アイルVSルナ
皆さんよかったらブックマークと☆をお願いします!
受付嬢は私の顔をじっと見て、くすっと笑った。
「あら、あなた……」
「よくアイルのところに入りびたってる人よね?」
「え?」
私は思わず聞き返した。
「いや、入りびたってるって……」
受付嬢は楽しそうに眼鏡の奥の目を細める。
「だって最近よく見ますもの」
「アイルの受付に並んで、毎回ちょっと揉めてる人」
私は言葉に詰まった。
「揉めてるつもりはないんですが……」
そのとき。
後ろのカバンが――
もぞ。
受付嬢が首をかしげる。
「……?」
さらに。
もぞもぞ。
耳がぴょこん。
黒い耳がカバンの口から飛び出した。
受付嬢の視線がそこへ向く。
「……」
「……」
そして。
「あら?」
次の瞬間――
カバンの中から小さな顔がひょこっと出た。
「にゃあ」
ルナだった。
受付嬢は目をぱちぱちさせる。
「……獣人の子ども?」
私は慌ててカバンを押さえた。
「いや、その、これは……」
言い訳を考えていると。
遠くの受付から声が飛んできた。
「ちょっと!!」
聞き覚えのある声だった。
アイルだ。
アイルは対応していた冒険者の書類を返しながら、こちらを睨んでいる。
「ちょっと!!あなた!」
「なんで他の受付に行ってるのよ!」
そのとき。
アイルの視線が――
カバンへ向いた。
黒い耳。そして、ひょこっと顔を出すルナ。
「……」
三秒沈黙。
そして。
「え?」
受付嬢が横で笑いをこらえている。
「ねえ、アイル」
「この人、子ども連れてるわよ?」
アイルは肩をすくめた。
「リリィでしょ?知ってるわよ」
受付嬢は笑いながら指をさす。
「違うわよお」
「彼の背負ってるカバン見てみて」
アイルはじっとカバンを見る。
ルナがもう一度顔を出した。
「にゃあ」
アイルの目が大きく開いた。
「え……?」
私は慌てて言う。
「これには事情があって,,,,」
だがアイルは腕を組み、呆れた顔をした。
「また子ども連れてきて」
「今度も迷子の子ども?」
そう言い終わる前に――
ルナがカバンからするっと飛び出した。
ぴょん。
そして。
とことことアイルの受付台まで歩く。
小さな体。
受付台の上にぴょんと登る。
アイルが言った。
「ちょっと、なに――」
その瞬間。
ルナがアイルの頭を丸ごと――
「あむ」
口に入れた。
「……」
ギルドの空気が止まった。
私はその光景を見て、ぽつりとつぶやいた。
「……既視感が」
アイルの体は、小さなアヒルサイズ。
つまり。
ルナの口に、頭がすっぽり収まっていた。
「むごごごごご!!」
アイルが暴れる。
足をばたばたさせる。
受付嬢はついに笑いをこらえきれなかった。
「ちょ、ちょっと……!」
「やめ……ふふっ……!」
周りの冒険者たちもざわつく。
「何してんだあの子!」
「またアイルが食われてるぞ!」
「アイルが猫獣人に食われてるぞ!」
私は慌ててルナを引きはがした。
「ルナ!!」
ぺっ。
アイルが解放される。
「はぁ……はぁ……」
羽はぼさぼさで乱れている。
アイルは真っ赤な顔で私を睨んだ。
「……あなた」
私は嫌な予感がした。
アイルが机を叩いた。
「ちゃんと説明しなさい!!!」
ギルドの中に、アイルの怒鳴り声が響いた。
ユウ「俺は悪くないだろ」
アイル「あんた、 少女ばかり集めてる変態じゃないでしょうね?」
ユウ「,,,,」
アイル「なんか言いなさいよ!」




