教会からの依頼
朝食を終え、私たちはギルドへ向かった。
扉を開けると、昨日よりも人が少ない。
朝だからか、受付もいくつか空いている。
ふと受付を見ると――
アイルがいた。
こちらに気づいた瞬間、彼女の視線がぴたりと止まる。
……そして。
じっと、こちらを見ている。
(……なんだろう)
「アイルがこっちに来てほしそうな顔をしている」
――というのは、まあ冗談だろうけど。
私はリリィと一緒に、アイルの受付へ向かった。
「おはようございます」
声をかけると、アイルは軽く微笑んだ。
「あら、おはよう」
そして首を少し傾ける。
「今日はどうしたの?
依頼を受けに来たのかしら?」
「ええ、せっかく登録したので」
「いい心がけね」
アイルはくすっと笑い、依頼書の束を軽くめくる。
「とはいえ……」
数枚見てから、小さく肩をすくめた。
「今受けられる依頼は、あまり派手なのはないわね」
「例えば?」
「そうね…」
アイルは指で一つずつ数えながら説明する。
「教会の孤児院の子どもたちの世話とかね」
「……世話?」
「ええ。ギルドの慈善事業みたいなものよ。
ギルドが自腹で報酬を出してるの」
なるほど。
「それから、都市のごみ回収。
あとは荷物運びとか……そんなところね」
横で聞いていたリリィが、少しだけ身を乗り出した。
アイルはそれに気づき、くすっと笑う。
「……そういえば」
リリィをちらっと見てから言った。
「リリィもいるんだし、孤児院の依頼なんてどう?」
「?」
「子どもたちと遊んであげる仕事よ。
リリィも一緒なら、きっと喜ぶと思うわ。
リリィもお友達、たくさんできるわよ」
リリィはぱっと顔を輝かせた。
「友達がいっぱい?」
「ええ、いっぱい」
「いく!」
即答だった。
私は思わず苦笑する。
「……まあ、悪くないか」
私はアイルに向き直った。
「よし、孤児院の依頼を受けます」
アイルは少し驚いたように目を瞬かせ、それから柔らかく笑った。
「決まりね。ありがとう。
子どもたち、きっと喜ぶわ」
彼女は依頼書を一枚取り出し、受付の印を押した。
「場所は聖リュミナ教会の孤児院。
ここから歩いて十五分くらいよ」
「わかりました」
私は依頼書を受け取る。
横ではリリィが、もう今にも走り出しそうな顔をしていた。
「いこう!」
アイル「今日はリリィ、かじってこなかったわね」
???「にゃ」
アイル「新たな刺客!?」




