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野良勇者と獣人魔法使い娘の魔王討伐  作者: オツタロ


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第18話 新たな旅立ち

カルナと一緒に家を出て広場にいるエルンストの下に行く。

彼の方は午前中に村人と協力して山に逃げている山賊たちを投稿させていた。

ゴモラが負けたことで旗色が悪くなった彼らは抵抗することなく村まで降りてきていた。

「やあカザン、父には手紙を書くことにする。

ここでの対応が終わったら家に帰る。

ここの新しい村長は村人の中から選ぼうって話していたところだ。

きっとうまく行くと思う。」

憑き物が取れたように彼は笑っている。

「おお、もう出発するのか?

それなら俺たちの荷物をもらっていってくれ。

俺らはこの村でたんまりと蓄えられていた食料やらがあるから食べるもんとかに困らねぇ。」

そう言ってアインザックは硬貨の入った革袋を手渡した。

「す、凄い大金だ。こんなに貰えないですよ。

それに返せるあてなんてないし。」

「貸すんじゃねーよ。やるって言ってんだ。

気にせず貰っておいてくれ必要なくなったらそのへんの道端に捨ててくれても構わねえ。

金はあって困ることはない。」

そう言ってアインザックは他の仲間にも声をかける。

彼らも頷いて腰のポーチからお金を取り出した。

4人が革袋に入れてくれたお金はこれまでカザン一家が1年かけて稼ぐ金額よりも多かった。


「これ要るか?」

巻かれた紙をアインザックは持っている。

「それはいったい何なのでしょうか。」

「これは勇者認定証っていうやつさ。これが国から正式な勇者であるっていう証明書になるんだ。

街とかにある役所でこれを見せたら特別待遇してくれるぜ。

要は国家の命運を背負っているってわけだからどこに行っても貴賓待遇よ。」

そのようなものが存在していたとは。

その巻物を受け取り開いてみる。

そこには畏まった文章で書かれていた。

カザンの知識では書かれている単語はすべてわからないがところどころに知っている単語があり内容は推察することができる。

文書の最後にアインザック本人のサインがある。

「これはアインザックさんのものですから私が使うと不正になってしまいます。」

「そんなの気にすることねーよ。なんならアインザックって名乗ってくれて構わねないぜ。

あんたが活躍してくれたら俺の評判が自動で上がる。」

そう言って彼は豪快に笑っている。

「ふーん、この名前のところを書きかえれば使えるんじゃないの?

魔法ならこんな署名すぐに変えれるわよ?」

横からカルナが首をぬいっと突き出して会話に入ってきた。

「なんというかこれはみなさんが学校で毎日訓練とかをして得られた栄誉あるものだと思うんです。

そういうみなさんの頑張りにただ乗りするようなことは失礼かなと。」

「まじめだなー。それも美徳ってやつだな。

まぁ”野良勇者”で魔王を倒すってのもありだな。」

「野良勇者?」

初めて聞く単語だった。

「俺たちみたいに勇者学校を卒業して王から正式に勇者として認められたやつのことを公認勇者って言うんだ。

その反対に公認ではないが魔王を倒さんとして勇者をしているのを野良勇者って呼んでる。」

そういう分け方があるのか公認であれば王からの勅状を賜わることができ町などでサポートを受けることができる。

貴族たち有力者からも支援を得られるのだろう。

公認勇者と言うのは確かに魅力的だなと思ったが

「僕は野良勇者で魔王を倒します!」

自然とそう口にしていた。

それを聞いてアインザックは爽やかに笑った。


その後長期保存に適した食糧などを荷馬車に積みカザンとカルナは村を後にした。

登山道に向かって荷馬車を進めた。


もう敵がいなくなり静かになった山道を進んでいく。

以前はここがノキマと村とを繋ぐ街道だったので道は整備されていて荷馬車でも問題なく進めることができる。

頂上まですんなりと行くことができゴモラと戦った広場をあっさりと通過する。

そのまま下山の道を進んでいく。

カルナは相変わらず荷馬車の荷台で村人から貰った藁束に布を敷いた簡易ベッドに寝そべっている。

2人は会話もすることなしに森が発する自然の音に耳を傾けていた。


山を降りると平原に出た。

ノキマの街はこれよりさらに進むと見えてくるらしい。

時刻は夕方になろうとしている。

このまま進めば夜には街についてしまうだろう。

2人は進むのを止めて野宿することにした。



カザンが火を起こそう薪を組み火起こし用の藁を使おうすると

「こっちのほうが早いわ。」

そう言ってカルナが火の塊を薪に飛ばしてきた。

一瞬のうちに薪に火がつき焚火となる。

カザンが食事を作り二人でそれを食べる。

カルナが口を開いた。

「なんであいつらは硬貨なんぞ渡してきたのだろうな。」

カザンは考えてみよと言われている気がした。

きっとカルナは既に答えにたどり着いているのだろう。

これも修行だと思い考えてみることにした。

「ノキマを支配している魔物がお金に弱いとか?」

「そんなことあいつらは言ってなかっただろうに。

今度の相手は体は獅子、頭は鷲、尻尾は蛇という。それに翼もあると言っていた。

グリフォンというやつね。」

「ぐりふぉん?」

「私の世界ではそう呼ばれていただけよ。こっちには似た生き物はいる?」

「僕にはわからないな。どこかにはいるかも。」

「それならグリフォンと呼ぶことにしましょう。」

「どんなのか想像できないね。翼があるということは空を飛ぶことができるのか。

獅子ってのは見たことがないからどんなんだろうね。」

「獅子とはそうだな身近な例でいうと犬が物凄く大きくなったものだ。

足も太いし雄叫びを聞くだけでほとんどの動物は逃げ出す。」

カルナが両手を広げてその大きさを伝えようとしてくれた。

「そんな相手に勝てるのかな。」

「少なくともお金には興味もないだろうし、弱点でもないだろうな。」

「まだ推測の域だが魔王はこの世界をそれほどは支配していないのだと思う。」

その発言にカザンは驚いた。

「どういうこと?世界はほとんど魔王の手に落ちているんじゃないの?」

「私も最初はそう思っていたがあの軽そうなチャラい奴がお金を渡してきただろう。

あいつだけじゃない、他のやつらも同様に渡してきた。

渡すことに何の躊躇もなくだ。魔王に支配されているなら金なんぞ意味はないはず、そういうことを言う奴が誰もいなかったのが不自然だ。」

そうだね、とカザンは頷いた。

カザンも今まで見たことがに量の銀貨、銅貨を渡された。

エルンストたち勇者学校の学生は裕福な家の出身ばかりと聞いていたので単に金銭感覚が違うだけと思っていた。

しかしカルナはそうは思っていないようだ。

「ノキマはすでに魔王軍の手に落ちているがそれ以外の街は違うかもしれん。」

「でもそれならなぜみんな魔王を恐れているんだろうか。多くの街が無事かもしれないなら悲観することもないんじゃない?」

「それはお互いの街への行き来ができなくなっているからではないかな。

この世界の連絡の取り方は古臭いというか手紙が主なやり取りだろう。

電話すらない、飛行機もない。

そんな状態だから魔物に阻まれて交易が寸断されてしまい、お互いが勝手に相手は滅んでしまったと思っているんじゃないかと思う。」

カザンは唸る、彼は世界はすでに魔王の手に落ち人間は滅びるまでのつかの間の時を過ごしているだけと思っていた。

それすらも数日前にエルンストの父から初めて聞かされた。

自分はこの世界のことについて何も知らないことを悔しいと感じる。

家族が食事にありつけるために毎日を必死に働いていた。

そうだったからこそそれ以外のことを知る余裕はなかった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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