第8話 村への帰還
ゴブリンとの戦闘でついた傷が癒えるのを待っていたら明け方になっていた。
太陽が昇り始めている。
村に戻るために森の中を歩いていた。
「カルナのことは村の人たちになんて言おうか。」
夜の森に女の子が1人いたというだけでも十分怪しい。
それに魔法を使うとなると魔物かその仲間と思われることは避けられないだろう。
どうしようかと1人で思案していると。
「大丈夫よ、魔法のレベルはリセットされてしまったけど使える魔法の種類は減っていない。
透明化の魔法をかければ村人には見えないわ。」
「そんな便利な魔法があるの?」
「魔法は万能なのよ。それくらいは当然できるわ。なんてったって私だから!」
えっへんと言わんばかりに胸を反らして答えた。
その自信はどこから来るのだろうかと不思議に思いながらもうすぐで森を抜ける。
彼女は杖を高く上げると彼女の体が半透明になった。
「あなたからは私が見えるようにしておいたわ。半透明だからわかりやすいでしょ。
他の人から見えていないから安心しなさい。」
夜の戦闘といい魔法が超常の力と言われる理由がよくわかる。一瞬で魔法をかけてしまう。
村の入り口に到着すると村人たちが一斉に集まってきた。
カルナは村人を避けてそのまま村の中に入っていく。
「あんた大丈夫だったか?
このまま戻らんかったら村人総出で捜索に出ようと言っていたところじゃ。」
「森の広場のところでボスゴブリンを討伐しました。」
カルナのことは伏せて昨夜の戦果を簡潔に伝えた。
「またああいうやつらが襲ってくるんだろうか?」
村人たちから質問がくる。
「安心ください。森にいたのはあの1体だけでした。
小さいゴブリンは瘴気を元に生み出されていました。
しばらくは魔物の襲撃はないかと思います。」
襲撃はないということを聞いて安心する村人たち。
「あんたが勇者学校を出た勇者様ですか?」
「違います。それは別に人ですね。私は彼らをさるお方の命で追っています。」
そう言って村人の集団から抜けようとしたがぜひともお礼がしたいと言われてなかなか離れてくれない。
こうしている間にもエルンストたち勇者一行は先に行ってしまう。
どうやって切り抜けようかと困惑していると。
「アンインターレスト」
と女の子の声が響いた。
するとカザンを引き留めようとしていた村人たちはカザンのことに興味がなくなったようになり散り散りになって普段の生活に戻っていった。
その解かれた集団の中にカルナが立っていた。
まだ半透明なので透明化の魔法は効いているようだ。
カルナの下に行くと小声で
「何してんのよ。早く村を出るのよ。早くあんたのお友達を追いかけんのよ。」
「そうだね。そうしよう。」
「あと私の言葉に返事しなくていいわ。私は今村人からは見えてないからあなたが1人でしゃべっているように見えているわ。返事をするとしても小声にしておくことね。」
宿屋でチェックアウトすることを伝えて道中での食料を売ってもらう。
ここで食べるとカルナの食事ができなくなるので村を出て誰もいないところまで移動して食べることにした。
宿屋の主人と軽くお別れの挨拶をした。
「村を守ってくれてありがとう。ところでどこに行く予定なんだ。」
「勇者一行がノキマと言う街に行くと聞きましたのでそれを追いかけます。」
「あの街か、魔物の襲撃があったなんて噂があったが勇者が向かっていると言うことは本当に襲撃があったんだな。」
カザンもそうであったが侵略を受けていない地域では魔物の侵攻といってもピンとこない。
多くの人はその日を生きるために農業などに従事していて世間のことに疎い。
カザンは父が商人である為普通の村人よりは情報を仕入れやすい、それでも父は魔物のことを話したことはなかった。
世界と言われてもイメージできるのは自分の村とその周辺がいいところだった。
「ここからノキマを目指すならもう一つ村がある。
あんまり付き合いはないんだがな。
正直いい噂は聞かんな。」
主人は何か言いたいようだがそれ以上は何も話してはくれなかった。
宿屋を出て隣の厩に預けてあった馬の下に行く。
馬具を取り付けてまたがり出発することにした。
「ちょっと待って、あたしはどうするの?」
半透明なカルナが何やら不満顔で言っている。
「空を飛んだら?」
「疲れるからいや。」
そういうものなのかと思いカルナを自分の後ろに座らせた。
カルナは落ちないように彼の腰に手をまわした。
村が見えなくなったあたりまできてカルナは透明化の魔法を解いた。
「お腹が減ったからご飯にしましょ。
こっちに来て何も食べてないのよね。
魔法も使ったから余計にお腹も減ってるし」
木が数本生えているところで馬を降りて村で買った食料を食べる。
木陰はひんやりとしていて風が心地よかった。
「私、馬に初めて乗ったわ。思っていたよりは揺れないけど結構視野が高くなるのね。」
「カルナの世界だと空飛んだりとかしてるの?」
「んーそういう人もいるけど私は疲れるからやってない、電車とか車とかバイクで移動する人が多いかな。」
「電車?車?バイク?
魔法で動く乗り物ってこと?」
「んー、そうじゃないな。馬より便利な乗り物ね。こっちにも馬車はあるんでしょ?」
「馬車はあるね。乗ったことないけど。
僕は荷馬車を使って商品や荷物を載せて運んでる。」
「馬車と荷馬車か・・・馬車の方が目立ちそうね。
荷馬車にしましょう。」
「ここには荷馬車はないよ。村に戻っても荷馬車は売ってくれないと思うけど。」
「ないなら作ればいいのよ。」
「誰が作るの?魔法で?」
「魔法だとそこまでのレベルはまだないから、魔法半分で残りはあなたね。」
こっちが呆気に取られていると、とりあえずご飯を食べましょとカルナに言われて二人は食事を再開した。
食事のあとカルナから修業も兼ねて荷馬車を作ると言われた。
「私の魔法がリセットされているから魔法はまたレベル上げからやり直しなの。
私の魔法がある程度使えるようになるまであなたが私の盾と剣になりなさい。」
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