47.自警団
報奨金を貰い、ギルドをあとにした。
「いやー1匹だと安いけど、数があったからね!」
山ほどあった金貨を貰い、ご満悦の俺であった。色々と考えたけど──やっぱり金だね、金。
どうしよう、祝杯を上げるか? やっちゃう? 打ち上げが必要だね。
「二人とも、このあとご飯でも食べにいかない?」
「まぁ、行ってもいいけど、あんだけ悩んでいた人の言葉とは思えないわ……」
「ほんと、別人みたい……」
俺はマリとルカを連れて、近くのパブへと入った。
「そういえば、二人はなんで俺のところに?」
マリが照れ臭そうに顔をそらした。
「いや、貴方を心配して行ったんじゃないのよ? ゴブリンが増えたって聞いて、たまたまギルドに行っただけだからね! 決して心配してた訳じゃないんだからね!」
「……マリが心配だから行こうっていうから……」
「ちょっと! ルカ! 何言ってるのよ!」
そのやりとりに思わず笑ってしまう。そうか、俺みたいな奴を……心配してくれてたんだな。
「ありがとうな、二人とも……助かったよ」
そんな感謝を伝えているときだった。三人の男たちが俺たちのテーブルを囲んだ。
「お前がカイか?」
「そうだけど……人の感動を邪魔しやがって……なんなんだよ! 俺がカイだよ!」
男たちのうち一人──年配の男が申し訳なさそうに頭を下げる。
「少しお時間いただけますでしょうか……!」
パブの外へ出てついていくと、彼らは自警団の制服を着ていた──ただし、王都のものではない。
「自警団? 王都のじゃないよね?」
「はい、我々はエステンの自警団です。私は臨時で隊長を務めている者でして……」
エステン──かつて俺たちが最初に訪れた地方都市。たしかカークも、もともとそこで自警団に所属していた。
「それで、俺に何の用だ?」
男はきゅっと拳を握りしめた。
「うちの隊長を……どこにやったんですか!?」
「隊長……って、カークのことか?」
「そうです! カーク隊長ですよ! 突然、修行の旅に出るとだけ伝えて、町を去ってしまって……何も詳細を話してくれなかったんです!」
「ああ、いまヒルダって魔法使いのところで修行中だよ。俺が紹介したんだ」
男たちは顔を見合わせたのち、急に地面に膝をついた。
「お願いします! カイ様、我々エステン自警団に力をお貸しください!」
「えっ!? えええ!?」
「カーク隊長が不在になってから、我々では力不足で……町の治安が保てず、魔物や犯罪者に舐められる始末で……! 貴方の力をぜひ、エステンの平和のために貸してほしいのです!」
「いやいや、ちょっと待ってくれ。俺、いま学生なんだけど……」
「それも把握しております! すでに学園にも許可は取ってあります!」
「おいおい、なんだその行動力は!?」
俺は思わず頭を抱えた。こんな押しの強さ、断りようがないじゃないか。
「カイがやるなら、私たちも手伝うよ!」
「……私は何も言ってないけど……」
「大丈夫よ! カイひとりじゃ心配なんだから、三人でやればきっとうまく行くよ!」
エステン自警団の男たちは、涙ぐまんばかりの勢いで喜んでいた。
「でも、学生が自警団ってアリなのか?」
「学園の実技単位にも加算されるよう、交渉済みです!」
「ほんとに何調べたんだよ!? 怖いよ逆に!!」
「それと、これをお持ちください」
男のひとりが差し出したのは、リストバンド型の魔道具だった。
「これは?」
「緊急連絡用の魔道具です。遠距離でも通話が可能で、我々との連絡に使用します
緊急時には特別な機能もありますので」
まるで異世界トランシーバーってやつか。
こうして──俺は学生業のかたわら、エステンの自警団の補佐としても活動することになってしまった……。
「なんか、忙しくなりそうだな……」




