猫とツナ缶
スマホで読んでる方は、読みやすいと思いますが、
パソコンで読んでる方は大丈夫でしょうか?
文章量少なく感じでしまうような気がします。
エレナに案内されて、中庭へ出る。
そこにはすでに――
たくさんの子どもたちがいた。
人間の子どももいれば、
耳の生えた獣人の子もいる。
犬の耳をぴこぴこ動かしている子。
猫のようなしっぽを振っている子。
小さな角が生えている子までいた。
年齢もばらばらだ。
五歳くらいの子もいれば、十歳前後の子もいる。
リリィの姿に気づいた瞬間――
「だれー?」
「おともだち?」
「ちっちゃい!」
子どもたちが一斉に集まってきた。
リリィは最初少しびっくりした様子だったが、
すぐに笑顔になる。
「りりぃ!」
するとすぐに質問攻めだ。
「どこからきたの?」
「そのかばんなに?」
「いっしょにあそぶ?」
その様子を見て、私は小さく笑った。
どうやらリリィは、もう溶け込んでいるらしい。
すると一人の獣人の男の子が言った。
「ねえねえ!」
「狩りごっこしよ!」
「狩りごっこ?」
聞き返すと、別の子が説明する。
「狩人につかまったらまけ!」
なるほど。
要するに鬼ごっこだ。
「ユウもやるよね!?」
……断れる雰囲気ではない。
「……まあ、少しなら」
その瞬間――
「やったー!!」
子どもたちは歓声をあげた。
結果から言おう。
私は五分でばてた。
「はあ……はあ……」
子どもたちは元気に走り回っている。
私はというと、
膝に手をついて息を整えるのが精一杯だった。
「デスクワークばかりの俺には……
体力的にきつすぎる……」
私のつぶやきなど気にもせず、
子どもたちはまだ走り続けている。
「にげろー!」
「つかまえろー!」
……こいつら、体力無限か?
私は完全に戦線離脱することにした。
「すまん……休憩……」
そう言って、建物の影へ移動する。
日陰に座り込み、
私は空を見上げた。
青い空。
ゆっくり流れる雲。
遠くから聞こえる子どもたちの笑い声。
……平和だ。
そのままぼんやり空を眺めていたときだった。
ふと、屋根の上に――
小さな黒い影が見えた。
「……ん?」
私は目を細める。
「なんだあれ」
カバンからスマホを取り出し、
カメラのズームを使って拡大する。
画面の中に映ったのは――
黒猫だった。
「猫か」
屋根の端からこちらをのぞいている。
小さな体。
まだ子猫のようだ。
「……どうやってあそこに上がったんだ?」
屋根はそれなりに高い。
「ちゃんと降りてこられるんだろうな……」
私が見ていると、
黒猫はのんびりと伸びをした。
そして――
ぴょん。
軽やかに屋根から飛び降りた。
「おお」
地面に着地すると、
そのままこちらへ歩いてくる。
よく見ると、やはり子猫だった。
まだ体も小さい。
子猫は私の前まで来ると、
大きくあくびをした。
「にゃぁ……」
そして――
じっと私を見る。
「……」
「……」
なんだこの沈黙。
私はそっと手を伸ばした。
「よしよし――」
その瞬間。
子猫はすっと後ろに下がった。
「あ」
距離を取られる。
「……」
私は手を引っ込める。
すると――
子猫はまた近づいてくる。
「……」
「……」
もう一度手を伸ばす。
すっ……
また距離を取る。
「……」
私はため息をついた。
「頼むからさわらせてくれよ……」
その時、ふと思い出した。
「あ」
私はカバンを開ける。
「そういえば……」
中から取り出したのは――
ツナ缶だった。
日本から持ってきた非常食の一つだ。
「猫といえば……これだろ」
私はツナ缶を開け、
少しだけ地面に置く。
子猫の前へ、そっと差し出した。
すると――
子猫の耳がぴくりと動いた。
鼻をひくひくさせる。
そしてゆっくりと――
ツナ缶へ近づいていった。
ユウ「お腹撫でていかい?」
ねっこ「シャあああ」




