色々あるのですが?
もう一人の異世界転生者はこいつだった。
「なら先に言っておこうかな。この世界では『世界』っていう言葉を知らないみたいなの。」
「え、そんなことあるんだ。ほかに何か違う点とかあるの?」
「うん。『死ぬ』と『殺す』もみんな知らないの。そのかわり、『倒す』、『やられる』が使われてるみたい。たぶん。」
「……いろいろ大変なんだなぁこの世界。何かわかんないことがあったら教えてくれるかな。」
「お、教えますよ。私の知ってる範囲で。」
なぜか両者とも顔を赤らめているこの状況。うぅ、なんか気まずいなこりゃ。
「あ、先に聞きたいんだけど…………トイレってどこです?」
「え?無いわよ?」
「え?」
「無い。最初私もビックリしたのよ~。あー、良い忘れてたけど、………あの……、アソコ、とか、無いみたいなの。……恥ずかしいからこの話はもういいですか………。」
「あ、いや、あ、ごめんごめん。っていやいや、これ彩奈さんが最初に話したんですよね?」
「あ、あれ?そうでしたか?すみません。……え、えーと………。ん?トイレの話は優太さんから……。」
「あ、え、ト、トイレの話からアカンかった………?」
どうすんのこの状況。
にしても無いとかマジで?トイレのいらない世界とかあるのか。
……恥ずかしながらちょっと股間をズボン越しに触れてみる。………無い。凸った感覚がしない。
見た目はどうなってんのかと思い直視………………は、この状況は無理がある!だって後ろでは彩奈さんの顔がヒートアップ!そして僕の顔も絶賛ヒートアップ中!ちょっこれマジでどうすんのさ。
この状況の中、ドアが思い切りどーん!と開いて、
「思い出したー!今、肉が安いってy……えっ?」
この状況を理解できないとばかりに聡香がポカンとしていた。
この謎の場所に来て初日から疲れます…。
とりあえず、
「え、もう肉買ってたの?」
「ええ、……ちなみに今おいくら?」
「500グラムで320コイン。あやなんが買ったときは?」
「私が買ったときは400コイン。………80コイン差、地味に大きいんですけど。」
「金銭問題とか知らない僕にとってはちょっと聞き流してます。分からないのに聞いていてもやっぱり頭に入ってこないじゃん?
「でも野菜はまだだわ。えーと……。 ジャガイモとワカメが無いわね。」
「うーん、じゃあ野菜は明日買う?もう日没直前だし。」
「ですね。あ、優太さん、リビングに戻っていいですよ。」
「ん?あー、分かった。」
完全に買い物の話になってくれたので、聡香には感謝すべきか。
この日の夕食はにらとたまごの炒め物。こっちの世界にも同じ食材があるんだな~。食べ物に関してはいちいち覚え直す必要がなさそうだ。
風呂あるのかと聞きたかったがさっきと同じ雰囲気になっては困るので、他の3人の生活を見て確かめることに。……誰も入る気配がない。つまり風呂もないのか。
「優太、この部屋を使えるか?ベッドや明かりもあるし大丈夫だろ。」
「ありがとうございます、拓也さん。」
こうして初日は終わる。明日、今の自分の顔がどうなってるのか確かめようかな。




