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強制異世界転移!! ~世界を繋ぐ指輪~  作者: 生家事


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指輪をばら撒く男


それは、どこかの世界の話だ。


空は常に赤く染まり、巨大な城が山の上にそびえている。

黒い石で作られた城壁は雲を突き抜けるほど高く、山のふもとには広大な都市が広がっていた。


街には多くの人が暮らしている。

だがその誰もが、城を見上げる時は無意識に目を伏せた。


恐れているのだ。


あの城にいる男を。


城の最上階。

広い玉座の間。


その中央に、一人の男が椅子に深く腰掛けていた。


長い赤い絨毯が玉座まで続き、その左右には黄金の柱が並んでいる。

天井には巨大な魔石のシャンデリアが吊るされ、淡い光が部屋を照らしていた。


そして玉座の前には――


宝石の山。


金貨の山。


魔石。


古代遺物。


この世界に存在する価値ある物は、ほとんどがここに集められていた。


男は静かに笑った。


「……つまらんな」


その声は、広い玉座の間にゆっくりと響いた。


男はこの世界の支配者だった。


王でもない。

皇帝でもない。


それ以上の存在。


この世界のすべてを支配する男。


軍も。


魔法も。


権力も。


すべてを手に入れていた。


男は宝石を一つ手に取る。


青く輝く巨大な魔石だ。


だが男は興味なさそうにそれを眺めると――


ぽい、と床へ落とした。


カラン。


乾いた音が響く。


「金はある」


男は呟いた。


「力もある」


玉座からゆっくり立ち上がる。


「この世界も手に入れた」


男は大きな窓の前まで歩く。


城の窓からは赤い空と、広大な大地が見えた。


すべて――


自分のものだ。


だが。


男は小さくため息をついた。


「……だが」


「まだ足りない」


窓の外を見つめながら、男は静かに呟く。


この世界には、まだ知られていない秘密がある。


それは古代の文献の中にだけ記されていた。


世界は一つではない。


この世界の外には――


無数の世界が存在する。


男はそれを知った瞬間、強く思った。


この世界を支配した程度で満足するつもりはない。


もし本当に別の世界があるのなら。


そこにもきっと――


自分がまだ手に入れていない何かがある。


男は玉座の横に並べられた古代遺物の山へ目を向けた。


そこには、長寿を与えると言われる宝石。

若さを保つ魔導書。

肉体を強化する魔具。


様々なものがあった。


だが――


男はそれらを冷たい目で見つめる。


「どれも不完全だ」


ある遺物は寿命を延ばす。


だが、肉体が崩れていく。


ある遺物は若さを保つ。


だが、精神が徐々に壊れていく。


ある遺物は不死に近い力を与える。


だが、使用者は怪物へと変わる。


男はゆっくりと呟いた。


「永遠の命」


それだけが欲しかった。


老いない。


死なない。


副作用もない。


完全な永遠。


だが、この世界には存在しない。


だから男は考えた。


「ならば」


男はゆっくり振り返った。


「探すだけだ」


男の部屋には、巨大な研究室が併設されていた。


魔法陣。


装置。


古代の遺物。


その中心に、大きな転送装置がある。


そして机の上には――


大量の指輪が並んでいた。


銀色の指輪。


宝石も装飾もない、ただの輪。


しかし内側には、細かい文字が刻まれている。


男はその一つを持ち上げた。


「世界を直接調べるのは面倒だ」


男は静かに笑う。


この男は金も力も持っている。


そして研究者でもあった。


この装置は、長い研究の末に完成したものだ。


世界転送装置。


世界と世界をつなぐ魔導装置。


男は自分の金と力を使い、この装置を作り上げた。


だが転送先は安定しない。


世界は無数にある。


そのため行き先は――


完全なランダム。


男はそれでも構わなかった。


「むしろ好都合だ」


男は机の上の指輪を見渡した。その数は百ではきかない。数百。いや――数千。


金と魔法を使い、大量の指輪を作らせた。


「世界を直接調べるのは面倒だ」

男は静かに笑う。


この指輪には、ただの移動装置としての機能だけでなく――


拾った者を無作為に別の世界へ飛ばす力が刻まれていた。


つまり、指輪を手にした者は、自分の意思に関わらず、ある世界へ転送される。


そしてその世界での情報、魔法、文明、未知の力などを指輪は記録する。


「特定の誰かである必要はない」

男は静かに言った。


「拾った者が使えばいい。世界を見て回ればいい」

「その記録は――必ず、いつか私のもとへ届く」


男は装置の上に指輪を置いた。


淡い光が装置を包み、指輪はふわりと宙に浮く。


その光は、指輪を手にした者を無作為に異世界へ運ぶ。


世界のどこへ飛ぶかは分からない――だが、指輪は必ず情報を持ち帰る。


「行け」


男がそう言うと、指輪は光に包まれ、無数の世界へ散っていった。

その瞬間――世界のどこかで、指輪を手にした者の運命が動き出す。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



それから長い時間が過ぎた。


指輪の一つは、とある世界へ落ちた。


地球。


ある山の中。


古びた林道の脇に、小さな光が落ちていた。


それを見つけたのは、一人の老人だった。


「……なんだこれは」


老人はしゃがみ込み、指輪を拾う。


銀色の輪。


内側には見たことのない文字が刻まれている。


「誰かの落とし物か?」


老人は周囲を見渡した。


だが山の中には誰もいない。


風が木々を揺らしているだけだった。


「まあいいか」


老人は少し笑う。


「面白そうだ」


そう言ってポケットに入れた。


それが――


ユウの祖父だった。


祖父はその後、何度か指輪を調べた。


だが特別なことは何も起きない。


光ることもない。


動くこともない。


ただの古い指輪のようにしか見えなかった。


「変わった物だが……まあいいか」


祖父は指輪を小さな木箱に入れ、押し入れの奥へしまった。


そして――


そのまま忘れてしまった。


指輪はずっと眠ったままだった。


持ち主ではなかったからだ。


それから何十年も経ち。


祖父が亡くなったあと。


孫のユウが祖父の家を片付けに来た。


古い木の家は静まり返っている。


押し入れの奥を整理しているときだった。


「……ん?」


ユウは何かを踏んだ。


コツン、と小さな音。


「なんだ?」


足元を確認する。


そこにあったのは――


銀色の指輪。


「祖父ちゃんの物かな」


ユウはそれを拾った。


指輪は少し冷たい。


ただの金属のように見えた。


だが――


その瞬間。


指輪がかすかに光った。


「……え?」


ほんのり温かい。


まるで――


反応しているようだった。


長い時間眠っていた指輪は。


ようやく。


本当の持ち主を見つけた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


同じ頃。


別の世界。


クロノ町から少し離れた町ウェイン。


リリィは小さな弁当箱を持って歩いていた。


「急がないと」


弁当を父親に届けるためだ。


父はギルドで働いている。


「お父さん、きっとお腹すいてる」


リリィは少し早歩きになった。


その時だった。


足元で――


きんっ


小さな金属音が響いた。


「……ん?」


リリィは立ち止まる。


足元を見る。


石畳の上に、小さな物が落ちていた。


しゃがんで拾い上げる。


それは――


銀色の指輪だった。


真ん中に2つの穴が開いた、不思議な形。


「なにこれ?」


リリィはくるくる回してみる。


見たことのない形だった。


「誰か落としたのかな」


周りを見る。


だが人はいない。


その時。


指輪が――


ほんのり光った。


「え?」


次の瞬間。


リリィの頭の中に、微かな感覚が走った。


遠くで、何かが動いたような感覚。


まるで――


どこか別の場所と繋がったような。


リリィは不思議そうに指輪を見つめた。


「……きれー」


なぜか分からないが。


手放す気にはならなかった。


その時、リリィはまだ知らなかった。


その指輪が――


自分の運命を大きく変えることを。


そして。


遠く離れた別の世界で。


同じ指輪を持つ人物がいることを。


???「ふーむ、指輪を拾ったものたちがすぐ死ぬのは困るからいろいろ機能をつけてやろう」

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