事情聴取
うーむ 体調悪いので今日はこの1話だけ更新します。
女のときだけ人生がうまくいく件 〜拾った指輪でTSした俺の二重生活〜
の方のストック増やします。
「――こちらへ来い」
船長の一言で、私は無言のまま甲板の奥へ連れていかれた。
部屋は豪華というよりも、機能的な作りだった。壁には大きな地図が掛けられ、棚には書類や航海道具が整理されている。机の上には航海日誌と小さな金属製の箱が置かれ、全体に整然とした空気が漂っていた。
(……取り調べ室みたいだ)
ドアが背後で音を立てて閉まる。逃げ場はない。
正面には船長、その両脇には二人の乗員。無言の圧力が、私の肩越しに伝わってくる。
「荷物を出せ」
「……はい」
私は観念し、背負っていたバッグを机の上にそっと置いた。ガサッと中身を取り出す。衣類、洗面用具、細々とした日用品。すべて、普段通りの旅の荷物。
そして――
「……これは何だ」
一人の乗員が白い封筒を手に取った。端がわずかに擦れている。
(……あー、これか)
私は一瞬、迷った。正直に言うか。いや、無理だ。
「ほかの世界から転移してきました」なんて、信じてくれるわけがない。
乗員が封を確認する。
「開封済みではないな。宛名がある」
船長が手を差し出す。封筒を受け取り、目を細めてじっと見る。
「……家族宛て、か?」
(……よし)
私は軽く咳払いをした。小さな音が緊張を断ち切る。
「その手紙は……私の命の恩人のものです」
沈黙。
「恩人?」
船長が繰り返す。私はうなずく。
「はい……その人は、もう……」
言葉を切る。少し間を置く。呼吸を整えるように、ゆっくりと。
「……亡くなりました」
空気がわずかに変わる。船長や乗員たちの視線が、ほんの一瞬だけ柔らかくなる。
「最後に、これを家族に届けてほしいと頼まれて……」
私は視線を落とし、封筒の角を軽くつまむ。旅の途中で、偶然この手に渡ったものだ。言葉を濁す。あとは想像してくれ、と内心で呟く。
乗員たちは互いに顔を見合わせる。船長は黙ったまま、私を観察する。
数秒の沈黙が、やけに長く感じられた。
やがて船長は小さく息を吐き、言葉を落とす。
「……なるほどな」
私は思わず肩の力を抜きかける。
「話としては筋が通る」
(きた……)
しかし次の瞬間、声が重くなる。
「だが、お前が“いつの間にか船にいた理由”は別だ」
(うん、それはそうだ)
「結果として、お前は無賃乗船だ」
(ぐうの音も出ない)
素直にうなずくしかない。
「……はい」
「加えて、正体不明」
「……はい」
「さらに、海獣に対して未知の手段を使用」
(言い方……)
「……はい」
船長は腕を組み、沈黙のまま私を見つめる。
「総合すると……かなり怪しい」
(知ってた)
私は肩を落とす。
「……ですよね」
横の乗員が口を開く。
「ですが、結果的に船を救ったのも事実です」
別の乗員も続く。
「被害も最小限に抑えられた。あの一手がなければ、甲板の損傷はもっと大きかったでしょう」
船長は黙ったまま頷きもせず、ただ聞き入る。
やがて、船長は短く考え込み、声を落とす。
「結論だ」
私は姿勢を正す。緊張の糸を一瞬だけ引き締める。
「お前は――“無賃で乗り込んだ商人見習い”とする」
(……ん?)
思考が一瞬止まる。
「え?」
思わず声が出る。
「商人……?」
船長は淡々と続ける。
「荷物の内容、旅の目的、そして“物を扱っている”点から判断した」
(唐辛子のことか……)
「異論はあるか?」
(いや、あるけど……)
口を開きかけて閉じる。ここで否定するメリットはない。
「……いえ」
「よろしい」
決定はあっさりと下された。
「ただし、無賃である以上、相応の働きをしてもらう。雑用、荷運び、必要であれば戦闘補助だ」
(普通に労働じゃん)
「拒否権はない」
「……はい」
船長は少し口元を緩め、質問をひとつ。
「その……辛い粉は、どうやって手に入れたのだ?」
私は言葉を探す。ごまかすしかない。小さく息をついて、答える。
「えっと……故郷にいたころ、旅の商人が私を気に入ってくれて、これをいただいたんです」
船長が眉をひそめる。
「……それで、実際に何に使うものだ?」
「料理に使ったり、するものだと聞きました」
私は少し笑いながら肩をすくめる。
「試しに使ってみたんですが、口に合わなくて、そのままカバンに入れておいたんです」
乗員たちの視線が少し和らぐ。
「その商人は、どこでそれを手に入れたのか知っているか?」
私は考え、自然な口調で続ける。
「別の大陸から来た船に積んであったそうで……ちょうど荷物整理のときに、こっそりもらったと言っていました」
(うまくごまかせた……)
船長はしばらく無言で私を見つめ、やがて短く頷いた。
「……なるほどな」
私は肩の力を少し抜く。深く息を吸い、吐く。
横の乗員も微笑み、船長にうなずく。これで唐辛子の粉の経緯は一応納得してもらえたようだ。
船長は軽く息を吐き、声を落とす。
「今日はもう休め。空いてる部屋に案内してやる」
(……休めるのか)
やっと、戦闘後の緊張から少し解放された気がした。深呼吸をひとつ、肩の力を徐々に抜いていく。外の海風が部屋の窓から差し込み、カーテンがかすかに揺れる。
ーーーーもしもの話ーーーーー
ユウ「私は決して怪しいものではありません」
船員「カバンの中から怪しい短剣が入っていました何やらボタンが、、」
ユウ「あ!!それは!!!ボタンを押さないで!!」
船員「ポチッ あっ」
ユウ「【ブースト】!!!よし!脱出だ!!」




