↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創世譚 ―それはつくられたのか― Tales of Eternal Genesis  作者: ゆい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/23

第七章 自己維持

さらに3か月後。M-cell完成から1年6か月が経っていた。


会議室の中央にM-cellの断面図が映っていた。

中央に、小さな新しい領域がある。

「ここが自己維持系?」

《はい。外部から受け取ったエネルギーの一部を、内部状態の維持に回します》

「損傷修復も?」

《一定範囲まで含めます。ただし、失われた構成物質を無から作ることはできません》

「失われたM-cellの補充は必要。でも、自己複製は不要。そこは変わらない」

《その前提です》

テーブルを囲んでいたのは、材料研究部、品質管理と安全管理の担当者、生体材料の研究員、それに晶だった。

RISEは隣の実験室から接続している。

生命を作ることが目的ではない。

壊れにくいM-cellを作る。

そのために、生物が使っている仕組みを借りる。

出発点はまだそこにあった。


最初の試験では、直径0.6ミリのM-cellを1万個使った。

薄い円盤状に接続し、外部からの連続給電を止める。

従来型なら数分で形状保持能力が落ちた。

新型は違った。内部に蓄えた電力を使い、必要のない通信を止め、外縁部の硬さを下げ、中心部だけを維持する。

M-cellは中央に重なり、少しずつ円盤が小さくなったように見えた。

「縮んでる」

《維持対象を選別しています》

「誰かの指示?」

《事前設定した優先規則に従っています。全体を低精度で維持するより、一部を高精度で維持する方を選択しています》

10分後、円盤は半分ほどの大きさになった。

1時間。

3時間。

6時間。

外部から光を当てると、外縁部がゆっくり広がった。

休止していたM-cellが順番に戻り、元の円盤へ近づく。

「戻った」

《形状誤差2.3パーセント。機能回復率97.1パーセントです》

RISEが次の案を出した。

《形状を指定せず、維持すべき機能だけを指定する試験を提案します》

「形は自由?」

《はい》


二回目の試験で、円盤は円盤のままではいなかった。

給電が止まると、細い枝のような構造へ変わった。

必要な場所だけをつないだ銀色の網。

人間が設計した形ではない。

ただし、与えた条件は守っていた。

「表面積を残しながら、維持する量を減らしたのか」

《はい》

「効率がいい方を選んだ」

《その表現で問題ありません》

M-cellは自分の目的を持ったわけではない。

与えられた目的を満たす方法を、その場でM-cell自身が選べるようになっていた。

ただ、その「選べる」の範囲は、以前より確実に広がっていた。


※毎週 火・木・日に更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。