあ。苗床っていうの? 交代で何匹も何匹も犯してくるのよ。最初、準備もなしに突っ込まれたから痛かったけど、次からはゴブリンので滑りがよくなるからさ、嫌悪感だけガマンすればよかったんだけど。


 でもミナはガマンできなかったんだろうね。ずっとレックス、レックスっていいながら。傷の痛みもあったんだと思う。ゴブリンは治療なんてしてくれなかった。ただ犯すだけ。だから、動くたびに傷が痛んだんだと思う。もう拷問でしょ、それは。舌噛んで自殺したのも無理ないかなっていまなら理解できる。


 目の前で友達が自殺すれば頭もおかしくなるでしょ。状況も最悪だし。あたしがいくら喚き散らしても、ゴブリンは殴っていうことを聞かせようとしてたみたい。そのまま気絶したってことだよね。


 その後の記憶といえば、白い光の中のイソの横顔かな。なんでか一瞬だけ目覚めたらしいんだよね。すごく真剣な顔で光の奥の方見つめててさ。なにしてたんだろうね。


 それでギルドで介抱されて目を覚まして。


 魔法をかけてくれた神官もいて。女性神官。避妊の魔法を使ったから、ゴブリンの苗床になる心配はないっていわれた。一月以内なら後からでも大丈夫なんだって。本当は1回銀貨1枚だけど、ゴブリン集落問題の被害者だからギルドが出してくれたってことだった。女性神官は、こういうこともあるから事前に避妊の魔法は受けておいた方がいいって助言までくれた。今回使ったから1年は大丈夫って言われたし。こういう情報もギルドで聞けば教えてくれるんだよ。どれだけあたしたちがギルドを利用してなかったかってことでしょ? 単に買取施設くらいにしか思ってなかったよね。


 これも後から聞いた話だけど、他の冒険者から、あたしたちが危ないってことで、ギルド職員はレックスに何度もパーティーの連携講習を受けることを勧めてたそうなんだ。無料で教えてくれるんだよ? 利用しない手はないと思わない? でもレックスは拒否し続けたんだよね。何が悪かったんだろう。ギルド職員って、みんな親切だしさ、教えてくれるって話を断る理由がわからないよ。


 ひとつだけ心当たりがあるとすれば、レックスは見栄っ張りだったってことかな。こっそり剣術の講習を受けるのはいいけど、ミナとあたしの前でパーティーとしての戦い方を教わるのは恥ずかしい、とか?


 死んじゃったひとには聞くこともできないから、想像するだけなんだけどね。


 その後も、あたしひどかったなぁ。パニック状態だったっていうのもあるし、パーティー全滅を誰かのせいにしたかったってのもあるし。


 そもそもさ、10匹以上の群れを見かけた時点でおかしいと思って引き返すべきだったんだよ。


 でもレックスが言ったわけ。「稼ぎ時だ!」って。


 その結果がアレなんだけど。それもこれもゴブリンっていう魔物の情報を知らないからできた行動だよね。大きな集落を作ることもあると知ってれば近寄らないよ。あたしたちの当時のレベルでは。


 それをギルドのせいにして泣き喚いて。恥ずかしいったらないわ。助けてくれたことを感謝する場面だよね。ギルド職員のカンダさんだったかな。会うことがあったら謝りたいよ。


 気持ちが落ち着くまで泊まっていいって言われて、ギルドの施設で数日。食事も出してくれたよ。ギルド併設の酒場の賄いって言ってた。


 ようやく気持ちが落ち着いて。お金が全然ないことに気が付いて。


 パーティーに加えてもらおうにも「シューティングスター」のメンバーというのが足を引っ張って。考えなしの連中のひとりと思われてたんだね。その通りなんだけどさ。下手にパーティに加えても言うことを聞かないって思われてたみたい。


 でもひとりで討伐に行くのは恐くて。


 ギルドでパーティー斡旋できないかって聞いたら、アルスターでは難しいだろうから、スミストルへ行ったらどうかって勧められたんだよ。ダンジョンがあって、1階層目なら、ランクGでも戦えるって話だった。あたしはランクFになってたけど、魔術師だから、ソロだと難しいってわかってた。速攻ができない魔術師にソロは向かないんだよ。


 …イソみたいな例外はいるんだけどね。なんでアレが魔術師でソロだったんだろう?


 イソって呪文唱えないんだよ? 魔術師で呪文なしで魔法使えるなんて無敵じゃん?


 天啓(スキル)なんだろうけどさあ。持ってるやつはなんでも持ってるよね。


 それと魔術師なのに聖魔法使えるのなんで?


 ギルドでササラさんに話をしたら。


「他人の天啓(スキル)を無理に聞いたり、勝手に調べたりしたらルールでペナルティが発生するから注意してくださいね」


 と恐い笑顔で言われたし。


 規格外なんだろうね。


 規格外といえばエミリアもすごいよね。


 この前「3Pしたい」って言ったの。いままでは3人っていっても、あたし、エミリアの順番で。あたしが失神したらエミリア、みたいな形でやってたんだけど、これって3Pじゃないよね、と思って。


 レックスがけっこう3P好きでさ。


 その間はティノが部屋の外に追い出されるから、あたしは好きじゃなかったし、ミナも好きじゃないみたいだった。


 でもムダにしたがるんだよね。なんだろ、あれ。女の子ふたりを同時に征服してる感じがよかったのかな。


 だからイソも好きかなって思ってさ、やってみようと思ったの。


 最初はエミリアに譲って、レックスが喜んだことをいろいろとイソにもやって。


 でも普通にエミリアが盛大に失神したあと数秒後に復活すると言ったのよ。


「本物の3Pを教えてあげるです」


 いつもの半分ももたなかったわよ。なんなの、あの子。


 逸れるわね、イソが絡むと。


 お金もギリギリ銀貨1枚くらいはあったから、切り詰めれば一月はイケると思って、スミストルに向かったわ。


 宿に泊まるお金なんてないから、ギルドの許可もらって馬小屋で寝ることにして。


 ダンジョンだと魔物を倒せば、解体しなくても魔石が取れるってことだったから、手間かからなくていいなって思ったんだけど。


 やっぱり呪文は間に合わない。1匹だけのゴブリンなら、射程ギリギリから狙えば、ゴブリンがこっちに気が付いて向かってくるまでに倒せるんだけど。1匹だけ、どころか魔物を探すのも大変なのよ。


 前はミナが「こっちにいる気がする」とか言って魔物を見つけてたんだけど、あの子、なんか天啓(スキル)持ってたのかも知れないわね。


 だから1日銅貨5枚とか、10枚とか。全然稼げない日もあって、手持ちのお金は目減りしていくだけで。


 そんなときにイソがスミストルに来たのよね。イソのことは知ってたわ。草食系。そう呼ばれてるのも含めて。助けてくれたひとだし、印象にも残ってた。


 綺麗な女の子連れてるな、ってのも印象に残ってる。エミリアなんだけど。


 エミリアっていつもイソと一緒にいるけど、あまり自己主張がないのよね。イソの影に隠れて気配を消してる感じ。必要なときだけ存在感出すっていうか。たとえば、イソがギルド受付で処理してるときにテーブルで待ってるときとか。もう全力で近寄るなオーラを出してるのよ。それを勘違いした男が寄って行くと返り討ちに合うのよね。


 あと夜。イソに向けてだけなんだけど、こっちも全力でかまってオーラを出すの。


 あの美貌と身体で可愛くかまってオーラを出すのよ? アテられて、思わずあたしがかまうわ。


 そうそう、イソが来たんだったわね。エミリアとパーティー組んでるみたいだったし、イソも魔術師、あたしも魔術師だったから、パーティー組んでくださいとはいえなかったのよ。さすがのあたしも命の恩人にこれ以上迷惑かけようとは思わなかったのね。飢えてたけど。飢えてたんだけど、まだ理性は残ってたの。あと1日遅れてたら危なかったわね。


 そしたらギルドの受付に呼ばれてさ、「匿名の冒険者の方からあなたに、とのことです」って銀貨を1枚渡されて。2日ぶりに食事ができて。食事というよりは養分ね。食事といえるほどの優雅さはなかったわ。


 そりゃ誰が銀貨をくれたのか気になるわよね。探したわ。「銀貨の君」。


 直感でイソだと思ったけどいきなり否定されたわ。いまでもイソだと思ってるけど。


 ちなみに銀貨をくれたササラさんに聞いてみたけど、生命がかかってるから言えないっていわれた。どんだけあたしにバレるのがイヤなのよ。


 それからギルドの依頼で、イソが少しだけ面倒みてくれることになってさ。


 剣士へ転職しろって言われた時は頭おかしいのかと思ったわ。


 でも前衛のいない後衛の無力さは思い知ってるし、そもそも魔術師になったのだってレックスに言われたからだし。イソが「銀貨の君」なら信じてみようかなってさ。


 そしたらさぁ。3日だよ? 3日で普通に剣士で戦えるようになったの。


 1階層ソロ周回問題なし。1日銀貨1枚稼げるようになったわ。


 ひとに教わるのって大事よね。


 剣術だけはギルドで教えてくれたけど、ソロでどう戦えばいいのかは、実践としては教えてもらえない。修練場での手ほどきはしてくれると思う。でもそれを実戦で使える形にするには、実戦を積み重ねるしかないんだと思う。


 何度も「死ぬ、絶対死ぬ」って思いながら戦ってたから。イソからしてみればヌルいのかも知れないけどさ。それもイソの優しいところなんだろうな、といまなら思うけど。


 当時は訓練の名目であたしを殺すつもりなんだって本気で恨んだからね。馬小屋で泣いたよ。


 イソは優しいよね。エミリアも言ってるけど。


 夜も優しいよね。激しいけど。初日は手探り感があったけど、次からは急所ばっかり攻められたよ。剣術・刺突かっ! って感じ。タフだしねー。あのくらいの男の子はエロの欲求は底なしってのはレックスで知ってるけど、普通は体力がもたないでしょ。あたしとエミリアふたり相手にしてケロリってどうなの?


 一度だけ、朝に部屋を出るとき、イソとエミリアのふたりとも力尽きた感じになってるのを見たことあるけど、一度だけだったな。


 あと、たまに謎知識を披露してた。


 あの「泡の国」ってどこよ。聞いたことないんだけど。「泡の国ごっこ」は、おもしろ気持ちよかったけどね!


 最後にさ、あたしなりに勇気を出して奴隷にして! って言ったのに、あっさり断るし。


 だいたいイソだって、もうあたしが「銀貨の君」の正体に気が付いてることくらいわかってるだろうにね。


 そもそも断りのセリフが。


「エミリアにひとつでも勝てることがあるなら言ってみろ」


 だよ? 勝てないっての。男の夢を現実にしたような女の子じゃん、エミリアって。


 あ、いまさら気が付いた。あたしの方が若い。そういう意味ではエミリアに勝ってる。


 でも、もしもエミリアが不老の天啓(スキル)とか持ってたら…。


 絶対勝てないわ。


 でもさ。別れ際に捨て台詞も吐いてることだし、あたしはあたしでがんばろう。


 努力はムダにならない。教えてくれたのはイソだ。


 目標は4年後。いまのエミリアの歳になる頃、イソに認めてもらえるようにがんばろう!


挿絵(By みてみん) 

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