スミストル・ダンジョン攻略
◆スミストル・ダンジョン攻略
ササラさんと相談するともう1日だけ様子を見てくれとお願いされたので、先日のように基本放置で1階層を散歩していた。
1階層程度の広さだと、オレの鑑定でカバーできてしまうので、エイミーちゃんとある程度離れていても問題ないのだ。
エイミーちゃんは一足先に魔物討伐へ。今日の目標は20匹とのこと。ギルドバンクの借金返済だろうな。
オレとエミリアは職業レベルで魔術師が突出してしまったので、剣士を鍛えることにした。
エミリアが気配察知を取得したので、離れて動いても大丈夫だし、エミリアにはぜひとも気配察知のレベル上げもお願いしたい。
経験値としてはこの階層はおいしくないはずなので、とにかく数を稼ぐことにした。
魔物の種類は関係なしに呼吸をするように剣で薙ぎ倒し、すばやく魔石を回収する。
鑑定でエミリアの動きを眺めながら作業していると急にエミリアの動きが早くなった。
気配察知のレベルが上がっていた。動きが早くなったのは距離が明らかになったからだろう。
一応他の冒険者に配慮しつつ、怒涛の勢いで魔物を狩り続ける。300匹くらい狩ったところで、前に狩った場所からリポップした。
魔物のレベルが低いせいかリポップも早いようだ。これなら安心して討伐を行える。狩り尽くして他の冒険者の迷惑になるのは避けたいところなのだ。
昼前くらいに別れた場所に戻ってきた。エミリアもほぼ同じタイミングである。
二人で合計2000匹くらい討伐したことになり、ここまで数を重ねると経験値もバカにならないらしい。オレのレベルも14に、エミリアもレベル13になった。
目的の剣士レベルも2上がった。
しばらく待っているとエイミーちゃんも戻ってきたので、弁当を広げる。
エイミーちゃんも12匹ほど討伐したとのこと。
コボルドの群れに手こずり、若干ダメージを受けたというので、エミリアに治療を使ってもらう。
弁当を食い終わるとエイミーちゃんは討伐に戻る! と元気に立ち上がった。
オレとエミリアは午後に狩り過ぎないように打ち合わせをする。
「弓を使おう」
弓術は覚えたけど、まだ使い込んでいない。それに矢筒はふたつ。矢が50本づつ。
狙撃で魔物を狙い、矢と魔石を回収。
これなら剣で倒すより確実に効率は落ちる。午後はこの方針でいいだろう。
「午後もがんばるです!」
そう笑うエミリアと別れて狩りへ向かった。
弓術の狙撃は自動ターゲットだ。ホーミングではないから、射線を確保する必要があるが、射線が合っていれば身体が自動的に調整してくれる。天啓さえあれば、昨日までの弓の素人が、達人ほどではないにせよ、本職になれるのだ。
弓術士の場合は天啓のあるなしで大きな差になる。
オレは十分に天啓の恩恵を受けて、次々と魔物を射殺して行く。
やはり矢の回収がある分、数は稼ぎにくい。加えて射た矢が壊れることもあり、手元の矢の数は減って行く。コストの高い武器だなぁと思っていると、弓術のレベルが上がった。
『天啓:弓術のLvが上がりました。
精密狙撃を覚えました。
曲射を覚えました。
矢生成を覚えました』
…なんて都合のいい。
矢生成を鑑定。
【矢生成】
魔力で矢を生成する。
消費した魔力に応じて矢の威力が上がる。
生成した矢は保持可能。
射出時に着弾時の挙動を消滅・炸裂・保持から選択可能。
魔力操作がある場合、射出時に属性を付与可能。
これまでの矢は収納に入れて、矢筒には魔力10消費した矢を50本生成する。
通常矢が魔力消費1の矢と同じなら、魔力消費10の矢は最低でも5倍、最大10倍の威力になるはずだ。魔法の消費魔力と同じだな。
魔力に余裕があったので、試しに魔力1000の矢を生成すると生成できてしまった。
…今度ボスに使おう。
エミリアが戻る動きになったので、合わせてオレも戻ることにする。
矢が尽きたのかも知れない。エミリアのステータスを確認したところ、エミリアも弓術Lv2になっていたので、矢生成を使えるようになっている。
合流したら教えた方がいいだろう。
エミリアが一生懸命矢を生成していると、エイミーちゃんも目標達成したらしく、嬉しそうな顔で戻ってくる。
オレも満足の行く結果だったので、ダンジョンを出ることにした。
なお、ギルドでエイミーちゃんの討伐結果の報告にササラさんは満足したようで、依頼達成となった。合計4日。1日銀貨1枚だったから、悪くない稼ぎだ。
その後、オレたちの討伐結果の魔石を出したらササラさんは悲鳴を上げていた。
ひとに面倒を押し付けたんだ。せいぜい鑑定担当者に文句をいわれるといいよ。
◇◇◇
宿に戻るには早い時間だったのでギルドの酒場でだらけていた。
どうやらダンジョン帰りらしいパーティがギルドに入ってくる。3人組のひとりが受付に、残り二人が酒場にやって来る。
「お? 両手に花かい。羨ましいねぇ」
「そっちのお嬢ちゃんは『銀貨の君』のお嬢ちゃんじゃねぇか。見つかったのか? そこの坊やがそうかい?」
その通りなんだが、暴かないでくれ。
「綺麗どころをふたりも侍らせてるなら、ひとりくらいこっちに譲ってくれないか? 男所帯でむさ苦しいんだよ。お酌してくれるなら、小遣いくらい出すぜ?」
ぎゃははと笑う男たち。ふたりとも20代半ばというところか。エミリアはともかくエイミーちゃんじゃ相手にならないだろうに。
「お酌するとお小遣いくれるの? いいけど。いいよね、イソ」
「オレに断る話じゃないでしょ。オレのパーティでもないんだし」
「それもそっか。どこで飲むの?」
席を立つエイミーちゃん。なに地雷踏んでんだ、この男たちは。
「できれば、そっちのねえちゃんの方がいいんだが?」
「おい、そっちは奴隷…」
止める男の声を遮るようにオレは言った。
「エミリアはオレの奴隷だ。貸し出しもしないが、万一傷でも付けてみろ。損害賠償請求として金貨50枚を請求する」
実質それくらいで取引したからな。
奴隷商で教わった話だ。奴隷は所有者のものなので、他者に傷付けられた場合、損害賠償を請求でき、金額は言い値だそうだ。主人が事故でケガをさせても損をするのは主人だが、他人がそれをすると一方的に主人が損をする。それを許さないためのルールとのことである。商人ギルドのルールなので、冒険者ギルドのルール同様にペナルティが発生する。損害賠償請求を無視すると致死ダメージとのことだ。
「だからお酌はあたしがするってば。それなら誰も損しないでしょ?」
「いや、悪かった。からかった俺たちが悪かったよ。酌は要らない」
「残念。お小遣い欲しかったのに」
心底残念そうにエイミーちゃんは席に戻った。
エミリアはお酌の話が出た瞬間、瞳からハイライトが消えたがオレが損害賠償請求の話を持ち出した途端、ニコニコに戻った。まさかふたりを殺すつもりだったのでは? と一瞬疑うけど、オレの損害になることをエミリアがするとも思えないし、気の所為だろう。
奴隷が犯罪を犯した場合、それは主人の指示ということになり、主人が裁かれる。奴隷の使役項目に犯罪行為の禁止があるのはそのためだ。ちなみにオレはチェックしていない。エミリアが犯罪行為を必要だと判断したならば、それは必要なことなのだ。それはオレのためかもしれないし、エミリアのためかもしれない。その時に枷があってはいけないと思ってチェックを付けてない。
だらだらしているといい時間になったので、宿へ戻ることにする。
だらだらといっても、オレは明日以降挑む2階層目の資料を読んでいた。
主にオーク。ただ、ここのオークは死体を残さないので美味しくない。あとはオークの上位種。ゴブリン同様だが、ソードマスターという剣術を使うやつがいるらしい。
あとはアーチャーにマジシャンか。リーダーやロードは出ないようだな。
フォレスト・ウルフというのが出るけど、これは森で見かけた推定:オオカミのことなんだろうな。
ツーヘッドスネークというのもいるそうだ。これは双頭の蛇。そのままだな。
牙に毒がある。麻痺毒? ソロだとヤバそう。コメントとして麻痺回復ポーションを素早く飲めば対処可能とある。時間経過で全身麻痺になるそうだが、この麻痺毒だけで死ぬことはないと書いてある。でも魔物の前で全身麻痺してたら普通に死ぬよな。
ボスがオーク・ジェネラル? ランクEの魔物で、これも取り巻き付き、と。
つか、2階層ってまだランクF向けじゃないっけ。オークってランクFだよな?
なにこの構成。ランクFを殺しに来てない?
明日潜って手応えを確かめるか。
「今日も晩ごはん一緒に食べてもいい?」
「今日は奢らないけど」
「いいよ。1日銀貨1枚稼げるようになったし。明日から、あたしも宿へ泊まるようにするんだ」
稼ぎが安定したなら、手持ちをある程度使っても問題ないだろう。実際、節約してもたいして変わらんくらいのお金しかもってないはずだし。
「そういや、イソってお風呂入らないの? 身体浄化使えるから?」
「何いってんの? 風呂があるなら入るに決まってるじゃん。アルスターにもなかったよね?」
「え? アルスターにも、この村にも公衆浴場あるよ。あ、ギルドのひとたちって、お風呂に入る習慣のない土地のひとなのか。だから教えてくれないんだ」
「どこだっ! この村のどこに風呂があるんだっ!」
オレの魂の叫び。怯えるエイミーちゃん。
「今日はやってないよぅ。毎日じゃなくて1日おきしか営業してないの。場所なら明日教えるから!」
「ようし、絶対だからな。絶対だぞ。明日、日暮れ前にギルド前な!」
風呂代は銅貨5枚。安い。毎日でも入りたい。
よ~し、待ってろよ、異世界風呂! 混浴だとなおよし。エミリアと一緒に風呂!
期待はしないでおこう。
そんで。
食事が終わってもエイミーちゃんは帰ろうとしなかった。
「あの、今日も。ね?」
昨日は早々にダウンしたから足りなかったのかな。知らない仲でもないし、いまのところ粘着してくるようなこともない。いいか。
そうしてエイミーちゃんは今日も早々にダウンするのだった。
◇◇◇
翌日。オレとエミリアは2階層目にいる。ちなみにエイミーちゃんは起きたらいなかった。本来、宿に予定外のひとを宿泊させるのはご法度だ。気を使ったのかも知れないな。
戦力確認のため、オーク上位種をひととおり。フォレスト・ウルフの群れ、ツーヘッドスネークの脅威確認を行う。
結論から言えば現時点では敵じゃない。フォレスト・ウルフは20頭ほどの群れで襲ってくるが、統率は取れていても連携は上手くない。個々に対応するか、魔法で一網打尽だ。
オーク上位種もゴブリンの上位互換程度の脅威。ランク相当ってところだな。
ツーヘッドスネークは遅いので、そもそも噛まれる心配がない。
この様子ならオーク・ジェネラルに挑んでみてもいいだろうと判断。ダメそうなら、一度退こう。
で。
昨日試しに作った魔力1000の矢で狙撃。炸裂指定したら、取り巻きごと消滅しました。
威力が高すぎて、他の矢との比較は無理でした。
でも経験値的には美味しかったのかエミリアのレベルが上がった。とうとうレベルが追いついた。
今日は風呂もあるので、早めに上がるつもりではいたけど、まだ午前中の早い時間だ。一度ギルドに戻って資料をチェック。3階層目も挑戦してしまおう。
3階層目は迷路とのこと。資料にそう書いてある。
オレの場合は鑑定・自動地図があるので問題ない。
出てくる魔物は。
ゾンビ、スケルトン、アニマルゾンビ。
全部ランクE。腐れ系か。ゾンビは部位破壊程度では動くからきっちりトドメが必要。スケルトンに刺突武器は効きにくい。アニマルゾンビは動きが速いと。
ボスがレイス。物理無効。ランクD? 本当か? 魔法使いがいないと詰む構成でランクDなのか?
オレ、この世界の常識ないからな。
ランク別の適正レベルを聞いてみよう。
ササラさんに聞いてみた。いま暇みたいだからな。
「目安としての話ですよ? 職業補正とかもあるので、実際には適正は低かったり、高かったり個人に依存しますけど。
ランクGがLv1~10。
ランクFがLv11~20。
ランクEがLv21~30。
ランクDがLv31~40。
ランクCがLv41~50。
ランクBがLv51~60。
ランクAがLv61~となります。
職業補正がない前提でのレベル換算なので、職業レベルがLv5とかある場合、必要なレベルはもっと低くなりますね。アマネさんなどが典型的です。アマネさんは弓術士Lv5で、Lv25ですがランクCですから。職業補正が2倍以上ついているのでしょう。
職業補正は最大でステータス6倍ですから、アマネさんは3倍とか4倍が付いているステータスがあるんでしょうね」
というササラさんの見解だ。
なるほど。俺たちのレベルはいま15だ。適正を考えるなら、ランクF。実際のランクはEだが、職業チートのおかげで実質レベルより強いフロアを破竹の勢いで進んでいる、と。
どうりでオーク・ジェネラルの経験値が美味しいわけだ。
今朝の手応えだと、2階層でも荒稼ぎできそうな気がする。
レベリングするか。
適正限界のLv20を目標に数日2階層でレベリングしよう。ボスまで倒して1周にして、100匹狩ったらボス倒して、これを1セット。さて1日何周できるでしょうか。
結果として時間的な余裕を残して10周できました。
その結果、オレとエミリアのレベルは20。剣術主体で戦っていたので、剣術士のレベルも上がり、英雄もレベルアップ。剣術Lv3も取得しましたよ。
成長補正が効いてるんだろうなぁ。
まだ時間には早いけど、昨日の魔石の査定も終わってないからな。
ササラさんをネチネチといたぶることにしよう。
夕方には早い時間なので、ササラさんの受付に行って、昨日の魔石の査定を確認する。
金貨1枚と銀貨25枚とのこと。
ギルバンクに振り込み済みとのことなので、残高を確認。振り込み履歴も確認。間違いなさそうだ。
オレはにっこりと笑って。
「では、今日の査定をお願いします」
「またかーっ!」
「今日は少ないですよ。1000個ちょっとです。オークがオーク肉をドロップしたので、そちらも査定をお願いします。こちらは500個ほどですね。」
オーク肉のドロップは4kgほどの塊が、なにやら包装紙に包まれた形でドロップする。
オーク肉の高級部位を切り出したものらしく、ダンジョン産のオーク肉は高値で取引されている。本体と同じ銀貨1枚。つまり、500個のドロップは、そのまま金貨5枚だ。
「破産する、ギルドが破産する…」
「売ればいいじゃないですか」
「買取先を探すのも大変だし、一気に数を卸すと価格の暴落が」
ここでもか。
「じゃあ、小出しにしますよ。ひとまず10個。それでどうです?」
「助かるけど、大丈夫なの?」
「大丈夫ですが、いろいろ秘密です」
ササラさんはそれだけで悟ったようだった。さすがにギルド職員は博識で勘がいい。
「品質が落ちないなら文句はないよ。指定数を卸してくれると助かるね。なんならアルスターのギルドで販路を探してもいいかもね」
ササラさんはアルスターの冒険者ギルドに面倒を押し付けようとしているようだ。
「レベリングのため、もう少しこの村いますよ。しばらくよろしくお願いします」
そういうと、ササラさんは乾いた笑いを浮かべた。
◇◇◇
少し早めに切り上げたのでエイミーちゃんはまだ戻っていない。スミストルのマップにエイミーちゃんがいないので、間違いない。
ギルドの酒場で果実水を注文する。エミリアも同じだ。
いつも注文がオレと同じなので、もしかしたらメニューが読めないのかと疑ったが、そんなことはなく、単にオレと同じものがいいらしい。
オレは今日の周回を反芻していた。実際、オレとエミリアのレベルではオーク・ジェネラルの経験値は美味しかったようで、最初は5周に一度の割合でレベルアップしていた。
後半はさすがにそのペースは難しかったけど。
さらにオーク・ジェネラル強さというか、弱さ。オレかエミリアの剣術で、ほぼ一撃。
オーク肉のドロップがギルドの迷惑になるなら、ボスだけ周回でもいいのかもしれない。試していないが、ボス部屋の扉を開くと、ボスがポップするように思える。
ボス部屋の前にはマークしてあるので、すぐに転移できる。
オーク・ジェネラルがランクEの魔物だとすれば、取り巻き付を前提とすると、ランクEの俺たちには難易度の高い相手だが、経験値としては美味しいのは間違いない。
ランクDのレベル帯Lv30まではボス周回をしてみよう。
ただ、純粋な手数は稼げそうにないので、職業レベルアップにつながらないのは残念だが、ゴブリン討伐で、手数さえこなせば職業レベルが上がることはわかった。
たとえば深夜のダンジョンとか、他の冒険者がいないタイミングを狙って階層一掃とか繰り返せば、魔物の取り合いを気にせずやれそうだ。この辺りのことはいずれササラさんに相談してみよう。
エイミーちゃんが戻ってきた。表情を見ると、今日も収穫に自信アリということか。剣士に転職させて本当によかった。
できないことに見切りをつけて、できることをやってみるというのは大事なことだ。
ひとは成功体験が重要で、失敗体験を積み重ねると、どんどんダメになっていく。
冒険者の場合は、適度な失敗も必要だと思うが、それはちょっとしたミス程度のものでなくてはならない。命の危険を何度も経験するのは、危険に麻痺してしまう可能性すらあるし、そういうスリルが癖になったらおしまいだ。
「ねぇ! 聞いて! あたし、今日レベルが上がったの! ソロだとレベルの上がりが早いって本当なのね」
経験値独り占めだからな。
「それと、女性だけのパーティーだけど、入ってみないかって誘われたのっ! イソはどう思う?」
賛成だよね? って顔をされてもな。
「1階層をうろついてる女性だけのパーティーってのもちょっと胡散臭い。オレの意見を言わせてもらうなら、エイミーちゃんは、1階層で地道にレベルアップを狙った方がいいと思う。今日聞いた話ではランクFだとLv15までは1階層でがんばるべきじゃないかな。
実はその話を聞いて、オレたちもLv30までは2階層で周回することにしたんだ。
だから、もうしばらくこの村にいる」
オレの返事にエイミーちゃんは驚きと喜びが入り混じった顔をしていた。
驚きはわかるけど、嬉しくなる要素があったか?
「あ、あたし買取してくるね。その後、お風呂だよね?」
返事も聞かずに受付へ走って行ってしまった。まあたしかにこの後は風呂なんだが。風呂なんだが!
エイミーちゃんの今日の稼ぎは25匹。安定して銀貨1枚以上。前のパーティーより確実に稼げているとのこと。まあ、前のパーティーでは索敵担当がいなかったみたいだしな。
1日森を走り回って偶然出会った魔物を倒す、なんてやり方では効率的な討伐はできないでしょうよ。
風呂だが。普通にギルドの隣に建っていた。教えてくれよ、誰か。
「そんなに広くはないんだよ。10人くらいの広さ。アルスターでは、あまりお風呂の習慣がないみたいで、いつも空いてるみたい。この村のお風呂はあたしもはじめてだけど」
受付? 番台? で入浴料を支払う。オレはエミリアとふたり分で銅貨10枚、ついでにお風呂を教えてくれたお礼としてエイミーちゃんの分も払っておく。最初遠慮したが、オレたちの稼ぎの話をしたら黙った。
脱衣所は男女別。まあそうか。
でも中は混浴だった。こっちの世界のお風呂は男女別という考えはないらしい。
どっちに何人入るかわからないのに、仕切りをつけても意味ないし、そもそも冒険者なら、水浴びなどで互いの裸なんて見慣れてる場合が多いんだろう。
他に入浴客もいなかったので、荷物はすべて収納に入れる。エミリアは…まあ、現金を持ってないし、装備くらいなら鍵付きロッカーもあるので大丈夫だろう。
オレはタオル一枚引っさげて浴場に向かった。
なんというか。感慨深いものがある。
シャワーに蛇口というのも魔道具なんだろうが、パーティションで区切られた洗い場がある。石鹸とかシャンプーこそないものの、垢すり用のアイテムが置いてあったので、シャワーで流しながら身体をこする。身体浄化の効果で垢は溜まってないけど、スポンジとも違う植物性の垢すりの感覚が、妙にしっくり来る。
ひととおり身体をこすったら、シャワーで身体を流して、いざ湯船へ!
タオルを頭に乗っけて、少し熱めのお湯を満喫する。
「生き返るわぁ」
「全裸って。あんた、どこの田舎から出てきたのよ」
エイミーちゃんの辛辣な言葉が飛んできた。声の方を見るとエイミーちゃんが湯着を来て立っている。膝上までの薄い布製の服だ。前合わせで、前を紐で縛っている。たとえるなら、すごく薄い柔道着って感じ。
それが、身体を洗った後なのだろう、お湯で身体に張り付いている。逆にエロくね?
「イソ様が裸なら、わたしも裸になるです」
湯着を脱いだエミリアが浴槽に飛び込んできた。
まあ、他に客のいるでなし。迷惑にならないのなら、これでもいいんじゃないだろうか?
でも、他人にエミリアの裸を拝ませる気はない。次からも他の客がいないタイミングを見計らうことにしよう。




