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強制異世界転移!! ~世界を繋ぐ指輪~  作者: 生家事


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93/99

気づいたら船の上でした

また、I話抜けてる、別の作品に集中しすぎて、頭がいたい。   ミス多くてすみません、、

――嫌な予感は、現実になった。


「きゃあああああっ!!」


甲板に裂けるような悲鳴が響き、周囲の人々の流れが一気に崩れた。押し合い、転び、叫び声が混ざり合い、騒然とした空気が一瞬で恐怖に染まる。


「下がれ!下がれ!!」


乗員たちの怒声が飛び交う中、私は流されそうになりながら、必死に足を踏ん張った。板張りの甲板がしなる。手すりにしがみつこうにも、波の揺れと人々の衝撃で思うように体が動かない。


(……何が起きているんだ……)


足元から、鈍い衝撃が伝わる。――船全体が、波ではない衝撃に揺れる。明らかに、“何かがぶつかった”。


「まさか……」


誰かの呟きが耳に届いた。


視線を甲板の端に向けると、海面が盛り上がり、黒い影がゆっくりと現れた。


「……うわ」


思わず、声が漏れる。目の前に広がるのは、太くぬめりを帯びた巨大な触手。一本、二本、三本……次々と海面から持ち上がる。その下には、もっと巨大な影。客船の半分ほどもあるクラーケンだ。


(……あれが本気で暴れたら、この船は……)


甲板に響く緊迫の声。


「総員、戦闘配置!!」


鋭い号令に、乗員たちが一斉に動き出す。混乱の中でも動きは統制され、戦闘態勢が整っていく。私も自然と周囲を見渡した。甲板の側面には、巨大な弩がずらりと並んでいる。


「……バリスタか」


装填される鉄の矢。緊張感で手が震える。


「距離維持!近づけるな!」

「装填急げ!」

「撃てぇ!!」


重い発射音が甲板に響き、矢が一直線に飛んで触手に突き刺さる。だが、乗員の声がすぐに怒鳴る。


「浅い!」


クラーケンは怯むどころか、触手を振り上げて反撃する。ブンッ――甲板を叩きつけ、木材がきしみ、人が吹き飛ぶ。怒号と悲鳴、まるで戦場そのものだ。


(……無理だろ、これ……)


唇を噛み締める。バリスタの矢は確かに効いている。でも、決定打には程遠い。


その時、視界の端でクラーケンの本体が少しだけ浮かび上がった。巨大な口が、ゆっくりと開く。円形の奥に吸盤のような器官が並び、暗い闇が覗く。


(……あれに飲まれたら終わりだな……)


ぞっとした。だが、同時にあることに気づく。


(……あそこ、柔らかそうだ……)


外側の硬い甲殻とは違い、口の内部は無防備なはず。だが――


(届くわけない……バリスタの角度も足りない……)


考えている間にも、触手は振り下ろされ、甲板がドゴォンと衝撃で揺れる。


(……このままだと、押し切られる……)


カバンの中で、何かが触れた。手を突っ込むと、小さな袋が出てきた。唐辛子の粉と胡椒。


(……あ、元の世界から持ってきたやつだ……)


完全に忘れていた。だが、相手は巨大生物。これで何ができるか……自分でも分からない。


クラーケンが再び口を大きく開く。こちらを飲み込もうとする動き。


(……いや……いやいやいや……)


頭で理屈を考えても、迷っている暇はない。私は甲板の縁に向かって全力で走り、袋を握りしめた。風が強く、海がすぐそこに迫る。心臓が張り裂けそうに脈打つ。


(……届くか……タイミング次第……)


投げる瞬間、全神経を集中させる。


「……いけっ!!」


袋が宙を舞う。風に煽られ、ぎりぎりの距離でクラーケンの口に吸い込まれた。


一瞬の静寂――そして、絶叫。


「ギィィィィィィィィィィッッ!!?」


クラーケンが暴れ狂う。触手が海を叩き、船が大きく揺れる。乗員たちの悲鳴と怒号が混ざる中、私は息を切らし、手の震えを感じながら見守った。


(……効いたのか……?)


口を何度も開閉するクラーケン。その異常な動きに、ようやく唐辛子の効果を実感する。強烈な刺激が、あの巨大生物を混乱させていた。


「今だ!!撃てぇ!!」


叫びとともに、バリスタが一斉に動く。矢が開いた口めがけて連続で飛ぶ。ズドォン! ズドォン! 内部を貫き、さらに絶叫が響く。触手の力が徐々に抜け、やがてクラーケンはゆっくりと海の中に沈んでいった。


波だけが残り、静寂が戻る。しばらく誰も動かない。やがて、かすかな声が漏れる。


「……た、助かった……?」


歓声が甲板に広がる。私はその場にしゃがみ込み、息を整える。


(……マジで効いたのか……)


背中に、ぞわりとした視線を感じる。振り向くと、乗員たちと指示を出していた男――全員がこちらを見つめていた。


「……え?」


甲板が静まり返る。そして低く響く声が一つ。


「今、何を投げた?」


私は手の中の空になった袋を見つめ、ぽつりと呟いた。


(……あー………やばいな、なんて言い訳すれば……)

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