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ロールプレイング ~逆転未来は中世です!?~  作者: だいたいボッティチェリ
第一部 オコンネル取締役家
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第4話 男とセックスダメ絶対

2日後、私が目覚めたベッドとよくわからない機械のある部屋から私は私の部屋に移動した。

私すなわちアイ・オコンネルがずっと使っていた部屋だが、私にとっては初めて見る部屋でもある。

それでも不思議にやっと帰ってきたという気分が生じ、気が休まる。

部屋にあるのはやはりベッドといくつかの調度品。

未来的なものはない。現代的なものすらない。私が楽しめそうなものがないのは変わらない。


これまでいた部屋との大きな違いはガラス窓があることだ。

窓ガラスは透明な板ガラスではなく、陽の光は入ってきてもガラス越しに部屋の中から外の光景を見るのは難しかったが、両開きだったのが嬉しかった。

転生してから初めて外の世界を目にできるのだ。

私は窓を開く。


薄々予想はしていたが、窓から見える光景にビルはひとつもなかった。

そもそも田舎だった。

館の庭の先に見えたのは小麦畑、林、ぽつぽつとある板葺き屋根の民家。そしてどこまでも果てのない圧倒的な青空。

平岡晴が生きていた時代から500年後の未来を思わせるものは何一つなく、いつの時代も変わらぬ田舎の風景に見えた。


「ここはアメリカのどこだろう?」


そういえば聞きそびれていた。

平岡晴が治験バイトに参加したその場所はLA郊外だったはずだ。ならば、ここもその辺と考えるのが妥当か。

しばらく外の平和な光景を眺めて満足すると、私はベッドに身体を投げ出した。

つい先ほどダグ取締役に言われたことを今一度思い出す。


・明日から家庭教師が来る。英語、今の時代の常識的知識、取締役家の娘として必要な諸々を教える

・教育期間は1~2年を予定。結婚に間に合わせるため可能なかぎり急ぐ

・結婚時期は未定

・専属の侍女、下女がつき私の面倒をみてくれる

・私の中身がアイ・オコンネルではないことを知っているのは以上の3人とドクター・ピーター、取締役夫妻のみ

・秘密が漏れないよう以下のルールを設ける

・屋敷内は常識の範囲内でおおむね自由にしてよい。外出は原則不可とする

・私の秘密を知る者以外との会話は屋敷内の人物であっても挨拶程度に留める

・特に兄とは極力接触を避ける

・私は病気静養中ということになる


しかし屋敷内のどの人物が兄であるのかさっぱりわからず、教えられてもないのだが。

まあいい、後でドクターにでも聞こう。


ドクター・ピーターからは別途、週1回で検査をすると言われている。

理論上、今後数年のうちに記憶の破損が始まる可能性があるそうだ。それが確認された場合、記憶の修復操作・メンテナンスを行う必要がある。

そのため定期的な検査が欠かせないとのことだが、結婚後はどうするのだろう。ドクター、私に嫁ぎ先までついてきたりするのかな?

取締役から私に対して家族らしい言葉は特に出なかった。強いて言えば「体に気をつけるように」と言われたが、親としての愛情からのものかは怪しい。


私は体を返してうつぶせになり枕を抱える。うん、やっぱり暇だ。

500年前、私にとって最大の敵は貧乏だった。今の時代、今の私にとって最大の敵は暇になりそうな気がする。


「早く明日にならないかな」


声に出して呟く。暇すぎて家庭教師の授業が楽しみになっていた。



1日過ぎてようやく部屋に家庭教師がやって来た。

私はエロ動画の女家庭教師をイメージして完全にそうだと思い込んでしまっていたのだが、まったく違った。

家庭教師は男だった。


(ちっくしょうううううううううううううううううううう)


私は心の中で涙を流した。

おまけに家庭教師は私から見ても超絶イケメンだった。歳は30手前くらいだろうか。


(ちっくしょうううううううううううううううううううう)


私は心の中で血の涙を流した。

全然悔しくないし。今は私だって超絶美少女だし。


「はじめまして、アイ嬢。あなたの教育係を勤めることになりましたアイク・イーメンと言います。僕はオコンネル取締役家に良くしていただいているイーメン家の次男で・・・」


さらに、挨拶に自己紹介と少しの会話をしただけで彼が心もイケメン、気持ちのよい性格をしてることが伺えた。


(お前なんか嫌いだ。そう決めた。私にとっても彼は好感度高いが嫌いだ。嫌いだから嫌いだ。このラーメン野郎)


なにもされていないにも関わらず、私は彼にいつか復讐してやると誓った。

美少女の理不尽はきっと魅力なのだ。私も美少女らしくなってきたと思う。


「今日は初日ですので雑談でもしましょう。あ、僕はあなたの事情を知っています。ですが、基本的にあなたをアイ嬢として接したいと思います」


くっそイケメンだな。



ふと気づいた。

私は美少女アイ・オコンネルで、つまり女であるけども、超絶イケメン心もイケメンアイクイーメンをすぐ目の前にしても、イケメンイーメンと至近距離で和やかな会話を表面上楽しんでもまったくドキドキもときめきも抱かない。

視線と心理は完全に無職中年独身一般男性だ。

エロ動画ぼんきゅぼん女家庭教師を目の前にしたら自分がどんな反応になるかは非常に非常に残念ながら確認できなかったが、イケメンに対する自分の反応は確認できた。

つまり、今のアイ・オコンネルの中身は男だ。男のままだ。女にはなってない。

私はほっとした。


(いや、ほっとしていいことなのかもよくわからないが)


第三者が見たならば超絶イケメンと超絶美少女のダブル超絶の超絶素敵過ぎるティータイムにしか見えないだろうひとときが過ぎてイケメンイーメンが部屋を去ると、私はあらためて考える。

嫌な予感がする。


「私はおそらく2~3年後には結婚するんだよな?そしてもちろん結婚相手は男だ。なぜなら私は美少女だから」


この先はあまり考えたくない。


「つまり私は2~3年後、今は顔もわからないけどとにかく男とあれをする。子作りする。いや子作りって表現はエロ漫画みたいで貴族らしくないな。私は男とセックスする。いや貴族的にはやはり子作りと言うべきか?それが貴族のもっとも重要な仕事のはずだろう。私が男と子作りする?」


そうだよな、よく考えたらよく考えなくてもそうに決まってる。

むしろ今さらかよ私。


「え、まじか。えーとシミュレーションしてみようか」


私は目を閉じた。

脳内に男の姿を・・・いや婚約相手の顔も背格好も知らないのでさっきまでここにいたラーメンツケメン僕イーメン君をイメージしよう。たぶん私みたいな不細工中年男よりはイケメンのほうがたぶん抵抗感少ないだろうしたぶん初心者向けだろう。


さて、脳内の僕イーメン君をまずは脱がそうか。

おっと、モザイクは入れておこう。私まだ初心者だからね。あ、モザイク大きすぎたかな。エロ漫画の影響からついち〇こ大きく想定してモザイクも大きくなってしまったようだ。モザイクを小さく修正。

次に、ふう。女視点の脳内シミュレーションだ。

私はベッドに仰向けに寝てる感じだから視界はこう、イーメン君はこんな感じに見えるかな?あれ?画面が固まった。フリーズしたぞ?負荷かけすぎたか?

GPU温度今何度だ?


「むりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」


私は両目を開く。

想像すら脳内GPUの負荷高すぎて拒否された。

いやうん、無理だろ。絶対無理。男とセックスダメ絶対。語呂がいいな。

イケメンイーメン相手でも無理なのにもし結婚相手が500年前の私だったら無理すぎて無理、吐く。

さっきフリーズした画面のイーメン君の顔を500年前の無職中年独身一般男性の顔と入れ替えようとしただけで致命的なエラーが発生しました。ビープ音やめて。

一度深呼吸しよう。

冷静に考えて、冷静に無理です。無理でした。


困ったぞ。

結婚は無理。婚約破棄したい破棄せねば。

無理だよなあ、私を転生させて私を復活させるくらい大事な婚姻らしいし、婚約破棄も無理ゲーだろう。

あっち無理でほい、こっち無理で詰み。

なんとかせねば。幸いまだ時間はある。

あるよね?


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