57.さらわれたポチ
王都に戻り一週間ほど立った日、魔法武術大会が明日となっていた。
エステンでの武術大会は予選の予選落ちだったから、今回だけは気を付けないと・・・
今日は試合前のコンディションチェックが学校で行われる、身長・体重・魔素量測定し、大会へ出れるコンディションかを見るものだった。
更衣室では、ロッカーに着ている衣服と装備品全てを入れて、専用の衣服に着替えるのであった。
魔素量測定では、測定器が潰れるハプニングがあったものの、無事に終わり帰り支度をしていた。
いつもの服に着替えて気が付く、聖剣ポチがない!
どこに行った?魔法袋にも入っていないし、となりのロッカーにもない。
泥棒か?でも、俺しか鞘から抜くことの出来ない剣を盗むか普通、しかし、参った。
俺は来た道を戻りながら、聖剣ポチの行方を追った。
寮の部屋にもない、同室のミーアに聞いても見てないと言う。
学校の事務局へと向かい、落とし物がないか探してもらうも、届いていない・・・。
参ったね~
ブラッディウルフもとい、インフェルノルプスのクロなら、嗅覚で探してくれるはずなんだけどなぁ・・・
仕方ない、見つかるまでは木剣を差しておこう。
「カイ!コンディションチェックはどうだった?」
振り向くとマリとルカがいた。
「無事に終わったよ、でも・・・・」
俺は聖剣ポチがなくなったことを説明した。
「それなら、クマノ一族から習ったこの魔法で探してみる?」
「そんな魔法あるの?」
「本来なら敵を探す魔法なんだけど、探ってみようか」
マリはすばやく三つの手印を結び、こう言った。
「リサーチャー!」
ソナーのような音波が目に見え、周囲へと走り出す、何重の円が周囲を検索しだした。
「あ、何かある!近くよ!」
何かがある方向へと急ぐ3人、廊下を曲り、たどり着いたのは学生寮のひと部屋だった。
「二コラ・・・」
だれ?二コラって、ここの聖剣ポチがあるの?なんで?
とりあえず心当たりがないか、聞いてみることとした。
ノックしても誰も出てこないし、反応もない。
「邪魔よ!」
邪険な言い方の主は、おそらくこの部屋の主である二コラ本人であろう。
綺麗なロングの金色の髪はドリルの様にクルクルと巻かれていた、胸元の宝石が凄く眩しい、目つきのキツさは、ただものじゃない雰囲気はあった。
「ひとさまの部屋の前で騒がしいわね、何用よ!」
カイが説明すると、「そんもの知らない!」とひと蹴り、二コラがドアを開け入ろうとした瞬間、机に立てかけられていた、聖剣ポチを見つけた。
「あ!あれ俺のポチ!!!」
その瞬間勢いよくドアを閉められた。
「平民が、勝手に部屋を覗くな!」
「それ俺の剣!」
「これがあなたのモノって証拠はあるの!?」
「証拠ある!俺にしか抜けないから!」
「そんなの証拠にならないわ!証拠を持ってきなさい!さもなくば、守衛を呼ぶわよ!!」
このアホんだら! 頭に血が上る。
「カイ!一度引くわよ!騒ぎを起こすと大会に出れなくなる!」
「・・・ここは冷静になった方がいい・・・」
二人に宥められながら、俺たちは部屋へと戻った。
「・・・あの人は、二コラって言って、グレーン殿下の許嫁なの・・・」
「あの子、凄く根性がひねくれているよ!クラスでも有名人なの」
「お兄ちゃん、恨みを買うことした?」
俺はニーアの言葉に、考えるが、思いあたる節は無い、ここ一カ月留守してたし、誰にもあってないし・・・ただ、グレーンの許嫁ってのが気になる。
そういえばグレーンはどこに行った?あいつをコテンパンにしてやったら、剣が返ってくるんじゃないか?
「ダメよそんなことしたら!大会に出れなくなっちゃうなじゃい!」
あぁ、めんどくせー。
「お兄ちゃん、クマノ一族に貰った刃物は使えないの?」
「あれは、学校では使えないよ・・・強すぎる・・・」
俺はクマノ一族で、日本刀のような刀を一振り頂いていた。
闇属性魔法使いにはピッタリの刀で、妖刀と呼ばれているものだった。
切った相手の血を吸って、攻撃力が向上し、切られたものは幻影空間に捕らわれると言った業物だった。
「まぁ、明日の試合は魔法しか使っちゃいけないってオリビア先生が言っていたから、どうせこの木剣で出る予定だったんだけど、それにしても剣を取り返さないと・・・」
俺の聖剣ポチ・・・・




