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野良勇者と獣人魔法使い娘の魔王討伐  作者: オツタロ


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第31話 囮模型完成

カザンが目を覚ますとすでにカルナの姿は荷台にはなかった。

荷台から降りて顔を洗いに池に側に行く。

顔を洗い終わって振り返るとすでに焚火が赤々と燃えている。

昨日は寝る前にきちんと消しておいたはず。

その側でカルナが朝食を食べている。

パンに干し肉を挟んだシンプルな朝食だ。


「カルナが火をつけたの?」

近づいて尋ねた。

彼女はパンを頬張りながら左手に持っている細い枝のようなものを彼に見せる。

黒いそれには細かい紋様が描かれており、ところどころ太い部分と細い部分が組み合わさった不思議な見た目をしている。

パンを飲み込みカルナが話し始める。

「おはよう。よく寝ていたね。

これがワンドと呼ばれる魔道具だ。あの杖ほどではないが以前はこれを使っていた。

これを使えば鳥の模型くらいなら飛ばせるだろう。」

「持ちやすそうな棒だね。それも見た目は棒だけど中身は複雑なものなの?」

「いやこれには魔石が取り付けられている。これが魔力を増幅してくれるんだ。

他の部分も特殊な木で魔力を貯める効果や魔力を増幅させる効果がある。」

そう説明する彼女は昔を思い出すように話す。今まで昔ことを話すときは素っ気なく、興味がない感じだったが今は違うようだ。

「早く朝食を食べて模型を作るんだ。」

ほれっ、パンに干し肉が乗ったものを手渡してくる。

少し焼かれているのはカルナが焚火で調理したからだろう。

「カルナって料理できたんだね。」

「どういう意味だ!」

失言してしまったと思い、なんでもないよと言いカルナが作ってくれた朝食を食べる。

パンに干し肉、この組み合わせでおいしくないわけがない。


「模型の方はどれくらいで出来上がる?」

「んー、材料が揃えば組み上げるだけなんだけど。」

「蔓と葉っぱか。荷馬車を作ったときのようには魔法でできんが材料の場所くらいはわかるかもしれん。

レベルアップのために魔法で探してみるか。」

カルナはワンドを目の前に縦に構える。

探索(サーチ)

とつぶやくとワンドを中心に円が発生した。

それは彼女の体をすり抜けて、斜め向かいに立っている彼の体もすり抜けて広がっていく。

その拡がっていく方向を目で追うカザン。

ある程度円が進んだところで11時の方向で淡く光った。

「あっちの方向に蔓があるみたい。レベルが低いからそんなに遠くまで探索できないから近くだと思う。」

カザンはそうなんだね。ありがとうと言って光っている方向を見ている。

彼の魔法の力が徐々に成長してきていると感じる。

探索魔法が発する円の索敵も対象物が見つかったときに淡く光るものも術者本人にしか見えない。

他人の魔法が見えているということが特別なことだ。

通常の魔法使いとも違う成長をしようとしている。そんな予感をさせる動き。

カザンは蔓がある方角に向かって走り出した。


しばらくすると両手いっぱいに蔓を抱えてカザンが戻ってきた。

戻ってくるなり昨日作成した細い木を使って模型造りを始める。


器用に木と木を曲げて蔓で結ぶ。

そういう作業を繰り返していた。

見ていると一流の職人が手を動かしているようだ。

「そういうの得意なの?」

黙々と作り続けている彼に聞いてみる。


「自宅で使うものならこうやって作っていたかな。

売り物になるレベルじゃないけどね。」

照れくさそうに言っているが手元で今まさに作られている物は綺麗で逞しく手作り品として売り出せば買い手がつきそうだ。

生活に必要なものは買うよりも作ってみる。

そういう意識が働き職人レベルになっているのか。

無自覚なのが恐ろしい。


テレビでこういう番組があるとずっと見ていてもあきないカルナはカザンが作っている様子を黙って見ていた。

囮用の模型の骨組みができたのが昼過ぎ。

今後は大きな葉っぱを探さないと、と言うカザンの言葉にカルナは再度探索の魔法を使う。

彼は円を目で追うように視線を動かしカルナが場所を言わなくても光った方向に走っていく。

この短期間で成長している姿を見るのが嬉しく感じるカルナだった。


戻ってきた彼は上半身を覆うような大きな葉を持って帰ってきた。

「なんという植物なの?」

「わかんない。」

あっさりと答える。

カルナも植物には詳しくないので特に気にもならない。

探索の範囲は狭いが探索能力は衰えていないことに安心する。


その葉っぱを地面に置くとバサリと音がする。

思いのほか重たいのかなと思うと小型のナイフでそれを裁断していく、翼の骨組みに合うように切り蔓で骨組みと葉をつなぎ合わせていく。

同様にして同体部分も葉で覆っていく。

そうやって完成した姿を見たときに思ったのが

(これってまんま飛行機だな)

言葉に出すとカザンからの質問が来ることが予想されるので言葉に出ないように気を付ける。

十字型の囮の鳥模型が完成した。

大きさも申し分ない。

嬉しさのあまり二人でハイタッチをした。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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