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野良勇者と獣人魔法使い娘の魔王討伐  作者: オツタロ


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第24話 ノキマ行き

荷馬車は山を越えてノキマの村を目指している。

荷台にはノキマから逃れてきた住民が載っていた。

荷馬車の御者台にはエルンストが座り手綱を握っている。

学校の長期休暇中実家に戻った際に父から商人のいろはを叩きこまれていたらしい。

その中で荷馬車の操り方も教わったらしいなんでもそつなくこなすのが彼らしいと思う。

そうするために今までどれほどの努力をしてきたのだろうとも同時に思う。


カザンとカルナは一緒の馬に乗り、クロエとザッハはそれぞれの馬に乗ってノキマに向かっている。

馬は村長が私腹を肥やした資金で購入されたもので、村には相応しくないほどの気品あふれる馬たちを頂戴することにした。


「私あなたのことが嫌いよ。」

クロエが馬を近づけてカルナに話しかける。

「あなた性格終わっているわ。友達とかいないでしょ。」

「強き者は誰とも群れん。そんなこともわからんのか。」

「群れないんじゃなくて相手にされなかっただけでしょ。」

「うっとおしい小娘だ。」

「あなたの方が年下でしょうが、年下ならもうちょっとかわいく振る舞えないのかしら。」

「何を言っとるか。どう見ても私が年上だ。」

そうみたいだよと僕も補足しておいた。

「うわぁ。年上なのに全然おしとやかじゃない。年上なら年上らしく余裕を持った振る舞いとかできないの?」

「年下だと文句をいい、年上でも文句を言う。うるさい奴だ。」

カルナが杖を奮って抗議している。

左手のカザンの腰に回している、そちらの手にも力が入る。

クロエから言われて憤慨しているようだが魔法を使う様子はないので放置しておこう。


クロエとアインザックを戦わせるためにアインザックを煽ったはいいがその言葉がきつすぎた。

クロエもアインザックも同じ同級生で苦楽を共にした仲だ。

仲間が侮辱されて怒らないわけがない。

元の世界で大活躍をしていたらしい彼女はそれがどうしてかわからないらしい。


村を出るときのエルンストがアインザックとの会話を思い出す。

「村のことは任せたよ。何かあったらすぐに連絡をくれて構わない。可能な限り急行する。」

「大丈夫だよ、こっちは任せろ。」

「王からの使者と学校からの使者がくるだろう。

勇者が賊に落ちたなんていう前代未聞のことだ。

詳細な報告が求められると思う。

違法に奴隷として売られた人についても王に陳情して売買契約の無効などの対応ができないか相談してみてほしい。」

「あぁわかった。それも任せろ。」

会話が終わり2人は熱い握手を交わした。


クロエが離れる、彼女は荷馬車に近づきエルンストに話しかけている。

荷馬車の後ろにはザッハの馬がいる。

彼は寡黙な人のようで無言で馬を走らせている。

周りを警戒してくれているのだろう。


カザンはカルナにだけ聞こえる声で話しかけた。

「もしかしてだけど、クロエさんとアインザックさんってステータスではアインザックさんの方が強かったんじゃないかなって思うんだけど。」

「よくわかったな。

ステータス、武器の特性と1対1での近距離での戦闘形式。

どれをとっても槍の方に利があった。

槍の方は油断はしていたがそれでも弓が勝てたのはあの暗器のおかげだろう。」

「クロエさんが暗器を使えることはステータスで分かっていたの?」

「もちろん。ステータスの得意武器欄に書かれていた。

それでもそれをどの場面で使うかは本人のセンスによる。

矢筒やら弓やらを放り投げて目くらましにしてそのわずかな隙間を通すように相手の急所に投げる。

まぐれと言えばまぐれだろう。

それでもそれを当ててみせた。

ステータスではわからないことばかりだ。」

「クロエさん強いんだね。」

「まだ原石って感じだがこれから適切な経験を積めば強くなれるだろう。」

カルナが元の世界のことを思い出しているのだろう、ゆっくりとした速さで思い出を思い出すように話す。

「私の世界ではステータス至上主義のようになっていた。

ステータス上で数値が負けていれば実際に戦うことなく勝敗が決まる。

誰もかれもステータスによって人生が決まると思っている。

だからステータスを隠すためのアンチステータスオープンという魔法があったり、偽のステータスを表示させる魔法があったり。

他人にステータスを見られないために一日中アンチステータスオープンを展開する人も珍しくない。」

「カルナの世界は魔法とかあって便利そうだなって思っていたけど大変なところもあるんだね。」

「便利だが使い方だな。結果的にめんどくさくなってしまっているというか。

良いことばかりに使う奴らじゃない。

悪意を持って使う奴らもいる。」


そんな会話をしていたらノキマの街に着いたのだった。


ノキマに着いた頃は夕方になっていた為話し合いは翌日にすることになった。

ノキマから逃れて山賊に掴まっていた人たちは涙を流して同郷の人と抱き合っている。

この日は街が取り戻された記念と言うことで崩壊した家々から食料を持ち寄りささやかな宴会が行われた。

宴会後まだ家の形を保っている家にそれぞれ泊まることにした。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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