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56.山奥の村

「先生、合宿と言いながら、全然魔法も使ってないし、剣も振ってない!」

 (魔法はバガニアで使ったか・・・)


「なーに言ってるのね、合宿はこれからが本番なのね!」


「今度こそはまともな奴でお願いします!」


「今日はここから移動するのね、少し山の方に行くのね」



町を出発してから、一つ山を越え、二つ山を超え、リゾート地とは縁遠い山奥。


「先生、修行って山登りなんですか?」


「違うのね」


「ピクニックって訳じゃなさそうだし、一体」


「まだ気が付いてないって、まだまだなのね」


「気が付く?」


木に囲まれた場所で、何かがいるのか?獣か?魔物か?匂いはしない。


四人が周辺を敵索していると、黒装束を来たものたちに周囲を囲まれた。

どこから来た?どこに居た?一瞬の出来事に戦闘態勢も出来なかった四人。


「こいつらは一体・・・」


俺は手も足も出なかった、異世界に来て少しは強くなったと思っていた、剣術には少し自信があり、魔法も多少なり使えるようになっていた、魔物も沢山倒してきた、確かに強くなっていた、しかし、それは勘違いでしか無かった。

囲まれて一瞬で分かる、圧倒的な強さ、それは立ち振る舞い、目の動き、溢れだすオーラ、どれにしても戦うまでもない、完全にやられる。


「これは参ったなぁ・・・勝てそうもないや・・・」


どこかに隠れていたオリビア先生が、どこからか現れた。


「当たり前なのね!お前たちに敵う相手ではないのね」


「それで、この人たちは一体・・・」


「彼らはこの山に住む、クマノ族なのね、あなたたちはここで勉強するのね」


「クマノ?勉強!?」


緊張の糸が切れたのか、俺たちはどっと疲れが沸いて出たのが分かった、しかし、凄いプレッシャーだった、普通の人間であそこまで威嚇出来るものなのか。




村まで案内されたが、クネクネと真っすぐ進まないので、一度出たら再度やってくることは難しいと思われる、これは村の場所を他人に明かさないための防衛手段か?


村には十数軒の家屋があり、村として成り立っていた、こんな山奥に人が住んでいるなんて思わないところだった。


先ほどの黒装束の一人が、挨拶にきた。


「私はクマノ族の族長カゲミツだ、君たちには今日からここでとあるスキルを取得してもらう」


クマノだったり、カゲミツだったり、黒装束だったり、日本の忍者じゃん!しかもケミ耳に尻尾もある!イカつい顔にケモ耳はどうにもバランスが悪いが、ここは忍びの里だ。


「お前たちは、それぞれスキルを覚えてもらうのね、共通して索敵はマスターね、まずカイあなたは移動スキル、ミーア幻術魔法、マリとルカには、情報集スキルを会得してもらうのね」


「一長一短で覚えられるものではないが、時間がないので全力で取り掛かってもらう」


「覚えるまでは、帰られないと思うがいいのね」


有無を言わさず、それぞれのスキル取得に向けた特訓が始まってしまった。




「カイはオールマイティなのね、でも言葉を言い換えればすべてが中途半端、その中でも移動がまったく出来ていないのね、間合いの詰め方、逃げ方、戦い方、すべてがダメなのね、あなた、瞬間移動もできないのね、そんなのでよくあの森から出れたのね」


俺のダメな部分を的確に捉えているオリビア先生だった。


「先生、それは体術でマスターするには時間がかかり過ぎると思うのですが・・」


「あなたはおバカなのね、なんのための魔法なのよね」


移動スキルを魔法でやるようです、こうなれば教えて頂くしかないので、俺は大人しく教えて頂くことにした。



「ミーアの魔法はとても筋がいいのね、あとは幻術魔法系を覚えれば、怖いものなしなのね」


「先生、幻術魔法ってどんな魔法なんですか?僕知らなくて・・・」


「幻術とは、相手を異空間に閉じ込めたり、自分を異空間へと移動させたりと、ここでは説明しきれないほどのバリエーションがあるのね、とりあえずは初級魔法から覚えるのね」



「マリとルカは、情報収取系のスキルなのね、敵の位置を探ったり、敵の索敵から逃げたり、あと女性特有の情報収取方法もならうのね!」



女性特有の情報収取方法って・・・一体・・・・。



俺たちはそこから1カ月間ミッチリと朝から晩まで特訓を重ねた、最終日にはそれぞれのスキル発動まではこぎつけたが、先生たちが行うスキルより質はかなり落ちたものだった。


でも、なんだか強くなったような気がする!


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