元の世界で~リリィ~
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気が付くと――
りりィは、地面に寝転がっていた。
「……ん……」
ゆっくりと目を開ける。
見慣れた空。
少しざらついた石畳の感触。
鼻をくすぐるのは、焼いた肉とパンの匂い。
(……ここ……)
体を起こす。
周囲には人がいた。
銃を肩に担いだハンターの男たち。
買い物袋を抱えた商店街の人たち。
ざわざわと、ざわめきが広がっている。
「なんだ……?」
「今、光らなかったか?」
「気のせいか……?」
「いや、一瞬まぶしかったような……」
だが――それもすぐに収まっていく。
「まあいいか」
「昼時だし、飯食いに行こうぜー」
「おい、この串焼きもう一本くれ!」
何事もなかったかのように、日常が戻っていく。
りりィはぽかんと周りを見ていた。
(……もどってきた……?)
自分の体を見る。
ちゃんと、元の姿。
耳も、しっぽもある。
そして――
ポケットの中に、小さな空の包み。
(あ……)
思い出す。
お弁当。
お父さんに届けるはずだった――
でも。
「……たべちゃった」
小さくつぶやいた、そのとき。
「りりィ!!」
前の方から、慌てた声。
どすどすと、大きな足音。
人をかき分けるように、一人の男が近づいてくる。
高い身長。
がっしりした体。
光る頭。
りりィは顔を上げた。
「……おとうさん」
男は息を切らしながら、目の前で止まる。
「どうした! ころんだのか!?」
大きな手が、肩をつかむ。
「ケガは!? どこか痛いか!?」
「だいじょうぶ」
りりィが首を振ると、男はほっと息を吐いた。
「……そうか」
少し眉をひそめる。
「さっき、変な光が見えた気がしてな」
「お前がいた方向だったから、慌てて来たんだ」
りりィは一瞬だけ言葉に詰まる。
(ほかの世界にいってた……なんて……)
言えない。
りりィは小さく笑った。
「ちょっと、ころんだだけ!」
男はじっと見つめる。
だがすぐに、ふっと笑った。
「そうか」
大きな手が、頭に乗る。
ぐしゃぐしゃと、豪快に撫でた。
「無事ならいい!」
りりィは少し目を細める。
そして、ふと手元を見る。
空になった包み。
(あ……)
思い出した。
「……おとうさん」
「ん?」
「おべんとう……たべちゃった」
一瞬の沈黙。
そして――
「ははははは!!」
男は大きく笑った。
「なんだ、そんなことか!」
「気にするな!」
再び、頭をわしゃわしゃと撫でる。
「腹減ってたんだろ?」
「食えるときに食っとけ!」
「……うん」
りりィは少し安心した顔になる。
男は胸を張る。
「どうせ俺は、あとでギルドでいくらでも食える!」
「熟練ハンターなめるなよ?」
りりィはくすっと笑う。
この人は、自分のお父さん。
名前はガルド。
ハンターギルドでも有名な、熟練ランクのハンター。
強くて、優しくて、ちょっと大雑把。
でも――大好きな人。
ガルドは腕を組む。
「それより、一人で来たのか?」
りりィは少し考える。
(ユウ……)
胸の奥に、少しだけ寂しさがよぎる。
でも。
「うん」
「ひとりできた!!」
ガルドは満足そうにうなずく。
「よし!」
「じゃあ一緒にいくか!」
「ギルドでなんか食わせてやる!」
「うん!」
二人は並んで歩き出す。
商店街のにぎわいの中へ。
その途中。
りりィはふと空を見上げた。
青い空。
どこまでも続いている。
小さく、つぶやく。
「……クロノ町」
「ユウ」
誰にも聞こえない声。
でも――
その顔は、少しだけ笑っていた。
リリィ「おとうさんだいすき!!!!」
ガルド [えへ、えへへ]
衛兵「おい!あそこで強面のハンターが幼い少女を誘拐しようとしているぞ!!」
ハンターA「また、いつものやつがはじまった、、、」




