正体不明な女
今回短いです
指輪に触れる。冷たい。
そして、確かにさっきの声は現実だった。
(……いる。この世界にも、他の転移者が)
胸の奥が、静かにざわつく。
さっきまでの、ただの買い物が――もう、ただの日常じゃなくなっていた。
そのとき、ふと違和感がよぎる。
(……いや、待て)
あの瞬間。目が合ったとき。
――ほんの一瞬だけ、無意識にスキルを使っていた。
「観察」
遅れて、頭の中に表示が浮かぶ。
【観察】
対象:???
危険度:低
弱点:なし
……は?
思考が止まる。
対象が表示されていない。名前も、種族も、何もない。空白。
ただ――「危険度:低」だけが、やけにはっきりしている。
(……低?)
あれが? さっきの女が?
ありえない。
むしろ逆だ。あれは――もっと得体の知れない何かだった。
なのに、「低」。
指輪が、わずかに冷たくなる。
(……誤作動? いや、違う)
あの目。あの、一瞬の笑み。
ぞくり、と背筋が粟立つ。
(……違う。これは――“低く見せられている”)
その考えに至った瞬間、心臓が強く跳ねた。
無意識に周囲を見回す。
どこにでもいる、普通の客。主婦、学生、老人。
――その中に、紛れているかもしれない。
さっきの女が、何食わぬ顔で、すぐ近くに。
「……っ」
喉が乾く。
母の声が、遠くに聞こえる。
「次は野菜見るわよー」
いつも通りの声。何も知らない、日常の音。
私は、ゆっくり息を吐く。
(……落ち着け。ここは日本だ。戦う場所じゃない)
でも。
頭のどこかで、確信している。
さっきの親子は――“ただの転移者”じゃない。
そして、もう一つ。
(……弱点:なし)
そんな表示、今まで一度も見たことがない。
弱点がない存在なんて――。
指輪を強く握る。
冷たい感触が、やけに現実的だった。
(……やばいのに、当たったかもしれない)
その直感だけが――妙にはっきりしていた。
ユウ「(;´・ω・)こ、怖い」
ユウ「そういえばあの親子どこかで見たことあるような,,,,,」
ユウ「うっ,,,,,あれ?なにをかんがえていたっけな」
母「どうしたの?ぼーっとしちゃって」
ユウ「いや,,,なんでもないよ」




