ロイドさんの世界へ
女のときだけ人生がうまくいく件 〜拾った指輪でTSした俺の二重生活〜
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皆さんこちらの作品も投稿はじめました。!!よかったらこちらもお願いします!!!
こっちのほうがpvの伸びがよくてちょっと残念だけどなっとく、
ロイドの世界へ行く直前、私は背中のカバンを軽く引き上げた。
普段から背負い慣れたカバン。肩に馴染む重さと形。中には食料や水、細かい道具がぎっしり詰まっている。向こうの世界で何が起きるか分からない以上、準備は多いに越したことはない。
そして、もう一つ。手に持ったカバン。
それはロイドさんから託されたものだ。見た目はごく普通だが、しっかりとした作りでずしりと重い。中には一通の手紙が入っていた。ロイドさんが、自身の家族へ宛てたものだ。
「もしもの時に、渡してくれ」
そう言われ、私に託された。
手に伝わる重さは、物理的な重さだけではない。中身の意味が、肩の上にずしりとのしかかる。小さく息を吐き、私はカバンをしっかり握り直した。
ゆっくりと指輪に触れる。冷たい金属の感触が指先を伝う。次の瞬間、頭の中に無機質な声が響いた。
『充電完了しました』
『転送可能です』
視界の端に、文字が浮かぶ。
【転送可能世界】
世界番号:532
世界番号:175
世界番号:248
ランダム
(……ランダムもあるのか)
思わず小さくつぶやく。さすがに、何が出るか分からないランダムは選べない。
私は一度目を閉じ、深く息を吸った。ゆっくりと吐き出す。肩の力が少し抜けた気がする。
「……ふぅ」
迷いはない。決心を固める。
「――248へ、転送してくれ」
一瞬の静寂。
『了解しました』
『世界番号248へ転送を開始します』
光が視界を覆い、体の感覚がゆっくり遠のいていく。
(……ロイドさん、待ってろよ)
意識が沈む。次の瞬間、すべてが白に塗りつぶされた。
――そして、目を開けると、ぐらりと体が揺れた。
足元が不安定で、反射的にバランスを取る。視界の端から端まで、木の床と磨かれた手すり、白い壁。
「……え?海?」
視線を向けると、果てしなく広がる青。水面がゆっくりと波打ち、潮の匂いが鼻をくすぐる。風が帆を揺らし、木の床をかすかに振動させた。
(……船か)
ゆっくりと立ち上がり、周囲を見渡す。広い甲板、整った設備。普通の船ではないことは一目で分かる。
「……客船か……?」
思わず呟く声は、震えが混じっていた。
その時、ガヤガヤとした声が聞こえた。
「――え、誰あれ?」
「いつからいたんだ?」
「乗客か?」
(……人がいる)
振り向くと、数人の男女がこちらを見ていた。完全に不審者を見る目。私はぎこちなく手を上げた。
「あ、あの……す、すみません」
頭の中で状況を整理する。チケットなし、乗船記録なし、いきなり出現――完全に詰んでいる。
――ゴォン。
低く響く衝撃音。船全体がわずかに揺れる。
「……今の、なに?」
誰かが小声で呟いた。次の瞬間、遠くから――
「きゃああああっ!?」
悲鳴が甲板に突き刺さる。ざわめきが恐怖に変わる。
(……は?)
私は音の方向へ視線を向けた。指に、ぎり、と締め付ける違和感。
――嫌な予感がした。
頭の中で声が響く。
『第248世界 適応開始』
『生存率 90%』
(これのどこが生存率90%なんだよ……)
恐怖を押し殺し、私は悲鳴の方へ目を向ける。




