集いし者への四重奏(カルテット)3
「エルザ様、探しましたよ。」
颯爽と現れたその騎士はそういって微笑み、ふと気づいたように聞く。
「その後ろの方は?付き人というわけでもないでしょうが。」
軽く冗談をいうような口調で聞いてくると翔太の正面にたつエルザの顔が赤くなったのがわかった。
しかもチラチラこちらを見てきている気がする。
付き人って従者みたいなものだろうか?
「そ、そんなことは」
と小声で言おうとしていたエルザを遮って、軽い気持ちで
「まあ、そんなものじゃないか?エルザは皇女様なんだし。」
と彼の顔色が変わる。
「な・・・え?」
「翔太殿?」
「エルザ皇女殿下、それならそうといってくだされば!」
「!?」
驚いた反応を見せる他の面々にこちらの方が驚いてしまう。
もしかして言葉の意味間違えたか?
「えと、あー」
「つまり君は僕の好敵手というわけだ。」
彼のみは表情を変えずにいい放つがこちらは意味がわからない。
「かかか、勝手に付き人の候補ということにするな。」
どうやらパニック中のエルザがあたふたしながら言う。
「全く、そなたほどの騎士が耳元で囁けば何処の美姫でも落ちようというのに。」
やれやれというようにエルザは首をふるとジェイドは大真面目に答える。
ついでにキリカは「え・・・なんで?」
などとまだ独り言を言っていた。
「確かに、エルザ様の容姿をみたということもありますが貴方のその一振の剣をような精神を見たからです。」
うわー超キザ
と思わないでもなかったがこのレベルのイケメンがすれば何でも格好いいのが卑怯だ。
それよりもジェイドがさっきライバルと言ったことや先程のセリフから考えるとどう考えても付き人→従者はおかしい気がする。
「全くジェイド、お前は昔から変わらんな。」
「誉めて下さってありがとうございます。」
爽やかな笑顔を見せるジェイドに
「別に私は誉めていないのだが、」
とエルザは呆れた顔を見せる。
「エルザさん、この人は何方なんですか?」
ようやくこっちに戻ってきたキリカが首をかしげて訪ねる。
「さっきキースがいった通りだ。ジェイド、グラディウス。聖主国最強の騎士にして『騎士』の称号をもってる。」
めんどくさそうに説明したエルザに
「エルザ様、その恥ずかしい称号ははずして欲しいんですがね。」
と苦笑する。
「こんにちは、お嬢さん。紹介に預かった通りジェイドといいます。エルザ様の未来の付きび・・・痛!」
最後まで言い終わらないうちにエルザの本気目に見えるチョップが炸裂し、頭を抱えて悶絶する。
「いたたたた~。何をするんですか。エルザ様!」
「キリカにまでデマを流すんじゃない!全く。お前が勝手にいってるだけだろ。」
「し、しかし。しっかりと聖王様を通じて縁談がに国王陛下に伝わっているではありませんか。」
後ろではキースがこくこくと頷いており、どうやら真実のようだ。
「私は断じて認めん、お父様にもしっかり釘をさしておいた。大体最初から何度もいっているはずだ。私はお前が苦手だ。」
「大丈夫です、エルザ様が気に入らない部分は全て排除します。」
「そういうところだ!」
エルザは叫び疲れたように肩で息をしていると。
「それにしても」
といってジェイドは表情を改めてこちらをみる。
そのまっすぐな目は先程までのろけた会話をしていた人物にはとても見えない。
「お嬢さんとそこのライバルの方はとても強いようですね。体運びや立ち方だけで強さが見てとれます。」
「なんかまだ誤解されている気がするなー。」
「この二人も今回の件で召集されたのですか?でしたら心強い。」
ジェイドは鋭い表情のまま言うと口を開きかけたキリカの代わりにエルザが答える。
「お前こそ、呼ばれていたのだな?別にこの二人は召集されたわけではないが。お前が来たと言うことは聖剣騎士団も?」
「精鋭のみで入国しました。」
「聖主国はこの事態をそこまで重く見ているのか。」
エルザは唇を噛むようにして何か考え込んでいたがぱっと顔をあげる。
「翔太殿、キリカ殿、すまないがついてきてくれないか?」
その顔は一つの決意が現れていた。
「何か用事があるわけでもないからいくけどどこにいくんだ?」
「王城へ、詳しい事情も聞きたいし、二人の力を借りなければならないかもしれん。」
そのまま身を翻すと歩き始める。
なんとなく、信頼をこめて確認をとらないんだろうと思えた。
「エルザ様、私も同行します。」
「ついてくるな。」
「そ・・それはひどいです。私がエルザ様の身の回りの安全を保証して・・」
「なんで自国の首都で襲われなくてはならんのだ。お前は町の婦人たちに囲まれていろ。」
心無し先程よりも歩く速度を早めてエルザは先に進み、翔太、キリカ、部下二人が後に続く。
聖主国最強の騎士は目の色を変えた婦人に囲まれて見えなくなった。




