53.合宿
時々、グレーン配下の取り巻きより、嫌がらせを受けていた。
それ以外は、本当に平和そのものだった。
魔法の勉強は楽しく、異世界から来た俺にしたら新たな発見しかない、この世界の授業は楽しさしかなかった、魔法も色々と覚えられた。
魔法ばかりでは、フォースドラゴンに勝てないので、朝方は早く起きて剣術の練習もしていた、ミーアも一緒にやっていた、ミーアも強くなったもんだ。
放課後は研究会でマリとルカとミーアの四人で楽しくしていた。
時々、自警団から呼び出されて自警団の仕事もしていた。
そんなある日――
魔法武術大会まであと一か月となった時、オリビア先生から「合宿をするぞ」と宣言された。
学園ものといえばお約束のイベント、合宿。
そんなこんなで、みんなで合宿に行くこととなった。
「クルーズと洒落こもうじゃないか!なのね!!」
王都より遥か南にある海岸都市リチア。
この町はスタインハイム王国唯一の海に面した都市で、他国との貿易を担っている町だった。
町の規模はスタンハイム王国内でも2番目の大きさを誇っており、商業と観光都市として栄えていた。
「転移魔法が使えるんですね……」
馬車で1か月はかかると言われていたが、転移魔法なら一瞬だった。
「しかし、暑いわね〜スタンハイムとは違い、まるで夏なのね」
俺たちは拠点となるロッジへと向かっていた。
「ロッジで一休みしたら、ギルドにいくのね」
「ギルド?」
俺たちは一休みして、観光都市リチアを観光することもなくギルドに来ていた。
「先生、なぜギルドなんですか?」
「リチアって有名な観光都市で物価が高いのね。なのでギルドで働いて払うのね。勉強もできるし観光もできるから、一石三兆なのね」
「……何を言ってるのか……」
ギルドにはまたしても見たことのある顔がいた。
「また双子か三姉妹か……」
今度はカトリーナだった。四姉妹の3番目。あと一人同じ顔がいるはず。
オリビアが真剣な顔でクエストを選んでいた。
「これにするわなのね」
オリビアが選んだクエストは、リチア港を発着する商船の護衛だった。
リチア港沖に巨大生物が現れて、時々商船を襲うらしい。その魔物の討伐が目的だった。
「海の魔物ってどんな魔物なんでしょうか?」
「どんな魔物が来ても、勉強した魔法を食らわせればいいのね!貴方たちならできるのね!」
俺たちは早速港へと向かった。
「俺がこの船の船長だ!……って……ガキばかりじゃないか!ギルドはろくな冒険者を派遣しないな……」
「誰が幼女なのね!こう見えても大魔導士なのね!私たちが魔物を討伐するのね!」
プンプン怒っていたオリビア先生をなんとか抑えつつ、俺たちは乗船した。
船はゆっくりと港を離れ、沖へと向かっていく。
天気が良く、魔物さえ出なければ最高のクルーズ日和だった。
しばらく航行したが、何も起こらず平和な時間が続いた。
「いつもなら、この辺で出るんだけどな……」
「ところで、魔物ってどんな奴なんですか?」
「大型の化け物で、海の番人と呼ばれているクラーケンだ」
「おお!クラーケンって、大きなイカですよね!!」
そんな時だった――
船が左右に揺れだした。周りの波はなぎのままだった。
「これは来たんじゃないですか!? 化け物が!!」
海面から無数の足を出し、船を抱き込んだ。
その足の太さは丸太よりも太かった。
「これって船沈められるんじゃないんですか!?」
船は船首を上にして、船尾から海へと引きずり込まれようとしていた。
「まぁ見てるのね、私の魔法の威力を味わうといいのね!」
オリビアが手を天にかざすと、手に杖が現れた。
「アイスバレット!」
無数の尖った氷がクラーケンの足に突き刺さり、次々と足を切り落としていく。
切り落とされた足がウネウネと動いている。
「やっぱり、こいつは気持ち悪いのね! 胴体が海面に出たら、凍らせるからあとはカイがとどめを刺すのね!」
しばらくすると、海面にクラーケンが浮かび上がってきた。
だが、何かがおかしい。
「1,2,3,4……8本!」
「先生!これはタコですよ!!!」
「そのタコっていの知らないのね!」
クラーケンと呼ばれていた化け物は、イカではなくタコだった。
それでも危機は危機だ。
「なんなのか分からないのね、でも、とどめを刺すのね!」
オリビアがタコ全体を凍らせて足場を作ってくれたお陰で、俺はタコに飛び移った。
目と目の間の少し下――そこが急所だってのは前世界で知っていた。
剣を突き立てる。
ズブリ――
タコは動きを止め、身体が締まり、色が白く変わっていった。
これで討伐完了だ。
「カイ、急所をよく知ってたのね。上出来なのね」
「これでタコ焼きが食べれますね!」
「タコ焼きとはなんなのね!?」
「出来上がりのお楽しみです」
その時、船の後方では――
「うう……」「気持ち悪い……」
ミーア、マリ、ルカは、船酔いにより完全にダウンしていた。
夜はもちろん――タコ焼きパーティとなった。




