集いし者への四重奏(カルテット)4
背中に背負ったミーナのことを気遣いながら賑やかな大通りを歩いていると、高くそびえたつ巨大な建造物が目の前に広がってきた。
「これが王城か・・・」
王都には少なくない時間いたものの、あまり中央の方にいかなかったので遠目にしかみたことがなかった。
「この騒ぎが終わったら・・」
あの自称発明家の店や食材の探しに店を練り歩きたいなーと密かに計画をたてていると前を進むエルザが急に歩みを緩めた。
「翔太殿、先程の言葉はどのような意図のものだろうか?」
「え?ああ。」
なんとなく想像はついた。
「さっきの付き人の話か?」
「そ、そうだ。」
若干うつ向いたままだった。
「あー多分だけど俺の思った意味と違うと思うんだ。あの言葉の意味ってなんだったんだ。」
その時、エルザとキリカが同時にこけそうになった。
「おい、大丈夫か!?」
キリカ達のように身体能力があるものたちは平衡感覚や反射神経に優れているのでほとんどの場合こけそうになったりしない。
「だ、大丈夫だ。しかし、はぁー。」
キリカもエルザの後ろからこちらを振り返り、珍しく感情の籠った目をしており呆れているようにも安堵しているようにもみえた。
「付き人は主に婚約を前提とした関係を結んでいる男女の俗称です。東方ではこのような言い方ではないのですか?」
ファルナもそのキリッとした目を細めて指摘をしてくる。
「ハハハッ」
「キース、笑い事じゃあありません。」
「悪い悪い。」
そういうことだったのかー。と翔太は頭を抱えたくなる。
大体の想像はつけていたがそんなに外してはいなかった。これでみんなの反応にも説明がつく。
しかしそこで一つの疑問が頭を掠め、先を進んでいるエルザの方に顔をむける。
「なぁエルザ。」
「な、なんだ。」
エルザはかたくなにこちらを向こうとせず、手で顔を塞いでいるようにもみえる。
「ジェイドは俺のことライバルとか言ってたよな?っていうことはジェイドがお前の付き人なのか?」
エルザは手をどけてため息を付きそうな顔でこちらを振り向いた。
「あれは奴が勝手に言ってるだけだ、私の意思は関与してない。」
「なんで受け入れないんだ?聞いてた感じだと断る理由がない、いい物件だと思うけど。」
「物件っていうな。あんまりにしつこいものだからこの国には立ち寄るなといっておいたのだが今回の件があっては仕方ない。」
ジェイドは少し傲慢そうなところもあったがひたむきでまっすぐところは結構好青年だったのだが。
「もうあいつのことはいい、城にいったらミーナは私がつれていって世話を見てもらうようにする。まずお父様にあってからキリカにはついてきて欲しい。その間翔太殿には貴賓室で待っていてもらうがよいか?」
「いいぞー。やることもいっぱいあるしな。」
「エルザ皇女殿下、俺たちは警護に入らせていただきますよ。こんな状況ですし、他国の使節もきていますからね。」
「それは構わない、任務をまっとうしてくれ。」
真下からみる城の門はとても大きく素晴らしい建造物だということがわかった。
門の前には屈強な兵士がたっており石畳の上でクロスさせていた槍をもとに戻してエルザに最敬礼をするところだった。
今回も顔パスかと思いきや少し制止がかかった。
「申し訳ありませんが皇女殿下のお連れの方ということを承知で武器を預からせては頂けませんか?この状況ですので。」
「お前!」
申し出た兵士にエルザは驚きの声をあげたがそれを翔太は手で制し、前にでる。
「いいですよー、物騒な世の中ですしね。出るときに返してもらえるんだったら構いません。キリカもいい?」
「いいですよ。・・・武器が許すなら。」
月詠を鞘ごと抜いて手渡そうとすると兵士は受け取ろうとして手から落ちてしまう。
「おお!」
月詠がまだ空中にあるうちに翔太は少し本気をだしてキャッチしすぐに同じ体勢に戻る。
ゆっくりと後ろに流れていく時間の中で、高そうな武器を落として焦った兵士の顔はなかなか見ものだった。
恐らく、この動きを見切れるのはキリカレベルくらいなのでこれを見破れれば素直に称賛したかったが流石にそれはなかったようだ。
落とした程度では傷ひとつつかないのにこんなことをしたのは軽い冗談のようなものだったが兵士の目には急いで拾おうとして目線をさげたらそこには刀はなく、何故か翔太の手に収まっているように写っただろう。
そして時間は正常に流れ始める。
「お、あれ?」
「やっぱり弾かれちゃうか、レベル制限ってやつなのかなー。だとしたら凍刃零機も無理だなー。」
目を丸くしてる兵士の見て翔太は言う。
「多分カートみたいなのにおいてあったら大丈夫だと思います。」
相方のほうの兵士がそれを聞いて保存用の荷台のようなものを運んできてくれた。
その魔力オーラと装飾の素晴らしさに感嘆の声があがるなか、刀をその荷台に慎重に納めてキリカとエルザほうに向かう。
「確かにお預かりしました。」
という声とともにエルザが歩み始める。
天井に吊るされた純金のシャンデリアや磨きこまれた大理石の床が広いホールを輝かせており、長い廊下にかかった高価そうな絵は巨大なガラスからの日をスポットライトのように浴びて存在を際ださせていた。
まるで絵画の中のような世界を眺めながらあるいていると同じようにキリカが目をキラキラさせながらキョロキョロしているのがわかった。
前の世界にもあった中世の城もこれほどのものだったのだろうかと物思いに耽っていると、純銀の魔力オーラをまとった全身鎧をつけた長身の兵士がたっていた。
「皇帝守護だ。お父様に面会したいのだが中にはいるか?」
翔太の視線に気がついたようにエルザが説明を入れると皇帝守護たちは
「了解しました。」
と機械のようにきびきびて動き始め重そうな巨大なドアを軽々と開けていく。




